915 / 1,103
何を思い、殺したのか
しおりを挟む
「…………」
「ラガス坊ちゃまが一番に目覚めてるなんて、珍しい事もあるものですね」
なんとなく目が覚めてしまって、二度寝する気が起きず焚き木を眺めてると、おそらく毎日一番に起きてるであろうメリルが後ろから声を掛けてきた。
「……確かに、珍しいかもな」
「えぇ、本当に珍しいですよ……何か、悩み事でもあるのですか?」
「悩み……ん~~~~。別に、悩みではないかな」
「そうですか」
相変わらず俺が焚き木を眺めていると、何も言わずに紅茶を淹れ始めた。
「どうぞ」
「ありがと」
……うん、美味い。
それに……こう、心に風がスーっと入ってくるというか、吹き抜けるというか……悪くない感覚。
「落ち着きましたか?」
「元々落ち着いてはいるよ。ただ、楽な感じになったかな」
「それは良かったです……考えていることは、先日戦ったイレックスコボルトに関してですか?」
「……ふふ、バレてたか」
「私はラガス坊ちゃまの専属メイドですからね」
そんな誇らしげな表情で言われると、あっさり見抜かれたことに対してイラつくどころか、寧ろ嬉しく感じる。
「流石だな。別にどうでも良いことではあるんだけど、あのイレックスコボルトは……結局、下剋上されてたんじゃなくて、別の理由で同族たちを殺したんじゃないかって思って」
「下剋上以外の理由、ですか…………そういえば、戦闘が始まる前、巨大リザードとの戦闘を終えたイレックスコボルトには悲しみや怒りといった表情が感じられませんでしたね」
「そうだ、それが気になってたんだよ」
メリルと同じ事を考えてた。
コボルトやその上位種たちの死体を俺たちが発見した時……おそらく、イレックスコボルトが殺してから、あまり時間が経っていなかった。
斥候専門じゃないから、死体の状態から何時間前に殺されたとか正確な時間は解らないけど、多分……三時間も経ってないんじゃないかな。
「モンスターにも多少なりとも悲しいという感情はあるだろ」
「ないとは言えませんね。イレックスコボルトとしては、同族たちを大切に扱っていたかもしれませんが、他のコボルトたちは、大切に扱われていると思っていなかった。寧ろ雑に扱われていたと感じる、なんてこともあるでしょう」
「いやなすれ違いだな。怒りに関しては、単純に下剋上なんてされれば、なんなんだあいつらはって怒りが爆発してもおかしくない。でも、遭遇した時のイレックスコボルトの顔からは……そのどちらも感じなかった」
俺たちはカウンセラーじゃない。
つか、モンスターは人間よりも表情だけで感情を判断するのが難しい。
だから結局のところ、あの時イレックスコボルトがどういった感情を持っていたのか、正確なところは解らない。
でも、メリルも同じように感じたってことは、多分合ってるだろう。
「……偶々、同族たちが付いてきた。結果としてレックスの名を持つ王になりはしたけど、元々王になることに、同族を束ねることに興味がなかったからこそ、何も思わず鬱陶しいと感じ始めた同族を殺した……といった可能性はどうでしょうか」
「それは…………いや、興味がないからこそ、たとえ同族であっても、何も思わず殺せる、か」
興味がないからこそ、関係無いと思っている相手だからこそ……殺せるのか。
「殺せることに関してはなんとなく解ったけど、でも……食べるか?」
「イレックスコボルトはモンスター。モンスターに私たちの常識は通じないでしょう」
……それもその通りだな。
人間同士で殺し合いは起こっても、人間を食べる人間は…………とりあえず、常識ではないよな。
でも、自然界で生息してるモンスターなら、同族でも食料になる、か……それか、過去に同族を食べた経験があるからこそ、イレックスという名を持つ上位種に進化した?
「………………はぁ~~~。常識が通じないからこそ、考察し応えがあるな」
「ですね。では、そろそろ朝食の準備を始めます」
メリルが朝食の準備を始めてから十数分後、匂いはテントの中まで届いてない筈だが……シュラが、その数分後にセルシアが起きてきた。
「ラガス坊ちゃまが一番に目覚めてるなんて、珍しい事もあるものですね」
なんとなく目が覚めてしまって、二度寝する気が起きず焚き木を眺めてると、おそらく毎日一番に起きてるであろうメリルが後ろから声を掛けてきた。
「……確かに、珍しいかもな」
「えぇ、本当に珍しいですよ……何か、悩み事でもあるのですか?」
「悩み……ん~~~~。別に、悩みではないかな」
「そうですか」
相変わらず俺が焚き木を眺めていると、何も言わずに紅茶を淹れ始めた。
「どうぞ」
「ありがと」
……うん、美味い。
それに……こう、心に風がスーっと入ってくるというか、吹き抜けるというか……悪くない感覚。
「落ち着きましたか?」
「元々落ち着いてはいるよ。ただ、楽な感じになったかな」
「それは良かったです……考えていることは、先日戦ったイレックスコボルトに関してですか?」
「……ふふ、バレてたか」
「私はラガス坊ちゃまの専属メイドですからね」
そんな誇らしげな表情で言われると、あっさり見抜かれたことに対してイラつくどころか、寧ろ嬉しく感じる。
「流石だな。別にどうでも良いことではあるんだけど、あのイレックスコボルトは……結局、下剋上されてたんじゃなくて、別の理由で同族たちを殺したんじゃないかって思って」
「下剋上以外の理由、ですか…………そういえば、戦闘が始まる前、巨大リザードとの戦闘を終えたイレックスコボルトには悲しみや怒りといった表情が感じられませんでしたね」
「そうだ、それが気になってたんだよ」
メリルと同じ事を考えてた。
コボルトやその上位種たちの死体を俺たちが発見した時……おそらく、イレックスコボルトが殺してから、あまり時間が経っていなかった。
斥候専門じゃないから、死体の状態から何時間前に殺されたとか正確な時間は解らないけど、多分……三時間も経ってないんじゃないかな。
「モンスターにも多少なりとも悲しいという感情はあるだろ」
「ないとは言えませんね。イレックスコボルトとしては、同族たちを大切に扱っていたかもしれませんが、他のコボルトたちは、大切に扱われていると思っていなかった。寧ろ雑に扱われていたと感じる、なんてこともあるでしょう」
「いやなすれ違いだな。怒りに関しては、単純に下剋上なんてされれば、なんなんだあいつらはって怒りが爆発してもおかしくない。でも、遭遇した時のイレックスコボルトの顔からは……そのどちらも感じなかった」
俺たちはカウンセラーじゃない。
つか、モンスターは人間よりも表情だけで感情を判断するのが難しい。
だから結局のところ、あの時イレックスコボルトがどういった感情を持っていたのか、正確なところは解らない。
でも、メリルも同じように感じたってことは、多分合ってるだろう。
「……偶々、同族たちが付いてきた。結果としてレックスの名を持つ王になりはしたけど、元々王になることに、同族を束ねることに興味がなかったからこそ、何も思わず鬱陶しいと感じ始めた同族を殺した……といった可能性はどうでしょうか」
「それは…………いや、興味がないからこそ、たとえ同族であっても、何も思わず殺せる、か」
興味がないからこそ、関係無いと思っている相手だからこそ……殺せるのか。
「殺せることに関してはなんとなく解ったけど、でも……食べるか?」
「イレックスコボルトはモンスター。モンスターに私たちの常識は通じないでしょう」
……それもその通りだな。
人間同士で殺し合いは起こっても、人間を食べる人間は…………とりあえず、常識ではないよな。
でも、自然界で生息してるモンスターなら、同族でも食料になる、か……それか、過去に同族を食べた経験があるからこそ、イレックスという名を持つ上位種に進化した?
「………………はぁ~~~。常識が通じないからこそ、考察し応えがあるな」
「ですね。では、そろそろ朝食の準備を始めます」
メリルが朝食の準備を始めてから十数分後、匂いはテントの中まで届いてない筈だが……シュラが、その数分後にセルシアが起きてきた。
188
あなたにおすすめの小説
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転生したみたいなので異世界生活を楽しみます
さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。
誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。
感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
【連載】リサイクルは異世界で?転生したら捨てられた悪役令嬢でしたが、そもそも価値が分からない男は不要です
Nekoyama
ファンタジー
どこにでも居そうな陰キャ系OL。それが私、間根 綺羅(まね きらら)の表の顔。でもその実は株式取引で総資産10億円突破している隠れ富豪。これを元手に、社畜は卒業して、ゆるーく楽しく暮らしていこうと思ったその矢先に、真っ白な世界に!!
あなたにはスキル「リサイクル」を授けましょう。世界をキレイにするために異世界で頑張ってくださいね。
そんな声が聞こえた気がする。え、私のお金は?鬼か!?
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
血染めの世界に花は咲くか
巳水
ファンタジー
かつて英雄に憧れ、裏切られ、奪われ、復讐にとりつかれた果てに、ひとつの国を血に沈めた。そして「血塗れ夜王」は、敬愛する師匠によってその生を終えた。
しかし、滅びたはずの魂は再び生れ落ちる――すべての記憶を抱えたままに。
新たな名と姿でこの世界に生を受けた彼は、前世の記憶と力、罪業を背負い、少年として新たな人生を歩み始める。
その先あるのは贖いか、それともさらなる血の罪か。二度目の命に意味はあるのか――。
本作品は「小説家になろう」にも投稿しております。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる