〔完結済〕この腕が届く距離

麻路なぎ

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13 苦しい★

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 風呂場から夏目の部屋に移動しながら、俺たちはキスを交わす。
 少しの時間も無駄にしないように。
 舌が絡まりあい、ぴちゃりと唾液が絡まる音が静かな部屋に響く。
 キス、気持ち良すぎる。
 すでに理性が溶けてしまった俺は、夏目の首に腕を絡め、自分からも舌を出した。
 キスしながら乳首を撫でられ、摘ままれると甘い痺れが広がっていく。
 やばい、乳首気持ちいい。
 そのまま俺たちはベッドに倒れこみ、夏目は獣のような目で俺を見つめて言った。

「俺、我慢できないかも。ねえ、朱里、全部中にいれたい。ぐちゃぐちゃにして、俺で朱里を満たしたい。だめ?」

 夏目が何を言いたいのか、理性が溶けてしまっている俺には理解できず、

「もっと、欲しい……早くちょうだい?」

 と、ねだるだけだった。
 夏目は満足そうに笑い、乳首を口に含みぺろぺろと舐めた。
 手は太ももを這い、先走りを溢れさせるペニスへと触れる。
 風呂場では、結局互いにイくまではやらなかった。
 だからペニスはすでにガチガチで、熱の放出を待ちわびている。
 夏目は俺の足を抱え上げると、穴に先端を宛がい、ゆっくりと中に入ってきた。
 
「ふあぁ……あぁ……!」

 腰から這い上がる快感に、俺は思い切り背を反らす。
 匂いがする。
 夏目の甘い、理性を奪い去る匂いが俺を包み込み、本能を呼び覚ます。

「……中、きっつ……」

 苦しげに呟き、夏目は徐々に腰を埋める。

「半分よりは入ったけど……まだ全部は無理そうだね」

 言いながら夏目は俺の腹を撫で、腰を動かし始めた。
 前立腺を刺激されるたびに、俺は喘ぎ夏目の名を繰り返し口にする。

「飛衣……とい、そこきもち、イイ……」

 俺はオメガじゃない。
 そう思うのに、欲望が抑えられず夏目を求める気持ちがどんどん大きくなっていく。

「早く全部いれたいなあ」

 うっとりと呟き、夏目はぐい、とさっきよりも腰を深く埋めた。

「ひっ……」

 痛い苦しい。
 自然と涙が流れ、それに気が付いた夏目は俺の目元に触れて、目を細めた。

「やっぱりまだきついんだ。んー、こんな風に反応見ながら抱くことなんてないから加減が分かんないや」

 と言い、夏目はぐい、とペニスをぎりぎりまで引き抜き、浅い所で抜き差しを繰り返した。
 夏目の動きに合わせて俺の腰も揺れ、前立腺が刺激される。
 
「あはは。ただのベータに俺、どうかしてるかも」

 自嘲気味に夏目は呟き、腰を揺らしながら俺に口づけた。
 すぐに舌が唇を割り、口の中を舐め回す。
 俺も夏目の首に腕を絡めて舌を動かし絡めると、唾液の混ざる音が卑猥に響く。
 俺、誰とも付き合ったことないし、オナニーだってろくにしたことないのに。
 今、男とディープキスして悦んでる。
 唇が離れたとき、視線が絡む。
 夏目の目が獲物を捕らえた獣のようで、背中がゾクゾクする。

「と、飛衣……」

「俺の匂いがわかるのに、思うようにはいかないんだなぁ。精神干渉して、その気にさせる方がよほど楽だったんだなって思うよ」

 言いながら夏目は俺の前立腺を攻めたてる。

「ひ、あぁ……で、も……俺に力通じ……あぁ!」

「そうそう、君の心って鉄格子の中みたいで全然干渉できないんだよね。なのに……」

「あぁ!」

「匂いで捕らえることができるだなんて思わなかったよね」

「ひ、あ……腹、苦し……飛衣、とい!」

 無理やり奥に亀頭が入り、俺は彼にしがみ付く。
 がちがちと歯が鳴り、涙がどんどん溢れてくる。

「大事に抱きたいのに、早く犯したい気持ちもあって苦しいよ」

「あぁ!」

 夏目は腰を引き、また奥まで入ろうとして俺の視界が歪む。
 
「苦し……とい、やめ……」

「うん、すごく苦しそうだよね。これ以上は無理なのはわかってるんだ」

 苦しげに呟き、夏目は腰を引き、浅い所を激しく突き立てた。

「い、あ……あぁ……と、い……」

「出すよ、朱里」

 余裕のない声で告げ、夏目は動きを止めた。
 今日はゴムをしているらしく、この間みたいに中に出される感覚がない。
 夏目は大きく息を吐くと身体を起こし、俺の中に挿れたまま俺のガチガチのペニスに手を掛け上下に扱いた。

「と、飛衣……だめ……でる、からぁ!」

 あっという間に俺は絶頂を迎え、夏目の手の中に精液を吐きだした。
 夏目は白濁まみれになった自分の手を見つめ、その指をぺろり、と舐めて俺の顔を見つめた。
 そんな姿も俺には色っぽく映る。
 このまま俺は堕ちていくのだろうか。
 夏目の手の中に。
 いいや、もう遅いか。
 俺はもう、夏目の腕の中にいる。
 あの時……中庭掃除を共にした日、俺が腕を伸ばさなければこうはならなかったんだろうか?
 そんな事思っても、もう時間を戻すことなんてできない。
 ただ、俺が匂いに弱かったから。
 俺に、夏目の力が通じなかったから。
 夏目が抱く相手を探していたから。
 いくつかの要素が絡まりあい、今がある。
 きっともう俺は逃げられない。
 夏目は、ぼんやりとする俺の中からペニスを引き抜くとゴムを外し、それをゴミ箱に捨てて俺にまた覆いかぶさって来た。
 
「早く後ろでイけるようになろうね、朱里。だから週末はうちに泊まるんだよ?」

 笑みを浮かべて言いながら、夏目は俺に口づけた。
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