とっていただく責任などありません

まめきち

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港町の朝

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港町の朝。海風が窓から入り込み、波の香りが宿の部屋を満たしていた。
ヘイゼルは窓辺で小さく伸びをし、夜の緊張が徐々に溶けていくのを感じていた。
隣には、すでに目を覚ましたメルフィスが、椅子に腰掛けて朝の景色を眺めている。

「おはよう、ヘイゼル」
メルフィの声に、ヘイゼルは少し照れながら振り返る。
「おはようございます。団長……昨夜は……」
言葉に詰まる。言わずとも、昨夜のことは互いに分かっている。

メルフィスは小さく笑い、肩をすくめる。
「まあ……無事でよかった。心配させやがって」

ヘイゼルはにっこり笑い返し、差し出された朝食のパンを手に取る。
「団長も疲れたでしょう? ちゃんと食べてください」

二人の距離は、昨夜よりもさらに自然に近い。
肩が触れるか触れないかの距離で、互いの呼吸や視線が交わる。
港町の静かな朝は、二人だけの世界のようだった。

「……なあ、ヘイゼル」
「はい?」
「もう、俺を『団長』じゃなくて名前で呼んでくれって言ったよな」
メルフィスは少し恥ずかしそうに笑う。

ヘイゼルは小首を傾げて、でも微笑んだまま答える。
「ええ、わかってます。もう『メルフィス』で呼びますね」

その一言に、メルフィスの胸が熱くなる。
都市での騎士団の日々、隠し続けた距離、逃げるしかなかった夜……
それらすべてが、この港町の朝で報われたような気がした。

窓の外では漁師たちが船を出し、海鳥が飛び交う。
何気ない日常の風景の中で、二人は互いの存在をじわじわと感じ、心を確かめ合う。

「……ここなら、少し安心していられますね」
ヘイゼルの声に、メルフィスは優しくうなずく。
「そうだな。俺も……これからはずっと、君のそばにいる」

波の音が港町に響き、二人の距離はもう逃げられないほど近い。
静かな日常の中で、恋心は自然と、でも確実に深まっていったのだった。
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