【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。

竜鳴躍

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貴方の前でだけ本当の自分でいられる

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「アムール先生!」

研究室を訪問する大柄な男の子。

入学したときも大きな方だったけれど、この3年間で身長が15cm伸び、さらにスラリとした青年になった。


教師という立場で、学び舎でなければ。

接点もなく、こうして二人きりになることもない貴い存在。

第一王子。最近、王太子として選定されたプリンシパル様。



体は頑丈で、逞しく。

頭脳明晰な若者は、学園内で特定の従者を侍らすことを嫌った。

その代わり、広く門地に関係なく交流を持ち、その目で選んだ優れた人材を王宮に推薦している。

彼らは忖度なく意見を述べ、王子の世を支えてくれる存在になるだろう。


朗らかで人好きのする雰囲気でありながら、いざという時は王族として判断することもできる。
それは、父親である陛下譲りなのだろう。


転移魔法で自分の下へ現れたストロベリーブロンドの男の子。

外では立派な彼は、ここでだけは年相応の男の子になる。



「いらっしゃい、プリンシパル。コーヒーでいいかな?」


「うん!」



満面の笑み。

可愛いな。



向かい合ってコーヒーを飲み、お菓子を食べ。

チェスをして遊ぶ。


私はここでは、彼を甘やかす。





教師と教え子にしては、いささか距離が近くなりすぎたことは自覚している。

だが、彼にとって、自分は避難場所なのだ。

そして、私にとっても。この体の中に燻る傷を癒すものなのだ。



チェスの駒を置きながら、たわいもない話をして。


ただの教師と教え子から、お互いの避難場所になった日のことを思い出していた。
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