実話怪談 死相他

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お兄ちゃん

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 これも以前エブリスタで書いた話だが、改めて書き直そうと思う。

 僕が学生だった時の話だ。当時東京に出てきたばかりの僕は、兄の住んでいた一人部屋のアパートに転がり込んでいた。

 風呂無し一部屋の言っては何だがボロアパートだった。

 夏の蒸し暑い夜その部屋で眠ろうとしていた時である、トントントントンと子供の足音がした。その足音は僕の頭のすぐそばで止まった。

 見てる……と思った。覗き込まれている様な視線を強く感じる。僕は固く目をつむり、かけていた毛布を頭からかぶりやり過ごそうとした。

 しばらくすると、その気配はふっと消えた。僕は恐る恐る頭をあげて辺りを見てみる……。何もいない。

 ほっとして、そのまま寝入った。しばらくしてうつらうつらとしている時だった。

 突然隣で寝ていた兄が飛び起きて部屋の明かりを点けた。兄の顔は真っ蒼になっていて、冷や汗が額に浮かんでいた。

 何事か兄に聞くと「小っちゃい女の子が胸にのしかかってきて、お兄ちゃん……お兄ちゃんって言うんだ」

 金縛りにあった兄は俺はお前のお兄ちゃんじゃない、と必死に念じたというではないですか。

 僕が聞いた足音の話をすると、兄は身震いをして怯えた。

 アパートのあった東京、高田馬場駅から徒歩で少し歩いたところにあるその通りは、昔空襲で沢山の人が亡くなった場所なんだと言う。その通りにある建物では幽霊の目撃譚が頻発していた。

 まだ彷徨っているんですかね? 僕たちは少女の冥福を祈り、お菓子と水をそっと部屋の隅に供えた。
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