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3年2学期
99話: 他校交流、セラフィオルへのご招待 ③
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「文化祭にようこそ!こちらでは星占い研究発表を行なってます」
「園芸研究会です。庭園のチューリップを使ったケーキはいかがですか?」
外とはガラリと変わって校舎内はとても賑わっていた。言葉遣いや振る舞いはとても上品だけど、思い思いの宣伝を口にする姿はどこの文化祭も同じみたい。映画のセットみたいな建物内は綺麗に飾り付けられていて、セラフィオルでも文化祭が大切なイベントであることがよくわかる。
「女の子ばっかりで緊張するなぁ……」
セラフィオルは女子校なので当然生徒もみんな女の子だ。だから、共学に通ってる身としては何だか少し新鮮。
「こちら私達の倶楽部で提供しているパンケーキの試食ですわ。良かったらいかが?」
「ありがとうございます!わぁ美味しい」
「どちらからいらっしゃったの?」
「クロスフォードです!招待状をもらって……」
だけどセラフィオルの生徒さんはみんな親切で、外部からのお客さんが珍しいのか色々話しかけてくれる。そうしているうちに俺は段々と慣れてきて、楽しく過ごせるようになった。
そして、少し交流の波が引いてきたタイミングで俺はずっと気になっていて、あえて突っ込まなかったことを口にした。
「あのさ、カイ。何でさっきから一言も喋らないの?」
そう、カイはメイギスさんと俺が話してる時からずっと、一切言葉を発さずにここまで来ていた。俺もこの学校の独特な雰囲気に気圧されてたけど、流石にここまで静かだと気になって仕方ない。
「別に、なんでもねぇよ……」
「もー!誤魔化しても無駄だから!いつもは色々言うのに何でそんな大人しいの?お腹すいた?」
「違ぇし……」
俺が話しかけてもこうだ。目を逸らされるし、すごく歯切れが悪い。
「もしかしてカイも緊張してるの?でもみんな親切だし大丈夫だよ?」
「……お、お前はその、馴染んでっけど、……明らかに俺は浮いてんだろ。さっきから避けられてるしよ……」
なるほど。まあ確かに背が高くてがっしりとした男らしい体格のカイはこのお嬢様しかいない空間では目立つしそう感じるのかも?カイって別に女の子が苦手ってわけじゃなかったと思うけど、こんな風になるんだなぁ。生徒さん側もあんまりカイみたいなタイプに慣れてなさそうだし、避けられてるって感じるのはそれが原因かもしれない。
ていうか今カイ、ナチュラルに俺の事女の子みたいってカウントしてなかった?俺だってこの学校の中ではちゃんと男に見えてるはずなんだけど失礼しちゃうな。
「そんなことは……まあ、あるかもだけど、せっかくだから楽しも?」
「少しは包み隠せよ……はぁ、で、お前どれ見てぇの?」
「えっとねー、さっきのパンケーキの所と、チューリップのケーキ食べたい!あとは……」
「甘ぇもんばっかかよ……」
カイからは小言を言われたけど、反対はされなかったので俺はそのまま目当てのパンケーキの出店に入る事にした。試食であんなに美味しかったし、冊子に載ってる写真がすごく可愛いから食べてみたかったんだよね。
◇
「わー!可愛いし美味しい!写真撮れないの勿体無い~」
冊子の地図を手にたどり着いたパンケーキ屋さんは程よく混み合っていた。俺達は窓際の2人席に通されて頼んだ品を食べているところ。と言ってもパンケーキを食べてるのは俺だけでカイはカフェオレを飲んでいる。意外に思ったけど考えてみれば不良ってパック乳飲料好きだもんね。そんなことを考えていた俺にカイがなかなかな事を言い放つ。
「お前そんだけ食ってどこに入ってんだよ。動かねぇんだから太るだろ」
「うっ……困ったらクロードが運動付き合ってくれるから大丈夫だもん」
「っ、…………そーかよ。でもあいつ今遠征中だろ」
魔法の発達したこの世界でも、食生活から来る体の不調を防ぐ魔法はない。女の子みたいに細くなりたいわけじゃないけど、健康的に自分らしくいる為には日々の節制が重要だ。だけど、カイの言う通り、いつも運動の手伝いをしてくれていたクロードが4年生になってからは忙しくてあまりそれができていない。だからこの指摘は結構深く刺さるものだった。
「で、でも、好きなものは我慢しないほうがいいし……」
俺が頑張って絞り出した返答は弱すぎる内容で、更なる指摘が飛んでくるかもって少し身構えてたんだけど
「なら……俺が、見てやってもいいけど……」
返ってきたのはこんな返事だった。ちょっと辿々しい口調で目を逸らしながら言われたのは、まだカイがセラフィオルの雰囲気に慣れてなくて緊張してるから?
「えっほんと?ならお願いしよっかな?カイ運動得意だしなんか効果ありそう!」
カイは身体能力が高いワーウルフだけどそれだけじゃなくて、かなり体の仕組みに詳しい。多分そういう興味があって独学で勉強してるんだと思う。そのカイが一緒に運動してくれるなら効率のいいカロリー消費が期待できるかも。
「お、おう。……メニュー考えとく」
「ありがと!でもあんまり大変なのは無しね!楽しいのがいい!」
「お前運動舐め過ぎだろ……」
ちゃんと運動する予定も立てたし、これなら今日いくら食べても大丈夫だよね?俺は文化祭のグルメ情報のページを開いて早速食べたいものをピックアップする。明日以降の俺が頑張るから今日はたくさん好きなもの食べちゃおう。
何を食べるかに気を取られてた俺は、食事中、カイがずっと俺の事を見つめていた事に気付かなかった。声もかけずただ静かに俺を捉えるその瞳がどんな色を浮かべていたのか、俺はまだ知らないまま、テーブルの上を穏やかな時間だけが流れていった。
「園芸研究会です。庭園のチューリップを使ったケーキはいかがですか?」
外とはガラリと変わって校舎内はとても賑わっていた。言葉遣いや振る舞いはとても上品だけど、思い思いの宣伝を口にする姿はどこの文化祭も同じみたい。映画のセットみたいな建物内は綺麗に飾り付けられていて、セラフィオルでも文化祭が大切なイベントであることがよくわかる。
「女の子ばっかりで緊張するなぁ……」
セラフィオルは女子校なので当然生徒もみんな女の子だ。だから、共学に通ってる身としては何だか少し新鮮。
「こちら私達の倶楽部で提供しているパンケーキの試食ですわ。良かったらいかが?」
「ありがとうございます!わぁ美味しい」
「どちらからいらっしゃったの?」
「クロスフォードです!招待状をもらって……」
だけどセラフィオルの生徒さんはみんな親切で、外部からのお客さんが珍しいのか色々話しかけてくれる。そうしているうちに俺は段々と慣れてきて、楽しく過ごせるようになった。
そして、少し交流の波が引いてきたタイミングで俺はずっと気になっていて、あえて突っ込まなかったことを口にした。
「あのさ、カイ。何でさっきから一言も喋らないの?」
そう、カイはメイギスさんと俺が話してる時からずっと、一切言葉を発さずにここまで来ていた。俺もこの学校の独特な雰囲気に気圧されてたけど、流石にここまで静かだと気になって仕方ない。
「別に、なんでもねぇよ……」
「もー!誤魔化しても無駄だから!いつもは色々言うのに何でそんな大人しいの?お腹すいた?」
「違ぇし……」
俺が話しかけてもこうだ。目を逸らされるし、すごく歯切れが悪い。
「もしかしてカイも緊張してるの?でもみんな親切だし大丈夫だよ?」
「……お、お前はその、馴染んでっけど、……明らかに俺は浮いてんだろ。さっきから避けられてるしよ……」
なるほど。まあ確かに背が高くてがっしりとした男らしい体格のカイはこのお嬢様しかいない空間では目立つしそう感じるのかも?カイって別に女の子が苦手ってわけじゃなかったと思うけど、こんな風になるんだなぁ。生徒さん側もあんまりカイみたいなタイプに慣れてなさそうだし、避けられてるって感じるのはそれが原因かもしれない。
ていうか今カイ、ナチュラルに俺の事女の子みたいってカウントしてなかった?俺だってこの学校の中ではちゃんと男に見えてるはずなんだけど失礼しちゃうな。
「そんなことは……まあ、あるかもだけど、せっかくだから楽しも?」
「少しは包み隠せよ……はぁ、で、お前どれ見てぇの?」
「えっとねー、さっきのパンケーキの所と、チューリップのケーキ食べたい!あとは……」
「甘ぇもんばっかかよ……」
カイからは小言を言われたけど、反対はされなかったので俺はそのまま目当てのパンケーキの出店に入る事にした。試食であんなに美味しかったし、冊子に載ってる写真がすごく可愛いから食べてみたかったんだよね。
◇
「わー!可愛いし美味しい!写真撮れないの勿体無い~」
冊子の地図を手にたどり着いたパンケーキ屋さんは程よく混み合っていた。俺達は窓際の2人席に通されて頼んだ品を食べているところ。と言ってもパンケーキを食べてるのは俺だけでカイはカフェオレを飲んでいる。意外に思ったけど考えてみれば不良ってパック乳飲料好きだもんね。そんなことを考えていた俺にカイがなかなかな事を言い放つ。
「お前そんだけ食ってどこに入ってんだよ。動かねぇんだから太るだろ」
「うっ……困ったらクロードが運動付き合ってくれるから大丈夫だもん」
「っ、…………そーかよ。でもあいつ今遠征中だろ」
魔法の発達したこの世界でも、食生活から来る体の不調を防ぐ魔法はない。女の子みたいに細くなりたいわけじゃないけど、健康的に自分らしくいる為には日々の節制が重要だ。だけど、カイの言う通り、いつも運動の手伝いをしてくれていたクロードが4年生になってからは忙しくてあまりそれができていない。だからこの指摘は結構深く刺さるものだった。
「で、でも、好きなものは我慢しないほうがいいし……」
俺が頑張って絞り出した返答は弱すぎる内容で、更なる指摘が飛んでくるかもって少し身構えてたんだけど
「なら……俺が、見てやってもいいけど……」
返ってきたのはこんな返事だった。ちょっと辿々しい口調で目を逸らしながら言われたのは、まだカイがセラフィオルの雰囲気に慣れてなくて緊張してるから?
「えっほんと?ならお願いしよっかな?カイ運動得意だしなんか効果ありそう!」
カイは身体能力が高いワーウルフだけどそれだけじゃなくて、かなり体の仕組みに詳しい。多分そういう興味があって独学で勉強してるんだと思う。そのカイが一緒に運動してくれるなら効率のいいカロリー消費が期待できるかも。
「お、おう。……メニュー考えとく」
「ありがと!でもあんまり大変なのは無しね!楽しいのがいい!」
「お前運動舐め過ぎだろ……」
ちゃんと運動する予定も立てたし、これなら今日いくら食べても大丈夫だよね?俺は文化祭のグルメ情報のページを開いて早速食べたいものをピックアップする。明日以降の俺が頑張るから今日はたくさん好きなもの食べちゃおう。
何を食べるかに気を取られてた俺は、食事中、カイがずっと俺の事を見つめていた事に気付かなかった。声もかけずただ静かに俺を捉えるその瞳がどんな色を浮かべていたのか、俺はまだ知らないまま、テーブルの上を穏やかな時間だけが流れていった。
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