穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ

文字の大きさ
72 / 131
3年1学期

72話:体育祭、種族混在大波乱の行方は ②

しおりを挟む
 午前の競技が全て終わって、体育祭は1時間のお昼休憩に入る。俺は携帯で両親と連絡をとりながら待ち合わせ場所に向かいつつ、エリオ君とルカを探した。

「ルカ!エリオ君!こっち来て!」
「……フレン?」
「なんですか、先輩?」

 不思議そうにする2人を見つけて回収しつつ俺は両親と落ち合う。

「久しぶり!迷わなかった?」
「大丈夫よ。衣装似合ってるわねぇ」
「遠くからでもよく見えたよ。疲れただろうからゆっくりご飯食べてね」
「えへへ!そうでしょ!お弁当楽しみ~」

 お母さんとお父さんからそれぞれ声をかけられて、俺は久しぶりに2人に会えた嬉しさから自然と笑顔になる。応援を見てくれたのも嬉しい。

「先輩ってご兄弟いらっしゃったんですね。」
「え?」

 両親と話している俺に、エリオ君が話しかけてくる。俺は最初エリオ君が何を言ってるのかわからなかったけど、すぐに彼の勘違いに気がついた。

「もー!エリオ君ってば、冗談が上手なんだから。これはうちの両親!こっちがお母さんで、こっちがお父さん!似てるでしょ?」
「……は?え、ご両親……?若っ、そんな事あります!?」

 俺と同じ春薔薇色の髪をショートカットにしてるお父さんと、薄灰色の瞳のお母さん。俺は全体的な雰囲気はお父さんに、目元や笑い方はお母さんに似てるってよく言われる。

「まぁ、学生さんと間違えられちゃった!嬉しいわぁ」
「僕もまだまだ若く見えるんだね」

 エリオ君の勘違いにまんざらでもない2人に俺は連れてきた後輩達を紹介する。

「こっちが去年の俺のペアのルカ。それでこっちはルカの弟のエリオ君。2人ともすごく魔法が上手なんだよ!」
「はじめまして、エリオです。先輩にはお世話になっています」
「……」

 優等生らしく綺麗なお辞儀で挨拶をするエリオ君と、いつも通りぼんやりと立っているルカ。エリオ君には両親を紹介する約束をしてたけど、ルカには言ってなかったから急に連れてきてびっくりさせちゃったかも。そう思って俺はルカの方を見たけれど、ルカは俺のお父さんの方を眺めて静かにしていた。

「お母さん、ちょっといい?後ろ向いて!ほらエリオ君、これが妖精族の羽」
「あっ……ありがとうございます」
「うふふ、私ので良ければどうぞ」

 前にエリオ君は妖精族に興味を持ってたから、この機会に純血の妖精であるお母さんの羽を見せてあげようと思っていたんだよね。

「それじゃ、お互いに挨拶もできたし行こっか!」
「先輩?行くってどこに……?」
「2人ともご飯まだでしょ?俺達と一緒に食べよ!」

 俺は2人の手を引いて両親が確保してくれたスペースに進む。

「えっ……いいんですか?」
「もちろん!」
「……フレンと一緒ならいい」
「うん、一緒だよ。でも今日は膝に乗るのなしね!」

 それぞれの反応を見ながら俺は返事をして笑いかけた。ご両親が来ないって言ってた分、一緒に楽しく食べてくれたらいいな。この計画は事前にお母さんに相談してたからお弁当の量も十分だ。

 (好きなおかずたくさんあるといいなぁ)

 そんな穏やかな気持ちでレジャーシートに座る。午後からもたくさん応援する為に、俺はお弁当を口いっぱいに頬張った。

 ◇

 ご飯を食べてひと段落した頃、俺は応援席に戻るために一足先に席を立った。午後1番の競技の応援があるから、段取りを見返そうと思ったんだよね。そうして昼休みでまばらになった観客席を通りがかった時――

「チア衣装似合ってるね、フレン」
「……っジ、ジン!?どうしてここに……」

 聞き慣れた、甘く、軽い笑い声が耳に入る。スルーしたいけど、無視できないその声に俺は足を止めて振り返った。

「他校交流の一環。フレンともっと仲良くなりたいから応援しにきたよ」
「俺はジンと仲良くするつもりはないんだけど……」

 正式なルートで発行される入校証明を片手にジンが俺の隣にくる。この行事は外部からの人も来るからこの可能性は考えるべきだった。でもこんな大人数の中ピンポイントで俺のこと探せるなんて事ある?

「そうかなぁ?俺とフレン、だいぶ仲がいいと思うんだけど、だってほら……」
「……だからこれは使いやすいから使ってるだけだってば!」

 ジンの真紅の瞳が見つめるのは俺の髪を纏めている髪留め。去年の冬月祭の時にジンから押し付けられたそれは今まで使ってたどのヘアアクセサリーより使いやすくて、送り主というマイナスを差し引いても十分なほど使い込んでいる。

「午前中の応援見てたよ。フレンって華があるからこういうの似合うね。今度俺にもやってくれない?」
「なんでジンにしなきゃならないわけ?……それに、今回は立ってるだけじゃないし、なんか文句ある?」

 前回の文化祭ではジンからちくりと胸を刺す一言をもらったので、俺は先手を打って強めの言葉を返す。

「文句なんてないよ。すごく上手だったし、可愛かったしね。あぁ、でも気をつけて。今のフレン、とても魅力的だから」
「は?それってどういう……?」

 返ってき不可解な言葉に俺が首を傾げていると、急に腰を抱かれてジンと顔が重なりそうになる。今更だけど、ジンって距離近過ぎて怖い。

「なるべく、今日はお友達と一緒にいたほうがいいと思うなぁ。俺が近くにいてもいいんだけどね?」
「誰があんたと!……ていうか、外部客は応援席には入れないでしょ。さっさと外部席に戻ってよ」

 言ってる途中、一瞬真紅の瞳からヘラヘラとした雰囲気が消えた気がしたけど、振り払っているうちにいつものジンに戻ったので気のせいかもしれない。

「それじゃ、またね、フレン。応援合戦頑張って」

 ヒラヒラと手を振って人混みに紛れるジンの姿はじきに見えなくなって、俺は釈然としないまま、午後の応援の準備に戻った。

――まさかこの後あんなことが起きるなんて、この時の俺は全く予想していなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

先輩たちの心の声に翻弄されています!

七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。 ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。 最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。 乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。 見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。 **** 三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。 ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️

転生したが壁になりたい。

むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。 ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。 しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。 今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった! 目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!? 俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!? 「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」

俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中

油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。 背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。 魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。 魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。 少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。 異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。 今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。 激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ

最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??

雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。 いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!? 可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。

春雨
BL
前世を思い出した俺。 外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。 愛が重すぎて俺どうすればいい?? もう不良になっちゃおうか! 少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。 初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。 ※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。 ※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。 もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。 なるべく全ての感想に返信させていただいてます。 感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

処理中です...