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18 昼の山
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結局リモは口を割らず、僕たちとしても山に用事があると言う事でカフェを後にした。
「またおいで」
なんて言ってくれたものの、正直来づらい。
自転車の籠の中で震えているリモに、僕は声をかけた。
「リモ」
「……はいっ!」
リモは異常に驚いてリモはこちらを見上げる。
「さあ何知ってんのか話してもらおうか」
「な、何のことですかねえ」
「ひよりって誰?」
「いやー……それが……口止めされててあそこで言えなかったんですが……日和ちゃんは、おいらの友達の野狐《やこ》なんです」
「やこ?」
自転車を押しながら僕らはリモの話を聞くことにした。
十一時近くと言う事もあり、商店街は人通りが多い。
「野狐っていうのは、下っ端の狐妖怪って言えばいいのかなあ。日和ちゃんはおいらよりも年上で、怒ると怖いんですよ」
「それはわかったから、なんで口止めされてるんだよそんなの」
「だって、喋ったら殺す、って言われたから」
本当に怖いのだろう、リモはまたガクブルと震えている。
「日和ちゃん怖いんだもん……あ、でも日和ちゃんに何か月も会ってないんですよね。そういえばどうしてるんだろ?」
そして、リモは腕を組み首を傾げた。
「狐の妖怪ねえ……」
臨が呟く。
狐の妖怪というのは確かに引っかかるけれど、容姿が僕が見たものと違う様な?
僕が見たものの髪色は薄い茶色なんかじゃなかったし、真っ白だったはずだ。
日和という狐とあの化け物。同じものなのか、それとも違うものなのか?
現状、証明する方法はない。
「とりあえず何もわからないし社に行ってみよう。何か手がかりがあるかもしれないし」
そして僕たちは歩いて山へと向かった。
日曜と言う事もあり山へ入っていく人々の数は多かった。
子供の姿もちらほらある。
今時の子供って外に出てもゲームやるだけじゃねーのか?
そう思いつつ、僕は獣道の入り口そばに自転車を止めた。
そこにはすでに数台の自転車が止まっている。そのほとんどが僕の自転車よりも一回り小さいからきっと持ち主は小学生だろう。
僕はリモを抱え山を見た。
昨夜は不気味な雰囲気だったが、日の光の中で見ると至って普通の山だった。
広葉樹の葉の色は変わり、風が吹くたびに枝を揺らして葉を散らす。
「あら狸?」
山から下りてきた、帽子を被った年配の女性がリモを見つけてそう声をかけてくる。
「ずいぶんと太ってるわねえ。貴方のペット?」
「え、あ、えぇ……まあ……」
曖昧な返事をすると、僕の腕の中でリモがバタバタと暴れて苦情を言ってくるが、そんなの構っていられないので僕はそそくさとその場を後にした。
「紫音、置いて行かないでよ」
後ろから臨の抗議の声が聞こえてくる。
「やだよ、リモが暴れてるし」
「それは苦情も言いますよ! おいらはペットじゃないと何度言えばいいのかと全く」
鼻息荒くリモが文句を言う。
「あぁ、そうだな。お前は賢くって可愛い愛玩動物だ」
「そうですおいらは愛玩……て、それってペットと同じ意味!」
そんなノリツッコミをしてくるリモを抱えて、僕は獣道を上っていく。
昨夜はただただ怖い道だったが、日差しの中では怖さを感じない。
あの幽霊に出会った分かれ道に着いても、何にも感じなかった。
分かれ道で止まり、僕らは社へと向かう道を見る。
すれ違う人々は皆、山頂の見晴らし台を目指すためか社へと続く道は人の気配がなくて暗く感じた。
そっちへは行ってはいけないと、本能が語る。
進みたいのに、妙に足が重い。
「おいらも……あっちは怖くて最近近づいてないんすよね……」
腕の中でリモが僕の腕をぎゅっと握りながら言った。
「何が怖いんだ?」
「なんて言うか……おぞましいものがいる気配があると言うか……」
「それっていつから?」
「結構前からっすねえ……何か月も前すよ……」
そして、リモはぶるり、と震える。
「昼でもいやーな空気感じますからねえ……」
「紫音、なに突っ立ってんの? ほら、行くよ。お腹すいたし」
臨は僕の腕を掴むと、足取り軽く、社の方へとどんどん歩いて行く。
「え、あ……臨?」
「何?」
「お前、何にも感じねーの?」
僕が言うと、臨は足を止め怪訝な顔をして僕を見た。
「何が」
「だって明らかに怖くね?」
「だから何が」
何が、と言われると何も言い返せなくなってしまう。
臨はにこっと笑い言った。
「何がいても大丈夫だよ。何の為に、俺がいるの」
それだけ言い、臨は正面を向き歩き始めた。
何の為に俺がいるの。
臨を巻き込んだのはそもそも僕だ。
臨の力を思い出し、僕は意を決し社へと足を早めた。
「またおいで」
なんて言ってくれたものの、正直来づらい。
自転車の籠の中で震えているリモに、僕は声をかけた。
「リモ」
「……はいっ!」
リモは異常に驚いてリモはこちらを見上げる。
「さあ何知ってんのか話してもらおうか」
「な、何のことですかねえ」
「ひよりって誰?」
「いやー……それが……口止めされててあそこで言えなかったんですが……日和ちゃんは、おいらの友達の野狐《やこ》なんです」
「やこ?」
自転車を押しながら僕らはリモの話を聞くことにした。
十一時近くと言う事もあり、商店街は人通りが多い。
「野狐っていうのは、下っ端の狐妖怪って言えばいいのかなあ。日和ちゃんはおいらよりも年上で、怒ると怖いんですよ」
「それはわかったから、なんで口止めされてるんだよそんなの」
「だって、喋ったら殺す、って言われたから」
本当に怖いのだろう、リモはまたガクブルと震えている。
「日和ちゃん怖いんだもん……あ、でも日和ちゃんに何か月も会ってないんですよね。そういえばどうしてるんだろ?」
そして、リモは腕を組み首を傾げた。
「狐の妖怪ねえ……」
臨が呟く。
狐の妖怪というのは確かに引っかかるけれど、容姿が僕が見たものと違う様な?
僕が見たものの髪色は薄い茶色なんかじゃなかったし、真っ白だったはずだ。
日和という狐とあの化け物。同じものなのか、それとも違うものなのか?
現状、証明する方法はない。
「とりあえず何もわからないし社に行ってみよう。何か手がかりがあるかもしれないし」
そして僕たちは歩いて山へと向かった。
日曜と言う事もあり山へ入っていく人々の数は多かった。
子供の姿もちらほらある。
今時の子供って外に出てもゲームやるだけじゃねーのか?
そう思いつつ、僕は獣道の入り口そばに自転車を止めた。
そこにはすでに数台の自転車が止まっている。そのほとんどが僕の自転車よりも一回り小さいからきっと持ち主は小学生だろう。
僕はリモを抱え山を見た。
昨夜は不気味な雰囲気だったが、日の光の中で見ると至って普通の山だった。
広葉樹の葉の色は変わり、風が吹くたびに枝を揺らして葉を散らす。
「あら狸?」
山から下りてきた、帽子を被った年配の女性がリモを見つけてそう声をかけてくる。
「ずいぶんと太ってるわねえ。貴方のペット?」
「え、あ、えぇ……まあ……」
曖昧な返事をすると、僕の腕の中でリモがバタバタと暴れて苦情を言ってくるが、そんなの構っていられないので僕はそそくさとその場を後にした。
「紫音、置いて行かないでよ」
後ろから臨の抗議の声が聞こえてくる。
「やだよ、リモが暴れてるし」
「それは苦情も言いますよ! おいらはペットじゃないと何度言えばいいのかと全く」
鼻息荒くリモが文句を言う。
「あぁ、そうだな。お前は賢くって可愛い愛玩動物だ」
「そうですおいらは愛玩……て、それってペットと同じ意味!」
そんなノリツッコミをしてくるリモを抱えて、僕は獣道を上っていく。
昨夜はただただ怖い道だったが、日差しの中では怖さを感じない。
あの幽霊に出会った分かれ道に着いても、何にも感じなかった。
分かれ道で止まり、僕らは社へと向かう道を見る。
すれ違う人々は皆、山頂の見晴らし台を目指すためか社へと続く道は人の気配がなくて暗く感じた。
そっちへは行ってはいけないと、本能が語る。
進みたいのに、妙に足が重い。
「おいらも……あっちは怖くて最近近づいてないんすよね……」
腕の中でリモが僕の腕をぎゅっと握りながら言った。
「何が怖いんだ?」
「なんて言うか……おぞましいものがいる気配があると言うか……」
「それっていつから?」
「結構前からっすねえ……何か月も前すよ……」
そして、リモはぶるり、と震える。
「昼でもいやーな空気感じますからねえ……」
「紫音、なに突っ立ってんの? ほら、行くよ。お腹すいたし」
臨は僕の腕を掴むと、足取り軽く、社の方へとどんどん歩いて行く。
「え、あ……臨?」
「何?」
「お前、何にも感じねーの?」
僕が言うと、臨は足を止め怪訝な顔をして僕を見た。
「何が」
「だって明らかに怖くね?」
「だから何が」
何が、と言われると何も言い返せなくなってしまう。
臨はにこっと笑い言った。
「何がいても大丈夫だよ。何の為に、俺がいるの」
それだけ言い、臨は正面を向き歩き始めた。
何の為に俺がいるの。
臨を巻き込んだのはそもそも僕だ。
臨の力を思い出し、僕は意を決し社へと足を早めた。
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