389 / 1,103
その結果に、口は出さない
しおりを挟む
試合には勝ったが、勝負に負けた。
そんな結果になってしまったが、一人の女性が全く納得していなかった。
(リーベの気持ちは、解らなくない。でも、これで終わりで良い……訳がない)
ラガスのパートナーであるセルシア。
彼女が今回の決闘に関して、一番納得がいっていなかった。
リーベがフィーラ・アザルトと将来を共にすることを諦めたことにたいして、口を出すつもりはない。
だが、今回の決闘でアザルトに対して何も罰が無いということ関しては、到底納得出来ない。
(リーベは頑張った……でも、あの女は自分の我儘を、押し通そうとした、だけ。しかも、周囲の人間に、迷惑を掛ける我儘)
リーベの実家からアザルト家が受けていた支援の額は相当な量であり、まだ成人していない子供が払える金額ではない。
子供ながらに大金を有しているラガスでも払える金額ではない……一個人がなんとか出来る問題ではないのだ。
(相手が屑なら、我儘を押し通してでも、逃げたい気持ちは解る。でも、リーベは違う……あなたの為に、何度も壁を超えようと、した。けど、あなたは現実から、目を逸らした)
自分はラガスというパートナーに出会えたことに感謝している。
婚約者だったジークのことはあまり好きではなかった。
だからといって、こいつと結婚はしたくないと我儘をぶつけようとは思っていなかった。
仕方ないと思っていた……好きではなかったが、心の底から嫌いだと感じていない。
おそらくリーベを嫌う女子はいないだろう。
自分が進もうと思っている道に安定した生活を捨てて、付いて来ようと……尽くそうとしてくれる。
そんな男を、何故そこまで嫌うのか……避けるのか。
セルシアは全くもって理解出来ない。
(……その笑顔、いつまでも続くと、思わない方が良い)
普段は滅多に怒ることのない公爵家のお嬢様が、今回ばかりは心の底から怒りのマグマが煮え滾っていた。
「ッ!!!」
後ろから殺気を感じ、ゾクッと背筋が震えた。
ラガスはパートナーの怒りを感じ取り、フィーラ・アザルトに心の中で合掌を送った。
(ま、マジでキレてるな。同じ貴族の令嬢としてはアザルトさんの態度や考えが心底気に入らないみたいだな……ご愁傷様だな)
とりあえず今までの様な生活は送れない。それだけは確信が持てた。
「……リーベ、お前は親父さんに今回の件は自分の独断で決めたって言ったんだろうけど……実際に向こう側は無傷で済むと思うか?」
「俺は……特に何もするつもりはない。今回の件は全て父に伝える……その結果、二人がどうなるかは解らない。だが、その結果に口を出すつもりはない」
「なるほど、ね」
アザルトへの優しさが消えた訳ではない。だが、同時に冷たさも生まれた。
(三男とはいえ、侯爵家の令息との婚約を蹴ったんだ……これまで通りの生活を送るのは無理に等しいだろうな。二人はそれを理解しているのか?)
ライドは頭の片隅にこれから降りかかるかもしれない試練が残っているが、フィーラの頭には……少なくとも今はこれから降りかかる不幸な現実などは入っていない。
(それにどうやらセルシアが二人に……正確にはアザルトさんにか。制裁を加えようとしているから……一先ず、学園から追い出されるのは決定か?)
この先二人にどんな運命が待ち受けているのか、この件に関わっているラガスでも解らない。
解らないが……きっとロクな未来しか訪れないことだけは解る。
(しかしそうなると……ザックスたち心配だな)
ライドの傍にはいつも一緒に動いているラガスにとって腐れ縁の三人がいる。
三人がライドとフィーラに不幸が降りかかったからといって、見捨てる様には思えない。
(あいつらまでその不幸に巻き込まれるのは防ぎたいところだが……三人に意志が俺の言葉で変わるとは思えない)
新しい地で、新しくできた友。
そんな友を三人が裏切る訳がない。
それが解っているので、ラガスはザックスたちにとやかく言うのは止めた。
(さてさて、いったいセルシアはどんな天罰をアザルトさんに下すのか……寮に帰ったら聞いてみよう)
そんな結果になってしまったが、一人の女性が全く納得していなかった。
(リーベの気持ちは、解らなくない。でも、これで終わりで良い……訳がない)
ラガスのパートナーであるセルシア。
彼女が今回の決闘に関して、一番納得がいっていなかった。
リーベがフィーラ・アザルトと将来を共にすることを諦めたことにたいして、口を出すつもりはない。
だが、今回の決闘でアザルトに対して何も罰が無いということ関しては、到底納得出来ない。
(リーベは頑張った……でも、あの女は自分の我儘を、押し通そうとした、だけ。しかも、周囲の人間に、迷惑を掛ける我儘)
リーベの実家からアザルト家が受けていた支援の額は相当な量であり、まだ成人していない子供が払える金額ではない。
子供ながらに大金を有しているラガスでも払える金額ではない……一個人がなんとか出来る問題ではないのだ。
(相手が屑なら、我儘を押し通してでも、逃げたい気持ちは解る。でも、リーベは違う……あなたの為に、何度も壁を超えようと、した。けど、あなたは現実から、目を逸らした)
自分はラガスというパートナーに出会えたことに感謝している。
婚約者だったジークのことはあまり好きではなかった。
だからといって、こいつと結婚はしたくないと我儘をぶつけようとは思っていなかった。
仕方ないと思っていた……好きではなかったが、心の底から嫌いだと感じていない。
おそらくリーベを嫌う女子はいないだろう。
自分が進もうと思っている道に安定した生活を捨てて、付いて来ようと……尽くそうとしてくれる。
そんな男を、何故そこまで嫌うのか……避けるのか。
セルシアは全くもって理解出来ない。
(……その笑顔、いつまでも続くと、思わない方が良い)
普段は滅多に怒ることのない公爵家のお嬢様が、今回ばかりは心の底から怒りのマグマが煮え滾っていた。
「ッ!!!」
後ろから殺気を感じ、ゾクッと背筋が震えた。
ラガスはパートナーの怒りを感じ取り、フィーラ・アザルトに心の中で合掌を送った。
(ま、マジでキレてるな。同じ貴族の令嬢としてはアザルトさんの態度や考えが心底気に入らないみたいだな……ご愁傷様だな)
とりあえず今までの様な生活は送れない。それだけは確信が持てた。
「……リーベ、お前は親父さんに今回の件は自分の独断で決めたって言ったんだろうけど……実際に向こう側は無傷で済むと思うか?」
「俺は……特に何もするつもりはない。今回の件は全て父に伝える……その結果、二人がどうなるかは解らない。だが、その結果に口を出すつもりはない」
「なるほど、ね」
アザルトへの優しさが消えた訳ではない。だが、同時に冷たさも生まれた。
(三男とはいえ、侯爵家の令息との婚約を蹴ったんだ……これまで通りの生活を送るのは無理に等しいだろうな。二人はそれを理解しているのか?)
ライドは頭の片隅にこれから降りかかるかもしれない試練が残っているが、フィーラの頭には……少なくとも今はこれから降りかかる不幸な現実などは入っていない。
(それにどうやらセルシアが二人に……正確にはアザルトさんにか。制裁を加えようとしているから……一先ず、学園から追い出されるのは決定か?)
この先二人にどんな運命が待ち受けているのか、この件に関わっているラガスでも解らない。
解らないが……きっとロクな未来しか訪れないことだけは解る。
(しかしそうなると……ザックスたち心配だな)
ライドの傍にはいつも一緒に動いているラガスにとって腐れ縁の三人がいる。
三人がライドとフィーラに不幸が降りかかったからといって、見捨てる様には思えない。
(あいつらまでその不幸に巻き込まれるのは防ぎたいところだが……三人に意志が俺の言葉で変わるとは思えない)
新しい地で、新しくできた友。
そんな友を三人が裏切る訳がない。
それが解っているので、ラガスはザックスたちにとやかく言うのは止めた。
(さてさて、いったいセルシアはどんな天罰をアザルトさんに下すのか……寮に帰ったら聞いてみよう)
90
あなたにおすすめの小説
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
【連載】リサイクルは異世界で?転生したら捨てられた悪役令嬢でしたが、そもそも価値が分からない男は不要です
Nekoyama
ファンタジー
どこにでも居そうな陰キャ系OL。それが私、間根 綺羅(まね きらら)の表の顔。でもその実は株式取引で総資産10億円突破している隠れ富豪。これを元手に、社畜は卒業して、ゆるーく楽しく暮らしていこうと思ったその矢先に、真っ白な世界に!!
あなたにはスキル「リサイクル」を授けましょう。世界をキレイにするために異世界で頑張ってくださいね。
そんな声が聞こえた気がする。え、私のお金は?鬼か!?
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
血染めの世界に花は咲くか
巳水
ファンタジー
かつて英雄に憧れ、裏切られ、奪われ、復讐にとりつかれた果てに、ひとつの国を血に沈めた。そして「血塗れ夜王」は、敬愛する師匠によってその生を終えた。
しかし、滅びたはずの魂は再び生れ落ちる――すべての記憶を抱えたままに。
新たな名と姿でこの世界に生を受けた彼は、前世の記憶と力、罪業を背負い、少年として新たな人生を歩み始める。
その先あるのは贖いか、それともさらなる血の罪か。二度目の命に意味はあるのか――。
本作品は「小説家になろう」にも投稿しております。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる