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第十二章 普通の旅
第二百二十三話 普通の旅(7)
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何しろ左手に大怪我を負ってもまったくといっていいほど表情が変わらなかったのだから、怖がっていてもこれくらいのものだろう。どうやらルルクは何に対しても反応が鈍いらしい。しかしこのままでは埒が明かない。
「ルルク、それでは護衛は務まりませんよ」
敵の攻撃を難なく避けながらシェイルが振り返る。ルルクはその一瞬だけはっとしたような顔をしたがすぐにまた無表情になった。心境の動きがまったく読めない。
敵は術を放ってくるのでルルクが動かないと、こちらは防御も攻撃も中途半端になってしまう。――とはいえ、シェイルの読み通りというべきか、たいした相手でもなさそうだ。油断は禁物だが、ルルクを狙って向かってきた敵の攻撃を防ぐだけならまだまだ余裕である。一番苦労しているのはシュクロだろう。三人の術士の動きを全部見ていなければならない。いざとなったらシェイルが何とかしてくれそうだが、崩れるとしたらシュクロからになりそうだ。
ルルクの表情にやはり変化はない。
物理的な攻撃はエリッツが全部防いでいるのだから何を怖がる必要があるのか。後はただ昨夜ベッドの下でやったのと同じことをするだけのはずだが。――まさか。エリッツが信頼されていないのか。
「――ルルク?」
「お姫様を守りたいのだけど」
何かぶつぶつ言っている。考え事に没頭しているルルクには何をいっても無駄だった。――というか、普段からエリッツが何をいってもあまり反応はないのだが。
「ルルク、絶対に守るから心配しないで……」
ルルクが一瞬だけエリッツを見る。それからなぜか一度首を傾げた。
「でも……重いかも」
ルルクが左手をゆっくりと握る。エリッツが信頼できないというよりは自分の能力に自信が持てないのか。それはもうどうしてあげることもできない。
「ルルク、限界だと思ってから十数えてください。少しずつ慣らしていけば大丈夫です」
シェイルがまた振り返る。指揮官としての能力もさることながら、身体能力もおそろしく高い。難なく複数の相手の攻撃を避けながら牽制する。さして反撃するわけではないのに敵はシュクロに近づけない。それでいてこちらの様子もちゃんと確認してくれている。ただ頑なに敵の術への対応はせず、うまいことシュクロに押し付けていた。この人は頑固なのだ。
「もうトロくさくてやってられねぇ」
一番負担がかかっているシュクロに我慢の限界が訪れたようだ。今まで見たことがないような派手な風式を放つ。それではルルクの出番がなくなってしまうではないか。しかし、それは敵を目前にしてふっと掻き消えた。
「てめぇ、おいっ! こら!」
シュクロが怖い顔でルルクを振り返った。今のはルルクの仕業か。よくわからないが、その場の術素を集めるとなると味方の攻撃もこのような結果になるようだ。どうやら敵側にも術素がちゃんと見える人がいるようで、わずかに目配せをした後、一斉にルルクに向かって突進してくる。ようやくエリッツの出番だ。相手が術を使えないなら楽勝だ。
「エリッツ、殺してはダメです。練習が終わったら縛りあげて折檻します」
「折檻ですか」
ついつい楽しそうな想像をしてしまったが、おそらく雇い主を吐かせるのだろう。
「わかりました」
しかしいきなり耳元に風の音が通り過ぎた。今のはレジス軍式の穿孔風式ではないか。じわりと耳元が熱くなる。途中から大きく軌道がそれたのでシュクロが何かしてくれたのだろうが、右耳からわずかばかりの出血を感じた。なぜ敵が術を使えたのか。反射的に後ろを振り返ると、ルルクがその場に両膝をつき、左手から血を流していた。あの無表情なルルクがわずかに微笑んでいるように見え、無表情よりもさらに意味がわからない。何があったか不明だが、おそらく練習どころではない。
エリッツは飛びこんできた敵の急所を外して切りつけ、バランスを崩したところを蹴倒した。蹴った反動を使って視界の端にいた別の敵の側頭部に短剣の柄を打ち付ける。これでしばらく起きあがれないはずだ。
「早業ですね」
気づくと隣にシェイルがいる。速いのはどっちだ。
「エリッツの所業を見て逃げてしまいました」
シェイルが指す方を見ると残った術士の背中があった。こちらも早い。ここに二人伸びているので追いかける利益は薄い。
シェイルがエリッツの右耳に布を当ててくれる。大した怪我ではないので、血をぬぐうだけで十分だが、問題はそこではない。
「ねぇ、何。これ、どういうこと? 全然話が違うよね?」
シュクロは不機嫌そうに倒れている敵の腹を蹴っている。
「あ、ダメです。結構強く打っちゃったんで、揺らしたら死んじゃうかもしれないです」
「揺らして死ぬかよ」
腹いせとばかりにエリッツが蹴り倒した方の敵にも蹴りを入れている。
「ダメですって。折檻できなくなるじゃないですか」
「あんたがやんの? それ?」
「……そうですね。やれといわれれば」
「え、なんで赤くなってんの? 何するつもりなの? 目つきがいやらしい」
「誤解しないでください。仕事だからやるって言ってるんです。おれはどちらかというと折檻されたい方なので」
「どうでもいい情報を流すな」
騒いでいるエリッツとシュクロのことは放置して、シェイルはルルクの左手に応急処置をほどこしてあげている。ルルクはその場に座りこんでまたぼんやりしている。笑っていたように見えたのは気のせいだったのだろうか。
「――反省会ですね」
シェイルの声は少しばかり沈んでいた。
結局、折檻は後ろの方々にお任せすることになった。――というか、ある程度片付いた後で、さも当たり前のように敵の身柄を取りに来たのだ。取り調べはあちらの方が専門だろうし、それには素直に従った。敵の一人がレジス軍式の風式を放ったので後ろの方々も取り調べがいがあるかもしれない。叩けば埃が山盛り出てきそうだ。
「おい。何がどうなったのか説明しろ。腹へった。疲れた。眠い」
シュクロはだいぶ苛立っているようで感じている不満を並べたてる。また狭い宿の部屋だ。真ん中ふたつのベッドに腰かけて額を突き合わせての反省会となった。敵は驚くほど弱かったので危機感は感じなかったが、問題はそこではなく、ルルクの練習の失敗である。今後もこの程度の暗殺者であれば苦労はないが、もしボレイル兄弟クラスの連中が次から次へと雇われて襲ってきたらルルクの能力は活用できた方がよい。
「ルルク、怖かったですか」
「こわかった」
これがまさにおびえたような表情であればエリッツも同情してしまうところだが、相変わらずの無表情である。
「怖かったから何もできなかったのか」
シュクロは問い詰めるような口調だ。こんな言い方をしているが、なんだかんだで最後まで協力的だったのは意外だった。下品で口も素行も悪いが、やはり根はいい人なのか。
「精霊が、いろいろで、多くて、速くて、重い……」
ルルクはとりあえず説明をしてくれようとしているようだが、エリッツには状況がよくわからない。
「戦場の術素の種類が多すぎるのと、集めようとした瞬間に一気に流れ込んできて驚いたんでしょう。引く能力が高すぎるとそうなるかもしれません。それでバランスを崩すと保護区でやってしまったような傷を負います。フォルターがやっていたことは、能力があれば誰でもできるようなものではなくて、ある程度の訓練が必要なんです」
ルルクは予告なくスッと立ち上がるとためらいなくベッドの下にもぐりこんだ。全員、無言である。
「御子様、わかった」
ベッドの下から聞こえる声にさすがのシェイルも不思議そうな顔をしている。
「これなら、できる」
ルルクはベッドの下で一人ぶつぶつ言っている。
「もしかして寝そべってればいけそうってことか」
シュクロがベッドの下をのぞきこんだ。シェイルはうーんと考え込むような表情だ。
「術素って筋力で支えるものですか」
寝そべっていれば重さが軽減されるということは、つまりそういうことになるのではないか。
「違いますね」
しかしシェイルは即座に否定する。
「でも集中はできるのかもしれません。体を支えるということを気にしなくてよくなりますからね」
それでもシェイルは首を傾げている。術士といっても本当に様々なのだろう。ルルクは自分のスタイルを見つけようとしているのかもしれない。もしかしてその糸口を見つけたから怪我を負いつつも笑っていたのだろうか。
「気持ちの問題だろ。じゃ、もう次から寝てやりゃいいじゃん」
シュクロは興味を失ったように適当なことを言ってベッドに寝転んだ。
「え、ちょっと待って。おれ、地面に寝てる人を守るの?」
無理ではないが難易度があがる。守るということは常に視界に入れておくということで、身長が低くても立っている人と寝ている人ではだいぶ違う。それに守る対象がすぐにその場を動けるかどうかも重要だ。
「ルルク、次、襲われたら寝るつもり?」
エリッツは思わずベッドの下をのぞきこんだ。暗がりの中のルルクは無表情のままこくんと頷いた。
「一度やってみましょう」
シェイルの言葉で反省会はとりあえず終わりという雰囲気になる。
次も弱い敵が来るとは限らない。あの気持ち悪いボレイル兄弟かもしれない。エリッツは気が重くなった。
「誰か、何か食べ物」
シュクロがベッドでごろごろしながら明らかにエリッツに向けて指示を出す。ベッドの下をのぞくとルルクはもうそこで寝てしまっていた。
朝も暗いうちから歩き続けて、あの襲撃だ。無理もない。ルルクの体を引き出し、何とかベッドの上にあげる。それからシュクロの要望にこたえるべく荷物を漁った。
「シュクロさん、ナッツしかないです」
ゼインにもらったのと同じナッツを買っておいたのだが、わざわざ宿で食べるようなものでもない気がする。
「ええー。のどが渇く。お酒とかほしい」
完全に駄々っ子になってしまった。
「すぐ下に食堂がありますよ」
大通りに面しているので外に出ればいくらでも温かくておいしいものが食べられる。ちょうど食堂がにぎわっている時刻のようで窓の外からはその喧騒が漏れ聞こえていた。シュクロはのっそりと起きあがり、興味深そうに窓の方へ視線を向けた。なんだかんだといっても旅好きのようだから、昨夜とは別の店に入ってみたいはずだ。
「ちょっと寝て、夜中に起きて行く」
そしてそのままぱったりとベッドに横たわってしまった。
「ルルク、それでは護衛は務まりませんよ」
敵の攻撃を難なく避けながらシェイルが振り返る。ルルクはその一瞬だけはっとしたような顔をしたがすぐにまた無表情になった。心境の動きがまったく読めない。
敵は術を放ってくるのでルルクが動かないと、こちらは防御も攻撃も中途半端になってしまう。――とはいえ、シェイルの読み通りというべきか、たいした相手でもなさそうだ。油断は禁物だが、ルルクを狙って向かってきた敵の攻撃を防ぐだけならまだまだ余裕である。一番苦労しているのはシュクロだろう。三人の術士の動きを全部見ていなければならない。いざとなったらシェイルが何とかしてくれそうだが、崩れるとしたらシュクロからになりそうだ。
ルルクの表情にやはり変化はない。
物理的な攻撃はエリッツが全部防いでいるのだから何を怖がる必要があるのか。後はただ昨夜ベッドの下でやったのと同じことをするだけのはずだが。――まさか。エリッツが信頼されていないのか。
「――ルルク?」
「お姫様を守りたいのだけど」
何かぶつぶつ言っている。考え事に没頭しているルルクには何をいっても無駄だった。――というか、普段からエリッツが何をいってもあまり反応はないのだが。
「ルルク、絶対に守るから心配しないで……」
ルルクが一瞬だけエリッツを見る。それからなぜか一度首を傾げた。
「でも……重いかも」
ルルクが左手をゆっくりと握る。エリッツが信頼できないというよりは自分の能力に自信が持てないのか。それはもうどうしてあげることもできない。
「ルルク、限界だと思ってから十数えてください。少しずつ慣らしていけば大丈夫です」
シェイルがまた振り返る。指揮官としての能力もさることながら、身体能力もおそろしく高い。難なく複数の相手の攻撃を避けながら牽制する。さして反撃するわけではないのに敵はシュクロに近づけない。それでいてこちらの様子もちゃんと確認してくれている。ただ頑なに敵の術への対応はせず、うまいことシュクロに押し付けていた。この人は頑固なのだ。
「もうトロくさくてやってられねぇ」
一番負担がかかっているシュクロに我慢の限界が訪れたようだ。今まで見たことがないような派手な風式を放つ。それではルルクの出番がなくなってしまうではないか。しかし、それは敵を目前にしてふっと掻き消えた。
「てめぇ、おいっ! こら!」
シュクロが怖い顔でルルクを振り返った。今のはルルクの仕業か。よくわからないが、その場の術素を集めるとなると味方の攻撃もこのような結果になるようだ。どうやら敵側にも術素がちゃんと見える人がいるようで、わずかに目配せをした後、一斉にルルクに向かって突進してくる。ようやくエリッツの出番だ。相手が術を使えないなら楽勝だ。
「エリッツ、殺してはダメです。練習が終わったら縛りあげて折檻します」
「折檻ですか」
ついつい楽しそうな想像をしてしまったが、おそらく雇い主を吐かせるのだろう。
「わかりました」
しかしいきなり耳元に風の音が通り過ぎた。今のはレジス軍式の穿孔風式ではないか。じわりと耳元が熱くなる。途中から大きく軌道がそれたのでシュクロが何かしてくれたのだろうが、右耳からわずかばかりの出血を感じた。なぜ敵が術を使えたのか。反射的に後ろを振り返ると、ルルクがその場に両膝をつき、左手から血を流していた。あの無表情なルルクがわずかに微笑んでいるように見え、無表情よりもさらに意味がわからない。何があったか不明だが、おそらく練習どころではない。
エリッツは飛びこんできた敵の急所を外して切りつけ、バランスを崩したところを蹴倒した。蹴った反動を使って視界の端にいた別の敵の側頭部に短剣の柄を打ち付ける。これでしばらく起きあがれないはずだ。
「早業ですね」
気づくと隣にシェイルがいる。速いのはどっちだ。
「エリッツの所業を見て逃げてしまいました」
シェイルが指す方を見ると残った術士の背中があった。こちらも早い。ここに二人伸びているので追いかける利益は薄い。
シェイルがエリッツの右耳に布を当ててくれる。大した怪我ではないので、血をぬぐうだけで十分だが、問題はそこではない。
「ねぇ、何。これ、どういうこと? 全然話が違うよね?」
シュクロは不機嫌そうに倒れている敵の腹を蹴っている。
「あ、ダメです。結構強く打っちゃったんで、揺らしたら死んじゃうかもしれないです」
「揺らして死ぬかよ」
腹いせとばかりにエリッツが蹴り倒した方の敵にも蹴りを入れている。
「ダメですって。折檻できなくなるじゃないですか」
「あんたがやんの? それ?」
「……そうですね。やれといわれれば」
「え、なんで赤くなってんの? 何するつもりなの? 目つきがいやらしい」
「誤解しないでください。仕事だからやるって言ってるんです。おれはどちらかというと折檻されたい方なので」
「どうでもいい情報を流すな」
騒いでいるエリッツとシュクロのことは放置して、シェイルはルルクの左手に応急処置をほどこしてあげている。ルルクはその場に座りこんでまたぼんやりしている。笑っていたように見えたのは気のせいだったのだろうか。
「――反省会ですね」
シェイルの声は少しばかり沈んでいた。
結局、折檻は後ろの方々にお任せすることになった。――というか、ある程度片付いた後で、さも当たり前のように敵の身柄を取りに来たのだ。取り調べはあちらの方が専門だろうし、それには素直に従った。敵の一人がレジス軍式の風式を放ったので後ろの方々も取り調べがいがあるかもしれない。叩けば埃が山盛り出てきそうだ。
「おい。何がどうなったのか説明しろ。腹へった。疲れた。眠い」
シュクロはだいぶ苛立っているようで感じている不満を並べたてる。また狭い宿の部屋だ。真ん中ふたつのベッドに腰かけて額を突き合わせての反省会となった。敵は驚くほど弱かったので危機感は感じなかったが、問題はそこではなく、ルルクの練習の失敗である。今後もこの程度の暗殺者であれば苦労はないが、もしボレイル兄弟クラスの連中が次から次へと雇われて襲ってきたらルルクの能力は活用できた方がよい。
「ルルク、怖かったですか」
「こわかった」
これがまさにおびえたような表情であればエリッツも同情してしまうところだが、相変わらずの無表情である。
「怖かったから何もできなかったのか」
シュクロは問い詰めるような口調だ。こんな言い方をしているが、なんだかんだで最後まで協力的だったのは意外だった。下品で口も素行も悪いが、やはり根はいい人なのか。
「精霊が、いろいろで、多くて、速くて、重い……」
ルルクはとりあえず説明をしてくれようとしているようだが、エリッツには状況がよくわからない。
「戦場の術素の種類が多すぎるのと、集めようとした瞬間に一気に流れ込んできて驚いたんでしょう。引く能力が高すぎるとそうなるかもしれません。それでバランスを崩すと保護区でやってしまったような傷を負います。フォルターがやっていたことは、能力があれば誰でもできるようなものではなくて、ある程度の訓練が必要なんです」
ルルクは予告なくスッと立ち上がるとためらいなくベッドの下にもぐりこんだ。全員、無言である。
「御子様、わかった」
ベッドの下から聞こえる声にさすがのシェイルも不思議そうな顔をしている。
「これなら、できる」
ルルクはベッドの下で一人ぶつぶつ言っている。
「もしかして寝そべってればいけそうってことか」
シュクロがベッドの下をのぞきこんだ。シェイルはうーんと考え込むような表情だ。
「術素って筋力で支えるものですか」
寝そべっていれば重さが軽減されるということは、つまりそういうことになるのではないか。
「違いますね」
しかしシェイルは即座に否定する。
「でも集中はできるのかもしれません。体を支えるということを気にしなくてよくなりますからね」
それでもシェイルは首を傾げている。術士といっても本当に様々なのだろう。ルルクは自分のスタイルを見つけようとしているのかもしれない。もしかしてその糸口を見つけたから怪我を負いつつも笑っていたのだろうか。
「気持ちの問題だろ。じゃ、もう次から寝てやりゃいいじゃん」
シュクロは興味を失ったように適当なことを言ってベッドに寝転んだ。
「え、ちょっと待って。おれ、地面に寝てる人を守るの?」
無理ではないが難易度があがる。守るということは常に視界に入れておくということで、身長が低くても立っている人と寝ている人ではだいぶ違う。それに守る対象がすぐにその場を動けるかどうかも重要だ。
「ルルク、次、襲われたら寝るつもり?」
エリッツは思わずベッドの下をのぞきこんだ。暗がりの中のルルクは無表情のままこくんと頷いた。
「一度やってみましょう」
シェイルの言葉で反省会はとりあえず終わりという雰囲気になる。
次も弱い敵が来るとは限らない。あの気持ち悪いボレイル兄弟かもしれない。エリッツは気が重くなった。
「誰か、何か食べ物」
シュクロがベッドでごろごろしながら明らかにエリッツに向けて指示を出す。ベッドの下をのぞくとルルクはもうそこで寝てしまっていた。
朝も暗いうちから歩き続けて、あの襲撃だ。無理もない。ルルクの体を引き出し、何とかベッドの上にあげる。それからシュクロの要望にこたえるべく荷物を漁った。
「シュクロさん、ナッツしかないです」
ゼインにもらったのと同じナッツを買っておいたのだが、わざわざ宿で食べるようなものでもない気がする。
「ええー。のどが渇く。お酒とかほしい」
完全に駄々っ子になってしまった。
「すぐ下に食堂がありますよ」
大通りに面しているので外に出ればいくらでも温かくておいしいものが食べられる。ちょうど食堂がにぎわっている時刻のようで窓の外からはその喧騒が漏れ聞こえていた。シュクロはのっそりと起きあがり、興味深そうに窓の方へ視線を向けた。なんだかんだといっても旅好きのようだから、昨夜とは別の店に入ってみたいはずだ。
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