黒幕の私が転生したら、なぜか勇者パーティ全員に求婚されてます

タマ マコト

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第4話「悪夢の断片と、知らないはずの悲鳴」

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 ――燃えていた。

 空が、街が、人が。
 全部まとめて、炎に舐められていた。

 赤じゃない。
 もっと、どす黒くて、血と煙を混ぜて薄めたみたいな、嫌な色の炎。

 誰かが泣き叫んでいる。
 誰かが名前を呼んでいる。

 でも、その声は、全部ガラスの向こう側みたいに遠かった。

 空から降ってくる。

 黒い糸。

 雨みたいに、雪みたいに、さらさらと降ってきて、街のあちこちに突き刺さる。
 突き刺さった場所から、爆ぜる。炎が、悲鳴が、増殖していく。

 その糸を操っているのは――

 自分と同じ顔をした、少女だった。

 白い肌。
 黒い髪。
感情の死んだ瞳。

 “リュミエ”じゃない。
 でも、“イリス”だと言い切るには、あまりにも幼く見える。

 少女は、糸を指先で撫でていた。
 優しく撫でるたびに、街が崩れていく。

 悲鳴が重なる。
 男の声、女の声、子どもの声。
 ひとつひとつに表情があるのに、混ざるとただの“雑音”になる。

 少女は瞬きもせず、それを聞いていた。

 そこに、色がない。
 あるのは、モノクロのフィルムみたいな世界。
 黒と白と灰色だけで描かれた地獄。

 その中を、勇者の背中が走っていく。

 マントが破れ、鎧が焦げ、剣は血と煤に汚れている。
 何度も倒れては立ち上がる。
 何度も立ち上がっては、また倒れる。

 その姿が、何度も巻き戻されては再生される。

 あまりにも何度も倒れるから――
 最後には、立ち上がらなくなる。

 倒れたままの背中を、少女はじっと見下ろす。
 その顔には、何の感情も浮かんでいない。

 ただ、世界の駒がひとつ減ったことを確認しているだけの目。

 彼女の口が、静かに動いた。

『次は、どこを壊そうか』

 その声が、リュミエの耳の奥で反響した。

「やめ――っ!」

 叫び声と同時に、視界が反転する。

 木の天井。
 薄暗い部屋。
 鳥の鳴き声。

 肺が空気を取り込んだ拍子に、喉がひゅっと鳴った。
 肩で息をしながら、リュミエは勢いよく上体を起こす。

 胸が痛い。
 心臓が、殴られたみたいに早く打っている。

 頬が濡れていた。
 枕も、しっとり湿っている。

「……また、これ」

 かすれた声で呟いて、震える指先を見下ろした。
 爪の間までこわばっている。
 誰かの首を絞めた直後みたいに、手のひらが冷たくて、嫌な感触がこびりついている気がした。

 夢。

 ここ数日、毎晩のように見る悪夢。

 炎の街。
 黒い糸。
 無表情の少女。

 倒れていく勇者の背中。

 ――どうして、知ってるの。

 知らないはずだ。
 そんな光景、現実で見たことなんてない。

 でも、夢の中の自分は、“見慣れたもの”を眺めるような目で、それを見ていた。

「……わたし、なにか……ひどいこと、してた?」

 誰に向けたのかわからない問いが、喉の奥で溶ける。

 イリスとしての記憶は、まだ全部は戻ってきていない。
 実験室。
 地図。
 血のついた報告書。

 ばらばらのピースが、悪夢という形で勝手に組み立てられていく。

 “この街を壊そうとしていたのは、わたしだった”。

 そう告げる声が、頭のどこかから響いてくる。

「違う……やだ……」

 両手で頭を抱える。
 目の奥が熱い。
 涙はもう出ているのに、まだ足りないみたいに、胸の中がざわざわしている。

 屋根を打つ鳥の足音。
 外から聞こえる、人の気配。

 いつもなら「朝だ」と思える声が、今はやけに遠い世界の音みたいだ。

 コンコン、と軽いノックが響いたのは、そのときだった。

「リュミエー? 起きてるか?」

 聞き慣れた、よく通る声。

 アレンだ。

 ドア越しでもわかる、元気と太陽を混ぜたみたいな声色。

「……起きてる」

 涙を手の甲で乱暴に拭ってから、どうにか返事をする。
 声が掠れていたのを、自分でもわかった。

「入っていいか?」

「ちょっと待って、今顔洗うから……!」

「あ、ごめん。先に外で待ってるわ!」

 足音が少し遠ざかる。
 その何でもない音に、ほっとしてしまう自分がいた。

 立ち上がって、洗面台の前に立つ。
 水桶に手を突っ込むと、冷たさが皮膚を突き刺した。

 ばしゃ、と顔に水をあてる。
 冷たい水が、まぶたと頬をまとめて洗い流してくれる。

 鏡代わりの水面を覗き込む。

 そこには、ひどい顔をした少女が映っていた。

 目の下にはうっすらとクマ。
 まぶたは少し腫れていて、唇の色も悪い。

(うわ……“人生こじれてます”って顔してる……)

 自嘲する余裕があるのが、逆に情けない。

 タオルで顔を拭き、髪を最低限整えてから、深呼吸をひとつ。

 ドアを開けると、朝の光が差し込んだ。
 そしてその光を背負うように、アレンが立っていた。

「よ。おはよう、リュミエ」

 いつも通りの、笑顔。
 白い歯、明るい瞳。

 全部が“普通”で、“優しい”。

「おはよう……ございます」

 挨拶した瞬間、アレンの笑顔がふっと和らいだ。

「……やっぱちょっと、顔色悪いな」

「えっ」

「なんか、いつもより白い。てか、目が赤い」

「うっ……」

 思わず頬に手を当てる。
 誤魔化したつもりでも、プロの勇者の目は誤魔化せなかったらしい。

「寝れてない?」

「……ちょっと、変な夢、見てて」

 あまりにも的確に刺されたから、つい正直に答えてしまった。

 アレンは一瞬だけ真顔になり、それからいつもの調子を少しだけ落とした柔らかい声で続ける。

「そうか。……ま、とりあえず飯行こうぜ」

「え、朝から勇者様直々に朝食に誘われる一般村娘ってなに」

「いや、そんな大事なもんじゃないから。俺たちもバルドさんとこで食わせてもらうことになってさ。だったら一緒に行った方がいいだろ?」

「ふつう逆でしょ。客人を家に迎える側でしょ」

「細けぇことは気にすんな!」

 アレンはそう言って笑った。
 軽い。
 でも、その軽さは計算じゃない。

 “大丈夫か?”って口に出す代わりに、日常を差し出してくれている感じがした。

 胸の奥が、ちくちくした。
 悪夢で擦り切れた心に、優しさが染み込んでいく感覚は、気持ちいいのに、ちょっと痛い。

(……ずるいな、この人)

 そんなことを思いつつ、リュミエはアレンと並んで階段を降りた。

    ◇

 バルドの店の前には、すでに三人の姿があった。

 セイルは木箱を椅子代わりにして本を読んでいて、ロウは店の看板の横に立って周囲をさりげなく警戒している。
 カグラは屋根の縁に腰掛けて、脚をだらんと垂らしていた。

「おはようございます」

 声をかけると、セイルが本から目を上げる。

「おはようございます、リュミエさん」

 視線が、一瞬だけ顔をなぞった。
 寝不足の痕跡を見逃さない、観察魔の目。

「睡眠時間が足りていないようですね」

「観察力をそんなところに使わないでください」

「賢者の性分なので」

「便利そうで面倒くさい職業ですね」

「自覚はあります」

 他愛ないやりとりをしながら、リュミエはアレンの横に立つ。
 ロウがじっとこちらを見た。

「……本当に大丈夫か」

 短い言葉。
 それだけなのに、妙に心に届く。

「見た目そんなにやばいですか?」

「やばい、まではいかないが、“強がってる顔”だ」

「言い切った……」

 ロウはこういうところだけ妙に鋭い。
 口数が少ない分、一つひとつの言葉が重い。

 カグラは屋根の上から睨むようにこちらを見下ろしていたが、何も言わなかった。
 ただ、一瞬だけ、リュミエの手の震えに視線が落ちて、それから空へと逸らされた。

「さ、入れ入れ。いい匂いしてるぞ」

 アレンが扉を開けると、パンとスープと焼いた肉の匂いが一気に押し寄せてくる。
 いつもの朝の匂い。
 それだけで、だいぶ人間に戻った気がした。

    ◇

 テーブルを囲んでの朝食は、ちょっとしたパーティ状態だった。

「バルドさん、このスープどうやって作ってんの?」

「企業秘密だ」

「そこをなんとか! 世界を救う勇者の頼みってことで!」

「世界は救えてもこのレシピは救えねえな」

「救えないの意味が違う!」

 アレンとバルドのやり取りに、思わず笑いがこぼれる。
 セイルはパンをちぎりながら、メモ帳に何か書き込んでいる。

「……スープの味、なにメモってるんですか」

「いえ、食事内容と体調の変化を関連づけていまして」

「研究対象が自分たちならまだしも、人の家の朝ごはんまでデータにするな」

 ロウの突っ込みはもっともだ。

 カグラはというと、一番端の席で黙々と食べていた。
 フォークの動きがやけに静かで、音を立てないように気を遣っているのがわかる。

 こうして見ると、本当に“普通にご飯を食べている若者たち”にしか見えない。
 世界を救った英雄とか、黒幕に翻弄されてきた被害者とか、そういう肩書きが一瞬で遠のいていく。

(……悪夢のことなんて、どっか行けばいいのに)

 そんな願いが、スープの湯気みたいにふわっと浮かんでは消える。

 でも、完全には消えなかった。

 スプーンを持つ手が、ふいに震えた。
 スープの表面がかすかに揺れる。

 その揺れに、炎に包まれた街の残像が重なった。

「リュミエ」

 小さな声で名を呼ばれる。
 顔を上げると、セイルと目が合った。

「無理に、話さなくてもいいんですが」

 彼はパンを皿に置き、少しだけ身を乗り出した。

「さっき、“変な夢”と仰ってましたね」

「……よく聞いてますね、ほんと」

「耳もいいので」

「そうですか」

 軽くやり返してみせるが、言葉の裏に逃げ道を探している自分がいた。

「どういう夢か、聞いても?」

 セイルの声は柔らかかった。
 興味本位だけじゃない。
 それでも、そこに“探っている気配”が混じっているのを、敏感になった心は感じ取ってしまう。

 視線を落とす。
 スープの表面には、自分の顔がぼんやり映っていた。

「……街が燃えてて」

 言葉にした瞬間、胸がきゅっと痛む。

「空から、黒い糸みたいなのが降ってきて、それが当たったところから、全部壊れていって……」

 ヒュッと、誰かが息を呑む音が聞こえた。

 顔を上げると、アレンの表情から笑顔が消えていた。
 ロウの手が、テーブルの下でぎゅっと拳を握っているのがわかる。
 カグラは視線を皿に落として、表情を見せないようにしている。

 セイルだけが、変わらず静かな顔を保ちながら、瞳の奥だけが僅かに揺れた。

「……続けても?」

 静かな確認。
 リュミエは喉を鳴らし、どうにか言葉を吐き出す。

「その糸を操ってる子がいて。……わたしと同じ顔してたけど、表情がなかった。全部、壊れていくのを、ただ見てて」

 やっぱり、どこからか悲鳴が聞こえた。
 それは、食堂の中からじゃない。
 悪夢の残りカスが、耳の奥でまだ鳴っている。

「それで……勇者、みたいな人が、何回も倒れていくのを……」

 そこまで言って、限界が来た。
 声が震え、言葉が先に進めない。

「ごめんなさい。なんか、変な話ですよね」

 無理やり笑おうとする。
 けれど、頬がひきつって、たぶんひどい顔になっていた。

 アレンが、スプーンをそっと置いた。

「……いや」

 彼の声は、普段より少し低かった。

「変なんかじゃ、ない」

 ぎゅっと、拳を握りしめる音がした気がした。
 アレンは一度目を閉じて、深呼吸をひとつ。それから、いつもの明るさを無理やり引っ張り出したみたいな笑顔を浮かべる。

「悪夢、な。俺も昔、よく見てたよ」

「……勇者様でも?」

「勇者だから、かもな」

 目は笑っていない。
 でも、声だけは軽く装う。

「街が燃えてたり、仲間が倒れてたり、そういうのって、一回見たらなかなか頭から抜けないんだよ。……たとえ、実際に見たことなくてもさ」

 最後の一言が、妙に意味ありげだった。

 セイルが静かに補足する。

「前回の魔王戦争のとき……“黒幕”がいたと言われています」

 “黒幕”という単語に、空気がぎゅっと重くなる。
 バルドでさえ、手を止めて黙り込んでいた。

「戦場を裏から操り、魔物の出現位置をコントロールし、人と国を戦わせた影の存在。公式記録には残っていませんが、現場にいた者の証言から、その存在を疑わざるを得ない状況がいくつもありました」

「そいつのせいで、守れなかったものが、たくさんある」

 ロウの声は、低く、硬かった。
 拳を握る音が、今度ははっきり聞こえた気がする。

 カグラは俯いたまま、フォークを握る指先に力を込めていた。
 その指は、かつて“命令される側”として黒幕に利用されていた名残を覚えているのだろうか。

 アレンは、リュミエの方を見た。
 その瞳の奥に、“探っている色”が混ざっている。

 けれど、同時に、心から心配する色も混じっていた。

「……ごめんな。変な昔話した」

「いえ……」

「とりあえずさ。夢は夢だし、今は飯だ」

 無理やり笑って、パンをちぎって口に放り込む。
 その無茶な明るさが、逆に“何かを隠そうとしている”ように見える。

 セイルが視線を逸らし、窓の外を見た。
 朝の光は相変わらず柔らかいのに、その表情には影が差していた。

(この人たちも、何かに怯えたことがあるんだ)

 黒幕。
 戦場を操る影。

 それは、リュミエにとっては“悪夢の中の自分”で、勇者たちにとっては“現実にいたかもしれない敵”だ。

 両方の記憶が、じわじわと重なりかけている。

(いやだ……いやだいやだいやだ)

 叫びたいのに、喉が塞がる。

 わたしはただの村娘でいたい。
 パンが美味しいとか、森の匂いが変だとか、そんなことだけ気にしていたい。

 でも、悪夢はそうさせてくれない。
 勇者たちの視線も、そうさせてくれない。

 “探っている気配”がある。
 何かを確かめようとしている目。

 それは、イリスとして生きていたとき、散々向けられてきたものだ。
 今度は、自分が“見られる側”になっている。

 スープの皿に映る自分の顔が、少しだけ歪んで見えた。

「……ごめんなさい。先に片付けてきますね」

 椅子から立ち上がり、皿を手に取る。
 バルドが心配そうに目を細めた。

「無理すんなよ」

「うん。ちょっと、頭冷やしてくるだけ」

 そう言って、リュミエは厨房の方へ歩き出した。
 背中に、いくつもの視線を感じながら。

 アレンの、「大丈夫か?」という言葉が、遅れて胸に刺さる。
 優しい言葉ほど、痛い。

 それでも、まだ――その痛みが、救いにもなっていることを、リュミエ本人は気づいていなかった。

 悪夢の断片は、これからもっと鮮明になっていく。
 知らないはずの悲鳴が、現実の音と混ざり始める。

 その境目で揺れ続けるリュミエを、勇者たちは“鍵”として見つめ、
 そして同時に――ひとりの少女として、手を伸ばすことになる。

 けれど、この時点ではまだ、誰もその落としどころを知らない。
 炎とパンの匂いが混ざった、奇妙にあたたかくて苦い朝だけが、静かに過ぎていった。
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