冷徹茨の騎士団長は心に乙女を飼っているが僕たちだけの秘密である

竜鳴躍

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陛下を丸めこむ

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「陛下。陛下はグレイシャス王国の資源がほしいのでしょう?」

ゆっくりと落ち着いた声で、ジニアルは囁いた。


「ズバリ言うな?」


「皆知ってることですよ。でも考えてみて下さい。そのために、僕が王太子である必要があります?」

「と言うと?」


「資源や食糧を優先的に輸出すればいいのでしょう。陛下に上げる文書を作ったり、予算配分をきめているのは、実質的には僕です。今の立場なればこそ、各所と調整したような顔をして、結論を誘導出来ます。トップは公平公正、私は一切出せません。むしろ国王になれば自由にはできませんよ?」


お茶を飲みながら、まっすぐ見つめる瞳が魅力的だ。

陛下は息をのんだ。
なるほど確かに、魅了の力は私より上だ。



「全てが欲しいかもしれんぞ。属国化を望んでいるかも。」



「そう望まれるなら、とっくに力ずくでやっていますよね。陛下は優しい方です。これ程の技術力があれば、一晩で他国を荒野にできましょう。」


「参ったな。そうだ。環境は破壊してからでは、元に戻すのは難しい。戦争は民も傷つけるが、環境も資源も傷つける。だが、私はノースキャロットを牽制しなければならぬ。あの、戦い好きの女狐め。あいつの娘婿がグレイシャス王国でいろいろと開発しているのだろう?その利権をあいつに渡すわけにはいかんのだよ。」



「………陛下。同盟を結びましょう。そのための話し合いの場を持ちませんか?僕らの結婚式に、親族として向こうの王族も来ます。」



「いやだ!国王自らそちらへ行くなど。大体、向こうも国王が来るのでなければ意味はない。祝電と使いで十分じゃないか。」


陛下は騎士団長をチラリとみて、ぷいっと横を向いた。




その様子をフォートは見ていて、王妃から言われたことを思い出していた。


「騎士団長といらっしゃったらいかがですか。ハニュ王妃がおっしゃっていましたよ?」



「ハニュが…!?」

表情を取り繕っても、一瞬動揺の色がよぎる。





「お二人はただならぬ関係とか…。陛下だけでお越しください。騎士団長は護衛として。お部屋は同室に致しましょう。傍仕えの者が待機できるタイプのお部屋をご準備させていただきますよ?」


実際にどんなふうに過ごされていようが、誰も分かりません。



そういうと、陛下はうーんと少し悩んだ後、OKをした。









「まずはサザンクロス帝国。婚礼の日に陛下をつり出せた。道筋も見えたな。」

しかし、お母様がフォートに何か言っていると思ったけれど、実兄の下半身事情だったとは…。
立場上、女性と結婚したけれど、騎士団長とそういう関係だったのね。

国内じゃ思い切ってデートやいちゃいちゃが出来ないから、そういう機会を配慮すれば…ってことか。


「しかし、あの陛下があの騎士団長とですか…。分からないものですねぇ。」

カイザーは遠い目をする。
どっちがどっちだとしても、想像したくない…。




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