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「面倒くさ…」
心の声がつい言葉に出てしまった。幸い、周囲には誰も居ない。
私は玄関扉を開けながら、誰も居ない部屋に歩を進める。
『WS』アプリの運営会社社長--私はボスと呼んでいるけど、彼女から手渡されたのは、新コンセプトのスーパーラグジュアリーホテル内覧会の招待状だった。
アプリ内限定でモデルをやっている都合上、何かとイベント事には引っ張り出されそうになるけれど、私は原則出なくて良いものは断るようにしていて、ボスもそれをわかっているはずなのに。
それでもと言うからにはよほどの案件という事なのだろう。
*-*-*-*-*-
女性同士のマッチングアプリである『WS』は、利用者にとって有用な情報提供ツールとしての側面もあり、女性カップルが安心して利用できるスポット--中でも宿泊施設や温浴施設といったものの情報は当然ながらニーズが高い。
だからアプリ側としても積極的にコラボ企画やモニター企画等も行って、そういった施設側から優先的に情報を得る努力も欠かせない。
記憶を遡り、そこは確か一度モニター企画で取り上げられた部屋だったなと思い出した。高層マンションのゲストルームを、本職のホテル会社が改造して管理運営までやるという、珍しいものだ。
随分期間が空いたがまだ正式に開業していなかったのかと驚いた。何でも、モニター企画で得た利用者の声をもとに、部屋を更に改造していたのだという事らしい。
それがようやく終わっていよいよ正式開業するにあたり、『WS』アプリ関係者が内覧会に招かれたと、そういう事のようなのだが。
「そんなのボスだけ行けば良いじゃん」
「そうもいかない事情があるのよ」
このアプリによって女性起業家として一躍脚光を浴びたのが、木下光江その人である。
私はこのアプリの立ち上げ時からデザインチームの一員として関わってきており、どういう訳だか全くの素人であるにも関わらず、いきなりモデルをやれと言われこのアプリの中で取り扱う広告にだけモデルとして姿を晒していた。
姉はテレビ局のアナウンサー試験に合格するような、文句のつけようのない美人だが、私はそんな姉と顔立ちや体形は似ているものの、突然変異なのか何なのか理由は不明だが、身体の色素が妙に薄くできてしまっている。身体自体は健康だが、自分の見た目は異常と言って良いぐらい、他の人とは違っているのだ。地毛なのに髪色は銀髪だし、瞳の色もほとんど青と言って良いような色合いで、当然肌の色も変に白っぽいのである。外国人に間違われる事もあるが、実際はそうではない。
この見た目が、どう頑張っても目だって仕方ないのが嫌だと言うのに、『WS』アプリメンバーはそれを面白がりながらもいつも称賛していた。光江もその一人で、私は彼女の口車に乗った形でモデルの仕事を始めたが最後、もうやりたくないと言っても許される雰囲気ではなくなっている。
もう何回、下着モデルをやらされたかわからないし水着も洋服も着た姿をカメラの前に晒した。スタジオでフラッシュを浴びる、あの異様な状況も嫌で嫌で仕方なかったけれど、やっているうちに何とも思わなくなってきている。
それどころかモデルをやっていたからこそ、梢ちゃんと出会い付き合う事にまでなったのだ。
そういう、モデルをやったからこその出会いや経験がどんどん蓄積してしまって、頭ごなしに「モデルはやりたくない」と言いにくくなっているのも事実なのである。
「事情って何」
「それは……」
「めちゃくちゃ怪しいんだけど」
「変な事情じゃないわよ、ただ」
マッチングアプリとしては大成功したはずのこの組織は、それでもまだ立ち上げ当初の小さなオフィスから移転していない。何度かリフォームはしたと思うけど、社長室と呼ぶにはあまりにもこじんまりとした、小さな小さな固執が社長室である。年商を考えれば誰も想像できないような、子供部屋みたいな狭さだ。
「先方が貴女をご指名なのよ」
「…何で」
「知らないけど、貴女先方の会社に知り合いでも居るの?」
「……」
居るとも居ないとも言い難い。と言うか現状関係性はほとんど切れているのだから「居ない」と即答すれば良かったのに、そうできなかった。
その会社にはあの人が居る。私がアプリの管理ポリシー違反をしてまで近付こうとした、正に初恋の人--二宮冴子さん。
それから彼女の、本当のステディである所の松浦美咲女史はそこの専務取締役だし。
私はあの頃必死になって冴子さんを追いかけ回していたのだが、冴子さんにうまくはめられたのか何なのか、梢ちゃんをあてがわれたような感じになって、それなのに私の方が梢ちゃんとのセックスにはまってしまってそれきりというオチである。
「ちゃんとした彼女なんでしょ?連れて来て労ってあげなさいよ」
「そこに行くのが労いになるかどうかは人それぞれでしょ」
「まーた屁理屈言って…彼女を人前に晒して他人から関心持たれるのが嫌なのもわかるけどさ」
「うるさいな」
「あれ~?図星なの?」
「……」
昔ほどの下品さではないが、それでもゲラゲラと笑うのは彼女の良くない癖だと思う。
どうせこれも私のような立ち上げメンバー相手に限定しているのだろうなと思うとかなり憎たらしい。
この人は当然、梢ちゃんの事も知っている。
大丈夫だと言っても梢ちゃんが撮影現場について来たり、迎えに来たりしているのでアプリ関係者にはもうお馴染みの存在なのだ。
梢ちゃんは私の身体が心配だ、などと言って人前でも構わず私の身のまわりの世話を焼くし、私は私で素直になれば良いのだろうがそれが微妙に恥ずかしいのでごちゃごちゃ言い合いをしている事もあったりして、かえって目だってしまうのだろう。メンバーからはよく「ご馳走様」などと言われる始末だ。
私と付き合うようになってから、梢ちゃんは務めていた会社を辞めてスポーツジムでインストラクターの仕事をするようになった。最近はそこも辞めてパーソナルトレーナーの仕事をするのが生活の半分、残りは私のマネージャーみたいな事をしているのが半分みたいになっている。「なるべく時間の融通をきかせられる仕事にしたい」などと言っているが、自分の時間をほとんど私に捧げているみたいにしているのは大丈夫なのだろうか。
ボスが言う「労う」というのはそれらの、梢ちゃんにとっては勝手にやっているだけの事だが、客観的には何かと世話を焼いてくれている人に恩返しせよという事のようで。
「とにかく、渡したからね…ちゃんと来なさいよ、これは業務命令だから」
「了解」
「…ったく」
トップに対する口の利き方がなってない、と言いたいのだろうがそれはお互い様だ。
不本意ではあるが今や私は『WS』になくてはならない存在ぐらいに知名度をあげているタレントなのだ。
だけど別に、今だからこんな口の利き方をしている訳ではなく、私と彼女は昔からずっとこうなのだ。
『WS』は所詮は下心たっぷりで同性の遊び相手を物色したいという光江本人の欲望から生まれたアプリ。それを立ち上げメンバーはよく理解している。
社長として名前が売れたからなのか、最近は派手に遊んでいる様子はないけれど、とは言え割と最近まで相手を決めずにあちこち手を出していたのも隠してないし、自分は「そういう」女なのだというのが彼女の根本的なあり方なのだ。
「そういう自分もちゃんとそれ用のパートナー、連れて来てくださいね」
ミーティングブースにあるのをここに運んできたのだったか、簡易な会議テーブルに収められた椅子を引き出し、私は腰を下ろした。
「私は……」
「何いきなりしおらしくなっちゃって」
若干頬を赤らめて口ごもる姿が、ものすごく彼女に似つかわしくない。
何か地雷を踏んだかと私は焦った。
「当日になればわかるだろうから言っとくけど、私…そこの社長さんと」
「……まさか」
「…付き合ってるのかな…わからないけど…なんかそんな感じになっちゃって」
「は?」
社長と言えば言わずと知れた著名人、山元容子ではないか。
ビジュアルだけなら年齢不詳、「コケティッシュ」を具現化したような人物は私から見てもやばいオーラを放ちまくりの人物だ。実際これまで結婚歴はないのに養子が二人居て、それなのに色っぽい噂も一つや二つではない、もはやそれをいちいち話題にするのもばかばかしいレベルで同性異性問わず惹きつける魅力の持ち主なのは有名な話だ。
「…え?あの山元容子と、ボスがですか?…」
「なんで今だけ敬語なのよ」
「びっくりし過ぎてつい」
「……ま、遊ばれてるだけかもしれないけど、私は本気なのよね」
「はぁ…そうですか」
何だか、単に山元容子の毒牙に捕まった一被害者という風情もなくはないけれど。
つまり当日、ボスは誰も連れて行かないという事のようだ。
「一応確認だけど、内覧会は本当に内覧会だけ…って思ってて良いんだよね?」
「……どうなのかしらね、あの人の事だからね」
「何それ、どういう可能性まで想定してんの」
「…言えない」
「……」
この人は本当に大丈夫なのかと心配になる。
「だって山元容子のおもてなしよ?しかも指名した人間しか呼ばない、ごく少人数の内覧会で何があるかなんて、想像つく訳ないでしょ」
「いや、そういう人に割と本気なら、どこらへんまでありなのかわかるんじゃないの…」
「知らないわよ、私は日陰だもの」
「そう…」
これ以上質問した所で何も得られるものはないような気がしたので、私は社長室を後にした。
でも…待って。よく考えてみれば。
もてなす側にはその、山元容子と、間違いなく松浦美咲女史は居るに違いない。冴子さんは彼女の秘書として働いているみたいだから彼女も来るだろう。
…となると、私はその二人と浅からぬ関係があって、梢ちゃんは冴子さんの元同僚で、うちのボスが山元社長の愛人で?…
こういうの何て言うんだっけ、カオス…で合ってる?
他に何人ぐらい呼ばれてるのか、ボスに聞いておけば良かった。まさかそれだけという事はないだろうけど、他に関係者が居るとしたらどういう顔ぶれになるのか。
「……」
そっか、冴子さんに会えるかもしれないのか。
きっと私の知っている時よりずっと、綺麗になって、ますます魅力的になっているに違いない。そして山元容子社長ほどではないにせよ、たまには同性か異性か知らないが、ちょこっと遊んでその相手から本気で思われて面倒な思いをしているのかもしれない。
そう、私みたいな奴が他に誰も居ないなんて事はあり得ないだろうから。
私にとって冴子さんは遠い存在だし、簡単に触れられる存在ではないはずだった。
それなのにたまたま身体を重ねるチャンスがあったのだから、幸運としか言えないし、それを黙ってパスする事も不可能だった。
今思えば随分図々しい事なのだが、二度とないと毎回思っていたからこそ、やりたい放題やってしまった。
それでも冴子さんは全て受け止めてくれたし、乱れている時もやっぱり冴子さんは綺麗だった。
……あ、そうか。冴子さんが居る場となれば、私より梢ちゃんが嫉妬するのかな。
でも、それだけじゃない。多少バイアスがかかっているかもしれないし、ボスの言い分を認めるのは嫌だが、今の梢ちゃんは性的な意味での魅力を増していると思う。身体のラインもそうだし、なんとなく漂う雰囲気も、健康的だがセクシャルな要素も兼ね備えている。
それこそ山元容子社長が、ボスの思いと一致しているなら良いがそうでないなら梢ちゃんに興味を示すかもしれないし。
「……」
それはちょっと困るし、嫌だ。
梢ちゃんは私の事が好きに決まっていてそこには自信もあるけれど、あの山元容子に軽く誘われたとして断固拒否できるかどうかは怪しい。
と言うかいちいち許可とか取らずに、気付いたらそういう事になってました的なテクニックを持っていそうなので恐ろしい。
大学生になった時から住んでいる、ファミリータイプのマンション。
今はもうほとんど梢ちゃんと同棲状態であると言っても良いけれど、実際は梢ちゃんは梢ちゃんでこの近所に部屋を借りている。
でもそれは、パーソナルジムを兼ねた部屋で、借りているのは居住用ではなく商業用ビルのテナントだ。そこに一応寝泊りする為の家財やら、何がどう違うのかわからないけれどパウダータイプの各種プロテインなんかがたくさん保管してあるのだそうだ。
梢ちゃんが会社を辞めた時、私はてっきり梢ちゃんはこの部屋に住んで、べったりと同棲生活がスタートするものとばかり思っていたけれど、実際そうはならず、ジムの仕事が入っていたりすると準備だとか何とかでそちらの部屋に止まったりして、思うほど距離感は近付かなかった。
本当は、ボロボロになるまでセックスしても、ちょっと寝れば余裕で回復できる人だとわかっているだけに、なんとなくその微妙な距離感にイライラした事もある。
梢ちゃんはモデルとしての私の事が好きだから、私の身体に傷や跡を残すような行為は徹底して避けるけれど、私はそういう所が気に入らなくて、わざと梢ちゃんの身体に何日も残る跡や歯形なんかも残したりする事がある。
そう、梢ちゃんの方がよっぽど弁えていて、私の方がみっともなく独占欲をぶつけているみたいだ。子供じみていて情けないけど、たまにそういう衝動が抑えられない事はあって、まだ大人になりきれていない。
「……」
何の物音もしない部屋で、ボスから渡された招待状をダイニングテーブルに置きそれを眺めてどれくらいの時間が経っただろうか。ガチャリと玄関扉が開いて「ただいまー」と間の抜けたような梢ちゃんの声が室内に響いた。
梢ちゃんの声と一緒に、微かに蝉の鳴き声も聞こえた気がする。
普段から私は、梢ちゃんを出迎えたりはしない。梢ちゃんがぱたぱたと部屋に入ってきて私を見つけて改めて「ただいま」と言うまで私は動かない、そういう習慣だ。
でも、そこまでの間の梢ちゃんの行動はよく知っている。靴を脱いだら必ず揃えて、そして玄関の端に置いたキャリーバッグから洗濯物を取り出して洗面所へ行く。手を洗って、それから汗のついた衣類を洗剤液に浸しておく。そうしてから私の姿を探すのだ。
「晴香たんただいま」と言って座っている私にハグしてきた後、私の気分が落ちているのを察した梢ちゃんが私の様子を伺った。
「招待状だって、内覧会の」
「?…アプリの関係?私も関係あるの?」
「梢ちゃんも連れて来いって言われた」
「本当?」
いかにもというデザインではないが梢ちゃんの日常服はジャージである。
ちょっと女性らしいデザインのものを身に着けてはいるが、リストバンド以外のアクセサリー類はまず身に着けないし、髪も一応整えてはいるのだろうが元々ナチュラルに乱したようなスタイルにしているので、至ってシンプルな出で立ちだ。
だからと言う訳でもないが、腕や脚の筋肉の隆起が妙に目立つ感じがするし、それでいてウエストは細いので胸やお尻が相対的に大きく見える。
梢ちゃんは机上の手紙を取り上げて中を確認した。
「凄いね…こんな所に行っちゃって良いのかな?」
「是非、だそうです」
「ふーむ……、困ったな」
「何が」
「着て行く服がない気がする」
「あるでしょ」
梢ちゃん本人は全く頓着していないので、いつもこんな感じだ。
実は私は、プロダクト系デザインのみならず、モデル仕事をするようになってからはアパレル系のデザインにも多少絡むようになった。自分でデザイン画を描く事まではしないけど、例えば企画立案の段階で意見を求められる事もあるし、モデルとして試着した時に気付いた事があれば指摘する事も勿論ある。
この部屋のワードローブにある梢ちゃん用の衣服については一通り頭に入っているし、その中でも私がプレゼントしたものもいくつもあって、丁度カジュアルなレセプション程度なら問題なく着て行ける服も買ってあるのだ。
それは確か、あるスポーツブランドの企画で「きちんとした席にも着て行ける服を」というコンセプトでフォーマルラインを新たに設けるという案件があって、梢ちゃんには言ってないけれど私も少し意見を出して関わった事のあるものだった。
実際に販売開始される時には限定販売で店頭からはあっという間に消えた代物なのだが、どうにかして梢ちゃんのサイズに合うものとしてオフショルダータイプのワンピースドレスを購入して梢ちゃんにプレゼントしているのに。
「来て」
私は椅子から立ち上がり梢ちゃんの手を掴んでクローゼットのある部屋に連行した。
迷う事なくその中から目的のワンピースを見つけると梢ちゃんに見せる。
「これなら問題ないでしょ」
「あ…そうだね、ありがとう」
スポーツブランドとしてのプライドなのか、生地にはこだわりがあるらしく、綺麗に見えるけれどもストレッチを利かせて着心地を損ねない工夫がされているとの事だ。
ダークネイビーの生地は、触ると少し水着みたいな感触なのだが、見た目にはそんな風には見えずある程度張りのある生地のように見える。スカート丈は長過ぎず、マーメイドシルエットを描いて女性らしさの際立つデザインだ。
「着てみてよ」
「…今?」
「うん」
どうせここへ来る前に一度シャワーを浴びているはずだし、仮に汗をかいていてもこのドレスはウォッシャブルだから問題ない。
梢ちゃんは人前でも平気で着替えができる人なのだが、私はあえてその場から離れた。
ワンピースではあるが伸縮性のある生地だし一人で着られるというのもわかっていたので。
「着てみたよ」
「うん」
梢ちゃんの声を受けて私は再びクローゼットのある部屋に戻る。
ちょうどクローゼットの扉に鏡を貼り付けているので、梢ちゃんはその鏡の前に立っていた。
「ほら似合うじゃん」
「本当?……大丈夫かな」
梢ちゃんは普段からヌーブラを愛用しているけれど、暑い季節になると更にそれも煩わしいのか、ニップレスタイプのヌーブラを使う事が多い。今日もそうなのだろう、オフショルドレスだが肩紐の類は一切確認できなかった。
筋肉質ではあるけれども鎖骨がくっきりと浮き出ているのとか、背中の贅肉が全然付いていないのとかがよくわかる。素肌を出しているのだから当然なのだが。
「あとは…靴だね」
私は玄関のシューズボックスに向かい、アイボリーのオープントゥパンプスを引っ張り出す。ほとんど履いていないであろうそれを梢ちゃんの前に置いて履かせてみると、夏のお出かけファッションが一応形になって見えた。
「…これで安心した?」
「うん、ありがとう」
「良い感じ」
「本当?」
「うん」
私とは全然系統が違うけれど、梢ちゃんはスタイル抜群なのだ。と言うか女性相手にスタイルアップのボディメイク術を教えているぐらいなのだから、教える本人がだらしなくてどうすると言う話で。当の梢ちゃんは「自分なりに頑張っているけれど完璧ではない」というのが口癖で、もっと、まだ、という気持ちがいつもあるしそれがトレーニングのモチベーションなのかもしれない。
健康的な肉体美、という点においてはこれ以上ないレベルだと思うのに、そこに関して梢ちゃんはあまり自覚がないようだ。
はっきり言ってそういう人が、こんな風にシンプルな無地のワンピースを着て、しかも肩も鎖骨も露出するような、ある意味身体に自信がないと着られない恰好をするのは、ボディラインを生かせる人の特権だ。本当ならボレロやジャケットの一つも羽織る所だが、梢ちゃんにはむしろ必要ないだろう。
「……」
「…?」
「…なんか嫌だなと思って」
「…何、が?」
そう、確かに良く似合っている。私には梢ちゃんの肉体美が眩しい。
でも、これをあの山元社長やら冴子さんやら、他に誰が居るのか知らないが、不特定多数の人間に梢ちゃんのこの姿を見られるのが、なんとなく嫌だ。そしてそれを魅力的だと思われる事も、客観的には良い事なのだが私は嫌だと思ってしまう。
「…梢ちゃんが、知らない人にエロい目で見られるのが、やだ」
「……誰も、気にしてないよ、私の事なんか」
「実際はそうかもしれないけど」
鏡の前に立つ梢ちゃんの背後に立ち、靴を脱がすのも忘れて私は彼女の身体を掻き抱いた。
案の定、ブラらしき物の感触はなく、ニップレスしか着けていないのだろう。あるいはそれすら着けていないのかもしれない。
「え、あ……っどうしたの?」
私は両手を使ってドレス越しに胸を掴んでいるので、顔の前に垂れている梢ちゃんの髪を避けられない。
「梢ちゃん、自分で髪…よけて」
「うん…」
露わになった首筋に、私は躊躇なく噛みついた。跡が残っても、ここなら髪で隠れるから問題ない。それに気になるなら何か羽織ればいいだけの話だ。
「……っ、ね、晴香たんどうしたの?…急に」
「梢ちゃんが珍しい恰好してるから、興奮した」
「あ……んっ」
一度かじった首筋を軽くチロリと舐める。
このワンピースは袖こそあると言えばあるが、鎖骨から上がまるっきり露出しているこの恰好では、胸元を直接触るのも容易い。
服越しにむにむにと胸を揉むのももどかしくなり、私はドレスの生地をずり下げる勢いで胸元に手を差し込んだ。すぐに指先がニップレスを捕らえ、迷う事なくそれを剥がしてドレスの外に投げ捨てる。
「…梢ちゃん乳首立ってる…?首筋噛まれただけで感じちゃったの…?」
「……あぁっ、だって……」
身体をくねらせる梢ちゃんの姿勢を正すように立たせて顎をしゃくる。その同さにつられて梢ちゃんは自分の姿を鏡で確認する事となった。
まるでデート服のようなワンピース姿だが胸をめちゃくちゃに揉みしだかれて、そうされていやらしく表情を崩している自分の姿に驚いている。
「ね…晴香たん、服が伸びちゃうよ」
「大丈夫だよ…そういう素材なんだから」
「で、でも…っ」
普段は堂々と全裸になり、もっとずっと恥ずかしい事でも嬉々として受け入れるはずなのに、どういう訳だか恥じらっているのが新鮮だ。
「…なんか、このまま梢ちゃんの事、犯したくなってきた」
「……」
「ダメ?」
「いいけど…何だか…」
「服には梢ちゃんのおまんこ汁が付かないようにするから」
「そうじゃ、なくて……あぁん」
軽く耳を食みながら囁き、更にいやらしい手つきで両方の胸を揉み回す。
「…梢ちゃんも興奮してるんだ」
「ん……っ、あぁん」
強く布地を引っ張らないように注意しながら、中の胸を下から掬い上げるように引き出していくと、布地の縁から梢ちゃんの両乳首が顔を出した。
鏡に写る姿を確認しながら丁寧にワンピースの布地を引き下げ、乳首の尖りや乳輪がしっかり露出するように調整し、改めて鏡越しと肩越しに梢ちゃんの姿を眺めていく。
乳輪も薄ピンク色だし、乳首もやはりピンク色で、毎日のように私に弄られている実態に反してそこは初々しい見た目を維持していた。
クローゼットの扉に両手をつくように命じて、お尻も突き出させてからスカートの生地をめくり上げると、これまたいつも愛用しているシームレスのTバックショーツを身に着けたお尻が視界に入った。もはやほとんどお尻が丸見えという状態と変わらないけど、大事な部分だけは、食い込んだ布地に守られている。
「今日は黒なんだね」
「……うん」
食い込んだ布地を更に引っ張るようにして、軽く割れ目を刺激しつつお尻を撫でまわすと、梢ちゃんは勝手に「はぁんっ」と何とも艶めかしい喘ぎ声を上げた。
擦るのが気持ち良さそうだったので、私はそのTバックショーツをお尻の下までずり下げてから、クロッチ部分の前後をを指で摘まみ、ぴんと細く張った状態にして梢ちゃんの花弁の間を往復させるように前後に擦ってみる。
「あぁっ、やんっ…恥ずかしい…」
「でも気持ち良さそうに腰振ってるよ…梢ちゃん?」
「あん、あ……っ、あぁ」
前後に擦っているクロッチの手ごたえが、摩擦を失いどんどん滑らかに動くようになる。
それだけ梢ちゃんの花弁の間がヌルヌルになっているという事だ。
それに伴い、擦る布地の前後の動きもどんどん速くなっていき、ついでに前側については少し上向きに引っ張るようにして、萌芽も刺激してあげる事にする。
「あ、あ…んっ、あん」
「いやらしい、梢ちゃん…自分のパンツでおまんこ擦られて、良がってるの?」
「んん……だって、あ、は…あんっ、擦れて、気持ち、いいから……」
腰を小刻みに震わせながら、花弁の間からもう雫が垂れ落ちそうなぐらいにびっしょりと濡らしている梢ちゃん。
「凄いヌルヌルだよ、わかると思うけど…ほら」
「あぁっ、イっちゃいそう……っ、ん…」
「パンツで擦ってるだけでイっちゃうの?梢ちゃん…マジで変態だね」
「は、晴香たんに、される事なら…何でも、気持ちいい…から…あぁっ!」
クロッチ部分をより強く引っ張り上げて花弁の割れ目に食い込ませ、前側はやや上向きに引き上げながら激しく前後に摩擦していく。
程なくして梢ちゃんの膝が笑ったようにガクガクと痙攣した。軽く達したのだろう。
私は乱暴にTバックショーツを足首まで下ろして、靴とショーツ両方とも脱がせた。
そして再び元の、壁に手をついた状態にさせてしっかりとスカートをまくり上げる。
それから、指で花弁の間を浅くまさぐりながら尋ねた。
「指でいい?…それとも、もっと違うのが欲しいのかな」
「は、晴香たんの…お口で…」
かなり前傾姿勢になっているのでしんどそうではあるが、本人としてはさほど苦ではないようだ。
「あ…おまんこ舐めて欲しいんだ?梢ちゃん」
梢ちゃんは声は出さずにこくこくと頷いた。
「じゃ、いっぱい舐めてあげる…」
「ん、んく…っ、あぁぁ…っ!」
大胆に舌を動かして萌芽をえぐるように舐め、そのまま花弁の割れ目も深く割きながら、お尻の穴までしっかり舐め上げる。
その同さを何度も繰り返していくと、こちらの顔にまで垂れる勢いで淫蜜が溢れ出してきた。
だから何度かに一度は、花弁にキスするように吸い付いてズルズルズルと音を立ててその蜜をすすり、綺麗にする。
梢ちゃんにとってはそれもまた快感なようで、その度にいちいち「ひぃあぁぁっ」と声をあげ腰を震わせていた。
「じゃ、クリトリスいっぱい舐めてあげる」
「…はぁ、あ…は…」
私はしゃがんだ恰好で梢ちゃんの前側に回り、スカートの前布の中に頭を突っ込むようにして陣取ると、萌芽を一点集中で激しく舐め回した。
舌先を硬く尖らせてその場所を何度も上下左右に弾き、お留守になった穴には指を二本突き入れて、機械的に上下運動させる。
萌芽に対しては舌先で弾く動きと、唇で挟んで空気ごと吸い込むような同さを交互に繰り返していった。派手に音を立てて吸う時ほど、梢ちゃんはやかましく嬌声をあげて良がっているようだった。
「あ、また…イっちゃうっ、晴香たんの、お口で…イっちゃうっ…!」
頼まれもしないのに自分からいやらしい言葉を口にするあたりが、M気質と言うか何と言うか。こちらも盛り上がるので問題はないけれど。
とは言えこれだけではこちら側が物足りないので、私は我慢できなくなり梢ちゃんのワンピースを脱がせて全裸にしベッドに押し倒した。
押し倒してから腕を掴んで上半身を引き起こし、それで察した梢ちゃんは両脚をM字に開き準備する。
こちらも全裸になり勢い任せに秘部と秘部を重ね合わせた。
「あぁぁっ…」
この瞬間はいつもこうだ。二人の喘ぎ声が重なって響く。
「はぁ、あ…ん、あ…気持ち、いい…」
「凄い梢ちゃん、腰動いちゃってる」
「だって……っ、んん」
「あ、もう…来ちゃうっ」
「ん、晴香たんもイって…あたしのビラビラで気持ち良く、なって」
「梢ちゃん……っ、はぁっ…!」
梢ちゃんにとっては何度目かの、私にとっては今日初めてのオーガズムだ。
花弁の間がどくどくと脈打つように痙攣しているのを感じる。これは私のものか、それとも梢ちゃんのものだろうか。
そうして、これによって互いの愛蜜が混じり合って、更にヌルヌルして気持ち良くなるのだ。
「あ…もっと」
自然に包皮が向けて、露出した萌芽が自動的に接触し合う。
これがまた一際、気持ち良いのだ。淫蜜がたっぷりとまとわりついた萌芽が、一瞬たりとも同じ場所に留まる事なく触れ合い、擦れて刺激を与え合う。
「あ、あ…ん、あぁっ」
「ダメ、梢ちゃん…またイっちゃう」
「イこう?一緒に…ね」
「ん……あ、あ、あぁっ…!」
「あ…、晴香たんのイキ顔見れて…幸せ」
そういう、恥ずかしい事を言われるといたたまれない気持ちになる。
私は強引に梢ちゃんの顎を引き寄せ唇を塞いだ。
秘部と同じで、二人ともあんなに声を出していたはずなのに口内はヌルヌルしている。それが気持ち良いから、また舌を絡ませ鼻から吐息を漏らしながら再び腰を揺らして秘部を擦り合わせる。
「んふ…っ…」
微かに漏れる吐息と、クチュクチュという、どこから漏れているのかわからない淫靡な水音が響く。もはやわずかな腰の動きでもいちいち反応してしまうぐらい、身体は敏感になっていた。
「…やっぱり梢ちゃんのここ、犯したい」
「ん…して、いいよ…いっぱい、犯して?」
それから私は、梢ちゃんが大好きな、極太タイプの偽竿を使って梢ちゃんの膣内を激しく攻め立てた。
悲鳴のような、それでいて凄く感じているのだとわかる、梢ちゃんの喘ぎ声を聞いているのが好きだ。
四つん這いにさせ後ろから彼女の腕を引っ張って奥深くまで挿入したり、寝そべった自分の身体の上に彼女をまたがせ下から突きまくったりもした。
梢ちゃんは、形式的に詫びを入れるけれども本当に無反応になってしまう事はない。全て、受け止めて反応を返してくれる。
だからこちらも調子に乗って、何度も何度も彼女を追い込んでしまいたくなるのだ。
「ねぇ…梢ちゃんこれ好きでしょ」
「ん…、っ……好き、それ好き…っ!」
正常位で繰り出す高速ピストン運動は、やっている私も愉しいのだが梢ちゃんは面白いように感じてくれる。
内壁を何度も激しく圧迫され、出し入れを繰り返すモノに媚びすがるように、梢ちゃんの膣肉がまとわりついてくるのを私は感じる事ができたような気がした。
はぁ……堪らない。梢ちゃんが全力で媚びて甘えてくるのを見ていると、どうしようもない気持ちになる。
「もう一回イかせてあげる」
「ん…あんっ、あぁっ!」
こうやって何度も追い詰めた所で、私のもやもやとした気持ちが晴れる訳ではないのだが。
それでも、梢ちゃんが自分のものだという事を、何度でも念入りに身体に刻んでおきたくて、私はそれをやめられないでいる。
心の声がつい言葉に出てしまった。幸い、周囲には誰も居ない。
私は玄関扉を開けながら、誰も居ない部屋に歩を進める。
『WS』アプリの運営会社社長--私はボスと呼んでいるけど、彼女から手渡されたのは、新コンセプトのスーパーラグジュアリーホテル内覧会の招待状だった。
アプリ内限定でモデルをやっている都合上、何かとイベント事には引っ張り出されそうになるけれど、私は原則出なくて良いものは断るようにしていて、ボスもそれをわかっているはずなのに。
それでもと言うからにはよほどの案件という事なのだろう。
*-*-*-*-*-
女性同士のマッチングアプリである『WS』は、利用者にとって有用な情報提供ツールとしての側面もあり、女性カップルが安心して利用できるスポット--中でも宿泊施設や温浴施設といったものの情報は当然ながらニーズが高い。
だからアプリ側としても積極的にコラボ企画やモニター企画等も行って、そういった施設側から優先的に情報を得る努力も欠かせない。
記憶を遡り、そこは確か一度モニター企画で取り上げられた部屋だったなと思い出した。高層マンションのゲストルームを、本職のホテル会社が改造して管理運営までやるという、珍しいものだ。
随分期間が空いたがまだ正式に開業していなかったのかと驚いた。何でも、モニター企画で得た利用者の声をもとに、部屋を更に改造していたのだという事らしい。
それがようやく終わっていよいよ正式開業するにあたり、『WS』アプリ関係者が内覧会に招かれたと、そういう事のようなのだが。
「そんなのボスだけ行けば良いじゃん」
「そうもいかない事情があるのよ」
このアプリによって女性起業家として一躍脚光を浴びたのが、木下光江その人である。
私はこのアプリの立ち上げ時からデザインチームの一員として関わってきており、どういう訳だか全くの素人であるにも関わらず、いきなりモデルをやれと言われこのアプリの中で取り扱う広告にだけモデルとして姿を晒していた。
姉はテレビ局のアナウンサー試験に合格するような、文句のつけようのない美人だが、私はそんな姉と顔立ちや体形は似ているものの、突然変異なのか何なのか理由は不明だが、身体の色素が妙に薄くできてしまっている。身体自体は健康だが、自分の見た目は異常と言って良いぐらい、他の人とは違っているのだ。地毛なのに髪色は銀髪だし、瞳の色もほとんど青と言って良いような色合いで、当然肌の色も変に白っぽいのである。外国人に間違われる事もあるが、実際はそうではない。
この見た目が、どう頑張っても目だって仕方ないのが嫌だと言うのに、『WS』アプリメンバーはそれを面白がりながらもいつも称賛していた。光江もその一人で、私は彼女の口車に乗った形でモデルの仕事を始めたが最後、もうやりたくないと言っても許される雰囲気ではなくなっている。
もう何回、下着モデルをやらされたかわからないし水着も洋服も着た姿をカメラの前に晒した。スタジオでフラッシュを浴びる、あの異様な状況も嫌で嫌で仕方なかったけれど、やっているうちに何とも思わなくなってきている。
それどころかモデルをやっていたからこそ、梢ちゃんと出会い付き合う事にまでなったのだ。
そういう、モデルをやったからこその出会いや経験がどんどん蓄積してしまって、頭ごなしに「モデルはやりたくない」と言いにくくなっているのも事実なのである。
「事情って何」
「それは……」
「めちゃくちゃ怪しいんだけど」
「変な事情じゃないわよ、ただ」
マッチングアプリとしては大成功したはずのこの組織は、それでもまだ立ち上げ当初の小さなオフィスから移転していない。何度かリフォームはしたと思うけど、社長室と呼ぶにはあまりにもこじんまりとした、小さな小さな固執が社長室である。年商を考えれば誰も想像できないような、子供部屋みたいな狭さだ。
「先方が貴女をご指名なのよ」
「…何で」
「知らないけど、貴女先方の会社に知り合いでも居るの?」
「……」
居るとも居ないとも言い難い。と言うか現状関係性はほとんど切れているのだから「居ない」と即答すれば良かったのに、そうできなかった。
その会社にはあの人が居る。私がアプリの管理ポリシー違反をしてまで近付こうとした、正に初恋の人--二宮冴子さん。
それから彼女の、本当のステディである所の松浦美咲女史はそこの専務取締役だし。
私はあの頃必死になって冴子さんを追いかけ回していたのだが、冴子さんにうまくはめられたのか何なのか、梢ちゃんをあてがわれたような感じになって、それなのに私の方が梢ちゃんとのセックスにはまってしまってそれきりというオチである。
「ちゃんとした彼女なんでしょ?連れて来て労ってあげなさいよ」
「そこに行くのが労いになるかどうかは人それぞれでしょ」
「まーた屁理屈言って…彼女を人前に晒して他人から関心持たれるのが嫌なのもわかるけどさ」
「うるさいな」
「あれ~?図星なの?」
「……」
昔ほどの下品さではないが、それでもゲラゲラと笑うのは彼女の良くない癖だと思う。
どうせこれも私のような立ち上げメンバー相手に限定しているのだろうなと思うとかなり憎たらしい。
この人は当然、梢ちゃんの事も知っている。
大丈夫だと言っても梢ちゃんが撮影現場について来たり、迎えに来たりしているのでアプリ関係者にはもうお馴染みの存在なのだ。
梢ちゃんは私の身体が心配だ、などと言って人前でも構わず私の身のまわりの世話を焼くし、私は私で素直になれば良いのだろうがそれが微妙に恥ずかしいのでごちゃごちゃ言い合いをしている事もあったりして、かえって目だってしまうのだろう。メンバーからはよく「ご馳走様」などと言われる始末だ。
私と付き合うようになってから、梢ちゃんは務めていた会社を辞めてスポーツジムでインストラクターの仕事をするようになった。最近はそこも辞めてパーソナルトレーナーの仕事をするのが生活の半分、残りは私のマネージャーみたいな事をしているのが半分みたいになっている。「なるべく時間の融通をきかせられる仕事にしたい」などと言っているが、自分の時間をほとんど私に捧げているみたいにしているのは大丈夫なのだろうか。
ボスが言う「労う」というのはそれらの、梢ちゃんにとっては勝手にやっているだけの事だが、客観的には何かと世話を焼いてくれている人に恩返しせよという事のようで。
「とにかく、渡したからね…ちゃんと来なさいよ、これは業務命令だから」
「了解」
「…ったく」
トップに対する口の利き方がなってない、と言いたいのだろうがそれはお互い様だ。
不本意ではあるが今や私は『WS』になくてはならない存在ぐらいに知名度をあげているタレントなのだ。
だけど別に、今だからこんな口の利き方をしている訳ではなく、私と彼女は昔からずっとこうなのだ。
『WS』は所詮は下心たっぷりで同性の遊び相手を物色したいという光江本人の欲望から生まれたアプリ。それを立ち上げメンバーはよく理解している。
社長として名前が売れたからなのか、最近は派手に遊んでいる様子はないけれど、とは言え割と最近まで相手を決めずにあちこち手を出していたのも隠してないし、自分は「そういう」女なのだというのが彼女の根本的なあり方なのだ。
「そういう自分もちゃんとそれ用のパートナー、連れて来てくださいね」
ミーティングブースにあるのをここに運んできたのだったか、簡易な会議テーブルに収められた椅子を引き出し、私は腰を下ろした。
「私は……」
「何いきなりしおらしくなっちゃって」
若干頬を赤らめて口ごもる姿が、ものすごく彼女に似つかわしくない。
何か地雷を踏んだかと私は焦った。
「当日になればわかるだろうから言っとくけど、私…そこの社長さんと」
「……まさか」
「…付き合ってるのかな…わからないけど…なんかそんな感じになっちゃって」
「は?」
社長と言えば言わずと知れた著名人、山元容子ではないか。
ビジュアルだけなら年齢不詳、「コケティッシュ」を具現化したような人物は私から見てもやばいオーラを放ちまくりの人物だ。実際これまで結婚歴はないのに養子が二人居て、それなのに色っぽい噂も一つや二つではない、もはやそれをいちいち話題にするのもばかばかしいレベルで同性異性問わず惹きつける魅力の持ち主なのは有名な話だ。
「…え?あの山元容子と、ボスがですか?…」
「なんで今だけ敬語なのよ」
「びっくりし過ぎてつい」
「……ま、遊ばれてるだけかもしれないけど、私は本気なのよね」
「はぁ…そうですか」
何だか、単に山元容子の毒牙に捕まった一被害者という風情もなくはないけれど。
つまり当日、ボスは誰も連れて行かないという事のようだ。
「一応確認だけど、内覧会は本当に内覧会だけ…って思ってて良いんだよね?」
「……どうなのかしらね、あの人の事だからね」
「何それ、どういう可能性まで想定してんの」
「…言えない」
「……」
この人は本当に大丈夫なのかと心配になる。
「だって山元容子のおもてなしよ?しかも指名した人間しか呼ばない、ごく少人数の内覧会で何があるかなんて、想像つく訳ないでしょ」
「いや、そういう人に割と本気なら、どこらへんまでありなのかわかるんじゃないの…」
「知らないわよ、私は日陰だもの」
「そう…」
これ以上質問した所で何も得られるものはないような気がしたので、私は社長室を後にした。
でも…待って。よく考えてみれば。
もてなす側にはその、山元容子と、間違いなく松浦美咲女史は居るに違いない。冴子さんは彼女の秘書として働いているみたいだから彼女も来るだろう。
…となると、私はその二人と浅からぬ関係があって、梢ちゃんは冴子さんの元同僚で、うちのボスが山元社長の愛人で?…
こういうの何て言うんだっけ、カオス…で合ってる?
他に何人ぐらい呼ばれてるのか、ボスに聞いておけば良かった。まさかそれだけという事はないだろうけど、他に関係者が居るとしたらどういう顔ぶれになるのか。
「……」
そっか、冴子さんに会えるかもしれないのか。
きっと私の知っている時よりずっと、綺麗になって、ますます魅力的になっているに違いない。そして山元容子社長ほどではないにせよ、たまには同性か異性か知らないが、ちょこっと遊んでその相手から本気で思われて面倒な思いをしているのかもしれない。
そう、私みたいな奴が他に誰も居ないなんて事はあり得ないだろうから。
私にとって冴子さんは遠い存在だし、簡単に触れられる存在ではないはずだった。
それなのにたまたま身体を重ねるチャンスがあったのだから、幸運としか言えないし、それを黙ってパスする事も不可能だった。
今思えば随分図々しい事なのだが、二度とないと毎回思っていたからこそ、やりたい放題やってしまった。
それでも冴子さんは全て受け止めてくれたし、乱れている時もやっぱり冴子さんは綺麗だった。
……あ、そうか。冴子さんが居る場となれば、私より梢ちゃんが嫉妬するのかな。
でも、それだけじゃない。多少バイアスがかかっているかもしれないし、ボスの言い分を認めるのは嫌だが、今の梢ちゃんは性的な意味での魅力を増していると思う。身体のラインもそうだし、なんとなく漂う雰囲気も、健康的だがセクシャルな要素も兼ね備えている。
それこそ山元容子社長が、ボスの思いと一致しているなら良いがそうでないなら梢ちゃんに興味を示すかもしれないし。
「……」
それはちょっと困るし、嫌だ。
梢ちゃんは私の事が好きに決まっていてそこには自信もあるけれど、あの山元容子に軽く誘われたとして断固拒否できるかどうかは怪しい。
と言うかいちいち許可とか取らずに、気付いたらそういう事になってました的なテクニックを持っていそうなので恐ろしい。
大学生になった時から住んでいる、ファミリータイプのマンション。
今はもうほとんど梢ちゃんと同棲状態であると言っても良いけれど、実際は梢ちゃんは梢ちゃんでこの近所に部屋を借りている。
でもそれは、パーソナルジムを兼ねた部屋で、借りているのは居住用ではなく商業用ビルのテナントだ。そこに一応寝泊りする為の家財やら、何がどう違うのかわからないけれどパウダータイプの各種プロテインなんかがたくさん保管してあるのだそうだ。
梢ちゃんが会社を辞めた時、私はてっきり梢ちゃんはこの部屋に住んで、べったりと同棲生活がスタートするものとばかり思っていたけれど、実際そうはならず、ジムの仕事が入っていたりすると準備だとか何とかでそちらの部屋に止まったりして、思うほど距離感は近付かなかった。
本当は、ボロボロになるまでセックスしても、ちょっと寝れば余裕で回復できる人だとわかっているだけに、なんとなくその微妙な距離感にイライラした事もある。
梢ちゃんはモデルとしての私の事が好きだから、私の身体に傷や跡を残すような行為は徹底して避けるけれど、私はそういう所が気に入らなくて、わざと梢ちゃんの身体に何日も残る跡や歯形なんかも残したりする事がある。
そう、梢ちゃんの方がよっぽど弁えていて、私の方がみっともなく独占欲をぶつけているみたいだ。子供じみていて情けないけど、たまにそういう衝動が抑えられない事はあって、まだ大人になりきれていない。
「……」
何の物音もしない部屋で、ボスから渡された招待状をダイニングテーブルに置きそれを眺めてどれくらいの時間が経っただろうか。ガチャリと玄関扉が開いて「ただいまー」と間の抜けたような梢ちゃんの声が室内に響いた。
梢ちゃんの声と一緒に、微かに蝉の鳴き声も聞こえた気がする。
普段から私は、梢ちゃんを出迎えたりはしない。梢ちゃんがぱたぱたと部屋に入ってきて私を見つけて改めて「ただいま」と言うまで私は動かない、そういう習慣だ。
でも、そこまでの間の梢ちゃんの行動はよく知っている。靴を脱いだら必ず揃えて、そして玄関の端に置いたキャリーバッグから洗濯物を取り出して洗面所へ行く。手を洗って、それから汗のついた衣類を洗剤液に浸しておく。そうしてから私の姿を探すのだ。
「晴香たんただいま」と言って座っている私にハグしてきた後、私の気分が落ちているのを察した梢ちゃんが私の様子を伺った。
「招待状だって、内覧会の」
「?…アプリの関係?私も関係あるの?」
「梢ちゃんも連れて来いって言われた」
「本当?」
いかにもというデザインではないが梢ちゃんの日常服はジャージである。
ちょっと女性らしいデザインのものを身に着けてはいるが、リストバンド以外のアクセサリー類はまず身に着けないし、髪も一応整えてはいるのだろうが元々ナチュラルに乱したようなスタイルにしているので、至ってシンプルな出で立ちだ。
だからと言う訳でもないが、腕や脚の筋肉の隆起が妙に目立つ感じがするし、それでいてウエストは細いので胸やお尻が相対的に大きく見える。
梢ちゃんは机上の手紙を取り上げて中を確認した。
「凄いね…こんな所に行っちゃって良いのかな?」
「是非、だそうです」
「ふーむ……、困ったな」
「何が」
「着て行く服がない気がする」
「あるでしょ」
梢ちゃん本人は全く頓着していないので、いつもこんな感じだ。
実は私は、プロダクト系デザインのみならず、モデル仕事をするようになってからはアパレル系のデザインにも多少絡むようになった。自分でデザイン画を描く事まではしないけど、例えば企画立案の段階で意見を求められる事もあるし、モデルとして試着した時に気付いた事があれば指摘する事も勿論ある。
この部屋のワードローブにある梢ちゃん用の衣服については一通り頭に入っているし、その中でも私がプレゼントしたものもいくつもあって、丁度カジュアルなレセプション程度なら問題なく着て行ける服も買ってあるのだ。
それは確か、あるスポーツブランドの企画で「きちんとした席にも着て行ける服を」というコンセプトでフォーマルラインを新たに設けるという案件があって、梢ちゃんには言ってないけれど私も少し意見を出して関わった事のあるものだった。
実際に販売開始される時には限定販売で店頭からはあっという間に消えた代物なのだが、どうにかして梢ちゃんのサイズに合うものとしてオフショルダータイプのワンピースドレスを購入して梢ちゃんにプレゼントしているのに。
「来て」
私は椅子から立ち上がり梢ちゃんの手を掴んでクローゼットのある部屋に連行した。
迷う事なくその中から目的のワンピースを見つけると梢ちゃんに見せる。
「これなら問題ないでしょ」
「あ…そうだね、ありがとう」
スポーツブランドとしてのプライドなのか、生地にはこだわりがあるらしく、綺麗に見えるけれどもストレッチを利かせて着心地を損ねない工夫がされているとの事だ。
ダークネイビーの生地は、触ると少し水着みたいな感触なのだが、見た目にはそんな風には見えずある程度張りのある生地のように見える。スカート丈は長過ぎず、マーメイドシルエットを描いて女性らしさの際立つデザインだ。
「着てみてよ」
「…今?」
「うん」
どうせここへ来る前に一度シャワーを浴びているはずだし、仮に汗をかいていてもこのドレスはウォッシャブルだから問題ない。
梢ちゃんは人前でも平気で着替えができる人なのだが、私はあえてその場から離れた。
ワンピースではあるが伸縮性のある生地だし一人で着られるというのもわかっていたので。
「着てみたよ」
「うん」
梢ちゃんの声を受けて私は再びクローゼットのある部屋に戻る。
ちょうどクローゼットの扉に鏡を貼り付けているので、梢ちゃんはその鏡の前に立っていた。
「ほら似合うじゃん」
「本当?……大丈夫かな」
梢ちゃんは普段からヌーブラを愛用しているけれど、暑い季節になると更にそれも煩わしいのか、ニップレスタイプのヌーブラを使う事が多い。今日もそうなのだろう、オフショルドレスだが肩紐の類は一切確認できなかった。
筋肉質ではあるけれども鎖骨がくっきりと浮き出ているのとか、背中の贅肉が全然付いていないのとかがよくわかる。素肌を出しているのだから当然なのだが。
「あとは…靴だね」
私は玄関のシューズボックスに向かい、アイボリーのオープントゥパンプスを引っ張り出す。ほとんど履いていないであろうそれを梢ちゃんの前に置いて履かせてみると、夏のお出かけファッションが一応形になって見えた。
「…これで安心した?」
「うん、ありがとう」
「良い感じ」
「本当?」
「うん」
私とは全然系統が違うけれど、梢ちゃんはスタイル抜群なのだ。と言うか女性相手にスタイルアップのボディメイク術を教えているぐらいなのだから、教える本人がだらしなくてどうすると言う話で。当の梢ちゃんは「自分なりに頑張っているけれど完璧ではない」というのが口癖で、もっと、まだ、という気持ちがいつもあるしそれがトレーニングのモチベーションなのかもしれない。
健康的な肉体美、という点においてはこれ以上ないレベルだと思うのに、そこに関して梢ちゃんはあまり自覚がないようだ。
はっきり言ってそういう人が、こんな風にシンプルな無地のワンピースを着て、しかも肩も鎖骨も露出するような、ある意味身体に自信がないと着られない恰好をするのは、ボディラインを生かせる人の特権だ。本当ならボレロやジャケットの一つも羽織る所だが、梢ちゃんにはむしろ必要ないだろう。
「……」
「…?」
「…なんか嫌だなと思って」
「…何、が?」
そう、確かに良く似合っている。私には梢ちゃんの肉体美が眩しい。
でも、これをあの山元社長やら冴子さんやら、他に誰が居るのか知らないが、不特定多数の人間に梢ちゃんのこの姿を見られるのが、なんとなく嫌だ。そしてそれを魅力的だと思われる事も、客観的には良い事なのだが私は嫌だと思ってしまう。
「…梢ちゃんが、知らない人にエロい目で見られるのが、やだ」
「……誰も、気にしてないよ、私の事なんか」
「実際はそうかもしれないけど」
鏡の前に立つ梢ちゃんの背後に立ち、靴を脱がすのも忘れて私は彼女の身体を掻き抱いた。
案の定、ブラらしき物の感触はなく、ニップレスしか着けていないのだろう。あるいはそれすら着けていないのかもしれない。
「え、あ……っどうしたの?」
私は両手を使ってドレス越しに胸を掴んでいるので、顔の前に垂れている梢ちゃんの髪を避けられない。
「梢ちゃん、自分で髪…よけて」
「うん…」
露わになった首筋に、私は躊躇なく噛みついた。跡が残っても、ここなら髪で隠れるから問題ない。それに気になるなら何か羽織ればいいだけの話だ。
「……っ、ね、晴香たんどうしたの?…急に」
「梢ちゃんが珍しい恰好してるから、興奮した」
「あ……んっ」
一度かじった首筋を軽くチロリと舐める。
このワンピースは袖こそあると言えばあるが、鎖骨から上がまるっきり露出しているこの恰好では、胸元を直接触るのも容易い。
服越しにむにむにと胸を揉むのももどかしくなり、私はドレスの生地をずり下げる勢いで胸元に手を差し込んだ。すぐに指先がニップレスを捕らえ、迷う事なくそれを剥がしてドレスの外に投げ捨てる。
「…梢ちゃん乳首立ってる…?首筋噛まれただけで感じちゃったの…?」
「……あぁっ、だって……」
身体をくねらせる梢ちゃんの姿勢を正すように立たせて顎をしゃくる。その同さにつられて梢ちゃんは自分の姿を鏡で確認する事となった。
まるでデート服のようなワンピース姿だが胸をめちゃくちゃに揉みしだかれて、そうされていやらしく表情を崩している自分の姿に驚いている。
「ね…晴香たん、服が伸びちゃうよ」
「大丈夫だよ…そういう素材なんだから」
「で、でも…っ」
普段は堂々と全裸になり、もっとずっと恥ずかしい事でも嬉々として受け入れるはずなのに、どういう訳だか恥じらっているのが新鮮だ。
「…なんか、このまま梢ちゃんの事、犯したくなってきた」
「……」
「ダメ?」
「いいけど…何だか…」
「服には梢ちゃんのおまんこ汁が付かないようにするから」
「そうじゃ、なくて……あぁん」
軽く耳を食みながら囁き、更にいやらしい手つきで両方の胸を揉み回す。
「…梢ちゃんも興奮してるんだ」
「ん……っ、あぁん」
強く布地を引っ張らないように注意しながら、中の胸を下から掬い上げるように引き出していくと、布地の縁から梢ちゃんの両乳首が顔を出した。
鏡に写る姿を確認しながら丁寧にワンピースの布地を引き下げ、乳首の尖りや乳輪がしっかり露出するように調整し、改めて鏡越しと肩越しに梢ちゃんの姿を眺めていく。
乳輪も薄ピンク色だし、乳首もやはりピンク色で、毎日のように私に弄られている実態に反してそこは初々しい見た目を維持していた。
クローゼットの扉に両手をつくように命じて、お尻も突き出させてからスカートの生地をめくり上げると、これまたいつも愛用しているシームレスのTバックショーツを身に着けたお尻が視界に入った。もはやほとんどお尻が丸見えという状態と変わらないけど、大事な部分だけは、食い込んだ布地に守られている。
「今日は黒なんだね」
「……うん」
食い込んだ布地を更に引っ張るようにして、軽く割れ目を刺激しつつお尻を撫でまわすと、梢ちゃんは勝手に「はぁんっ」と何とも艶めかしい喘ぎ声を上げた。
擦るのが気持ち良さそうだったので、私はそのTバックショーツをお尻の下までずり下げてから、クロッチ部分の前後をを指で摘まみ、ぴんと細く張った状態にして梢ちゃんの花弁の間を往復させるように前後に擦ってみる。
「あぁっ、やんっ…恥ずかしい…」
「でも気持ち良さそうに腰振ってるよ…梢ちゃん?」
「あん、あ……っ、あぁ」
前後に擦っているクロッチの手ごたえが、摩擦を失いどんどん滑らかに動くようになる。
それだけ梢ちゃんの花弁の間がヌルヌルになっているという事だ。
それに伴い、擦る布地の前後の動きもどんどん速くなっていき、ついでに前側については少し上向きに引っ張るようにして、萌芽も刺激してあげる事にする。
「あ、あ…んっ、あん」
「いやらしい、梢ちゃん…自分のパンツでおまんこ擦られて、良がってるの?」
「んん……だって、あ、は…あんっ、擦れて、気持ち、いいから……」
腰を小刻みに震わせながら、花弁の間からもう雫が垂れ落ちそうなぐらいにびっしょりと濡らしている梢ちゃん。
「凄いヌルヌルだよ、わかると思うけど…ほら」
「あぁっ、イっちゃいそう……っ、ん…」
「パンツで擦ってるだけでイっちゃうの?梢ちゃん…マジで変態だね」
「は、晴香たんに、される事なら…何でも、気持ちいい…から…あぁっ!」
クロッチ部分をより強く引っ張り上げて花弁の割れ目に食い込ませ、前側はやや上向きに引き上げながら激しく前後に摩擦していく。
程なくして梢ちゃんの膝が笑ったようにガクガクと痙攣した。軽く達したのだろう。
私は乱暴にTバックショーツを足首まで下ろして、靴とショーツ両方とも脱がせた。
そして再び元の、壁に手をついた状態にさせてしっかりとスカートをまくり上げる。
それから、指で花弁の間を浅くまさぐりながら尋ねた。
「指でいい?…それとも、もっと違うのが欲しいのかな」
「は、晴香たんの…お口で…」
かなり前傾姿勢になっているのでしんどそうではあるが、本人としてはさほど苦ではないようだ。
「あ…おまんこ舐めて欲しいんだ?梢ちゃん」
梢ちゃんは声は出さずにこくこくと頷いた。
「じゃ、いっぱい舐めてあげる…」
「ん、んく…っ、あぁぁ…っ!」
大胆に舌を動かして萌芽をえぐるように舐め、そのまま花弁の割れ目も深く割きながら、お尻の穴までしっかり舐め上げる。
その同さを何度も繰り返していくと、こちらの顔にまで垂れる勢いで淫蜜が溢れ出してきた。
だから何度かに一度は、花弁にキスするように吸い付いてズルズルズルと音を立ててその蜜をすすり、綺麗にする。
梢ちゃんにとってはそれもまた快感なようで、その度にいちいち「ひぃあぁぁっ」と声をあげ腰を震わせていた。
「じゃ、クリトリスいっぱい舐めてあげる」
「…はぁ、あ…は…」
私はしゃがんだ恰好で梢ちゃんの前側に回り、スカートの前布の中に頭を突っ込むようにして陣取ると、萌芽を一点集中で激しく舐め回した。
舌先を硬く尖らせてその場所を何度も上下左右に弾き、お留守になった穴には指を二本突き入れて、機械的に上下運動させる。
萌芽に対しては舌先で弾く動きと、唇で挟んで空気ごと吸い込むような同さを交互に繰り返していった。派手に音を立てて吸う時ほど、梢ちゃんはやかましく嬌声をあげて良がっているようだった。
「あ、また…イっちゃうっ、晴香たんの、お口で…イっちゃうっ…!」
頼まれもしないのに自分からいやらしい言葉を口にするあたりが、M気質と言うか何と言うか。こちらも盛り上がるので問題はないけれど。
とは言えこれだけではこちら側が物足りないので、私は我慢できなくなり梢ちゃんのワンピースを脱がせて全裸にしベッドに押し倒した。
押し倒してから腕を掴んで上半身を引き起こし、それで察した梢ちゃんは両脚をM字に開き準備する。
こちらも全裸になり勢い任せに秘部と秘部を重ね合わせた。
「あぁぁっ…」
この瞬間はいつもこうだ。二人の喘ぎ声が重なって響く。
「はぁ、あ…ん、あ…気持ち、いい…」
「凄い梢ちゃん、腰動いちゃってる」
「だって……っ、んん」
「あ、もう…来ちゃうっ」
「ん、晴香たんもイって…あたしのビラビラで気持ち良く、なって」
「梢ちゃん……っ、はぁっ…!」
梢ちゃんにとっては何度目かの、私にとっては今日初めてのオーガズムだ。
花弁の間がどくどくと脈打つように痙攣しているのを感じる。これは私のものか、それとも梢ちゃんのものだろうか。
そうして、これによって互いの愛蜜が混じり合って、更にヌルヌルして気持ち良くなるのだ。
「あ…もっと」
自然に包皮が向けて、露出した萌芽が自動的に接触し合う。
これがまた一際、気持ち良いのだ。淫蜜がたっぷりとまとわりついた萌芽が、一瞬たりとも同じ場所に留まる事なく触れ合い、擦れて刺激を与え合う。
「あ、あ…ん、あぁっ」
「ダメ、梢ちゃん…またイっちゃう」
「イこう?一緒に…ね」
「ん……あ、あ、あぁっ…!」
「あ…、晴香たんのイキ顔見れて…幸せ」
そういう、恥ずかしい事を言われるといたたまれない気持ちになる。
私は強引に梢ちゃんの顎を引き寄せ唇を塞いだ。
秘部と同じで、二人ともあんなに声を出していたはずなのに口内はヌルヌルしている。それが気持ち良いから、また舌を絡ませ鼻から吐息を漏らしながら再び腰を揺らして秘部を擦り合わせる。
「んふ…っ…」
微かに漏れる吐息と、クチュクチュという、どこから漏れているのかわからない淫靡な水音が響く。もはやわずかな腰の動きでもいちいち反応してしまうぐらい、身体は敏感になっていた。
「…やっぱり梢ちゃんのここ、犯したい」
「ん…して、いいよ…いっぱい、犯して?」
それから私は、梢ちゃんが大好きな、極太タイプの偽竿を使って梢ちゃんの膣内を激しく攻め立てた。
悲鳴のような、それでいて凄く感じているのだとわかる、梢ちゃんの喘ぎ声を聞いているのが好きだ。
四つん這いにさせ後ろから彼女の腕を引っ張って奥深くまで挿入したり、寝そべった自分の身体の上に彼女をまたがせ下から突きまくったりもした。
梢ちゃんは、形式的に詫びを入れるけれども本当に無反応になってしまう事はない。全て、受け止めて反応を返してくれる。
だからこちらも調子に乗って、何度も何度も彼女を追い込んでしまいたくなるのだ。
「ねぇ…梢ちゃんこれ好きでしょ」
「ん…、っ……好き、それ好き…っ!」
正常位で繰り出す高速ピストン運動は、やっている私も愉しいのだが梢ちゃんは面白いように感じてくれる。
内壁を何度も激しく圧迫され、出し入れを繰り返すモノに媚びすがるように、梢ちゃんの膣肉がまとわりついてくるのを私は感じる事ができたような気がした。
はぁ……堪らない。梢ちゃんが全力で媚びて甘えてくるのを見ていると、どうしようもない気持ちになる。
「もう一回イかせてあげる」
「ん…あんっ、あぁっ!」
こうやって何度も追い詰めた所で、私のもやもやとした気持ちが晴れる訳ではないのだが。
それでも、梢ちゃんが自分のものだという事を、何度でも念入りに身体に刻んでおきたくて、私はそれをやめられないでいる。
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身体だけの関係です 原田巴について
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作者ツイッター: twitter/minori_sui
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