追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト

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第1話「断罪のティータイム」

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 玉座の間は、朝の光を嫌うみたいに薄暗かった。高窓からこぼれた冬陽は白く、磨かれた黒曜石の床に薄いナイフのような反射を刻む。その刃先の上に、私は膝をついている。しわ一つない礼装、冷えた指先。心臓は静かだ。代わりに耳の奥で、魔力配管の低い唸りがずっと鳴っている。王都を巡る金属の腸。呼吸のように膨らみ、縮む。私が半年かけた整流網は今日も働いている。今のところは。

「宮廷魔導師セレス・アルトレイン」

 王妃リディアの声は、氷砂糖を噛み砕くみたいに甘く固い。絹の裾が玉座の段差から滝のように落ち、宝石は朝の光を拒むように鈍く光る。彼女は美しい。その美に自覚的で、他者の視線を刃として使うことに躊躇がない。

「あなたの魔法は、心がこもっていないわ」

 ため息の間合いで、周囲の貴族たちが予定調和のざわめきを起こす。私は顔を上げる。琥珀の視界に映るリディアは、完璧に舞台化された憎悪の仮面をつけていた。嫉妬は装飾できる。彼女はその達人だ。

「陛下のご前で、嘘はつきません」と私は言う。「心は、こめています。ただそれは、陛下に向けてではなく、街に向けて」

 横で控える王太子レオンが、書記官の台本をなぞるように喉を鳴らす。「えー……セレス・アルトレイン。母上、すなわち王妃の意見に、僕も同意する。民は“温かい”魔法を望んでいる。君の術式は、冷たい」

 冷たい。言葉の表面だけを撫でる批評。彼の目はいつだって遠いところを見ている。鏡や拍手や、ガラス越しの自分の姿。彼は私の術式の温度を測ったことがない。測る道具も知らない。

「心なき魔導師は、王都に不要よ」とリディア。「あなたは今日、この場で職を解かれる」

 私は膝から手を外し、床に両手をついて頭を垂れた。礼を取る音が、黒曜石に乾いた。感情は凍土の下にしまっておく。そこに置けば、腐らない。凍るから。

「承知しました」

 くぐもった合唱のように、貴族の席から笑いが漏れる。「やっとか」「氷の女」「表情一つ変えないで」——音符を並べるみたいに嘲笑が小気味よく続く。私は立ち上がり、黒のマントの裾を揃える。それで、玉座の間の空気が一瞬だけ引き締まるのを自分で感じる。嫌われる所作の端正さ。冷たい美は、愛されず、理解もされない。だから私は、機械的に美しくあろうと思った。攻撃に弱くならないために。

「最後に、申し述べます」

 私の声は、静脈を流れる水の温度。王妃が薄く笑う。「遺言かしら?」

「予報です。三日で炎が尽きます」

 玉座の間が冷えて、一瞬だけ、唸る配管の音がよく聞こえた。誰かが笑い、誰かが眉をひそめ、誰かが時計を見る。レオンが咳払いをした。「何の、話だい?」

「王都全域の熱と光。それを支える火の流れ。三日」

 私は、王妃の瞳の奥にわずかな揺れを見る。彼女は賢い。侮蔑と同時に計算が動く。だが、彼女の側にいる者たちは笑いで蓋をする。

「不吉な言葉遊びは御免だわ」とリディア。「退場しなさい、セレス」

「はい。辞職いたします」

 背を向けるとき、膝の裏を笑いが追いかけてくる。音は軽いが、重さがある。人の視線は重力だ。重さを避けるコツは、真っ直ぐに歩くこと。重力は斜めにかかると、足を滑らせる。

「セレス様!」

 扉口で小走りの足音。侍女カミラが、両手で銀盆を抱えて立っていた。盆の上には小ぶりな磁器カップが一つ、白い湯気がかすかに揺れる。彼女の手首が震えている。銀盆の縁に光が跳ね、その震えが小さな波紋を作っていた。

「最後の……ティータイムを、どうか……」

 彼女の瞳は、恐れと忠義の色が混ざっていた。カミラはここで働くようになって三年。最初の冬、王妃の前でお茶をこぼして平手打ちを受け、泣く暇もなく次の盆を運んだ。あのとき私は、彼女の手の内側に温度を逃がす小さな符を貼った。火傷が薄くなるように。誰も気づかない、無意味にも見える“最低限”の優しさ。

「ありがとう、カミラ」

 私は盆を受け取り、廊下の窓辺に寄る。王都の屋根が青い光に縁取られ、冬の空気はきりりと乾いている。磁器が唇に触れ、温度が喉に滑り込む。紅茶は安物だが、淹れ手の誠実さで味が良くなる。わずかな渋みと、慎ましい甘さ。カミラの舌の記憶だ。

「セレス様、私……何もできなくて」

「してくれたわ。美味しい紅茶を」

 カミラの肩が、ほんの少し下りる。彼女はそれだけで救われるような顔をした。人の救いは、時々、笑ってしまうほど小さくて、しかし生き延びるには十分だ。

 私はカップを彼女に返し、礼をする。「あなたは、よくやっている。手首の震えは、今は止まるわ」

 彼女は驚いた。自分の震えのことを、隠しているつもりだったのだろう。私は自分の手首を軽く弾き、小さな符を飛ばす。見えない紐が、彼女の手の骨と筋に沿って結び目を作る。呼吸が整い、震えは静まる。

「……ありがとう、ございます」

「さようなら、カミラ。あなたの紅茶があるなら、王都はまだ温かい」

 廊下に出る。壁には冬の朝を集めたみたいに冷たい肖像画が並び、それぞれの目がこちらを見ていない。私は王宮の内腸——魔力配管の心臓部へ降りる階段に足を向ける。辞職の手続きは後回し。最後の勤務を済ませる。私がこの城に残せるのは、怒りではなく、仕組みだ。

 地下はいつだって、ゆるい鼓動で満ちている。鉄と石の匂い。熱の残滓。配管の表面に触れると、冬の川のような冷たさが掌を流れ、奥では沸騰した湯の声がする。私は工具袋から符の束と小さな蝶番を取り出し、流速制御の結び目を一つずつ確かめる。三日前に施した整流網は、まだ新しい。だが上の人間がどう弄るかわからない。虚栄は、回路に余計な飾りをつけさせる。見栄えがよく、致命的な致死量を呼び込む飾り。

「最低限の優しさを、もう少しだけ」

 自分に向けて呟き、私は圧力逃がしの弁を二つ追加した。見えない位置、点検記録の空白に滑り込ませる。開放条件は単純——過負荷が発生したとき、街の外側に熱と光を逃がす。中心が焼けないように。逃がされた光は目に見えない山の腹で霧のように散り、朝露を温める。誰にも褒められない、陰気な親切。

 私は配管の継ぎ目に耳を当てた。遠くで誰かが笑っているみたいな音。誰かが泣いているみたいな音。魔力は、いつだって人の群れの音色に似る。今日は高い。浮かれている。祭りの準備でもしているのだろう。王妃は好きだ、飾りと光のショーが。新任の魔導師に、大きな浄化魔法でも振らせるつもりかもしれない。上へ戻る途中、私は胸の内に薄い紙片のような違和感をしまう。三日。温度。負荷。計算は一方へ傾いている。

 石階段をのぼると、回廊の角で誰かとすれ違った。若い女。淡い金髪を高くまとめ、光沢のある白のローブ。白は光の象徴であり、汚れの罠でもある。彼女は私を見て、ほんの一瞬だけ目を大きくした。すぐに微笑む。無邪気な、練習された微笑み。ミレイユ。王妃のお気に入りの新任。光属性の天才——と、皆が呼ぶ。

 私も微笑む。筋肉の決まり事のように。無言の会釈。彼女のローブの裾から、陽だまりの匂いがする。新しい布の匂い。まだ失敗の焦げ跡のない匂い。

 彼女が去ったあと、壁の影に揺らいだものがひとつ。小姓たちが囁く。「見た?」「氷の女よ」「新しい方がずっと感じがいいわ」。感じ。感じ。術式は感じで組むものじゃない。だが、世界は感じで回る。感じが権力になる。

 執務室にたどり着く。机の上はもう片付けた後で、引き出しには退職願と簡易封蝋が残っている。私は椅子に座り、封蝋を温め、押す。蜜蝋の甘い匂い。ふと、窓の外で鳩が羽ばたいた。灰色の背中。あの小さな身体にも、暖かな血と少しばかりの魔素が流れている。生き物はみんな、回路だ。

 扉が叩かれ、書記官が入ってくる。細い眼鏡、よく研がれた爪。彼は書類を受け取ると、ついでのように言う。「残念です、セレス様。ですが、これも流れでしょう。新しい風は、いつだって必要ですから」

 私は笑う。「風は、窓を割ることもあるわ」

 彼は意味を取らずに笑い、礼をして去る。軽い靴音。壁の時計がためらいがちに時を刻む。私は机に手を置き、指先で木目の年輪をなぞる。これが最後の接触。感傷は、体の端にだけ置く。中心は、冷やしておく。

 最後にもう一度、配管の大図面を広げる。王都の地図。血管のように走る線。私は青いインクで小さな印を足す。もしものために開く“逃げ道”の合図。地図を畳み、引き出しに戻し、鍵を外して机の上に置いた。誰かが、見つけるかもしれない。見つけられるだけの注意深さを持つ誰かが。

 廊下へ出ると、壁際の花瓶に生けられた白薔薇が一輪、首を垂れていた。白はよく、無垢と呼ばれる。けれど最初に汚れるのはいつだって白だ。私は近づき、花茎に微かな水の符を移す。薔薇が静かに起き上がる。誰も気づかない。いい。誰も気づかなくていい。

 王宮の正門を抜ける。外の空気は、洗いたてのシーツみたいに冷たい。石畳が朝陽を返し、馬車の車輪が乾いた音を立てる。屋台から漂うパンの匂い、焼いたリンゴの甘さ、鍛冶場の鉄の香り、子どもたちの走る音。王都は生きている。生きているものは、いつか必ず壊れる。だから私は、直せる場所に補修の糸を通してきた。私の怒りは、針箱の奥にある。

 門の影で、誰かが指をさして笑う。「見ろよ、凍った魔女が出てきた」「三日で炎が尽きるんだってさ、はは、寒い冗談」

 寒いのは冗談じゃなく、朝だ。私はほんの少し目を細めて、息を吐く。白い息が、陽に透けて消える。路地の猫が伸びをして、私の足首に尾を巻きつけてから、また日向へ戻っていく。生き物は正直だ。温かい方へ行く。

 私は顔を上げる。王都の匂いを、肺の奥まで吸い込む。焼け石の残り香、パンの甘い蒸気、煤けた煙突の吐息。耳の奥ではまだ配管が唸っている。私の脳裏に、数字と流量と圧が薄く重なる。三日。三日あれば、彼らは派手な光の儀式を一度はやる。見栄えのために増幅をつけ、溢れさせる。祭りの歓声に飲まれて、誰も弁の鳴き声を聞かない。

 私は笑った。誰にもわからない程度に、口元だけで。

「これで、やっと静かに怒れる」

 言葉は小さく、しかし舌の上で熱を持った。怒りは炎だ。燃やし方を間違えると、街ごと焼く。私はそれを知っている。だから静かに、長く燃やす。水差しのそばで揺れるタイプの火。青く、目立たず、しかし鋭い。

 背後で王宮の鐘が鳴った。金属の腹が震え、音が空に広がる。私はマントの襟を立て、石畳に靴音を置き始めた。朝の街は、まだ私を知らない。知らないままでいい。私が残してきた“最低限”の優しさが、誰かの喉の渇きを一つ減らし、誰かの火傷を一つ薄くする。それで十分だ。私がいなくても回るように。私がいなくなったから回らなくなる場所は、最初から設計が悪い。

 市場の角で、少年たちが石蹴りをしていた。石はうまく跳ね、三度目で失敗して笑い声が立つ。その笑い声は、玉座の間の嘲笑と同じ素材でできているのに、こちらはまっすぐで、尖っていない。私は一瞬だけ目を細める。心臓のどこかが、かすかに緩む。

 パン屋の前で足を止める。焼きたての香り。私は小銭を出し、三枚の丸パンを買った。店主の老婆が、私の手を見る。「おやまあ、冷たい指だこと」

「朝のせいです」

「そうかい。あんたの顔、見覚えがあるね」

「みんな似た顔をしていますから」

 老婆は笑い、紙袋にパンを入れ、少し多めに詰めてくれた。私は礼を言って受け取り、袋の端を温める小さな符を結ぶ。手がじんわりと温かい。パンの匂いが、脳の古い場所を撫でていく。幼い頃、孤児院の冬。パンの匂いで目が覚めた朝。院長の皺だらけの手。暖炉の火。私はその記憶をひとくち齧るみたいに、パンをかじった。噛む音が、石畳に吸われる。

 遠く、王宮の上空に、細い光の筋が立ち上がる。試験運転。予告編。まだ大丈夫。三日。私は袋を抱え直し、通りの端に立つ馬車に声をかけた。

「南の外れまで」

「承知」

 御者の男が手綱を鳴らす。車輪が軋み、街がゆっくりと後ろへ流れる。私は座席のクッションに体を沈め、配管の唸りを数える。鼓動を重ねる。三日。私の予報は脅しじゃない。怒りでもない。ただの算術。ただの風向き。だから、外したことがない。

 馬車の窓から、王都の尖塔が遠ざかる。石と煙と人の香りが、混ざって薄くなる。代わりに、山の匂いが濃くなる。土の湿り、松の樹脂、雪の金属音。私は袋から一つパンを取り、外の子どもに投げた。子どもは驚いて受け取り、笑って走る。その笑い声が、冬の空気を軽くする。

 指先の熱が、少しだけ戻ってきた。私は膝の上に手を置き、ゆっくりと開閉する。怒りは、指で測れる。今日は適温。作業に適した熱。復讐は、決意じゃない。段取りだ。美学じゃない。配管だ。私はそのすべてを知っている。だから、ゆっくり燃やす。静かに。誰にも気づかれずに。必要なときだけ、青く強く。

 王都の輪郭が丘の向こうに隠れる瞬間、私は首を巡らせて最後の一瞥をくれた。あの街は美しい。人の醜さでできた美しさは、壊れやすい。だから私は、壊れたあとに必要になる糸をもう通してきた。泣かないために。泣く暇もないほど、忙しくなるだろうから。

 馬車が揺れ、遠くでカラスが一声鳴く。冬の光は、刃のように細い。私はその刃先で、舌を少し切ったみたいな気分で、笑う。

「行こう」

 誰にも届かない声で、私は言った。怒りを抱いて、静かに。赦しなんて、まだ知らないふりのままで。三日の間、私は眠り、紅茶を飲み、配管の夢を見る。夢の中で、私の指はいつも忙しい。誰かの痛みを測り、温度を調整し、弁を開け、弁を閉じる。朝になればまた、私は起きて、パンをかじる。そうやって、三日が来る。私は最初の瞬間を知っている。鐘が鳴り、光が上がり、歓声が生まれ、空気が焦げる。そのとき私は、笑わない。泣かない。ただ、紅茶を注ぐ。湯気が上がる。香りが立つ。因果は美しい。壊れる瞬間が、一番、綺麗。

 馬車の窓に、私の顔が映る。琥珀の瞳。疲れの影。凍土の下の火。私はその火に、そっと息を吹きかける。燃えろ、でも静かに。私の街。私の怒り。私の、最低限の優しさ。三日後にまた会いましょう、と心のどこかで王都に言う。返事はもちろんない。いい。返事なんて、なくていい。私は目を閉じる。馬車の揺れが、子守歌みたいに骨に染みる。配管の唸りが、遠くで続く。午前の光が、頬に薄く乗る。私は眠らない。ただ、目を閉じる。怒りと紅茶の間で、まばたきする。

 やがて、王都の匂いは完全に消えた。代わりに、世界の輪郭が研がれる。風の冷たさ、土の湿り、空の色。私は口の中の切り傷を舌でなぞり、まだ少し鉄の味がすることを確認する。生きている味だ。生きているから、怒れる。怒れるから、救える。順番はいつだって、この順だ。私は頷き、指先で座面の布を軽く叩いた。一定のリズム。心の平板。三日。三日。三日。いいリズムだ。いいテンポだ。物語は、ここから始まる。静かに、だが確実に。青い火は、もう灯っている。誰にも見えないところで。誰にも消せないところで。
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