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第10話「青の祝祭とひび割れ」
しおりを挟む夕刻の風は湿りを含み、灰の匂いをやっと洗い流す手つきで街を撫でていた。青い灯が路上にひとつ、またひとつ点り、背の低いランタンの列が蛇のように曲がりくねって“青い街路”を縁取る。火と呼ぶには静かすぎる、呼吸と呼ぶにはあまりにも整った青。煤は少なく、炎の舌はいつまでも細い。ふいごで過去を煽らず、ただ今夜を照らすためだけの“再生火”。
「おお……青い」
「目に優しいな」
「子どもでも持てるぞ」
人々の声は、久しぶりに“上ずらない”。この街に“祭り”という単語が戻るのは早すぎる、と昼まで私は思っていたが、いざ灯りが並ぶと、胸骨の裏側で古い合図が鳴る。祭りは熱じゃない、秩序だ。列に灯を置き、列に歌を置く——それを私は今、許す。許すけれど、壇上には立たない。
「歌の練習はここで終わり!」ヨエルの笛の代わりに、教師みたいな声が広場に響く。「“殴らないで眠らせる”を合いの手に入れるのはやめろ、祝祭だ!」
笑いが弾ける。治安維持隊の腕章も夕焼けに青く光り、カミラが炊き出しの鍋のふちを叩いて合図を送る。「列、ゆっくり! 足の悪い方は青い灯のところで一度止まって! はい、次の先頭さん、どうぞ!」
私は裏にいる。壇の背後、布と板の隙間で、配管の節に頬を寄せ、青い灯の脈に耳をあてる。祝祭用に追加した監査術式は、光に見えず、音にだけ現れる。第七の唸り、第五の揺れ、第三の呼吸——今日は、歌っている。間違ってはいない。しかし、完璧でもない。完璧は街を壊す。だが“ひび割れ”は、もっと早く壊す。私は音の縁に指を当て、裂け目の草を撫でるように黙って整える。
「セレス、いた」
布をめくってアシェルが顔を出す。髪に粉が残り、頬に薄く煤。焼き場と灯り場を行ったり来たりしているらしい。彼は私の姿勢を見て肩で笑い、背を丸めて中へ滑り込み、私と同じ角度で壁に耳をあてた。
「今日くらい、壇に立てばいいのに」
「壇は音が悪い。板が声を跳ね返して、歌が割れる」
「理由の付け方が相変わらず職人だな」
外では、小さな合唱が始まっている。誰かが私の名を歌い、誰かが地名を、誰かがパンを、誰かが“青”を。歌詞はバラバラ、拍は合っている。拍さえ合えば、何を言っても大抵は美談になる。私は笑って、そして笑いを短く畳む。
「なあ、これ、どこへ向かってる?」
アシェルの声は、火箸を鍋の縁に置く音に似ていた。熱からいったん離して、形を確かめるときの音。彼は視線を外に向けず、私の頬についた埃の粒を親指で払う。
「“これ”って、祝祭?」
「街そのもの。青い線。歌。仕組み。お前の怒り。……全部まとめて、どの方角だ」
私は笑う。目だけで。口角の角度は許容内。だが、ランタンの青い輪が私の瞳に映ったとき、空洞は化粧を拒む。底まで澄んで、何も映さない種類の空洞。映らないから、燃え残りもない。安全だ。安全なのに、危ない。
「——北北東、かな」
「風の話じゃない」
「なら、“まあよし”の方角」
「それは方角じゃない」
「私の方角では、ある」
彼は溜息とも笑いともつかない音を喉の奥で転がし、壁から頭を離した。「まあ、いい。監査はどうだ」
「ひび割れが三つ。二つは自重で塞がる。もう一つは……」
言いかけて、私は指を止めた。歌の底に、薄い“ズレ”が紛れ込む。ランタンの列の、角。角に置いた一本のガラス。熱で膨張したガラス壁の、見えない応力。外からは完璧な円筒。中身は、焦れた蜂蜜のように流れが鈍い。許容内。——だった、はず。
ぱし、と、乾いた音。ランタンのひとつが低い悲鳴を上げ、ガラスの縁に白い線が走った。ひび割れ。炎は揺れず、しかし空気がざわりと怯える。人の集団は炎ではなく、ひびに怯える。
「角を冷やす」と私は囁く。指先の符で微量の熱を地面へ逃がす。青い炎が腹を落とし、唇を閉じる。ランタンは持ち直した。ひびの白は残るが、広がらない。歓声が再開し、子どもが歌に戻る。私は背筋がひとつ、冷えるのを感じた。
「今の、俺にも見えた」とアシェル。「あの薄い線。……お前の中にもあるやつと、同じ色だ」
「比喩が上手くなった」
「鍛冶屋は詩人だ」
彼は冗談めかして笑い、すぐ真顔に戻る。「種は——静かか?」
「種?」
「静かな毒。お前の指の中で、時々息をするやつ」
私は彼を見ない。布の向こう、カミラの声が“便所の導線”の歌詞をリードしている。下水の歌が笑いとともに通り過ぎ、バスクが杖で拍子をとる。老魔導士の顔は疲れているが、目にはひどく小さな光がある。小ささは、持続する。彼は壇上で“耳の使い方”の簡単な講釈をして、すぐ降りた。壇は音が悪い。彼も、もうそれを知っている。
「息はしてる」と私は正直に言う。「でも起きてない」
「起きる条件は、まだ誰も引いてない?」
「引いたら、街の歌が少しずつ低くなる。今は——聞こえない程度」
「なら、今は祝え」
「監査をしながら、ね」
「向いてないな、祝うの」
「知ってる」
布の隙間から外を見ると、ランタンの列が波打ち、その上を子どもが紙の魚を泳がせている。魚は尻尾に小さな青の符を結び、紙の目が笑う。笑っている紙に、本当の笑いが移る。私は小さく手を振り、子どもがこちらを見つけて照れる。照れることは、街の防音材だ。恥は人の声を柔らかくする。
「お前の歌が聞きたい、と誰かが言ってたぞ」とアシェル。
「私の歌は監査の音」
「詩人じゃない、官僚だな」
「設計者って言って」
「はいはい、設計者」
彼は座り込んでパンの袋を開け、ひとつを私に差し出す。祝いのパン。表面に浅い切り込み、青い塩の粒。私は受け取らず、匂いだけ吸う。小麦は今日も正直だ。正直なものを吸って、骨の中の火を少し落とす。落とし過ぎない。落とし過ぎると、怒りが冷えて眠ってしまう。怒りは眠らせると腐る。腐った怒りは、臭う。
外の歌が一段落し、“灯の工房”の前で小さな朗読が始まる。読み手はカミラ。題は「次の先頭の歌」。子どもが“次の先頭”という単語でいちいち肩を張り、笑いが伝染していく。笑いに混じって、別の音が混ざる。金属の細い擦過。配管のどこか、祭り用に仮設した枝管が“拍手”を拾って共鳴している。拍手は街を壊す。私は符をひとつ飛ばし、枝を軽く眠らせる。
「セレス」
「うん」
「俺は、お前の距離感が好きだ。俺たちのほうへ半歩寄らず、遠のきもしない。だが——」
「“だが”は嫌い」
「だが、今夜の顔は、遠い。灯りが映ってるのに、窓みたいに何も映っていない」
「監査の顔」
「嘘」
嘘と言われて、私は笑ってみせる。今度は口角だけでなく、頬も使う。笑いは筋肉の合奏。鍛錬すれば、演奏は整う。整いすぎると、感情は音楽から降りる。降ろしているのは私だ。私が自分で降ろしている。
「壇上に出てくれって、皆が言う」
「皆は優しい」
「優しさを断り続けるのは傲慢だ」
「わかってる」
「なら、せめて——」
言葉の続きは、青い炎の破裂で途中から切れた。ランタンが割れたのではない。空気の袋がひとつ、青い光の中で弾けたのだ。乾いた拍、短い悲鳴、すぐの静寂。静寂は、真空だ。音は真空に弱い。私は立ち上がり、布を捲り、群衆の端に目だけを出す。割れたのは、祝祭のガラス作用——誰かの涙腺。泣声が早すぎない速度で広がる。泣いているのは、祈祷隊の若者だった。第七の日に眠りをくれた少年。今夜、笑いながら皿を洗い、歌を覚え、魚を泳がせる役だった少年。
「大丈夫、大丈夫」とカミラ。「ここ、“休む”の印。座ろう」
彼女は少年の肩を撫で、青い灯の下に座らせ、紙の魚を膝の上に乗せる。ヨエルが隊を下げ、輪になって目線を下げる。輪が狭まる。狭い輪は、人を守る。輪の外で、歌がすこしだけ音程を落とす。私は背中の汗が冷えるのを感じる。汗は嘘をつかない。体が知っている。祝祭は脆い。ひび割れは、祭りにこそよく現れる。
「戻る」と私は言い、布の隙間から外へすべり出た。アシェルが腕を掴む。掴んで、離す。彼は止めない。止めないで、付いてくる。私たちは青い灯の列に沿って歩く。青は人の顔色を白くし、皺の影を浅く見せる。見せかけの若さが街に増え、しかし誰も騙されない。騙されない大人は、祭りが終わる時間を知っている。
少年の隣に膝をつく。声は使わない。代わりに、ランタンの支柱に指を添えて脈をつかむ。支柱は怯えている。ガラスのひびを見て、空気が肝を冷やした。私は支柱に触れ、内側の符を撫でる。揺れは収まり、少年の呼吸が“合奏”に戻る。泣き声は止まず、でも音楽に重なる。重なる泣きは、街の歌にひびを入れない。
「セレス様、壇へ」と誰かが言う。声は善意で、音程は高い。高すぎる音程は、耳を傷める。私は首を振る。「壇は音が悪い」。嘘と本当が半分ずつ。私はそのまま立ち上がり、人の背中を視界から消して再び裏へ引っ込む。手のひらに汗。汗は水。水は弁で制する。私は骨の弁を一つ開ける。怒りの流量、悲しみの圧、赦しの温度。四分の一ずつ。祝祭は、弁のテストに向いている。狂いが小さく見えるから。
「セレス」
背中にアシェルの声。「どこまで距離を置くつもりだ」
「祝祭が終わるまで」
「終わっても、だろ」
「終わったら、また始まる」
「そうやって、一生、壇に立たないのか」
「壇は音が悪い」
「それ、逃げ言葉にするの、うまいな」
うまい、と言われることに私は弱い。弱いというより、嫌いだ。うまさは、怒りを鈍らせる。鈍った怒りは、仕事を遅らせる。私は振り向かず、壁に戻り、耳を当てる。配管の彼方で、監査術式が五拍に一度、薄く瞬きをする。瞬きのたび、別の瞬きが遠い井戸から応じる。歌は合っている。——なのに、私の胸のどこかが、合っていない。
「なあ」とアシェル。「祝いながら監査して、監査しながら怒って、怒りながら救って、救いながら毒を抱えて。……その先に、お前はどこに立ってるつもりだ」
「立たない」
「倒れるのか」
「浮かぶ」
「浮いた人間は、寒いぞ」
「寒いのは嫌いじゃない」
言いながら、自分の声の底が砂利を噛んだのを、私は自覚する。嘘ではない。けれど、真実でもない。真実は、まだ翻訳前の言語のまま、骨の中で眠っている。翻訳に失敗すると、人は壊れる。私は慎重だ。慎重でいることに、疲れている。
外から拍手が起きた。歌の終わり、朗読の終わり、鍋の空の合図。拍手は街を壊す——だから、拍手を“数える”。透明化術式が拍数を拾い、板の裏で薄い青が点滅する。多すぎない。許容内。だが、拍の隙間に“祈り”の残響が混ざっている。祈りは道具ではない。道具じゃないものを道具にした瞬間、街は怒る。私は指先で残響の縁をぼかし、道具の形から外す。祈りは祈る者の胸に戻る。胸に戻った祈りは、重い。重い祈りは、眠りを呼ぶ。
「……バスクが呼んでる」とアシェル。「帳に釘を打ちながら、“耳の塾”の生徒が集まる場所を探してる。お前の背中が見たいって」
「私の背中は、嘘つき」
「知ってる。他人の嘘より、ましだ」
布をめくると、老魔導士がこちらを見て、わずかに会釈する。私も会釈を返す。距離は保たれる。保たれた距離が、今夜はやけに長い。青い灯が列を伸ばし、広場の外れの暗闇を追いやる。追いやられた暗闇の縁に、ひとり、ひざまずく影。わずかに光る髪。——ミレイユ、ではない。別の誰か。けれど、あの顔を思い出させる輪郭。恐れと無垢が隣り合った顔は、祭りの縁に座るのが似合う。
「行くのか」
「行かない」
「行かない、か」
私は肩を落とし、パンの匂いを吸い、また壁に耳を当てる。監査の音が、さっきよりかすれた。街が歌い疲れている。疲れは良い。疲れた街は眠れる。眠れる街は、生きる。私は背を伸ばし、布を下ろし、アシェルの顔を見ずに言う。
「——これがどこへ向かうかは、私にも確定してない」
「お、やっと本音」
「北北東“かも”。“まあよし”の手前。祭りの右斜め。怒りの左下。……正直、わからない」
「わからないの、珍しいな」
「わからないことを“わからない”と言えるようになったのが、最近の進歩」
「それは、祭り向きの進歩だ」
彼の笑いに、私も笑いを返す。今度の笑いは、目の縁に少しだけ温度が宿る。青い炎が瞳に映り、空洞の底に波紋が一枚落ちた。落ちただけ。満たさない。満たさないまま、私は踵を返す。
「行ってくる」
「どこに」
「地図の端」
「また、監査か」
「うん」
「お前はほんと、祭りの苦手な女だ」
「褒め言葉ね」
「褒めてねえよ」
私たちは短く笑い、彼は焼き場へ、私は地図の辺境へ向かった。青い灯の列が足元を制御し、板の隙間から夜が覗く。夜は静かだ。静かな夜は、毒の子守歌になる。私は骨の弁をもう一度だけ確かめ、ひび割れたランタンの位置を地図に印し、次の修繕の段取りを頭の中で組み直す。
——どこへ向かってる?
自問は、青い灯に問いかけるとすぐ蒸発する。灯は方角を持たない。持つのは人だ。人の群れのまなざしは、祭りの夜にだけひどくまっすぐになる。まっすぐな視線は刃物だ。私はその刃から半歩ずれて立ち、笑い、頭を下げ、背を向ける。
壇上から、名前を呼ぶ声がする。私の名。私の名は、今夜は歌になる。歌は私のものではない。歌は街のものだ。街の歌に、私のひび割れが混ざらないように。空洞の瞳に灯りが映っても、その灯りが私を満たさないように。私は笑って、監査を続ける。
青の祝祭は、夜半を過ぎても静かに続いた。揺れる灯がひとつ、またひとつ、脈の合図で低くなり、やがて眠る。眠るたび、広場の端から拍が消える。拍が消えるたび、音が柔らかくなる。柔らかくなれば、朝が来やすい。朝は勝手に来る。来るまでのあいだ、私は図面の裏側で、ひび割れの線を数えた。数えながら、内側でひとつだけ祈った。
——どうか、この空洞に、水ではなく、光でもなく、骨に似た何かが入りますように。
祈りは道具じゃない。だから、道具の棚に戻す。戻して、私はまた、弁をひとつ開けた。青い炎が、私の瞳の中で、静かに、静かに、燃え続けていた。
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