80 / 131
3年1学期
80話:お礼は感謝を込めて①
しおりを挟む
体育祭が終わった翌々日の休日(俺の誕生日の翌日)、俺はある目的を果たすためカイを自分の寮に呼び出していた。
「それで、話ってなんだよ?」
寮の玄関で訪問客用の記録表に名前を書いていたカイが俺に向かって問いかける。
「カイ、俺がペア授業監督してる間色々フォローしてくれたでしょ?ちょっと間が空いちゃったけどお礼まだだったから」
ルカとエリオ君のペア授業監督は2ヶ月弱やってたから、その間俺はずっとカイに授業内容を教えてもらっていた。そのおかげで特に遅れもなく授業についていけている。前からお礼はすると約束してたし、体育祭が終わった今が絶好のタイミングなので俺はカイに声をかけたというわけだ。
「あー、なるほどな。けどなんで寮なんだよ。休み明けの学校でもよくねぇか?」
カイの疑問はもっともだ。だけどちゃんと俺には考えがあった。
「今じゃなきゃダメだからさ、じゃ着いてきて!」
俺はそう言ってカイの腕を引っ張って廊下を歩き、自分の部屋まで案内する。
「な、ななな、なんで部屋入っ!!お、お前何するつもり……」
なんだけど、なんでかカイが慌てだしてなかなか部屋に入ろうとしない。
「別に変なことなんてしないって!ほら早く入る!」
ここでこうしてても埒が開かないので俺はカイの背中を勢いよく押して部屋に押し込んだ。
◇
「準備するからここ座ってて。部屋から出るのは無しだからね!」
カイを部屋に連れ込んだ後、俺はそう言って準備を始める。カイはというと、なんだか借りてきた猫みたいにおとなしくなって所在なさげにしてる。友達の部屋に入るって割と普通の事だと思うあんまり経験ないのかな?
「よし、準備できた!こっち来て!」
「こっち……?ってお前ここ……っ」
俺がカイを案内したのは部屋の中央にあるベッド。毛布と枕はどけて、シーツを整え直したそこを指差して俺は言葉を続ける。
「ここで横になって!今からお礼するから」
「はぁ!?!?!?おお、お礼ってまさかお前っ!!??」
何故か真っ赤になっているカイに首を傾げながら俺は先を促した。
「もー!さっきから本当何??いいから早くして!」
「待っ、おま……俺にも心の準備ってやつが……」
「そんなに構えなくても痛くしないって!」
「………は?痛いってどういう……?」
カイが俺の言うことがよくわからないという顔をしてるので、俺は今日の趣旨を説明する。
「体育祭の疲れを癒すマッサージ!カイ頑張ってたから特別バージョンしてあげようと思って」
「はぁ!?マッサージ???……いや、紛らわしすぎんだろ」
カイの返答は相変わらず後半部分の声が小さくて全部は聞こえなかった。だけどとりあえず今日の目的は理解はしてもらえたっぽいのでよしとする。
そう、俺は前からお礼として今日マッサージをする事を決めていた。というのも、お礼の内容をカイにリクエストすると本当にお礼になってる?って事を頼まれたりするから。それよりは確実に体育祭で酷使してる体をほぐしてあげた方がQOLが上がるかなって思ってさ。
「前は外だったから、脚しかできなかったけど今日は腰や背中もやってあげるね」
カイの出た1キロリレーは過酷な競技だから、脚以外の全身ももれなく疲労してるはず。だから今日はベッドを使ってやろうと思ってカイを部屋に呼んだんだよね。
◇
「よいしょっ……どう?気持ちいい?」
俺はうつ伏せになったカイの背中を揉み込んで反応を確かめる。
「………お、おう」
返ってきたのはこんなよくわからない反応。もっと、効いてるとかいい感じとかちゃんと返事して欲しいんだけど、カイはガチガチに固まって大人しくなってる。俺、痛くしないって言ったけどまだ緊張してるのかなぁ?
「ちょっと強く押すから痛かったら言ってね。えい!」
あまりにも反応がないので、ちゃんと効果が出てるか不安になった俺はよく効くツボを少し強めに押すことにした。そこまで痛くはないはずだけど、それなりに押された感覚はあるはずの場所。俺はそこを押すため、ベッドに乗り上げてカイの背中に跨って覆い被さる。
「……っ!!!」
声は出さなかったけど、カイが息を呑むのが聞こえた。やっぱり効いてはいるみたいでホッとする。
(ていうかやっぱり凄……)
俺はこの近距離で見てカイの背中の筋肉の逞しさを実感する。身体的に優れているワーウルフだからというだけでなく、カイの体は大人のワイルド系のモデルの人みたいな、バランスが取れた筋肉に覆われている。クロードも筋肉すごいけど、カイのはより男って感じが強くて特にかっこいいと思う。
「ねー、どうやったらこんなに背筋つくの??俺にも分けてー」
俺はそう冗談を言いながら、カイの広い背中を指でなぞる。俺は、カイとは前か横に並んで話す事が多いから背中を見る機会はあまりなかったりする。そして背中を見る時は大抵いつも――
(俺の事庇ってくれる時、だよね)
ナンパされて困ってる時にこの背中が目の前に広がると、口には出さないけど結構安心する。
それ以外にもカイは文化祭で俺が怪我して困ってる時に助けてくれたりと、不器用だけど結構優しい。あとは体が大きいから風除けにもなってくれたっけ。
(まあ、あれは文句言われたけどね)
普段は口が悪くて、態度も雑だし、俺の言うことに文句つけてきたりもするけど、それも含めて俺はカイと友達になれてよかったと思う。
そんな気持ちを込めて、俺は丁寧にマッサージを続ける。俺の得意なこれでちょっとでも感謝の気持ちが伝わるといいな。直接お礼を口にするのは照れくさいから、俺は精一杯の気持ちを手に込めてカイの背中を揉み込んだ。
「それで、話ってなんだよ?」
寮の玄関で訪問客用の記録表に名前を書いていたカイが俺に向かって問いかける。
「カイ、俺がペア授業監督してる間色々フォローしてくれたでしょ?ちょっと間が空いちゃったけどお礼まだだったから」
ルカとエリオ君のペア授業監督は2ヶ月弱やってたから、その間俺はずっとカイに授業内容を教えてもらっていた。そのおかげで特に遅れもなく授業についていけている。前からお礼はすると約束してたし、体育祭が終わった今が絶好のタイミングなので俺はカイに声をかけたというわけだ。
「あー、なるほどな。けどなんで寮なんだよ。休み明けの学校でもよくねぇか?」
カイの疑問はもっともだ。だけどちゃんと俺には考えがあった。
「今じゃなきゃダメだからさ、じゃ着いてきて!」
俺はそう言ってカイの腕を引っ張って廊下を歩き、自分の部屋まで案内する。
「な、ななな、なんで部屋入っ!!お、お前何するつもり……」
なんだけど、なんでかカイが慌てだしてなかなか部屋に入ろうとしない。
「別に変なことなんてしないって!ほら早く入る!」
ここでこうしてても埒が開かないので俺はカイの背中を勢いよく押して部屋に押し込んだ。
◇
「準備するからここ座ってて。部屋から出るのは無しだからね!」
カイを部屋に連れ込んだ後、俺はそう言って準備を始める。カイはというと、なんだか借りてきた猫みたいにおとなしくなって所在なさげにしてる。友達の部屋に入るって割と普通の事だと思うあんまり経験ないのかな?
「よし、準備できた!こっち来て!」
「こっち……?ってお前ここ……っ」
俺がカイを案内したのは部屋の中央にあるベッド。毛布と枕はどけて、シーツを整え直したそこを指差して俺は言葉を続ける。
「ここで横になって!今からお礼するから」
「はぁ!?!?!?おお、お礼ってまさかお前っ!!??」
何故か真っ赤になっているカイに首を傾げながら俺は先を促した。
「もー!さっきから本当何??いいから早くして!」
「待っ、おま……俺にも心の準備ってやつが……」
「そんなに構えなくても痛くしないって!」
「………は?痛いってどういう……?」
カイが俺の言うことがよくわからないという顔をしてるので、俺は今日の趣旨を説明する。
「体育祭の疲れを癒すマッサージ!カイ頑張ってたから特別バージョンしてあげようと思って」
「はぁ!?マッサージ???……いや、紛らわしすぎんだろ」
カイの返答は相変わらず後半部分の声が小さくて全部は聞こえなかった。だけどとりあえず今日の目的は理解はしてもらえたっぽいのでよしとする。
そう、俺は前からお礼として今日マッサージをする事を決めていた。というのも、お礼の内容をカイにリクエストすると本当にお礼になってる?って事を頼まれたりするから。それよりは確実に体育祭で酷使してる体をほぐしてあげた方がQOLが上がるかなって思ってさ。
「前は外だったから、脚しかできなかったけど今日は腰や背中もやってあげるね」
カイの出た1キロリレーは過酷な競技だから、脚以外の全身ももれなく疲労してるはず。だから今日はベッドを使ってやろうと思ってカイを部屋に呼んだんだよね。
◇
「よいしょっ……どう?気持ちいい?」
俺はうつ伏せになったカイの背中を揉み込んで反応を確かめる。
「………お、おう」
返ってきたのはこんなよくわからない反応。もっと、効いてるとかいい感じとかちゃんと返事して欲しいんだけど、カイはガチガチに固まって大人しくなってる。俺、痛くしないって言ったけどまだ緊張してるのかなぁ?
「ちょっと強く押すから痛かったら言ってね。えい!」
あまりにも反応がないので、ちゃんと効果が出てるか不安になった俺はよく効くツボを少し強めに押すことにした。そこまで痛くはないはずだけど、それなりに押された感覚はあるはずの場所。俺はそこを押すため、ベッドに乗り上げてカイの背中に跨って覆い被さる。
「……っ!!!」
声は出さなかったけど、カイが息を呑むのが聞こえた。やっぱり効いてはいるみたいでホッとする。
(ていうかやっぱり凄……)
俺はこの近距離で見てカイの背中の筋肉の逞しさを実感する。身体的に優れているワーウルフだからというだけでなく、カイの体は大人のワイルド系のモデルの人みたいな、バランスが取れた筋肉に覆われている。クロードも筋肉すごいけど、カイのはより男って感じが強くて特にかっこいいと思う。
「ねー、どうやったらこんなに背筋つくの??俺にも分けてー」
俺はそう冗談を言いながら、カイの広い背中を指でなぞる。俺は、カイとは前か横に並んで話す事が多いから背中を見る機会はあまりなかったりする。そして背中を見る時は大抵いつも――
(俺の事庇ってくれる時、だよね)
ナンパされて困ってる時にこの背中が目の前に広がると、口には出さないけど結構安心する。
それ以外にもカイは文化祭で俺が怪我して困ってる時に助けてくれたりと、不器用だけど結構優しい。あとは体が大きいから風除けにもなってくれたっけ。
(まあ、あれは文句言われたけどね)
普段は口が悪くて、態度も雑だし、俺の言うことに文句つけてきたりもするけど、それも含めて俺はカイと友達になれてよかったと思う。
そんな気持ちを込めて、俺は丁寧にマッサージを続ける。俺の得意なこれでちょっとでも感謝の気持ちが伝わるといいな。直接お礼を口にするのは照れくさいから、俺は精一杯の気持ちを手に込めてカイの背中を揉み込んだ。
30
あなたにおすすめの小説
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
先輩たちの心の声に翻弄されています!
七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。
ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。
最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。
乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。
見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。
****
三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。
ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️
転生したが壁になりたい。
むいあ
BL
俺、神崎瑠衣はごく普通の社会人だ。
ただ一つ違うことがあるとすれば、腐男子だということだ。
しかし、周りに腐男子と言うことがバレないように日々隠しながら暮らしている。
今日も一日会社に行こうとした時に横からきたトラックにはねられてしまった!
目が覚めるとそこは俺が好きなゲームの中で!?
俺は推し同士の絡みを眺めていたいのに、なぜか美形に迫られていて!?
「俺は壁になりたいのにーーーー!!!!」
俺の異世界先は激重魔導騎士の懐の中
油淋丼
BL
少女漫画のような人生を送っていたクラスメイトがある日突然命を落とした。
背景の一部のようなモブは、卒業式の前日に事故に遭った。
魔王候補の一人として無能力のまま召喚され、魔物達に混じりこっそりと元の世界に戻る方法を探す。
魔物の脅威である魔導騎士は、不思議と初対面のようには感じなかった。
少女漫画のようなヒーローが本当に好きだったのは、モブ君だった。
異世界に転生したヒーローは、前世も含めて長年片思いをして愛が激重に変化した。
今度こそ必ず捕らえて囲って愛す事を誓います。
激重愛魔導最強転生騎士×魔王候補無能力転移モブ
最可愛天使は儚げ美少年を演じる@勘違いってマジ??
雨霧れいん
BL
《 男子校の華 》と呼ばれるほどにかわいく、美しい少年"依織のぞ"は社会に出てから厳しさを知る。
いままでかわいいと言われていた特徴も社会に出れば女々しいだとか、非力だとか、色々な言葉で貶された。いつまでもかわいいだけの僕でいたい!いつしか依織はネットにのめり込んだ。男の主人公がイケメンに言い寄られるゲーム、通称BLゲーム。こんな世界に生まれたかった、と悲しみに暮れ眠りについたが朝起きたらそこは大好きなBLゲームのなかに!?
可愛い可愛い僕でいるために儚げ男子(笑)を演じていたら色々勘違いされて...!?!?
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
うちの家族が過保護すぎるので不良になろうと思います。
春雨
BL
前世を思い出した俺。
外の世界を知りたい俺は過保護な親兄弟から自由を求めるために逃げまくるけど失敗しまくる話。
愛が重すぎて俺どうすればいい??
もう不良になっちゃおうか!
少しおばかな主人公とそれを溺愛する家族にお付き合い頂けたらと思います。
初投稿ですので矛盾や誤字脱字見逃している所があると思いますが暖かい目で見守って頂けたら幸いです。
※(ある日)が付いている話はサイドストーリーのようなもので作者がただ書いてみたかった話を書いていますので飛ばして頂いても大丈夫です。
※度々言い回しや誤字の修正などが入りますが内容に影響はないです。
もし内容に影響を及ぼす場合はその都度報告致します。
なるべく全ての感想に返信させていただいてます。
感想とてもとても嬉しいです、いつもありがとうございます!
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる