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3年2学期
111話: 文化祭準備、大型新人襲来!?⑥
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「よーし次は本番の流れを通すよ!」
マリアの掛け声で始まるチアライブリハーサル当日、俺はライブ衣装に着替えて会場である体育館の舞台に立っている。
すっかりメンバーの一員認定されているカイが機材席から音楽を流すとメンバーが一斉に動き出し、ライブが始まった。
体育祭の応援合戦と違って、ライブ形式のこれはチアしながら歌う必要がある。どっちに集中したらいいのかわからなくて最初は棒立ちで歌ったり、歌うのを忘れてチアをしてしまったりすることも多かった。
(今のジャンプはよくできたかも!)
だけど練習を重ねるにつれ、今できる精一杯のパフォーマンスができるようになったと思う。もちろんプロみたいにはできないけど、それでも文化祭に来た人に楽しんでもらえたら嬉しい。
「流れのおさらい終わり!みんな集まって!今から反省会するよ!」
一通りのリハーサルが終わって、本番に向けての反省会が始まる。マリアを中心に輪になって座った俺達はそれぞれの感想を口に出す。
「やっぱさー、サビのとこ動き合うとかっこいいよね!」
「今日のが一番脚揃ってたと思う!応援合戦思い出したわ」
「マイクの音少し大きくなかった?本番はもう少し抑えてもいいかも」
皆が言ってることは俺も思ってたことだった。前の体育祭の時と違って、どうしたらよくなるかを考えながら動けるようになってきたかも。
「カイはどう思った?遠くから見た感想お願い!」
「は?俺?……あー、3曲目のジャンプするやつとか、いいんじゃねぇかと思ったけど……」
「俺もそれうまくいったと思った!でもメインの動きじゃないのによく覚えてたね?」
「……っ、たまたま、たまたま目に入ったんだよ!別にお前ばっか見てたわけじゃ……」
外部からの意見も貴重かなってカイに話を振ってみたら、ジャンプの話に触れてくれた。今回一番練習したところだから嬉しい。なんでかカイは慌ててるみたいだけど素直に褒めたのが恥ずかしかったのかな?
「本番はリハーサル以上のパフォーマンスを目指しましょ!じゃあ入場チケット割り振るから携帯確認してね!」
マリアに言われて携帯を見ると、電子チケットが数枚送られてきた。今年の文化祭は警備の関係でパフォーマンス系の出し物は全て出入場の人数管理がされる事になったんだよね。学園演劇も確か同じ形式だから今年はチケットの争奪戦が凄そう。
「入場許可のある人なら誰でもOKだから好きに配ってね!リハーサルはここまでだから後は各自自主練で!」
こうしてリハーサルは終わり、俺は自主練の為に残る事にした。動画を確認しながら振りを見直していると、マリアが近づいてくるのが見える。
「自主練も残ってくれてありがと!フレンが参加してくれて本当に良かった!今日のジャンプ今までで一番だったよ!」
「ありがとう!マリアの歌もすごく良かった!なんか聞いてるだけで元気出るんだよね」
チアライブのメインボーカルはマリアだ。チアパフォーマンスは勿論歌もめちゃくちゃ上手くて、このライブを引っ張ってくれる姿はチアリーダーだった頃と変わらない。
「アタシはセイレーンだからね!声には自信あるの。色々言われることもあるけど皆に届きやすい声って、応援にもってこいでしょ?」
「そうだね。俺マリアの声好き!」
セイレーンは声で人々を魅了する種族だ。だから昔はその能力で人を操るとか言われてて、今でも少しその偏見は残ってる。夢魔とは違うけど、声が通って目立つ分陰口を言われることも少なくない。だけどマリアはそれを知った上で自分の得意な事として、やりたい事をやり通してる。
「マリアはどうして応援が好きなの?一年の頃からチアやってたよね?」
「あー、実はアタシ、昔は自分の種族について悩む事多かったんだ。普通に話してるだけでも主張強く見えて、操ろうとしてるだろとか言われたりね」
そう語る声は穏やかだけど多分本当のことを言っているのがわかった。すごく明るい今のマリアからは想像できないけど、種族について悩む気持ちはわかるから俺は静かに頷く。
「そんな時、たまたまテレビで同じセイレーンのチアの人を見たの。それで応援されてた選手が、その人の声が一番通って元気が出るって言ってたのを聞いて、自分の声にもそんな力があったらいいなって思ったのがきっかけ」
「そうなんだ……。マリアは凄いね」
「そんな大層なことじゃないけどさ。けどアタシはセイレーンで良かったと思う。今もきっとよく思わない人はいるけど、その人も含めてアタシの声で元気を届けたいと思ってるんだよね」
そう言って笑うマリアからは確かな誇りを感じて俺はお世辞抜きで凄いと思った。種族としての個性を良く思わない人に対しても、その声を活かして歩み寄るって考えは自分も他人も大切にしたものだと思う。
(俺も、自分の種族にもう少し向き合えたら、マリアみたいになれるのかな……)
今はまだ難しいけど、目の前の友達が進んだ道をいつか俺も歩いてみたい。そう思いながら俺はマリアと一緒にライブ練習に精一杯取り組んだ。
◇
寮に帰って寝る前のベッドの上で、俺はチアライブのチケットのことを考えていた。今回は外部客なしだから両親は来れないし、在校生か他校交流の生徒だけが対象だ。
「チケット誰に渡そうかな?カイは当日も機材で参加するし……」
電子チケットだから携帯持ってないルカに渡すのは難しいかもしれない。エリオ君に2人分渡したらいけるかな?……2人が並んでライブ見てる図はあんまり想像できないけど。クロードは絶対見てくれるよね。もう送っちゃおうかな。
(あとは……ん、これって……)
電子チケットの宛先を考えながら携帯のメッセージアプリを眺めていた俺の目にあるものが止まった。
「まあ、これもありかも?」
チケットの枚数は足りてるし。俺はピックアップしたメンバーにそれぞれ電子チケットを送って静かに眠りについた。
マリアの掛け声で始まるチアライブリハーサル当日、俺はライブ衣装に着替えて会場である体育館の舞台に立っている。
すっかりメンバーの一員認定されているカイが機材席から音楽を流すとメンバーが一斉に動き出し、ライブが始まった。
体育祭の応援合戦と違って、ライブ形式のこれはチアしながら歌う必要がある。どっちに集中したらいいのかわからなくて最初は棒立ちで歌ったり、歌うのを忘れてチアをしてしまったりすることも多かった。
(今のジャンプはよくできたかも!)
だけど練習を重ねるにつれ、今できる精一杯のパフォーマンスができるようになったと思う。もちろんプロみたいにはできないけど、それでも文化祭に来た人に楽しんでもらえたら嬉しい。
「流れのおさらい終わり!みんな集まって!今から反省会するよ!」
一通りのリハーサルが終わって、本番に向けての反省会が始まる。マリアを中心に輪になって座った俺達はそれぞれの感想を口に出す。
「やっぱさー、サビのとこ動き合うとかっこいいよね!」
「今日のが一番脚揃ってたと思う!応援合戦思い出したわ」
「マイクの音少し大きくなかった?本番はもう少し抑えてもいいかも」
皆が言ってることは俺も思ってたことだった。前の体育祭の時と違って、どうしたらよくなるかを考えながら動けるようになってきたかも。
「カイはどう思った?遠くから見た感想お願い!」
「は?俺?……あー、3曲目のジャンプするやつとか、いいんじゃねぇかと思ったけど……」
「俺もそれうまくいったと思った!でもメインの動きじゃないのによく覚えてたね?」
「……っ、たまたま、たまたま目に入ったんだよ!別にお前ばっか見てたわけじゃ……」
外部からの意見も貴重かなってカイに話を振ってみたら、ジャンプの話に触れてくれた。今回一番練習したところだから嬉しい。なんでかカイは慌ててるみたいだけど素直に褒めたのが恥ずかしかったのかな?
「本番はリハーサル以上のパフォーマンスを目指しましょ!じゃあ入場チケット割り振るから携帯確認してね!」
マリアに言われて携帯を見ると、電子チケットが数枚送られてきた。今年の文化祭は警備の関係でパフォーマンス系の出し物は全て出入場の人数管理がされる事になったんだよね。学園演劇も確か同じ形式だから今年はチケットの争奪戦が凄そう。
「入場許可のある人なら誰でもOKだから好きに配ってね!リハーサルはここまでだから後は各自自主練で!」
こうしてリハーサルは終わり、俺は自主練の為に残る事にした。動画を確認しながら振りを見直していると、マリアが近づいてくるのが見える。
「自主練も残ってくれてありがと!フレンが参加してくれて本当に良かった!今日のジャンプ今までで一番だったよ!」
「ありがとう!マリアの歌もすごく良かった!なんか聞いてるだけで元気出るんだよね」
チアライブのメインボーカルはマリアだ。チアパフォーマンスは勿論歌もめちゃくちゃ上手くて、このライブを引っ張ってくれる姿はチアリーダーだった頃と変わらない。
「アタシはセイレーンだからね!声には自信あるの。色々言われることもあるけど皆に届きやすい声って、応援にもってこいでしょ?」
「そうだね。俺マリアの声好き!」
セイレーンは声で人々を魅了する種族だ。だから昔はその能力で人を操るとか言われてて、今でも少しその偏見は残ってる。夢魔とは違うけど、声が通って目立つ分陰口を言われることも少なくない。だけどマリアはそれを知った上で自分の得意な事として、やりたい事をやり通してる。
「マリアはどうして応援が好きなの?一年の頃からチアやってたよね?」
「あー、実はアタシ、昔は自分の種族について悩む事多かったんだ。普通に話してるだけでも主張強く見えて、操ろうとしてるだろとか言われたりね」
そう語る声は穏やかだけど多分本当のことを言っているのがわかった。すごく明るい今のマリアからは想像できないけど、種族について悩む気持ちはわかるから俺は静かに頷く。
「そんな時、たまたまテレビで同じセイレーンのチアの人を見たの。それで応援されてた選手が、その人の声が一番通って元気が出るって言ってたのを聞いて、自分の声にもそんな力があったらいいなって思ったのがきっかけ」
「そうなんだ……。マリアは凄いね」
「そんな大層なことじゃないけどさ。けどアタシはセイレーンで良かったと思う。今もきっとよく思わない人はいるけど、その人も含めてアタシの声で元気を届けたいと思ってるんだよね」
そう言って笑うマリアからは確かな誇りを感じて俺はお世辞抜きで凄いと思った。種族としての個性を良く思わない人に対しても、その声を活かして歩み寄るって考えは自分も他人も大切にしたものだと思う。
(俺も、自分の種族にもう少し向き合えたら、マリアみたいになれるのかな……)
今はまだ難しいけど、目の前の友達が進んだ道をいつか俺も歩いてみたい。そう思いながら俺はマリアと一緒にライブ練習に精一杯取り組んだ。
◇
寮に帰って寝る前のベッドの上で、俺はチアライブのチケットのことを考えていた。今回は外部客なしだから両親は来れないし、在校生か他校交流の生徒だけが対象だ。
「チケット誰に渡そうかな?カイは当日も機材で参加するし……」
電子チケットだから携帯持ってないルカに渡すのは難しいかもしれない。エリオ君に2人分渡したらいけるかな?……2人が並んでライブ見てる図はあんまり想像できないけど。クロードは絶対見てくれるよね。もう送っちゃおうかな。
(あとは……ん、これって……)
電子チケットの宛先を考えながら携帯のメッセージアプリを眺めていた俺の目にあるものが止まった。
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