雪梛の一閃

雪梛

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原初編

新人トーナメントに変人だ...と…

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「分かりました。あなたがたの出場は認めますが結構戦いずらい条件が出ますよ?」


雪梛せつな香澄かすみはりえとの戦いの後直ぐに防衛団の本部まで来てトーナメント出場について話していた。


「具体的にどのような条件がでるのかしら?」

「それぐらい教えてくれないと勝手に違反しちゃうよ?」


2人は条件が厳しいならそれにあった練習をしようと思い聞いた。


「このトーナメントを知っているのならご存知と思いますがこれは新人や経験の少ない人のためのものでして本来あなたがたのような強いひとが来る場所じゃないんですよ。えーと条件は…両手両足に小さい風船を付けて割られたら負けです。もちろん刀や銃は相手が互角な時以外禁止で格闘もダメです」


2人はこの話を聞いて顔を見合い意見を言った。


「緩すぎるんじゃないかしら?片腕片足の2個で十分だわ」

「香澄緩すぎだよ。規定の場所に1つでじゅうぶんでしょあ」

「あら。私としたことがうっかりしてたわ」

「ちょっと!本当にそれでいいんですか?」


いつもとは違う受付が困り顔で言った。


「ええ。もちろんよ」

「じゃあ2週間後によろしくね」

「あ、分かりました。お待ちしております」


受付の返事を聞くと2人はさっさと家に向かった。




「すごい人だかりだね」

「奇抜な技でも盗みにきたのかしら」


雪梛と香澄はどこか他人事のように話し始めた。

コロシアム会場で行われる新人トーナメントは500人程度の人が集まった。

どうやら予選とやらがあるらしく雪梛たちは暇をしていた。


「一般人も沢山来てるんじゃない?」

「流石に防衛団だけってことはないでしょう」


そんなことを話していると剣士が2人フィールドに出た。


「もうすぐ始まるね」

「想像通りだけどあんまり強くなさそうね」


剣士達は各々の構えをして止まっている。


パン


急に走り出し抜刀して刃を合わせた。


「くだらないわ。私は身体を動かしてくるわ」

「私もそうしよう」


2人は戦いに興味を無くしてさっさと席を立ち準備室に向かった。



「2回戦目は特殊枠の戦いです」



アナウンサーにそう言われながら雪梛は戦場へ入った。

相手は不満そうな顔をしながら話しかけてきた。


「そんな風船を割りに来たんじゃないのにな」

「あなたの力量じゃ風船どころか私の身体に刃すら当たらないよ」


相手は挑発に乗らずに構えた。

雪梛は身体を適度に脱力して見切りの準備をはじめた。


カーン


試合開始の合図とともに相手は一気に間合いを詰めて刃を走らせた。

居合切りだ。

雪梛は身体をなかば全力で逸らしながら話しかけた。


「うーん。動きは良いけど振り方がなー」

「っ!」


相手はビックリして硬直してしまった。


「ほらー。そんな止まっていたら実戦じゃ即死だよ。もっとも、その実戦が足りないからここにいるんだろうけど」

「な、舐めんじゃねー」


相手はすぐに地面を蹴って斬撃を繰り出してきた。

しかし、雪梛は最小限で最も効果的な避け方をし続けているためギリギリで当たらない。


「このー!」


相手は雪梛の首を狙ったが雪梛は半歩下がり身体を少し逸らして避けた。


「ここだ!」

「いいもん見してあげるよ」


迫り来る腹部を狙った斬撃を右手の平を横にして受けて同速のほぼ同方向で流した。


「!?」

「あなたは肉体を刀がどうやって斬っているか知ってる?」


唐突な雪梛からの質問だったが相手は真剣に考えて回答しはじめた。


「皮膚や筋肉の繊維を布を裂くかのように開いているんじゃないか?」

「ご名答、案外アホじゃないようだ」


彼は少し腹を立てたが冷静に質問をした。


「何が言いたい?からかってるわけではないだろ」


軽くため息をつきながら答え合わせを始めた。


「頭は悪くないのに勘は鈍いね、質問の意図も分からないとは。簡単に説明してあげよう。例えばまな板と包丁、人参があったとしよう。まな板に人参をのせて包丁で切る。何の変哲もない動作だ。じゃあ仮に人参が包丁と同速で同方向に動いたらどうなると思う?」


彼はやっと答えが分かって雪梛に驚きを隠せないまま答えた。


「切れないな。何故なら人参にとって包丁が触れたとしか感じないからだ」


やっと出た答えに雪梛は満足気に頷いて、アドバイスを言った。


「ATだとしても技の精度、観察眼を鍛えたら格段に強くなるよ」


そう言って雪梛はタイムアップになったのを確認してから退場した。




「次は私の番ね」


香澄はそう言って観客席から立ち上がり選手入口に歩き始めた。


「じゃあ、私は会場の外でも歩いているからね。くれぐれも負けないようにね」

「そんなに甘い性格じゃ無い事知ってるでしょ」


香澄と逆方向に歩きながら雪梛はどこを歩こうかと考えていた。

そんなことを考えているとき殺気とも視線とも捉えられぬただならぬ何かを感じた。

そんなことを思いながら雪梛は感覚を頼りに発信源を探り始めた。

雪梛は少し走っているとひらけた戦いやすそうなところに来た。


「待っていたよ、と言うとなんか変な感じだから言い表すと呼ばせてもらったよ。雪梛」


雪梛は少し戸惑いながらも相手の発言の意図を考えながら質問を考えた。


「ちょっとたくさん聞きたいことはあるけどとりあえず、あなたは一体何者なの」

「私はこの物語の作者や」

「……は?」


雪梛は心底意味わからんという感じで疑問しか返せなかった。


「まあそんなに心底意味わからんみたいた顔はすんなや。まあ急に言われても謎やと思うけどな」

「じゃあほんとにそうなのか証明してみてよ」


雪梛は面倒な人だと思いながら聞いてみた。


「おお!ホンマか。まさか話を聞いてくれるとは。じゃあ雪梛の所持品をここに瞬間移動させたるわ。これなら分かりやすいだろ」

「もし本当に出来るならね」


すると作者はおもむろにスマホを出して何やら文字を打ち込み始めた。


「ねぇ、何やってる…」


スト


「ほら、出来たやろ」


雪梛は驚きのあまり言葉を失っていたが直ぐに確認して自分のだと分かった。


「本当に何者なの?」

「この世界を創っている作者だよ」

「…なんでまた作者サマが私を呼んだの?」

「いやーこんなに文字ばっかり打ち込んでいると戦いたくなってくるんだよ。そこで一ヶ月後にこの場所で戦わないかと。もちろんあなたたち5人連れてさ?」


雪梛は違和感を感じながらも少し考えて喋りはじめた。


「戦うのは構わないけどこの後全員に会って欲しい」

「というと、私は雪梛について行けばええのね」


それを聞くと雪梛は「うん」とだけ答えた。


「でもその前に防衛団の新人強化試合に戻らんくてええんかい?」


すると雪梛はやはり知っていたかという顔をした。


「作者と戦うなら今直ぐにでも技を磨いたりしないとだからね」


そう言われた作者は少し笑いながら雪梛にこう言った。


「次の対戦相手は非常に面白く、1段今の段階がシフトする可能性が高いで」


それを聞いて雪梛は立ち止まり少し長めに考えた後に作者に質問をした。


「相手は何型?」


まるでその言葉を待っていたと言わんばかりに作者は不敵な笑みをしてこう答えた。


「雪梛はまだ戦ったことの無いDF型や」


すると雪梛は少し考えてから言った。


「決め台詞みたいなとこ悪いけど私香澄vsりえの前にDFのおっちゃんと戦ってるよ?」




その後雪梛は作者を連れて会場に戻った。

すると香澄が雪梛を探していたようで外で香澄が歩いていた。


「試合お疲れさん。わざわざ探してくれてるなんてありがとね」


前方に見つけた雪梛は香澄に手を軽く振りながら声をかけた。


「あら、どこに行ってたのかしら?まだ少し時間はあるけれどそろそろ準備しておいた方がいいんじゃないかしら」


雪梛に話を終えると香澄は作者のことを見ながら普通な質問をした。


「ところで雪梛の後ろにいるあなたは誰かしら?すごく強そうだけど見たことがないわ」


すると作者は少し胸を張りながらこう答えた。


「私はこの物語の作者や」

「あら、そうなの。チョット セツナ コッチキテ」


香澄は雪梛を呼んで話し始めた。


「あなた大丈夫かしら?最近特訓やら何やらで疲れているんじゃないかしら?」


内緒話する気がない香澄は作者の前にも関わらず少し声を小さくする程度で雪梛に話しかけた

それを聞いて雪梛はため息混じりに香澄に言葉を返した。


「それはこっちのセリフだよ。私があんなのの話を鵜呑みにしたとでも思ったわけ?それなりに信用にたるものがあったから連れて来たの」


それを聞いて香澄は納得した。


「ところで作者、要件は何かしら?まさか用もなく来たわけではないでしょう?」


すると作者はスマホを出しながら


「おおそーやったな。すまんかったわ。まあ今から内容を脳内に送るから勝手に確認しといてな」


言い終わると作者は何やら書き終えたらしくスマホをポケットの中に入れた。


「相変わらず変なことするやつしかいないわね。まあでもおおよそ把握できたわ。他の人には私が内容を伝えておこうかしら?」


香澄は作者の適当具合に呆れながら言った。

作者は香澄の言葉を聞くと ふっふっふ と芝居じみた笑い方をしてから香澄に言った。


「実は同じ内容を全員に伝といたのやさかいその心配は必要あらへんで。ではそろそろ試合が始まってまうのやさかい私はそろそろお暇させてもらいますわ」


そういながら作者は歩いていた。

残った2人は一度準備まで戻って話をしていた。


「また面倒そうなのが来たね。まあこの会話シーンもあいつが書いているんだろうけど」

「それにしてもこの物語の筆記者の名前を聞き忘れてしまったわね」


すると雪梛は少々だるそうに


「それに気づけたってことは次に会うときに聞けってことじゃないの?まあできることならば絶対に聞いてやりたくないけど」


そういうと雪梛は自分の刀を鞘から出して確認を始めた。


「あら、次はきっちり斬り合うのかしら?」


すると雪梛は頷いた。


「私が防衛団所属してからまだまともに戦ったことのないDF型だってさ。どうせカウンター持ちだろうけどね」

「もう会ってきたのかしら?」


すると雪梛は“いいや、まだ会ってないけどなんとなくだよ“そう言って刀を鞘に収めて集中力を高め始めた。


「まあ頑張ってきなさい。私は観客席に戻って試合を見てるとするわ」


そう言って香澄は席に戻って行った。
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