とっていただく責任などありません

まめきち

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逃走

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夜の帳が街を包む中、ヘイゼルは屋敷の裏口からそっと抜け出した。
騎士団団長に正体が知られかけた夜のことが頭をよぎる――
都市に留まれば、秘密はすぐに露見してしまうかもしれない。

「リュート、手伝ってくれる?」
小声で呼びかけると、後ろから軽い声が返る。

「もちろんだって。心配すんな、ルートは俺が確保する」

リュートはフランクに笑い、でも頼りがいのある姿で隣に立つ。
ヘイゼルは少し頷き、街灯の陰を伝って二人で歩き出した。

「都市の騎士団員に見つかったらまずいからな」
「うん、わかってる」

会話は最小限。リュートは距離を保ちつつ、周囲を警戒しながら歩く。

馬車が待つ郊外に着くと、リュートは軽口を叩く。

「さて、逃げ足は大丈夫か?」
「冗談言ってる場合じゃないでしょ!」
ヘイゼルは軽く睨むが、少し肩の力が抜ける。

馬車に乗り込むと、港町へ向けてゆっくりと出発する。
都市の灯りが遠ざかり、波の音だけが静かに二人を包む。
ヘイゼルは肩の力を落とし、少しだけ安心した。

港町の小さな港に着くと、リュートは立ち止まり、肩に手を置く。

「ここまでだ。あとは自分で頑張れ」
ヘイゼルは小さく頷く。
「ありがとう、リュート。本当に」

リュートは軽く笑って肩をすくめる。
「俺の出番はここまでだ。ヘイゼル、君なら大丈夫だろう」

そう言うと、馬車を降りたヘイゼルは港町の静かな通りへ歩き出す。
リュートの存在に少し背中を押され、夜の海風が心地よく吹き抜ける。

友達のサポートを得て、自分の力で歩き出す――
その夜、ヘイゼルは新しい日々の第一歩を踏み出した。
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