【完結】王子様たちに狙われています。本気出せばいつでも美しくなれるらしいですが、どうでもいいじゃないですか。

竜鳴躍

文字の大きさ
35 / 133

愛する者を狙う者

しおりを挟む
第二王子の婚約者候補は、まさに本当の聖人だった。

防げるなら防げたほうがいい。


医学の道を志した自分にとってもまぶしい言葉だ。


そうだ。


医者になりたいって、最初に思った時は、自分だってそう考えてたじゃないか。



ミリーは思う。



どうしてこうなってしまったのだろう。

医者になりたい。回復魔法や病やけがを治癒させるための技術や知識を習得したい。



それが、教会で育った孤児の自分が抱いた思いだった。



子どもだったから深く知らず、教会に治療を求めて頼ってくる人たちを見て、そう思ったのだ。

ツェッペリン大司教は、そんな僕の気持ちを察して、お金を出して学校に通わせてくれた。

だが、そこからが地獄の始まり。



大司教が求めれば、体を差し出した。

大司教に命じられれば、人を呪う禁呪に手を出した。

大司教に命じられれば、人を殺すこともある。



なんでそこまでするか?なんで逃げないか?

逃げられるわけがない。

教会には、自分と兄弟のように育った者たちが、今も教会の闇を知らずに修道士としてあいつに仕えている。

子どもの頃好きだった女の子は、教会で下働きとして働いている。




カタン。



屋根の板が一枚外され、上から低い声がする。




「ミリー。命令を忘れたか。なぜあいつらに毒を盛らなかった。みすみす帰して。」


あいつの実行部隊のリーダーだ。



「………毒なんてすぐ足がつく。ここは俺の表の場所だ。ここではやれない。分かるだろう。でも、何もしてないわけじゃない。」


心の中はドロドロ、あの人の泣き顔を想像して悲しくなる。



「ここに踏み入れた瞬間、呪いの基礎は発動している。今日来ることは分かっていたからね。仕上げは今からだ。」


上着を着て、城へ向かう準備をする。



先ほどの回答をするといえば、尋ねても違和感はないだろう。




「それならいい。いいか、俺たちはお前を見張っているからな。」



「………分かっている。」










「じゃあ、俺は詰所に行くわ。この間、ガトー子爵家から押収が間に合った呪いの瓶とコイツを照合してみる。今度こそアタリだといいけどな。」

御者の格好のカモミール団長は、文官室に二人を送り届けると、アニスの耳元で伝えた。


アニスもコクリと頷く。


ガトー子爵家の令嬢から聞き出した黒ローブの男。

小柄な若い男という条件は当たっている。

教会が病院を気に入らず、ソルトを狙っているということで、現在、教会の子飼いのようになっている診療所の医師が怪しいと踏んだ。

治癒や回復の術を転じたものが呪いだ。
呪いを使えるということは、回復の魔法が使える可能性が高い。



黒ローブの男から、教会の犯行が分かるものに繋がれば。


しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

魔王に転生したら、イケメンたちから溺愛されてます

トモモト ヨシユキ
BL
気がつくと、なぜか、魔王になっていた俺。 魔王の手下たちと、俺の本体に入っている魔王を取り戻すべく旅立つが・・ なんで、俺の体に入った魔王様が、俺の幼馴染みの勇者とできちゃってるの⁉️ エブリスタにも、掲載しています。

転生したら本でした~スパダリ御主人様の溺愛っぷりがすごいんです~

トモモト ヨシユキ
BL
10000回の善行を知らないうちに積んでいた俺は、SSSクラスの魂として転生することになってしまったのだが、気がつくと本だった‼️ なんだ、それ! せめて、人にしてくれよ‼️ しかも、御主人様に愛されまくりってどうよ⁉️ エブリスタ、ノベリズムにも掲載しています。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

タチですが異世界ではじめて奪われました

BL
「異世界ではじめて奪われました」の続編となります! 読まなくてもわかるようにはなっていますが気になった方は前作も読んで頂けると嬉しいです! 俺は桐生樹。21歳。平凡な大学3年生。 2年前に兄が死んでから少し荒れた生活を送っている。 丁度2年前の同じ場所で黙祷を捧げていたとき、俺の世界は一変した。 「異世界ではじめて奪われました」の主人公の弟が主役です! もちろんハルトのその後なんかも出てきます! ちょっと捻くれた性格の弟が溺愛される王道ストーリー。

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

【BLーR18】箱入り王子(プリンス)は俺サマ情報屋(実は上級貴族)に心奪われる

奏音 美都
BL
<あらすじ>  エレンザードの正統な王位継承者である王子、ジュリアンは、城の情報屋であるリアムと秘密の恋人関係にあった。城内でしか逢瀬できないジュリアンは、最近顔を見せないリアムを寂しく思っていた。  そんなある日、幼馴染であり、執事のエリックからリアムが治安の悪いザード地区の居酒屋で働いているらしいと聞き、いても立ってもいられず、夜中城を抜け出してリアムに会いに行くが……  俺様意地悪ちょいS情報屋攻め×可愛い健気流され王子受け

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

処理中です...