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訓練
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さて、ヴィトスクに住まう蛮族を征伐した王国軍と独立魔導旅団であるが、少々出費が嵩んだ事によって現在は緊縮中である。師団規模の予算が割り当てられ、反乱を討伐したが故に予算をせびることは確かにできるけども。
遺族年金(なおカスみたいな額)の支払いや、それに伴う書類申請、規模を充足させるために新兵をねだったりと。まぁ仕事は色々とあるわけだ。
しかもそこにウチの荘園管理についての書類とか御用商人(規模に応じて増えた)の応対とかしなきゃいけないんだぜ?ったく、貴族って仕事は楽じゃねぇな!
バサッと軍から届けられる情報誌を読み進めていく。相も変わらず世の中は混沌として平穏なそぶりを見せていて、ブランタリア内戦ではラッスが陥落、パリスは包囲戦の真っただ中。反乱軍は各地で湧き出していて本格的に絶対君主主義者はピンチ!という状況だったり、東方の情勢やら連合王国の情報やら、見どころのある軍人や、一考に値する論文などの情報が色々と流れてくるのだ。
「ブッフ!?」
しかし、俺が驚いたことはもう一つある。
《暗黒大陸の植民地計画》
あくまでも論文であり、起草案であるが。ライヒ民族を食わせるための新天地を求める風潮が軍の中でちょびっと湧いてきているらしい。帝国主義が萌芽しそうになっている時代の中、乗り遅れるな!と急ぐ者たちがいるわけだ。
他の列強たちが海岸部に進出していることは知っている上で、だからこそ内陸!そして東方の海!という内容であり、実に未来的な発想である。一体この論文を誰が起草したというののだろう。
実を言う所、この時代の植民地はポルトガルやスペインを除いて、特にアフリカでは内陸部には滅多に進出せず、海岸部や川沿いであることが多かった。
まぁ利便性を考えたら、そりゃそうなるわな。
狙いとして記されているのは、マラリアとかがそこまで強くない、過去で言うトーゴとかの西アフリカ一帯を指し示しており、奴隷貿易はとうの昔に終了しているわけだが、砂糖やカカオなどを王国の直轄下におけることは極めて強い意味を持つとかなんとかかんとか。
それに、あくまでライヒ人が管轄するのではなく、ポートラント王国やヴァルセロ王国から小さな植民地を買い上げるだけでも良いと、最小限の国産化を成し遂げることが大事であると書かれている。
財務官僚的には全くもってNGを返したくなる代物だが、個人的には極めて重要だと思う。個人的には開拓されるか知らんが赤道ギニア辺りがねらい目だ。そこらが分かりやすい狙い目だったりするのだ。
島で交通の要衝で、人口は今の所控えめ。管理しやすく、土地に困っているライヒ人を移住させることに対して結構向いている土地であるからして。
「レヴィーネ。植民地の開拓に興味はあるか?」
「そうですね…同胞からは結構儲かるなどの話は聞いてはいます…が。反乱などがあって命が危ないことがあると言われると少々悩んでしまいます」
やっぱり商売は安全かつ堅実にですよ。まぁ合衆国や儲かっている植民地会社に投資してはいますけどねと言ってくるレヴィーネに同意しつつも、ドイツ帝国植民地の顛末を知っていると、勿体ないなぁ、もっと早く植民地開拓しておけば良かったんじゃないかなぁと思ってしまうのが人間のサガというモノで。
「まぁ沿岸部もあるとはいえ、北海に位置する王国には意味のない話かぁ…」
とりとめのない思い付きはやっぱり地政学的に無理だという結論に至って、商人たちを炊きつけ、所謂王国が管理しない植民地なら良いのではないか?と思い直す。
あれだ、英領東インド会社とか、オランダ領東インド会社って聞いたことないか?あんな感じの株式支配だ。それをすれば開拓されるかもしれないということを反論としておこうと手紙を書いておくことにする。
目の付け所はいいからな、この論文を書いた奴。100年後くらいに植民地支配に躍起になるなら今のうちに確保しておこうと俺が考えたのは事実なわけだし。
「それに、ライヒを統一した方が経済力は伸びるだろうし」
プロイセン王国からドイツ帝国に躍進した後の爆発的な経済成長を考えればわかるだろう。普仏戦争後、爆発的な人口上昇と同じドイツ語を基盤とする労働人口の爆発的な増加と、帝国という、自治権を持つ諸邦と王国たちの連合体であったとしても、遥かに合理化された経済と産業の投資はあっという間にドイツ帝国を世界二番目の経済大国へと化けさせることに成功した。
土地はフランスと比べると相対的に貧しく、鉱物もそれなりにあるが地政学的に貿易は新大陸に進出することを考えると難しい立地にありながらだ。全く、潜在能力では化け物じみた国だと言えるだろう。
「……閣下は、近い間に秩序が崩れるとお思いでしょうか?」
「なるな、間違いなく。民族主義、立憲主義、植民地獲得競争は加速するだろう…今、場末の酒場では統一ライヒ人国家を待ち望む人たちが増えている。皆、神聖グロウス帝国に疑問を持ち始めているんだよ」
ブランタリア王国、ビオーネ連合王国が躍進を果たしているのに対して、ライヒ人のための神聖グロウス帝国は仲間割れと同士討ちを繰り返すばかりで、到底ライヒ人統一国家とは言えない有様だ。
それに疑問を持ち、統一された真のライヒ国家を待ち望んでいる民衆は多いだろう。
だからこそ、ブルネンシャフト運動からの革命、そこからのドイツ連邦、三王同盟などの三段階のドイツ統一構想が練り上げられ、それら全ては水泡に帰し…結果的にビスマルクが築き上げた北ドイツ連邦にドイツ帝国へとなっていくのだから。
ある意味で、ナポレオンは時の流れを加速させ、民族主義と民主主義を浸透させた火付け役に過ぎなかったと言える。何故なら、そこまでしてすぐに革命が起きるほどに、人々は不満を持っていたということになるのだから。
ナポレオン戦争で、ナショナリズムに突き動かされる大義が与えられたのみで、元々統一運動は巻き起こっていたと考えるのが自然だろう。
そして、肝心のナポレオンはブタンタリアの有名下級将校の一人として、すでに俺の手に入る情報網でも難局を覆したとして話題になっているほどだ、少々台頭が早い気がするが…それは関係ない。
ブランタリア民族の覇者として君臨する軍事的な才覚がすでに目覚め、そして立憲主義のために戦う怪物はすでに生まれている、それが分かっているだけで俺にとっては十分だ。
そろそろ立憲政府が樹立され、そこから革命政府が樹立、更にそこからクーデターで三頭政治が成立し、ナポレオン帝政が樹立されることになるだろう。予想では、10年かそこらか。ブランタリア帝国が欧州を席巻し、南部からはアルトリア帝国が俺たちに宗教を押し付けるために武器を取るだろう。
「……覚悟しろ、西と南から嵐が吹くぞ。ひょっとしたら、東方からも」
「どこまでもお供します、グラウス=リッター=フォン=ヴァルト=ユンガー子爵閣下」
世界大戦は近く、そしてそれに抗うには人の力ではなんと難しいことか。我らは政治というかくも深淵たるものに突き動かされ、集団真理と経済的繁栄を求めて永久に争い合うのだから。
それを自覚した俺は重いだから溜め息を吐き、そんな嫌な未来が永劫こないことを、無駄だと知りつつも祈るのだった。
遺族年金(なおカスみたいな額)の支払いや、それに伴う書類申請、規模を充足させるために新兵をねだったりと。まぁ仕事は色々とあるわけだ。
しかもそこにウチの荘園管理についての書類とか御用商人(規模に応じて増えた)の応対とかしなきゃいけないんだぜ?ったく、貴族って仕事は楽じゃねぇな!
バサッと軍から届けられる情報誌を読み進めていく。相も変わらず世の中は混沌として平穏なそぶりを見せていて、ブランタリア内戦ではラッスが陥落、パリスは包囲戦の真っただ中。反乱軍は各地で湧き出していて本格的に絶対君主主義者はピンチ!という状況だったり、東方の情勢やら連合王国の情報やら、見どころのある軍人や、一考に値する論文などの情報が色々と流れてくるのだ。
「ブッフ!?」
しかし、俺が驚いたことはもう一つある。
《暗黒大陸の植民地計画》
あくまでも論文であり、起草案であるが。ライヒ民族を食わせるための新天地を求める風潮が軍の中でちょびっと湧いてきているらしい。帝国主義が萌芽しそうになっている時代の中、乗り遅れるな!と急ぐ者たちがいるわけだ。
他の列強たちが海岸部に進出していることは知っている上で、だからこそ内陸!そして東方の海!という内容であり、実に未来的な発想である。一体この論文を誰が起草したというののだろう。
実を言う所、この時代の植民地はポルトガルやスペインを除いて、特にアフリカでは内陸部には滅多に進出せず、海岸部や川沿いであることが多かった。
まぁ利便性を考えたら、そりゃそうなるわな。
狙いとして記されているのは、マラリアとかがそこまで強くない、過去で言うトーゴとかの西アフリカ一帯を指し示しており、奴隷貿易はとうの昔に終了しているわけだが、砂糖やカカオなどを王国の直轄下におけることは極めて強い意味を持つとかなんとかかんとか。
それに、あくまでライヒ人が管轄するのではなく、ポートラント王国やヴァルセロ王国から小さな植民地を買い上げるだけでも良いと、最小限の国産化を成し遂げることが大事であると書かれている。
財務官僚的には全くもってNGを返したくなる代物だが、個人的には極めて重要だと思う。個人的には開拓されるか知らんが赤道ギニア辺りがねらい目だ。そこらが分かりやすい狙い目だったりするのだ。
島で交通の要衝で、人口は今の所控えめ。管理しやすく、土地に困っているライヒ人を移住させることに対して結構向いている土地であるからして。
「レヴィーネ。植民地の開拓に興味はあるか?」
「そうですね…同胞からは結構儲かるなどの話は聞いてはいます…が。反乱などがあって命が危ないことがあると言われると少々悩んでしまいます」
やっぱり商売は安全かつ堅実にですよ。まぁ合衆国や儲かっている植民地会社に投資してはいますけどねと言ってくるレヴィーネに同意しつつも、ドイツ帝国植民地の顛末を知っていると、勿体ないなぁ、もっと早く植民地開拓しておけば良かったんじゃないかなぁと思ってしまうのが人間のサガというモノで。
「まぁ沿岸部もあるとはいえ、北海に位置する王国には意味のない話かぁ…」
とりとめのない思い付きはやっぱり地政学的に無理だという結論に至って、商人たちを炊きつけ、所謂王国が管理しない植民地なら良いのではないか?と思い直す。
あれだ、英領東インド会社とか、オランダ領東インド会社って聞いたことないか?あんな感じの株式支配だ。それをすれば開拓されるかもしれないということを反論としておこうと手紙を書いておくことにする。
目の付け所はいいからな、この論文を書いた奴。100年後くらいに植民地支配に躍起になるなら今のうちに確保しておこうと俺が考えたのは事実なわけだし。
「それに、ライヒを統一した方が経済力は伸びるだろうし」
プロイセン王国からドイツ帝国に躍進した後の爆発的な経済成長を考えればわかるだろう。普仏戦争後、爆発的な人口上昇と同じドイツ語を基盤とする労働人口の爆発的な増加と、帝国という、自治権を持つ諸邦と王国たちの連合体であったとしても、遥かに合理化された経済と産業の投資はあっという間にドイツ帝国を世界二番目の経済大国へと化けさせることに成功した。
土地はフランスと比べると相対的に貧しく、鉱物もそれなりにあるが地政学的に貿易は新大陸に進出することを考えると難しい立地にありながらだ。全く、潜在能力では化け物じみた国だと言えるだろう。
「……閣下は、近い間に秩序が崩れるとお思いでしょうか?」
「なるな、間違いなく。民族主義、立憲主義、植民地獲得競争は加速するだろう…今、場末の酒場では統一ライヒ人国家を待ち望む人たちが増えている。皆、神聖グロウス帝国に疑問を持ち始めているんだよ」
ブランタリア王国、ビオーネ連合王国が躍進を果たしているのに対して、ライヒ人のための神聖グロウス帝国は仲間割れと同士討ちを繰り返すばかりで、到底ライヒ人統一国家とは言えない有様だ。
それに疑問を持ち、統一された真のライヒ国家を待ち望んでいる民衆は多いだろう。
だからこそ、ブルネンシャフト運動からの革命、そこからのドイツ連邦、三王同盟などの三段階のドイツ統一構想が練り上げられ、それら全ては水泡に帰し…結果的にビスマルクが築き上げた北ドイツ連邦にドイツ帝国へとなっていくのだから。
ある意味で、ナポレオンは時の流れを加速させ、民族主義と民主主義を浸透させた火付け役に過ぎなかったと言える。何故なら、そこまでしてすぐに革命が起きるほどに、人々は不満を持っていたということになるのだから。
ナポレオン戦争で、ナショナリズムに突き動かされる大義が与えられたのみで、元々統一運動は巻き起こっていたと考えるのが自然だろう。
そして、肝心のナポレオンはブタンタリアの有名下級将校の一人として、すでに俺の手に入る情報網でも難局を覆したとして話題になっているほどだ、少々台頭が早い気がするが…それは関係ない。
ブランタリア民族の覇者として君臨する軍事的な才覚がすでに目覚め、そして立憲主義のために戦う怪物はすでに生まれている、それが分かっているだけで俺にとっては十分だ。
そろそろ立憲政府が樹立され、そこから革命政府が樹立、更にそこからクーデターで三頭政治が成立し、ナポレオン帝政が樹立されることになるだろう。予想では、10年かそこらか。ブランタリア帝国が欧州を席巻し、南部からはアルトリア帝国が俺たちに宗教を押し付けるために武器を取るだろう。
「……覚悟しろ、西と南から嵐が吹くぞ。ひょっとしたら、東方からも」
「どこまでもお供します、グラウス=リッター=フォン=ヴァルト=ユンガー子爵閣下」
世界大戦は近く、そしてそれに抗うには人の力ではなんと難しいことか。我らは政治というかくも深淵たるものに突き動かされ、集団真理と経済的繁栄を求めて永久に争い合うのだから。
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