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3年1学期
77話:体育祭、種族混在大波乱の行方は ⑦
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眠ったままのルカを膝に乗せてエリオ君と話していたら、背後から突然大きな音がして俺は思わず目を見開いた。
それと同時に結界が壊れる気配がして、咄嗟に俺を庇うようにしてエリオ君が扉の前に立つ。
「……フレン、遅くなってすまない」
その陰から、聞き慣れた大好きな声が聞こえてきて、俺は膝に乗せたルカの頭を落とさないように気をつけながら大きく身を乗り出した。
「クロード……!」
「もう大丈夫だ。解除薬も持ってきた」
俺はクロードが差し出した小瓶を受け取りそのまま中の液体を飲み込む。瞬時に羽が元に戻ったりはしなかったけど心が落ち着いて心が落ち着いた。
「ありがとう、クロード。薬余りあったの?それにどうしてここがわかったの?」
「……ルナソールの、ジンが協力……してくれたんだ」
「え……?」
思いがけない名前に俺は驚く。ここでこんな名前が出ることも、クロードが彼と行動を共にしたことも信じられなかった。
「それよりフレン、その、膝のは……」
「えっと、色々あって少し眠ってもらってる……みたいな?」
「先輩……」
ルカの事を話すとクロードに余計な心配をさせちゃうから俺は概要だけを説明する。エリオ君が何か言いたげにしていたけど、俺はクロードにこれ以上の心配はかけたくなかったからそれ以上のことは口にしなかった。
「目、赤くなってる……怖かったな」
「ううん、見つかったのがエリオ君だったから大丈夫。ありがとねエリオ君」
「いっ、いえ……僕は何も……」
クロードが俺の目元を軽く撫でる。その体温に安心して俺の目からほんの少しだけ残っていた涙がこぼれた。
「あ……」
「……っフレン」
それを見たクロードが息を詰まらせる。クロードは昔から俺が泣くのを見るのが苦手だからびっくりさせちゃったかな。
「大丈夫、安心しただけ。助けてくれてありがとう、クロード」
ルカを膝に乗せてるから抱きつくことはできないけど、俺は顔に添えられたクロードの掌に頬を擦り付けて感謝を告げる。
「俺は、その為にいるからな」
「何それ、でもありがと」
話しているうちに背中の感覚が戻り、羽が隠せるようになった。これで人前に出ても大丈夫。
「羽は戻ったけど、もう応援合戦終わっちゃったかな?」
「このトラブルで15時まで競技は中止だからまだ間に合う」
「兄さんは僕が引き取るので、先輩は先に戻ってください」
「わかった、ありがとう。ルカのことよろしくね」
ルカをエリオ君に任せて、俺はクロードに付き添われながら校庭に戻った。競技の繰り上げで応援合戦自体無くなるかもしれないけど、それでも急にいなくなって心配かけた事をみんなに謝りたい。隠さなくて良くなった背中は軽くて、俺の心をそっと後押ししてくれているような気がした。
◇
「フレンー、どこいってたの?もしかして巻き込まれてた?大丈夫?」
「心配したんだよ?ペアだった子に捜索頼んだりとかさぁ」
「もしかしてクロード先輩がフレン見つけてくれたの?ありがとうございます!」
応援席に戻るとマリアを筆頭にチア仲間達が俺を囲んで声をかけてくれた。皆勝手にいなくなった俺のことを責める事もせず心配してくれたみたいだ。
「心配かけてごめんね。もう大丈夫!」
「よかったー!あのね、午後のプログラム色々変更になってさ、応援合戦がラストなの」
このトラブルで時間が押したのと保健室が逼迫した事で、フィールド整備と怪我の対応が最低限で済む応援合戦をして体育祭を締めることになったらしい。
「あ……クロードの競技……」
「気にするな、俺はフレンが無事ならそれでいい」
最後の体育祭なのに、この事件のせいでクロードが出るはずだった総合闘技は中止になってしまった。こんな結果になって絶対残念なはずなのに、それを口にせず優しく笑うクロードの分も俺は応援合戦を全力で取り組むことにした。
「クロード、見てて!俺、クロードの分まで頑張るから!」
「ああ、楽しみにしてる。でも無理はするなよ」
競技アナウンスが鳴り、チアチームは集合場所に集まる。俺はクロードに手を振ってそこに並んだ。
「さあ、いくよ!アタシ達の応援で体育祭のラストを楽しく飾ろ!!」
マリアの合図で校庭に駆け出す。クロードも、クロード以外の競技に出れなかったみんなの分もこの体育祭がいい思い出になる様に、俺達は精一杯最後の応援をした。
◇
今年の体育祭は、応援合戦を含めて順位をつけずに終わる事になった。
残っていた競技で結果は変わりうるし、賢明な判断だと思う。そして順位を気にせず思いっきり応援した応援合戦の時間は、人を励まし元気にしたいっていう純粋な気持ちで取り組めて、今までで1番伸び伸びとできた気がした。マリアと並んで立ったセンターからは生徒全員の顔がよく見える。こんな事件の後だったけど、見ている皆から俺達の応援を楽しそうに受け取ってもらえたのが肌で感じられて、それだけで今までの努力と今日1日の色々が報われた様な気がした。
青ブロックを見ると、クロードが優しい顔で俺のことを見ているのがわかった。
紫ブロックではサボってると思ったカイが真面目に座ってこっちを見ているのが見える。
エリオ君も座っているからどこかにルカもいるのかなと思ったけどいなかった。まだ目が覚めてなくて保健室に預けたのかも?
そして、応援合戦の終盤、外部席に視線を向けたその端っこで真紅の瞳と目が合った気がした。会うと面倒な事ばかりしてくるけど、クロードの言葉が本当ならジンも俺を助けてくれたみたいだし、今日くらいはいいかな……なんて思いながら俺はジンにも少しだけ手を振った。
きっと、今年が最後の体育祭の人の中には無念さが拭えない人もいるだろう。俺と同じ被害に遭った子は怖くていまだに震えてるかもしれない。何もかもが完璧に収まったとは言えないけど、それでもこの時間だけは楽しんでくれたらいいなと思った。
俺にとっても最後の体育祭。
怖い思いもしてたくさん泣いたけれど、それでも、この日を過ごせて良かったとそう思った。
こうして、様々な種族の入り混じるうちの学校の一大イベントは大騒動の末静かに幕を閉じた。
それと同時に結界が壊れる気配がして、咄嗟に俺を庇うようにしてエリオ君が扉の前に立つ。
「……フレン、遅くなってすまない」
その陰から、聞き慣れた大好きな声が聞こえてきて、俺は膝に乗せたルカの頭を落とさないように気をつけながら大きく身を乗り出した。
「クロード……!」
「もう大丈夫だ。解除薬も持ってきた」
俺はクロードが差し出した小瓶を受け取りそのまま中の液体を飲み込む。瞬時に羽が元に戻ったりはしなかったけど心が落ち着いて心が落ち着いた。
「ありがとう、クロード。薬余りあったの?それにどうしてここがわかったの?」
「……ルナソールの、ジンが協力……してくれたんだ」
「え……?」
思いがけない名前に俺は驚く。ここでこんな名前が出ることも、クロードが彼と行動を共にしたことも信じられなかった。
「それよりフレン、その、膝のは……」
「えっと、色々あって少し眠ってもらってる……みたいな?」
「先輩……」
ルカの事を話すとクロードに余計な心配をさせちゃうから俺は概要だけを説明する。エリオ君が何か言いたげにしていたけど、俺はクロードにこれ以上の心配はかけたくなかったからそれ以上のことは口にしなかった。
「目、赤くなってる……怖かったな」
「ううん、見つかったのがエリオ君だったから大丈夫。ありがとねエリオ君」
「いっ、いえ……僕は何も……」
クロードが俺の目元を軽く撫でる。その体温に安心して俺の目からほんの少しだけ残っていた涙がこぼれた。
「あ……」
「……っフレン」
それを見たクロードが息を詰まらせる。クロードは昔から俺が泣くのを見るのが苦手だからびっくりさせちゃったかな。
「大丈夫、安心しただけ。助けてくれてありがとう、クロード」
ルカを膝に乗せてるから抱きつくことはできないけど、俺は顔に添えられたクロードの掌に頬を擦り付けて感謝を告げる。
「俺は、その為にいるからな」
「何それ、でもありがと」
話しているうちに背中の感覚が戻り、羽が隠せるようになった。これで人前に出ても大丈夫。
「羽は戻ったけど、もう応援合戦終わっちゃったかな?」
「このトラブルで15時まで競技は中止だからまだ間に合う」
「兄さんは僕が引き取るので、先輩は先に戻ってください」
「わかった、ありがとう。ルカのことよろしくね」
ルカをエリオ君に任せて、俺はクロードに付き添われながら校庭に戻った。競技の繰り上げで応援合戦自体無くなるかもしれないけど、それでも急にいなくなって心配かけた事をみんなに謝りたい。隠さなくて良くなった背中は軽くて、俺の心をそっと後押ししてくれているような気がした。
◇
「フレンー、どこいってたの?もしかして巻き込まれてた?大丈夫?」
「心配したんだよ?ペアだった子に捜索頼んだりとかさぁ」
「もしかしてクロード先輩がフレン見つけてくれたの?ありがとうございます!」
応援席に戻るとマリアを筆頭にチア仲間達が俺を囲んで声をかけてくれた。皆勝手にいなくなった俺のことを責める事もせず心配してくれたみたいだ。
「心配かけてごめんね。もう大丈夫!」
「よかったー!あのね、午後のプログラム色々変更になってさ、応援合戦がラストなの」
このトラブルで時間が押したのと保健室が逼迫した事で、フィールド整備と怪我の対応が最低限で済む応援合戦をして体育祭を締めることになったらしい。
「あ……クロードの競技……」
「気にするな、俺はフレンが無事ならそれでいい」
最後の体育祭なのに、この事件のせいでクロードが出るはずだった総合闘技は中止になってしまった。こんな結果になって絶対残念なはずなのに、それを口にせず優しく笑うクロードの分も俺は応援合戦を全力で取り組むことにした。
「クロード、見てて!俺、クロードの分まで頑張るから!」
「ああ、楽しみにしてる。でも無理はするなよ」
競技アナウンスが鳴り、チアチームは集合場所に集まる。俺はクロードに手を振ってそこに並んだ。
「さあ、いくよ!アタシ達の応援で体育祭のラストを楽しく飾ろ!!」
マリアの合図で校庭に駆け出す。クロードも、クロード以外の競技に出れなかったみんなの分もこの体育祭がいい思い出になる様に、俺達は精一杯最後の応援をした。
◇
今年の体育祭は、応援合戦を含めて順位をつけずに終わる事になった。
残っていた競技で結果は変わりうるし、賢明な判断だと思う。そして順位を気にせず思いっきり応援した応援合戦の時間は、人を励まし元気にしたいっていう純粋な気持ちで取り組めて、今までで1番伸び伸びとできた気がした。マリアと並んで立ったセンターからは生徒全員の顔がよく見える。こんな事件の後だったけど、見ている皆から俺達の応援を楽しそうに受け取ってもらえたのが肌で感じられて、それだけで今までの努力と今日1日の色々が報われた様な気がした。
青ブロックを見ると、クロードが優しい顔で俺のことを見ているのがわかった。
紫ブロックではサボってると思ったカイが真面目に座ってこっちを見ているのが見える。
エリオ君も座っているからどこかにルカもいるのかなと思ったけどいなかった。まだ目が覚めてなくて保健室に預けたのかも?
そして、応援合戦の終盤、外部席に視線を向けたその端っこで真紅の瞳と目が合った気がした。会うと面倒な事ばかりしてくるけど、クロードの言葉が本当ならジンも俺を助けてくれたみたいだし、今日くらいはいいかな……なんて思いながら俺はジンにも少しだけ手を振った。
きっと、今年が最後の体育祭の人の中には無念さが拭えない人もいるだろう。俺と同じ被害に遭った子は怖くていまだに震えてるかもしれない。何もかもが完璧に収まったとは言えないけど、それでもこの時間だけは楽しんでくれたらいいなと思った。
俺にとっても最後の体育祭。
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