公爵家を追い出された地味令嬢、辺境のドラゴンに嫁ぎます!

タマ マコト

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第18話 静かな奇跡

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戦の音が消えた朝は、耳が信じなかった。
いつものように鐘は鳴らず、叫びもなく、風の音だけが砦の骨を撫でていく。

ローザは覆い布をめくり、息を止めた。
昨夜咲いた銀花――セラフィムが、まだ息をしている。
花弁は薄く、光を吸っては返し、土の上に小さな呼吸の波を作っていた。

「おはよう」

囁くと、花は答えない。
けれど、土が柔らかく返した。
指先に伝わる脈。
胸の奥に、同じ高さの音が反響する。
〈いる〉――契印は、もう熱くはない。
ただ温かい。焚き火の熾の温度。
消えないで残る、低い灯り。

外へ出ると、砦の中庭は昨夜の光の残滓で淡く白い。
焦げた梁は落とされ、煤は片付けの半ば。
祈りの輪の灰は新しく、井戸の布は結び直されて濡れている。

ミルドが杖をつき、静かな声で合図を出す。
「水を一杯ずつ。砂を道に。火の跡は踏むな」

テオが駆けてきた。頬は赤い。
両手に石を抱え、息を切らしながら、ローザの足元でぴたりと止まる。

「ねえ、見て。歩くと、出る」

彼が指差した先――ローザがさっき踏んだ場所に、小さな銀の点が二つ、芽のように頭を出している。
彼女が半歩下がると、足の影に沿って、点は細い茎になり、星みたいな花弁へほどけた。

「……本当に、ついてくるんだ」

ローザは苦笑した。
驚きは小さく、受け入れは早い。
胸の中の灯りが、また“合図”を運んでくる。
〈驚くな。お前のせいだ〉――あのときの言葉が、音を持たずに背中を押した。

「領主様」

ゲルが井戸の縁から声をかける。
顔は疲れているが、目は澄んでいる。
「村に戻る道、花で覆われてきた。みんな、こっちへ来てる」

「来てるなら、迎えよう」

「その足で歩けば、道ができる」

道。
昨日の夜、足元で開いた花の帯は、中庭から外門へ、さらに谷の小径へ。
ローザは一度だけ深呼吸して、歩き出した。

足音がひとつ、土に落ちる。
落ちた場所から、銀が芽吹く。
やわらかい音のない音。
テオが歓声を上げ、石を抱えたまま飛び跳ねる。
ミルドは「踏むな」と言いつつ、最初の一本を杖先で愛おしそうに避けた。

外門を抜けると、谷の空気は別人のようだった。
焦げの匂いは後退し、湿った土と樹皮の甘い匂いが前に出ている。
風の触り方も違う。切るのではなく撫でる。
少しだけ、春に近い。
雪の間から顔を出した黒土は、ところどころ銀の粉で縁取られ、陽が差すたびにちりちり音を立てるみたいに光った。

「領主様だ!」

坂の下から声。
村人が列になって上がってくる。
手に鍬、背に空の袋。
焦げた布を巻いた腕、泣き腫らした目の子。
そこに、薄い笑いが混じっている。
笑いは大きくない。けれど、確かにそこにある。

「火は止まった。井戸は生きてる」

ローザが言うと、安堵が波のように広がった。
テオの母が胸に手を当て、祈りの輪の女が布をほどいて膝に巻き直す。
ゲルは仲間に合図し、男たちは足元の花を避け、でも気にし過ぎない歩幅をすぐ覚えた。
人は、覚える。

村へ降りる道すがら、ローザの足跡は細い帯を編みつづけた。
畝の端、井戸の縁、倒れた柵、焼けた屋根。
銀の花はそこに節目を作る。
節目は、目安になる。
「ここから」「ここまで」――次に手を入れる順番が浮かび上がる。

村の広場に出ると、異様な静けさが迎えた。
昨夜、火が舐めた家々は半分が黒く、半分が残っている。
祈りの輪の柱は倒れていない。
輪の灰は薄い蜂蜜の匂いをまだ持っていた。
井戸の水面には、銀の粉が一枚、皿のように浮かんでいる。

「領主様」

ミルドが杖をとん、と地についた。
「手順を」

「井戸の布は二時間ごとに替えましょう。
畝は焦げたところを浅く起こして、灰を混ぜて。
蜂蜜は薄く伸ばして、咳の子に少しずつ。
火の跡は踏まずに砂をかけて。
祈りの輪は――」

「新しい灰を、今日の手で」

祈りの輪の女が言葉を継いだ。
彼女の目の下に隈はあるが、声は強い。
彼女は蜂蜜の瓶の底を布で拭き、水に落とし、鍋を火にかけた。
火は小さい。灯りに近い火。
輪の中心に置く火は、脅しではない。
ここではそう決めた。

「領主様、見て」

テオが広場の隅で跳ねる。
ローザが行くと、焼けた柵の脇、雪の上に銀の線が一本、すでに伸びていた。
彼女が歩く前に――村人が、花を運んだのだろうか。
手の跡がついている。
増やすために折ったのではない。
落ちた花弁の粉を、指でつまんで、撒いた。
その雑な優しさが、胸に刺さる。

「ありがとう。……これ、少し濡らすと根がつく」

「どうやる?」

「踏まない。見張る。触りすぎない」

言葉を交わしているうちに、ローザの足元からも花は増えつづける。
狙って置いているわけじゃない。
歩くたび、必要そうな場所にだけ、ぽっと灯る。
まるで、土が先に考えているみたいに。

彼女は過剰に意味を探さないことにした。
ただ、現象を“手順”に変える。
手順は、恐れの隣で座りがいい。

「ローザ」

背から、ためらいがちな声。
振り向くと、フードを目深にかぶった若い女が立っていた。
護符の紐。王都の布。セシリアだ。
彼女は疲れた顔で笑い、小さく会釈した。

「無事で、よかった」

「手紙、助かったよ。楔のこと、環のこと」

「わたしは、届く場所にしか届かない言葉しか持っていない。
ここでは、あなたの声が届く。――それで十分だと思った」

セシリアの視線が、ローザの足元の花に落ちた。
「……美しい。けど、怖くもあるわね」

「怖い?」

「誰かが、これを『武器』だと言い張る日が来る。
王都は、名前を変えて奪うのが得意」

「じゃあ、先に名前を決めておこう。
『灯り』。『道標』。『挨拶』。
武器の名前じゃない」

セシリアは声を立てずに笑い、肩の力を抜いた。
「王都へ戻る。報告がある。
“魔”ではない、と。これは“呼吸”だと」

「気を付けて」

「あなたも」

彼女が去る背に、風がひとつ通り抜け、フードの端を持ち上げた。
銀の粉が、そこに一粒、光った。
王都へも、少し届くといい。
届かなくても、手順は残る。
残れば、いつか届く。

昼過ぎ、村はいつもの忙しさを取り戻した。
焚き火の上で鍋が鳴り、子どもが走り、男たちの肩が土の重みを思い出し、女たちの手が布の温度を測る。
ゲルが倒れた梁を引きずり、ミルドが杖で地を叩き、テオが小石を並べて畝の輪郭を作る。

ローザは井戸と畝と輪を往復しながら、時々立ち止まって空を見た。
雲は遅い。風は優しい。
耳の底で、低い音が続いている。
大地の音。彼の呼吸と同じ高さ。

「ローザ」

夕方、祈りの輪の火が小さくなったころ、ゲルが声をかけた。
「あの丘、見てきてくれないか。焼けたままで、誰も近寄れない」

「行く」

丘は村の外れ、木々の間から突き出た黒い背骨のような場所だ。
昨夜、火の帯がいちばん長く舐めた。
近づくと、足元から焦げ臭が立つ。
風が方向を変え、その匂いを連れてくる。

ローザは深呼吸して、ゆっくりと足を乗せた。
銀の花が、ひとつ。もうひとつ。
足跡に沿って灯る。
黒に白。焦げに呼吸。
少しずつ、丘の上まで。

頂で、彼女は立ち止まった。
遠くの山脈が、夕陽で薄い紫に沈む。
砦の屋根からは細い煙。
村の広場から子どもの笑い声。
祈りの輪の火が最後の音を鳴らし、井戸の水面がかすかに光る。
すべてが小さい。
小さいけれど、全部ある。

「――見てる?」

誰もいない空に訊ねる。
返事は、風の指先だった。
髪を撫で、頬を触り、足元の花を揺らす。
契印が、熾火みたいに一度だけ明るくなる。
〈いる〉。
言葉にならないのに、意味がはっきりしている。

「あなたの名前を呼ばない練習、始めるね」

彼女は苦笑し、指で土を撫でた。
「呼ばれなくても、いるって分かるように」

丘を降りると、夕餉の匂いが村を満たしていた。
薄いスープ、焼いた根菜、蜂蜜を少し溶かしたお茶。
ローザは鍋の蓋を取り、湯気の温度を確かめ、それからテオの皿にパンをちぎって入れた。
テオは黙って頷き、口いっぱいに頬張る。
食べる音は、平和の音だ。
平和は静かすぎると不安を呼ぶから、こういう音が必要だ。

夜、砦に戻る道も銀の花で縁取られた。
足音に合わせて、光が緩やかに揺れる。
門をくぐると、風の入口の覆い布がひとつ、寝息の音で鳴いた。
寝息。彼が教えてくれた鳴き方。
ローザは笑い、布をそっと撫でた。

部屋で灯りを落とし、机に手帳をひろげる。
ペン先が紙に触れる音が、今日の最後の鐘になる。

〈静か。火なし。風やわらか。銀花は足元に。
村の道、畝、井戸、輪に“目印”。
セシリア、王都へ。
ミルドの杖、ゲルの肩、テオの石。
丘は黒から白へ。――“いる”。
呼ばずに分かる。〉

書き終えて、窓辺の銀の粉を指で集め、掌の真ん中でそっと広げた。
粉はすぐに消えず、薄く光った。熾火みたいに。
ローザはその上に手を重ね、目を閉じた。
耳の底で、大地の音が続く。
低く、長く、やさしい。

静かな奇跡は、毎瞬起きている。
大きな光ではない。
誰かの皿に温かいスープが満ちる音。
井戸の布を絞る手の確かさ。
泣き止んだ子が蜜の甘さで笑う瞬間。
焼けた土の上に根が伸びる気配。
結界の縫い目が夜の中でゆっくり締まる感触。
そして、歩いた跡に小さな銀が灯ること。

滅びの果てに、愛が咲く。
咲いた花は、明日には少し色を変え、季節に合わせて形を変えるだろう。
それでいい。
愛は滅びず、形を変えて咲き続ける。
ローザは胸の灯りを確かめ、静かに息を吐いた。

「おやすみ。――明日も、“まし”にする」

風が窓の隙間で返事をした。
覆い布が寝息で鳴り、銀の花が影で揺れた。
夜の底は深く、しかし敵ではない。
眠りは作業の味方だ。

彼女は目を閉じ、掌の温度を胸に移した。
遠くの山の向こうへ、ひとつ、小さなありがとうを投げる。
風が拾い、見えない鱗に触れてから、そっと砦の屋根へ落ちた気がした。

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