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第58話 対決 3(1)
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受付を済ませると、空いていたボールを蹴る遊ぶをすることにした。本当は一周見て回る予定だったが、そうしている内に混むと嫌だし、勢いで一つやるのも悪くない。
誰からやるかという話になり、様子を見たかったので成り行きを見守っていると、奈都が元気に手を挙げた。
「じゃあ私がやる。初手ボーナス1点もらう」
「そんなものはない」
涼夏が冷静に突っ込む。まあ勇気を誉め称えるくらいはしてあげてもいい。
ルールは簡単で、サッカーボールを12回蹴って、数メートル先にある1から9の数字の書かれたボードを、何枚抜けるかというゲームだ。ちなみに全員やってチームごとに平均枚数を出し、1位のチームが2点、2位のチームが1点もらう。最終的に全ゲームの合計点数の最も少ないチームがトップのチームに、チームで300円分奢ることになった。
奈都が一人でブースに入り、スタートボタンを押してボールを置く。まずは様子見だと言って軽く蹴ったボールは、ゴロゴロ転がってボードの下のバーに弾かれて戻ってきた。
「仕組みは理解した」
奈都がボールを手に深く頷く。戸和さんが「私も仕組みは理解した!」と声をかけたが、今のは励ましだろうか。
次に強く蹴ったボールは2段目のバーに弾かれ、3球目でようやく1枚抜くことに成功した。12球もあるので5、6枚は抜けるかと思ったら、最終的に4枚で終わった上、一番上の段は0枚だった。
7人の中で唯一の運動部員が4枚ということで暗雲が立ち込めたが、続く牧島さんも強めに蹴りまくって4枚抜き、なんとかなりそうな希望を得た。
「じゃあ、私がやろう」
3人目に立候補すると、「部長頑張ってー」と絢音が黄色い声を上げて、奈都に「敵だから」と怒られていた。
二人のを見ていていけるかと思ったが、3球連続でボールが上がらず、下のバーに弾かれた。
「おかしい。イメージだと8枚くらいいけそうだったのに」
「私もパーフェクトのイメージだった」
4枚抜いた牧島さんがわかると頷く。焦ったわけではなかったが、圧倒的に実力を発揮した結果、3枚で終わってしまった。
「これはひどいな。元運動部なのに」
涼夏が無念そうに首を振った。元運動部と言っても、バドミントン部員に期待されても困る。
涼夏には私の分まで頑張って欲しいが、果たしてどうか。涼夏は期待を裏切らない女だ。
戸和さんが最高の6枚、豊山さんが4枚の後、満を持して涼夏が蹴ったが、結果は私より1枚多いだけの4枚だった。見せ場もなければ酷すぎることもなく、涼夏は残念そうに息を吐いた。
「可もなく不可もなく」
「これで私たちのドベがほぼ確定したね」
「誰かさんが3枚だったからなぁ」
誰のことだろう。最下位は不名誉なので、絢音に逆の意味で期待したが、7枚も抜いて奈都・絢音チームの圧勝になった。
「自分でもびっくりだ」
「さすが小学生の時、サッカー部だっただけはある」
豊山さんがここに来て新事実をぶち込んで来たが、驚く私たちに絢音が軽く手を振った。
「誰か他の女と勘違いしてる」
そうだろうとは思った。
時計を見たら、30分近く経っていた。7人もいるとどうしても時間がかかってしまう。
「誰かがプレイしてる間、空いてる子は他のゲームをすると効率的」
私が真顔でそう言うと、涼夏が「身体測定か!」と秒で突っ込んだ。戸和さんが「おぉ」と唸った。
「今のツッコミすごい。私もさぎりに、今くらいキレのあるツッコミを入れたい」
「そもそも私、野阪さんと違ってボケキャラじゃないから」
牧島さんが冷静に退けるが、戸和さんは聞いていないように牧島さんにしがみついてボケを求めていた。大変仲が良い。
それより、私はいつからボケキャラになったのだろう。
「絢音。バンドメンバーが激しく私を誤解してる節が見受けられる」
「今度会ったら言っておく」
「いや、今会ってるでしょ」
思わず手の動きまで付けて突っ込むと、牧島さんが「両刀か」と眉を上げた。あまりキャラクター性について考えたことはないが、絢音が計算高いボケキャラであることに疑いはないだろう。
誰からやるかという話になり、様子を見たかったので成り行きを見守っていると、奈都が元気に手を挙げた。
「じゃあ私がやる。初手ボーナス1点もらう」
「そんなものはない」
涼夏が冷静に突っ込む。まあ勇気を誉め称えるくらいはしてあげてもいい。
ルールは簡単で、サッカーボールを12回蹴って、数メートル先にある1から9の数字の書かれたボードを、何枚抜けるかというゲームだ。ちなみに全員やってチームごとに平均枚数を出し、1位のチームが2点、2位のチームが1点もらう。最終的に全ゲームの合計点数の最も少ないチームがトップのチームに、チームで300円分奢ることになった。
奈都が一人でブースに入り、スタートボタンを押してボールを置く。まずは様子見だと言って軽く蹴ったボールは、ゴロゴロ転がってボードの下のバーに弾かれて戻ってきた。
「仕組みは理解した」
奈都がボールを手に深く頷く。戸和さんが「私も仕組みは理解した!」と声をかけたが、今のは励ましだろうか。
次に強く蹴ったボールは2段目のバーに弾かれ、3球目でようやく1枚抜くことに成功した。12球もあるので5、6枚は抜けるかと思ったら、最終的に4枚で終わった上、一番上の段は0枚だった。
7人の中で唯一の運動部員が4枚ということで暗雲が立ち込めたが、続く牧島さんも強めに蹴りまくって4枚抜き、なんとかなりそうな希望を得た。
「じゃあ、私がやろう」
3人目に立候補すると、「部長頑張ってー」と絢音が黄色い声を上げて、奈都に「敵だから」と怒られていた。
二人のを見ていていけるかと思ったが、3球連続でボールが上がらず、下のバーに弾かれた。
「おかしい。イメージだと8枚くらいいけそうだったのに」
「私もパーフェクトのイメージだった」
4枚抜いた牧島さんがわかると頷く。焦ったわけではなかったが、圧倒的に実力を発揮した結果、3枚で終わってしまった。
「これはひどいな。元運動部なのに」
涼夏が無念そうに首を振った。元運動部と言っても、バドミントン部員に期待されても困る。
涼夏には私の分まで頑張って欲しいが、果たしてどうか。涼夏は期待を裏切らない女だ。
戸和さんが最高の6枚、豊山さんが4枚の後、満を持して涼夏が蹴ったが、結果は私より1枚多いだけの4枚だった。見せ場もなければ酷すぎることもなく、涼夏は残念そうに息を吐いた。
「可もなく不可もなく」
「これで私たちのドベがほぼ確定したね」
「誰かさんが3枚だったからなぁ」
誰のことだろう。最下位は不名誉なので、絢音に逆の意味で期待したが、7枚も抜いて奈都・絢音チームの圧勝になった。
「自分でもびっくりだ」
「さすが小学生の時、サッカー部だっただけはある」
豊山さんがここに来て新事実をぶち込んで来たが、驚く私たちに絢音が軽く手を振った。
「誰か他の女と勘違いしてる」
そうだろうとは思った。
時計を見たら、30分近く経っていた。7人もいるとどうしても時間がかかってしまう。
「誰かがプレイしてる間、空いてる子は他のゲームをすると効率的」
私が真顔でそう言うと、涼夏が「身体測定か!」と秒で突っ込んだ。戸和さんが「おぉ」と唸った。
「今のツッコミすごい。私もさぎりに、今くらいキレのあるツッコミを入れたい」
「そもそも私、野阪さんと違ってボケキャラじゃないから」
牧島さんが冷静に退けるが、戸和さんは聞いていないように牧島さんにしがみついてボケを求めていた。大変仲が良い。
それより、私はいつからボケキャラになったのだろう。
「絢音。バンドメンバーが激しく私を誤解してる節が見受けられる」
「今度会ったら言っておく」
「いや、今会ってるでしょ」
思わず手の動きまで付けて突っ込むと、牧島さんが「両刀か」と眉を上げた。あまりキャラクター性について考えたことはないが、絢音が計算高いボケキャラであることに疑いはないだろう。
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