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第13話 ノルディアへの来訪と、再会の予感
しおりを挟むその知らせは、昼下がりの穏やかな時間を、あっさりぶち壊してきた。
「――“アルシェルド王国より、正式な使節来訪”」
王宮の執務室に、文官が読み上げたその一文が落ちた瞬間。
部屋の温度が、きゅっと一段階下がった気がした。
リディアは、ちょうどレオンの机の端っこで、茶を一口飲んだところだった。
カップの中で、薄い琥珀色の液体がかすかに揺れる。
国名が耳に入った瞬間、喉の奥がひとりでに締まった。
(アル……シェルド)
魔法でもなんでもないのに、世界の色が一瞬だけ白く飛ぶ。
指先から、血の気がするすると引いていく。
全身の体温がさあっと引いていって、心臓だけが、場違いなほど大きな音を立てた。
ドクン、ドクン――うるさい。
胸の内側で、悲鳴みたいに暴れている。
「リディア?」
すぐ隣から、レオンの低い声。
自分の手が震えているのに気づいたのは、その声を聞いてからだった。
カップの縁で、白い指がかすかにかたかた鳴っている。
「あ……」
まともな返事にならなかった。
レオンは一瞬だけ眉をひそめ、それから文官に視線を向ける。
「使節の規模は?」
「はっ。護衛を含め、およそ二十名。
中心におりますのは、アルシェルド王太子ユリウス殿下。
王の病状悪化に伴い、現在実務を担う摂政と伺っております」
ユリウス――。
その名前が出た瞬間、リディアの心臓はまた一段階跳ねた。
あの夜、自分に向かって「婚約を破棄する」と告げた男の名前。
冷たく刃みたいな声で「無能だ」と言い放った人の名前。
喉の奥で、酸素が行き場をなくして暴れ回る。
「……正式な名目は?」
レオンの声は、いつもどおり冷静だ。
「“隣国との連携強化及び、辺境の魔物被害に関する情報交換”とありますが……」
「“が”?」
文官はわずかに目を伏せた。
「文面の末尾に、ごく短く、“行方不明となった元聖女リディア殿に関する情報があれば、併せて伺いたい”との一文が」
空気が、ぴき、と音を立てて固まった。
誰も、リディアのほうを見ないようにしているのが分かる。
それでも、自分がこの部屋の中心に据えられた“名前”になったのだと、嫌でも理解してしまう。
(行方不明……)
アルシェルドから見れば、確かにそうだろう。
森に捨てられ、処理されるはずだった聖女。
“死体の報告”が届いていないのだから、“行方不明”と書くしかない。
でも、本当は――。
ここにいる。
ノルディアにいて、レオンの隣の椅子で、温かいお茶を飲んでいた。
その日常が、たった一つの国名だけで危うくなる。
手のひらに冷や汗が滲んだ。
カップを置こうとして、かちん、と受け皿にぶつけてしまう。
小さな音だったのに、自分の耳にはやけに大きく響いた。
「――リディア」
名前を呼ばれて、顔を上げる。
レオンの青い瞳が、真っ直ぐこちらを見ていた。
いつもより少しだけ真剣で、でも決して責める色はない。
ただ、自分の状態を正確に把握しようとしている目。
「無理は、するな」
最初に出てきた言葉が、それだった。
「アルシェルドが使節を寄越したからといって、君が何かをしなければならない義務はない」
レオンは、きっぱりと言う。
「会う必要も、話す必要も、本来はない。
君はノルディアの客人であり、“アルシェルドの所有物”ではないからな」
その一言で、胸の奥がじんわり熱くなった。
アルシェルドにいたとき、自分の立場は常に“国家の所有物”だった。
“王家の器”“神の道具”。
誰かが「会え」と言えば会い、「祈れ」と言えば祈る。
選択の余地なんて、なかった。
「……でも」
喉を通る声は、ひどくかすれていた。
「アルシェルドは、“元聖女”を探しに来ているんですよね」
「建前はどうであれ、“聖女の奪還”を狙っていると考えるのが自然だな」
レオンは淡々とうなずく。
「こちらとしては、“そう簡単に渡すか”という話だが」
さらっと物騒なことを言った気がする。
「戦争になるかもしれないってこと、ですか」
「最悪の可能性としては、な」
その言葉は怖かった。
自分一人のせいで、二つの国の関係がこじれるかもしれない。
そのイメージをすると、胃のあたりがきゅっと痛くなる。
「……わたしが、隠れていれば」
思わず、そう口にしていた。
「ここにわたしがいるって知られなければ、アルシェルドも、“見つからなかった”って諦めて――」
「リディア」
レオンの声が、少しだけ低くなる。
ほんの少し怒っているときのトーン。
「君が“いないふり”をするために、この国が君を匿っているわけではない」
「…………」
「隠れ家としてノルディアを使いたいなら、それも一つの選択だ。
だが、“隠れることが正しいこと”だと自分に言い聞かせる必要はない」
痛いところを突かれた。
隠れるのは、ラクだ。
扉を閉めてしまえば、アルシェルドも、ユリウスも、見ずに済む。
でも、それを“正しい選択”だと言い訳しはじめたら――自分で自分を嫌いになりそうだった。
「……会うかどうか、決めるのは君だ」
レオンの声が、少し優しくなる。
「ノルディアの王としては、アルシェルドとの話し合いに君を同席させる必要はない。
むしろ危険が伴う以上、遠ざけるのが筋だ」
「でも、“レオンさん個人”としては?」
問うと、レオンは一瞬だけ目を伏せた。
そして、ほんの少しだけ笑う。
「俺個人としては――」
その目が、真っ直ぐにリディアを射抜く。
「君が逃げたいなら、全力で逃がす。
君が向き合いたいなら、全力で隣に立つ」
そんなずるい答えが、あるか。
胸の奥が、ぎゅうっと締め付けられた。
(逃げたい)
心のどこかが、正直に叫んでいる。
アルシェルドの名前を聞くだけで、こんなに息が苦しくなる。
あの国の人間と顔を合わせるなんて、想像しただけで吐きそうだ。
でも――。
「……逃げたく、ない」
唇が震えた。
喉の奥がひりついて、言葉が出てくるのに時間がかかる。
「本当は……逃げたくてたまらないんですけど」
自分の小さな嘘も、ちゃんと添えておく。
「でも、ここで一生、アルシェルドの顔を見ないままっていうのは……きっと、あとから、自分で自分を許せなくなりそうで」
あの国のすべてを許すつもりなんて、さらさらない。
忘れるつもりもない。
今でも傷は疼くし、怒りだってある。
でも、その全部を抱えた自分で、“会わない”という選択をしてしまったら。
それはたぶん、“逃げ”になる。
逃げていいときもある。
逃げなきゃ生きていけなかった夜もあった。
けれど、今度ばかりは――。
「……逃げたくは、ないです」
ぽつりと零れた本音は、か細いけれど、確かな音を持っていた。
足が震えている。
心臓も、意識も、過去に引きずられまくっている。
それでも、その震えた足で一歩前に出たいと思った。
レオンは、少しだけ目を細める。
「そうか」
「でも……」
リディアは、絞り出すように続けた。
「一人では、無理です」
胸の前で手を握りしめる。
「ノルディアのリディアとして、立っていられる気がしません。
あの人たちを前にしたら、きっと“アルシェルドの聖女リディア”に引き戻されてしまうから」
“聖女”と呼ばれていた頃の自分。
婚約者として笑っていた自分。
公開断罪の前で俯いていた自分。
全部一緒くたにして、その場に引き戻される気がする。
「だから」
小さく息を吸う。
「レオンさんと、ノルディアの人たちも、一緒にいてくれたら……多分、わたし、“今の自分”でいられる気がして」
それは厚かましいお願いかもしれない。
それでも、口に出さずにはいられなかった。
レオンは、すぐに答えを返した。
「両国の王が対面する場で、君をひとりで立たせるつもりはない」
当たり前のように言う。
「この国の王として、君の隣には俺が立つ。
騎士たちも控えさせる。
“ノルディアの客人リディア”として、堂々とそこにいればいい」
堂々と――。
そんな簡単に言うけど、と心の中でツッコむ。
でも、その言葉を聞いた瞬間、足元に一本、強い柱が立ったみたいな感覚がした。
この国では、あの夜の続きはしない。
同じ立場で、同じ視線で、ちゃんと向き合える。
「……分かりました」
リディアは、ゆっくり頷いた。
「怖いですけど、会います」
「よし」
レオンは、短くそれだけ言ってから、文官に視線を戻す。
「アルシェルド使節団の受け入れ準備を。
謁見の間を整えろ。
儀礼上必要なものは揃えるが、“過度な歓迎”は要らない」
「はっ」
「あと――」
そこで、レオンの声がわずかに低くなる。
「警備は厳重にだ。
“聖女の奪還”を狙った動きがあれば、即座に排除できるように」
文官がごくりと唾を飲み込むのが分かった。
「承知いたしました。騎士団にも伝えます」
◇
その頃、騎士団詰め所では、カイルが盛大に机を叩いていた。
「アルシェルドだぁ!? よりによって今!?」
「カイル、机が壊れる」
「壊れてねーよ! ……いや、でも冗談じゃねーだろ」
同僚の騎士が肩をすくめる。
「でも、“正式な使節”ってことは、さすがに城の中で変な真似は――」
「“さすがに”なんて言葉、信用できるか」
カイルは渋い顔で頭をかいた。
「アルシェルドって、“聖女を森に放り捨てる国”だぞ? その元凶が謝りに来ました~とか素直に信じろってほうが無理あるわ」
「……それもそうだな」
リディアを拾った夜のことが、頭をよぎる。
血まみれで倒れていた少女。
魔力が枯れかけ、呼吸もかすかで。
そのくせ、ほんの少し笑ったときに見せた顔が、やけに潔かった。
(あれをあんな状態にした国が、今さら“元聖女返して”って? ふざけんなって話だろ)
「というわけでだ」
カイルは、仲間たちに向かって言う。
「レオンさんから正式な指示が来る前に言っとく。
アルシェルドが“リディアを連れて帰ろうとした瞬間”、俺らは全力で止める。
“王の客人に手を出したらぶった斬る国”ってところ、きっちり見せてやろうぜ」
「やる気だけは一人前だなお前……」
「やる気なかったら、騎士なんかやってられねーよ」
口では軽く言いながら、カイルの拳は本気で握られていた。
リディアの笑顔も、泣きそうな顔も、全部見てしまった。
彼女がやっと“ここにいていい”と笑った日も、側で見ていた。
それをまた、“国のため”なんて言葉で連れて行こうとするなら――。
「俺は、絶対に渡さない」
誰に聞かせるでもなく、ぼそっと呟く。
その言葉には、騎士としての誓いと、ちょっと個人的な意地が混ざっていた。
◇
そして、当日。
ノルディア王宮の大広間――謁見の間は、いつもより少しだけ緊張した空気で満ちていた。
高い天井。
雪を思わせる淡い灰色の石壁。
柱にかけられた紋章旗には、ノルディア王家の象徴である“氷の結晶と剣”が刻まれている。
奥の階段の一段目に、レオンが立っていた。
王冠は簡素で、衣装も必要最低限。
それでも、その場の中心に立つだけで、「ここが自分の場所だ」と主張できる人間はそう多くない。
リディアは、その少し後ろの斜め横。
一段下がった位置に、控えるように立っていた。
薄い青のドレス。
ノルディアで仕立ててもらった、彼女によく似合う色。
胸元には、小さな白い花を模したブローチが留められている。
手のひらにはじっとりと汗が滲み、心臓はやっぱりうるさい。
足はちゃんと床を踏んでいるのに、感覚だけがふわふわ浮いている感じがして、何度も深呼吸をした。
「緊張してるか?」
レオンが、誰にも聞こえないような小声で尋ねる。
「……してないって言ったら嘘になります」
「嘘はつかなくていい」
レオンは口元だけで笑った。
「胸を張っていろ。“ここはアルシェルドの城じゃない”」
言葉が、胸の奥にすうっと染み込んでいく。
そうだ。
ここは、ノルディア。
あの日、追放と断罪が行われた王城の大広間とは違う。
わたしは、聖女として断罪されるためにここに立っているんじゃない。
“ノルディアの客人リディア”として、この場にいる。
――何度も言い聞かせる。
大広間の両脇には、ノルディアの騎士たちが整列していた。
カイルも、その列の中にいる。
いつもみたいなだらしない笑みはなく、真面目に剣を腰に下げて直立していた。
彼と目が合う。
カイルは、大袈裟なくらい大きく口パクした。
『だいじょーぶ』
ちょっとだけ笑いそうになって、慌てて唇を引き締める。
(……ありがと)
目でそう返して、前に向き直った。
扉番が、大扉の前で槍を鳴らした。
「アルシェルド王国使節一行――来訪!」
重々しい声が響き、同時に巨大な扉がゆっくりと開いていく。
ギィィ……という低い音が、やけに長く感じられた。
最初に見えたのは、深い赤の絨毯。
次に、アルシェルド独特の意匠が施された軍靴。
淡い紫の礼装、金の刺繍、青い紋章。
懐かしくて、吐き気がする色。
(いやだ)
一瞬、本能が叫んだ。
視界が狭くなる。
耳鳴りがする。
喉が、自分のものじゃないみたいに感じる。
それでも――逃げない、とさっき決めたばかりだ。
だから、目を逸らさなかった。
まっすぐ前を向く。
扉の向こうから、ゆっくりと一人の男が姿を現した。
背筋を伸ばし、堂々とした歩き方。
整えられた金髪。
薄く結ばれた唇。
氷のような光を宿した瞳。
王太子ユリウス・アルシェルド。
かつて、自分の婚約者だった人。
彼もまた、正面に立つノルディアの王を見ていたはずだ。
でも、数歩進んだところで、視線がふと揺れた。
そのまま、階段の少し横――レオンの隣に立っている、小さな影で止まる。
目が合った。
一瞬で、時間が巻き戻された。
祭壇の前で交わした、幼い日の約束。
「君は僕が守る」と笑ってくれた少年の声。
怪我をした指先をそっと握ってくれた、あの温度。
そして――。
『リディア。君は聖女としての責務を果たせなかった』
『よって、聖女の称号を剥奪し、王太子妃としての婚約もここで破棄する』
あの夜の大広間。
ざわめく視線。
涙をこらえて笑おうとした自分。
「……わかりました」と絞り出した声。
その全部が、一度に押し寄せる。
息が、詰まった。
肺に空気が入ってこない。
心臓が、また馬鹿みたいな音を立て始める。
足元がぐらりと揺れた気がした。
(……やっぱり)
逃げたい。
消えてしまいたい。
この場に立っている自分を、ぜんぶ剥がしてしまいたい。
でも、その瞬間――。
隣から、そっと袖を引かれた気配がした。
レオンの手が、布の上から軽く触れている。
誰の目にも分からないくらい、ほんの微かな接触。
それだけで、「今のわたしは、あの夜のリディアじゃない」と、ギリギリのところで思い出せた。
(ここは、アルシェルドじゃない)
胸の奥で、ノルディアの空気が静かに広がる。
パン屋の老夫婦の笑顔。
市場で泣いていた子どもの「ありがとう」。
カイルのうるさい声。
レオンの、「ここにいていい」という言葉。
それら全部が、今の自分を形作っている。
それを抱えたまま、リディアはなんとか、ユリウスから視線を外さないようにした。
彼の目にも、驚きと、何か別の濁った感情が渦巻いているのが見えた。
後悔なのか、執着なのか、罪悪感なのか――今はまだ分からない。
ただ一つ、はっきりしているのは。
この再会は、もう“昔の続き”じゃない。
ノルディアのリディアと、アルシェルドのユリウスとしての――
まったく新しい“向き合い”の始まりなのだということだけだった。
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