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左遷と昇進
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世界観
リアル地球に異世界ファンタジーを合体させた世界。地形は完全に元世界と同一で、日本も普通に存在する。
火球を放ったり、雷を放ったり、大地を盛り上げたりする魔法使いが存在する。
[神聖グロウス帝国]
神聖ローマ帝国。この世界の主要国に数えられる一員。イタリア政策を推進せずに国力を整え続けた列強の一員。しかし、硬直化した制度と広すぎる領邦、ローマ時代の制度と相まって徐々に領土を簒奪されつつある。
しかも、古代帝国が魔法使いを戦闘要員としては扱わず、均一歩兵部隊を重視した歴史があるため、伝統的に魔法使いを差別する傾向にある。
[ヴァロイセン王国]
プロイセン王国。神聖グロウス帝国の諸邦でありながら、独自の王国を擁するライヒ騎士団の跡継ぎ国。
7年前に起きた世界大戦[7年戦争]の戦勝国であり、主人公が所属する国家である。
極めて軍国主義的であり、人口400万の国で12万の兵士を養っている超軍国主義国家。国家歳出の60%が軍事費に費やされている(なおこれでもリアルプロイセンの80%よりははるかにマシ)
[ヴェルーシ帝国]
第三のアウグスト帝国の末裔を自称する連中。ヴァロイセン王国とは友好国にある。現在皇帝のピエトール3世が大王の熱狂的ファンであるため。まだシベリア遠征はしてないため、国土自体はクソデカいが、それでも現代ロシアほど理不尽じゃない。
[ポラーブ=ヴァルト合同共和国]
ポーランド=リトアニア。全会一致がデフォというクソみたいな議会制度のせいで国内が混乱。最近は馬賊まで出てきてヴァロイセン王国の国境部を略奪しにやってくるようにまで落ちぶれてしまった。往年のライヒ騎士団をボコボコにした強さは何処へ?
[バジャール王国]
クルマーン騎兵の跡継ぎを自称する騎馬部隊を率いる農耕国家。神聖グロウス帝国とは血族的にも強い影響下にあり、それを脱したいと考える貴族たちも多い。
[アルトリア帝国]
アルトリア地方を領土とする国家。史実オスマン帝国であるが、その領土はブルガリア・マケドニアが最北端であり、欧州への侵略は大いに阻まれている。
[ブタンタリア王国]
史実フランス。欧州でも屈指の規模を誇る陸軍を誇る中央集権国家であるが、史実以上に内政が焦げ付いている。このままだと大変なことになるが、それを何とかするために戦争に逃げようとしている兆候が見える。
華やかな貴族・騎士文化が特徴。
————————————————
「……独立魔法使い旅団の旅団の旅団長への昇進、でありますか?」
敬礼しながら、俺は上官の話を聞いていた。
どうも皆様、挨拶が遅れました。将官は神聖グロウス帝国…領邦のヴェロイセン王国に所属しております、第八師団中隊長のグラウス=リッター=フォン=ユンガーと申します。一応ユンカーではありますが、支配している荘園は狭く不作の土地であり、完全なる木端貴族の一員に名を連ねておりますな。
三男故、引き継げる荘園なんてものは全くなく。それ故に小官は軍属として働くことになっております。
「その通りだ。魔法使いは戦争になくてはならない道具であることは貴官も理解していることだろう。今や、魔法使いは戦場にいなければならぬ者になってしまったのだ」
わざわざ俺を東ヴォロイセン領の荘園から、ダルツィヒ城に呼び出してくださった第八師団長のトップ、つまりは第八師団長閣下は、ふてぶてしく昇進であると吉報を持ってきたかのように話を続ける。
しかし、その隠し切れない侮蔑の目が、俺と魔法使いという人種に対する並々ならぬ嫌悪感を抱えていることを明確に示していた。
「その通りであります。土を盛り上げ高所を作り、虚空から水を兵に供給し、矢よりも遥かに早い一撃を繰り出す魔法使いは、大砲のような華やかさこそありませんが、戦場にあって然るべき兵士であります!」
「そうだろうそうだろう。兵站という意味でも、兵たちの娯楽のためにも魔法使いはいなければならない道具だ。あの忌々しい流浪の連中と同じように、な」
マジで差別意識マックスの目で見てくるの、やめてほしい。確かに俺の御先祖様はヴァロイセン現地民の血を引いてるからって蛮族の子孫とみなすのはやめてほしいんだよなぁ。それと、魔法使いを荘園で雇ってることがよけいにそう感じさせんのか?
つーか、一応大選帝侯閣下(後の大王陛下である)が御触れした「流浪の民と異教徒も平等に接すること」っていう御命令を忘れてるのかな?
「君は第八師団隷下の、この私の的確な指示の下に赫赫たる戦果を挙げてきた。忌々しい合同共和国の斥候を撃退し——そう、国王陛下の御側で剱を振るう栄誉も与えたのだったな」
「——師団長閣下の指揮の下、私は国王陛下の御側で剱を振るうことができました。その栄誉、栄光、そして御慈悲を忘れたことは一寸たりともございません」
嘘つけ、なぁにが全部テメェの手柄みたいに言ってんじゃボケェ!テメェの指示のせいでウチの中隊の損耗率が戦役一回ごとに20%を超過して、テメェのせいで俺本人も死にかけたことが何回あったと思ってんだバァカ!つーか、シュレージェン戦争のこと言ってんだろうけど、テメェは各々最善を尽くせとか言って指示放棄してそのヴェルーシに逃げようとしてたよな、あぁ!?
垂れ流したい毒舌が無限のように出てくるが、そんなことを口に出したら軍法会議で斬首刑待ったなしである。
グッと堪えて、俺は師団長閣下が出してくるであろう侮蔑の言葉を待っていた。
「そう、君は作戦立案能力が高いと聞いてる。大王陛下の御許で剱を振るい、その軍議にも私の代理で参加したのだろう?」
おぉ、そうだな。目の前の東方防衛を担う《東部方面軍元総司令官閣下》が第八師団長にまで降格する失態を仕出かした原因でございましたね。まぁ、確かに大王陛下に(どうせ討ち死にするだろうから)「各々最善の任を尽くせと仰りました」って言ったのは悪かったな。
この劣勢の中で、これは「討ち死にします!」と高らかに宣言する、誇り高い死に様か…或いは「死にたくないので逃げます!」の政治的隠語のどっちかだ。
そして、当時士官が死にまくって戦時昇格で大隊長(戦死しまくったせいだが残存兵力中隊)に昇格した俺がそれを述べたことでブチぎれた大王陛下は、戦後も恨みを忘れずにこいつを降格したってワケだ。
もうちょっと政治的に「ポラーブ騎兵どもに阻まれ、向かおうとしていましたが…」とでも言っておけば良かっただろうが!という憎悪の視線をヒシヒシと感じる。
「ならば大丈夫であろう」
——何が?師団長の政治的嫌がらせのせいで大隊長(予定)から中隊長に戻されたから、砦一つ大王陛下に下賜される予定はパーになったし、そのせいで旅団どころか大隊を指揮する能力を磨く機会すらパーになったんですが?
「はっ!兵を率い、作戦を立てることには自信があります故!」
言葉とは全く裏腹なことを元気よく喋り、ニタァといやらしい笑みを浮かべる師団長閣下を前に溜息を吐きたくなる気持ちを全力で抑える。
こいつさっさと死んでくんねぇかなぁ。いっそあの時合同共和国の蛮族騎兵にヌッ殺されとけよ、塵は塵にって偉大なる神の代理人も仰ってたんだから、さ。
「よろしい。それに実戦経験、統率力も十分だ。部下の教育にも長けている。そうだな?」
「はい、その通りであります!」
「うむ、何とも素晴らしいことだ。新設される魔法使いを中核にした旅団に相応しい!よって貴官を本日付けで旅団長に任命する!参謀の方は君で集めてくれたまえ!」
神聖グロウス帝国軍の上級将校はほとんど貴族出身。っていうか、殆どの下級将校でさえも貴族たちでいっぱいだ。
それは古代のアウグスト帝国、今の神聖グロウス帝国が継承したと華々しく仰っている国の継承者だからであり、それ故に古くから貴族文化が花開いた故である。
当然、領地経営などの内政や社交界に必要な諸々を覚えるための教育水準は高いが、指揮官としての適性を持っている者ばかりではない——何なら、軍務のことなんてさっぱり分からん!と開き直るお飾りな連中だっていっぱいいるわけで。
そこで軍務のアドバイザーとして参謀がつくことになっている。名目上は補佐であるが——実態は上から降りてきた無茶な命令を、どうやって実行するのか提案する仕事だ。
参謀と聞くと、ボスに変わって命令する、偉い立場に見えるだろう。しかし、実態は違うのだ。
———あくまでも「提案」なのであまり偉くない。一応、尊重される立場にあるが文句を言えば即座に首を撥ねられるような役目だ。
まぁ、要するにあれだ。社長秘書みたいな立ち位置。そいつらを自分で集めてこいと——地獄かな?そんな高度教育を受けた人材をどっから集めてこいと?
普通なら無理な話だ。これじゃ旅団をマトモに機能させることは不可能と言っても過言じゃないだろう。
無論、旅団長という役職は、前線に立たないで良い。音楽隊と共に進み、撃ち殺されなくても良いのだ。それだけ見れば、俺にとって非常に幸いなことである。
———実質、左遷だな。これは。
無能な貴族が未だに国を差配するようになってしまったせいで、これだ。
先代の大王陛下の戦勝の後、この王国は神聖グロウス帝国の事実上の外様でありながら、帝国の運命を差配する程の軍国国家となった。しかし、先の戦争によって人材は払底し、こうして無能が居座り続け——その有様が、私怨による左遷が行われている今だ。
このままでは、ヴァロイセン王国軍は堕落を続け、果てにはかつての軍国国家は、ナポレオンも溜息を吐くほどの弱小国家に落ちぶれることになるだろう。
「その大命、謹んで拝命いたします」
しかし、俺は全くの無表情でそれを受け入れ、新設される予定の旅団司令部に向かうことになるのだった。
リアル地球に異世界ファンタジーを合体させた世界。地形は完全に元世界と同一で、日本も普通に存在する。
火球を放ったり、雷を放ったり、大地を盛り上げたりする魔法使いが存在する。
[神聖グロウス帝国]
神聖ローマ帝国。この世界の主要国に数えられる一員。イタリア政策を推進せずに国力を整え続けた列強の一員。しかし、硬直化した制度と広すぎる領邦、ローマ時代の制度と相まって徐々に領土を簒奪されつつある。
しかも、古代帝国が魔法使いを戦闘要員としては扱わず、均一歩兵部隊を重視した歴史があるため、伝統的に魔法使いを差別する傾向にある。
[ヴァロイセン王国]
プロイセン王国。神聖グロウス帝国の諸邦でありながら、独自の王国を擁するライヒ騎士団の跡継ぎ国。
7年前に起きた世界大戦[7年戦争]の戦勝国であり、主人公が所属する国家である。
極めて軍国主義的であり、人口400万の国で12万の兵士を養っている超軍国主義国家。国家歳出の60%が軍事費に費やされている(なおこれでもリアルプロイセンの80%よりははるかにマシ)
[ヴェルーシ帝国]
第三のアウグスト帝国の末裔を自称する連中。ヴァロイセン王国とは友好国にある。現在皇帝のピエトール3世が大王の熱狂的ファンであるため。まだシベリア遠征はしてないため、国土自体はクソデカいが、それでも現代ロシアほど理不尽じゃない。
[ポラーブ=ヴァルト合同共和国]
ポーランド=リトアニア。全会一致がデフォというクソみたいな議会制度のせいで国内が混乱。最近は馬賊まで出てきてヴァロイセン王国の国境部を略奪しにやってくるようにまで落ちぶれてしまった。往年のライヒ騎士団をボコボコにした強さは何処へ?
[バジャール王国]
クルマーン騎兵の跡継ぎを自称する騎馬部隊を率いる農耕国家。神聖グロウス帝国とは血族的にも強い影響下にあり、それを脱したいと考える貴族たちも多い。
[アルトリア帝国]
アルトリア地方を領土とする国家。史実オスマン帝国であるが、その領土はブルガリア・マケドニアが最北端であり、欧州への侵略は大いに阻まれている。
[ブタンタリア王国]
史実フランス。欧州でも屈指の規模を誇る陸軍を誇る中央集権国家であるが、史実以上に内政が焦げ付いている。このままだと大変なことになるが、それを何とかするために戦争に逃げようとしている兆候が見える。
華やかな貴族・騎士文化が特徴。
————————————————
「……独立魔法使い旅団の旅団の旅団長への昇進、でありますか?」
敬礼しながら、俺は上官の話を聞いていた。
どうも皆様、挨拶が遅れました。将官は神聖グロウス帝国…領邦のヴェロイセン王国に所属しております、第八師団中隊長のグラウス=リッター=フォン=ユンガーと申します。一応ユンカーではありますが、支配している荘園は狭く不作の土地であり、完全なる木端貴族の一員に名を連ねておりますな。
三男故、引き継げる荘園なんてものは全くなく。それ故に小官は軍属として働くことになっております。
「その通りだ。魔法使いは戦争になくてはならない道具であることは貴官も理解していることだろう。今や、魔法使いは戦場にいなければならぬ者になってしまったのだ」
わざわざ俺を東ヴォロイセン領の荘園から、ダルツィヒ城に呼び出してくださった第八師団長のトップ、つまりは第八師団長閣下は、ふてぶてしく昇進であると吉報を持ってきたかのように話を続ける。
しかし、その隠し切れない侮蔑の目が、俺と魔法使いという人種に対する並々ならぬ嫌悪感を抱えていることを明確に示していた。
「その通りであります。土を盛り上げ高所を作り、虚空から水を兵に供給し、矢よりも遥かに早い一撃を繰り出す魔法使いは、大砲のような華やかさこそありませんが、戦場にあって然るべき兵士であります!」
「そうだろうそうだろう。兵站という意味でも、兵たちの娯楽のためにも魔法使いはいなければならない道具だ。あの忌々しい流浪の連中と同じように、な」
マジで差別意識マックスの目で見てくるの、やめてほしい。確かに俺の御先祖様はヴァロイセン現地民の血を引いてるからって蛮族の子孫とみなすのはやめてほしいんだよなぁ。それと、魔法使いを荘園で雇ってることがよけいにそう感じさせんのか?
つーか、一応大選帝侯閣下(後の大王陛下である)が御触れした「流浪の民と異教徒も平等に接すること」っていう御命令を忘れてるのかな?
「君は第八師団隷下の、この私の的確な指示の下に赫赫たる戦果を挙げてきた。忌々しい合同共和国の斥候を撃退し——そう、国王陛下の御側で剱を振るう栄誉も与えたのだったな」
「——師団長閣下の指揮の下、私は国王陛下の御側で剱を振るうことができました。その栄誉、栄光、そして御慈悲を忘れたことは一寸たりともございません」
嘘つけ、なぁにが全部テメェの手柄みたいに言ってんじゃボケェ!テメェの指示のせいでウチの中隊の損耗率が戦役一回ごとに20%を超過して、テメェのせいで俺本人も死にかけたことが何回あったと思ってんだバァカ!つーか、シュレージェン戦争のこと言ってんだろうけど、テメェは各々最善を尽くせとか言って指示放棄してそのヴェルーシに逃げようとしてたよな、あぁ!?
垂れ流したい毒舌が無限のように出てくるが、そんなことを口に出したら軍法会議で斬首刑待ったなしである。
グッと堪えて、俺は師団長閣下が出してくるであろう侮蔑の言葉を待っていた。
「そう、君は作戦立案能力が高いと聞いてる。大王陛下の御許で剱を振るい、その軍議にも私の代理で参加したのだろう?」
おぉ、そうだな。目の前の東方防衛を担う《東部方面軍元総司令官閣下》が第八師団長にまで降格する失態を仕出かした原因でございましたね。まぁ、確かに大王陛下に(どうせ討ち死にするだろうから)「各々最善の任を尽くせと仰りました」って言ったのは悪かったな。
この劣勢の中で、これは「討ち死にします!」と高らかに宣言する、誇り高い死に様か…或いは「死にたくないので逃げます!」の政治的隠語のどっちかだ。
そして、当時士官が死にまくって戦時昇格で大隊長(戦死しまくったせいだが残存兵力中隊)に昇格した俺がそれを述べたことでブチぎれた大王陛下は、戦後も恨みを忘れずにこいつを降格したってワケだ。
もうちょっと政治的に「ポラーブ騎兵どもに阻まれ、向かおうとしていましたが…」とでも言っておけば良かっただろうが!という憎悪の視線をヒシヒシと感じる。
「ならば大丈夫であろう」
——何が?師団長の政治的嫌がらせのせいで大隊長(予定)から中隊長に戻されたから、砦一つ大王陛下に下賜される予定はパーになったし、そのせいで旅団どころか大隊を指揮する能力を磨く機会すらパーになったんですが?
「はっ!兵を率い、作戦を立てることには自信があります故!」
言葉とは全く裏腹なことを元気よく喋り、ニタァといやらしい笑みを浮かべる師団長閣下を前に溜息を吐きたくなる気持ちを全力で抑える。
こいつさっさと死んでくんねぇかなぁ。いっそあの時合同共和国の蛮族騎兵にヌッ殺されとけよ、塵は塵にって偉大なる神の代理人も仰ってたんだから、さ。
「よろしい。それに実戦経験、統率力も十分だ。部下の教育にも長けている。そうだな?」
「はい、その通りであります!」
「うむ、何とも素晴らしいことだ。新設される魔法使いを中核にした旅団に相応しい!よって貴官を本日付けで旅団長に任命する!参謀の方は君で集めてくれたまえ!」
神聖グロウス帝国軍の上級将校はほとんど貴族出身。っていうか、殆どの下級将校でさえも貴族たちでいっぱいだ。
それは古代のアウグスト帝国、今の神聖グロウス帝国が継承したと華々しく仰っている国の継承者だからであり、それ故に古くから貴族文化が花開いた故である。
当然、領地経営などの内政や社交界に必要な諸々を覚えるための教育水準は高いが、指揮官としての適性を持っている者ばかりではない——何なら、軍務のことなんてさっぱり分からん!と開き直るお飾りな連中だっていっぱいいるわけで。
そこで軍務のアドバイザーとして参謀がつくことになっている。名目上は補佐であるが——実態は上から降りてきた無茶な命令を、どうやって実行するのか提案する仕事だ。
参謀と聞くと、ボスに変わって命令する、偉い立場に見えるだろう。しかし、実態は違うのだ。
———あくまでも「提案」なのであまり偉くない。一応、尊重される立場にあるが文句を言えば即座に首を撥ねられるような役目だ。
まぁ、要するにあれだ。社長秘書みたいな立ち位置。そいつらを自分で集めてこいと——地獄かな?そんな高度教育を受けた人材をどっから集めてこいと?
普通なら無理な話だ。これじゃ旅団をマトモに機能させることは不可能と言っても過言じゃないだろう。
無論、旅団長という役職は、前線に立たないで良い。音楽隊と共に進み、撃ち殺されなくても良いのだ。それだけ見れば、俺にとって非常に幸いなことである。
———実質、左遷だな。これは。
無能な貴族が未だに国を差配するようになってしまったせいで、これだ。
先代の大王陛下の戦勝の後、この王国は神聖グロウス帝国の事実上の外様でありながら、帝国の運命を差配する程の軍国国家となった。しかし、先の戦争によって人材は払底し、こうして無能が居座り続け——その有様が、私怨による左遷が行われている今だ。
このままでは、ヴァロイセン王国軍は堕落を続け、果てにはかつての軍国国家は、ナポレオンも溜息を吐くほどの弱小国家に落ちぶれることになるだろう。
「その大命、謹んで拝命いたします」
しかし、俺は全くの無表情でそれを受け入れ、新設される予定の旅団司令部に向かうことになるのだった。
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