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耳が聞こえない公爵家の末っ子
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僕は、マナ=クレイソン。
レッドキングダムという王国の、公爵家の末っ子。
金髪青眼で、どちらかといえば僕はお父様に似てるけど、体が弱くて療養生活だったから細身だし、小柄な体格はお母さまに似たみたいで、お父様似だけど女の子っぽいってよく言われる。
お母様は、神速のクリスと呼ばれた二刀流の騎士で、騎士団長を若くして務めた凄い人。
ものすごく美人で、結婚しているのにお母様に横恋慕した人がたくさんいたんだって。
黒い髪にアメジストの瞳が神秘的で、社交界では竜胆の君って呼ばれていたんだそう。
今でも、すごく美人なんだ。
お父様は、お母様よりひと周りも年上なの。王族筋で、もうだいぶおじいちゃんだけど、まだまだすごくかっこいい。ちょっとお母様に執着しすぎてるけど、お母様にはそれで丁度いいらしいの。
それで、お父様は製薬がすごいの。
僕はものすごく体が弱く産まれたけど、二人が冒険者になって、材料探して。僕のために薬を作ってくれたから、僕は普通に生きられている。
そして、僕には、2人のお兄様とお姉さまがいるの。
一番上のアリスお兄様は「閃光」の称号を亡くなったおじいさまから継承した剣豪でもあり、お父様以上の科学者でもある、文武両道の立派な人。陛下夫婦には男の子が生まれなかったから、お父様を飛ばしてお兄様が王太子になったの。男の人でも子どもが出産できるようになったのは、お兄様の功績なんだって。
次のジュリエッタお姉さまは、黒髪に青い目でお顔はお母さまそっくりの美人。サウス王国って南の王国の妃になったんだよ。お菓子作りがとても上手で、昔はたくさんお菓子をもらったなぁ。
見た目は清楚可憐なんだけど、本当は強いんだって。
三番目のアヴニールお兄様は、お母さまの「神速」の称号を継承した二刀流の騎士で、この家の跡取り。お母さまを素直にした感じで、顔もお母さまそっくりなんだけど、お父様みたいな金髪青眼なの。近衛隊の副隊長にまで登り詰めたんだ。隊長がご高齢だから、そろそろ隊長になるんだって。それで、宰相をやっているキャッツアイ=ブライト様とは、アリスお兄様の計らいで当主同士でありながら、夫婦の関係なの。お兄様は最初の出産で三つ子を産んだから、互いの跡取りはそれでも問題ないんだよ。
四番目。僕のすぐ上のラスティ姉さまは、自由人。お父様を女の子にした感じの子なんだけど、声がきれいで世界的に有名な歌手なの。俳優さんと結婚して、セレブな生活を送っているんだ。お姉さまの声。僕は聞いたことがない。
お姉さまの歌声を、僕も聞きたかったなあ。
僕は、体が弱いだけじゃない。耳が聞こえない。生まれつき。
絵が得意だから、お城や依頼人のために絵を描きながら、婚約者の経営する、僕のように障がいを持った子のための教育施設で絵を教えている。
婚約者。
そう、こんな僕にも婚約者がいる。
うんと年が離れているけど、優しくて、かっこいい、僕の王子様。
お母様の幼馴染で、騎士団の同僚でもある夫婦の子で、ホーリーランド子爵家の令息。
サザエル=ホーリーランド。
銀髪は流れるようで、目はパッチリしてて、睫毛も長くて。
本当におとぎ話の王子様みたいなの。
幼い僕に字を教えてくれた人。未来をくれた人。
最近はね、唇も読めるようになったの。
だからね、気づいたんだ。
みんなが陰で、僕に聞こえないと思って悪口言ってたの。
僕はお母さまが乱暴された時に生まれた子。
サザエルのおうちは子爵家だから、僕の家からの婚約の申し入れを断れないって。
本当は、サザエル、僕のこと好きじゃなかった?
僕があの家の子だっていうことは、僕がお父様にそっくりだから、疑っているわけじゃない。
だけど、サザエルのことを考えると。
胸が痛いの。
レッドキングダムという王国の、公爵家の末っ子。
金髪青眼で、どちらかといえば僕はお父様に似てるけど、体が弱くて療養生活だったから細身だし、小柄な体格はお母さまに似たみたいで、お父様似だけど女の子っぽいってよく言われる。
お母様は、神速のクリスと呼ばれた二刀流の騎士で、騎士団長を若くして務めた凄い人。
ものすごく美人で、結婚しているのにお母様に横恋慕した人がたくさんいたんだって。
黒い髪にアメジストの瞳が神秘的で、社交界では竜胆の君って呼ばれていたんだそう。
今でも、すごく美人なんだ。
お父様は、お母様よりひと周りも年上なの。王族筋で、もうだいぶおじいちゃんだけど、まだまだすごくかっこいい。ちょっとお母様に執着しすぎてるけど、お母様にはそれで丁度いいらしいの。
それで、お父様は製薬がすごいの。
僕はものすごく体が弱く産まれたけど、二人が冒険者になって、材料探して。僕のために薬を作ってくれたから、僕は普通に生きられている。
そして、僕には、2人のお兄様とお姉さまがいるの。
一番上のアリスお兄様は「閃光」の称号を亡くなったおじいさまから継承した剣豪でもあり、お父様以上の科学者でもある、文武両道の立派な人。陛下夫婦には男の子が生まれなかったから、お父様を飛ばしてお兄様が王太子になったの。男の人でも子どもが出産できるようになったのは、お兄様の功績なんだって。
次のジュリエッタお姉さまは、黒髪に青い目でお顔はお母さまそっくりの美人。サウス王国って南の王国の妃になったんだよ。お菓子作りがとても上手で、昔はたくさんお菓子をもらったなぁ。
見た目は清楚可憐なんだけど、本当は強いんだって。
三番目のアヴニールお兄様は、お母さまの「神速」の称号を継承した二刀流の騎士で、この家の跡取り。お母さまを素直にした感じで、顔もお母さまそっくりなんだけど、お父様みたいな金髪青眼なの。近衛隊の副隊長にまで登り詰めたんだ。隊長がご高齢だから、そろそろ隊長になるんだって。それで、宰相をやっているキャッツアイ=ブライト様とは、アリスお兄様の計らいで当主同士でありながら、夫婦の関係なの。お兄様は最初の出産で三つ子を産んだから、互いの跡取りはそれでも問題ないんだよ。
四番目。僕のすぐ上のラスティ姉さまは、自由人。お父様を女の子にした感じの子なんだけど、声がきれいで世界的に有名な歌手なの。俳優さんと結婚して、セレブな生活を送っているんだ。お姉さまの声。僕は聞いたことがない。
お姉さまの歌声を、僕も聞きたかったなあ。
僕は、体が弱いだけじゃない。耳が聞こえない。生まれつき。
絵が得意だから、お城や依頼人のために絵を描きながら、婚約者の経営する、僕のように障がいを持った子のための教育施設で絵を教えている。
婚約者。
そう、こんな僕にも婚約者がいる。
うんと年が離れているけど、優しくて、かっこいい、僕の王子様。
お母様の幼馴染で、騎士団の同僚でもある夫婦の子で、ホーリーランド子爵家の令息。
サザエル=ホーリーランド。
銀髪は流れるようで、目はパッチリしてて、睫毛も長くて。
本当におとぎ話の王子様みたいなの。
幼い僕に字を教えてくれた人。未来をくれた人。
最近はね、唇も読めるようになったの。
だからね、気づいたんだ。
みんなが陰で、僕に聞こえないと思って悪口言ってたの。
僕はお母さまが乱暴された時に生まれた子。
サザエルのおうちは子爵家だから、僕の家からの婚約の申し入れを断れないって。
本当は、サザエル、僕のこと好きじゃなかった?
僕があの家の子だっていうことは、僕がお父様にそっくりだから、疑っているわけじゃない。
だけど、サザエルのことを考えると。
胸が痛いの。
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