【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん

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第1話 最悪の異世界転移

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今日もいつものように教室で寝ていた。

俺の家は神社で、手伝いが多く何時も朝早くから起こされるので、どうしてもこの時間は眠くなるんだ。

昨日もうちの親父に家の手伝いを夜遅くまでさせられ、疲れているのに、今日も朝から掃除をさせられたせいか、何時も以上に眠かった。

そのせいでどうやら熟睡していたようだ。

だが、今日はいつもと違っていた。

「理人(りひと)、早く起きろ…」

「理人くんで最後だから早く女神様の所にいって」

どうもクラスが騒がしい。

女神様…神?

まさか…

「えっ女神様? 何?」

訳が解らない。

俺が寝ぼけているとクラスメイトの一人工藤が説明をし始めた。

「理人が寝ている間に異世界の召喚で俺達はこの場所に呼ばれたんだ、そして今は異世界に行く前に女神イシュタス様が異世界で生きる為のジョブとスキルを皆に授けてくれているんだよ! お前もノンキに寝て無いで早く並んだ方が良いぞ」

興奮気味に工藤は俺に話してくる。

「冗談だろう」

普通は神にはそう簡単に会えない。

それを俺は知っている。

俺は周りを見渡した。 

白くて何もない空間のようだ。

本当に神の世界なのか?

多分、嘘ではないな。

俺をだますためにこんな大掛かりな事は誰もしないだろう。

「それじゃ、俺は先に行くぞ、お前もジョブとスキルを貰ったら来いよ」

そういうと工藤は走って行ってしまった。

どうやら、ジョブとスキルを貰った者から先に異世界へ転移していくみたいだ。

俺は、女神様らしい女性のいる列に並んだ。

女神と言うのも頷ける。

綺麗なウエーブの掛かった金髪に綺麗な青い瞳。

凄く神々しく、そして慈愛に満ちた顔をしている。

『美しく優しく気高い女性』

それが俺から見た、女神イシュタスのイメージだった。

俺の一族は『神』とは縁がある家柄だ。

だが、神に会ったなんて話は聞いたことが無い。

精々が爺ちゃんあたりに偶に神託がある、それ位だ。

『俺が女神に会った』それを知ったら、きっと爺ちゃんは悔しがるに違いない。

しかし、『女神イシュタス様』か?

どんな神様なんだろうか?

だが、可笑しな事に心の中で『神とは違う』と何かが否定をする。

何が違うのか、俺には解らないが…俺の中のナニカがこの女神を否定する。

俺は神代…神を否定なんてして良い家柄人間じゃない。

代々『神を祀る、由緒ある神社』の子だ。

きっと、何かの間違いだ。

次々にクラスメイトがジョブとスキルを貰っていく中、いよいよ最後に並んだ俺の番がきた。

他のクラスメイト達はもう異世界に向かったようだ。

俺の顔を見た途端、あの気高く美しく見えた女神が顔をしかめた。

「貴方神臭いわね…」

女神が何故、そんな事を言うのか俺には理解が出来なかった。

確かに俺は神にあったことは無いが神代神社の神主の孫『仕えている』といえば仕えている事になるだろう。

当たり前の事なのだが、神に仕えて問題があるのか?

「神臭い? 確かにそうかも知れません、俺、いえ私は代々神を祀る神職の家系ですから、女神イシュタス様の世界だと教会の神官の孫みたいな者だと思います」

貴方も女神様、神なんじゃないのか?

「そう神職なのね、異世界で魔王が現れ困っている。そして一国の王族が勇者召喚をして君たちを呼ぼうとしたのよ...ここまでは理解できますか?」

こういう事もあるのか…

しかし、何故他の世界の人間を異世界に連れていく必要があるのだろう?

まるで『神』の話ではなく、小説の話みたいだ。

「何となく小説とかで読んだ話に似ている気がします」

「理解は早いわね…だけど困った事があるのよ…」

何故か、嫌な予感がする。

虫の知らせって奴だ。

「何でしょうか?」

「本当に臭いわ、嫌になる程『他の神の臭いがする』私は女神なのよ? 他の神の臭いがするお前は、本当に臭くて気持ち悪いわ!」

何かが可笑しい。

八百万の神や異国の神であっても、日本に存在する神は優しく、爺ちゃんに聞いた限りでは、こんな言い方はしない…筈だ。

「あの、女神イシュタス様?」

目の前に居るのは本当に俺の知る『神』なのか?

まさか、神であっても悪神なのか?

人間離れした美しい存在なのに、急に俺は女神イシュタスが不気味に感じはじめた。

「お前みたいに『気持ち悪い奴』にはなんの加護も与えたくないわ」

不味い、もしかしてやはり、悪神なのかも知れない。

不味い事になった。

「もし、俺が気に要らないのであれば、何もしないで元の場所に戻して貰えませんか?」

「この魔法はあの場に居た全員に掛かっているから、貴方1人戻すなんて無理ですね」

不味いな、嫌な考えばかりしか浮かばない。

「そうですか、それでは俺をどうするつもりですか」

「よく考えたら、貴方がどうなろうと私には関係ないわね…他の神の臭いがするんですもの…そのまま何も与えずに異世界に送る事に決めたわ!神臭いお前が悪いのよ!うふふっ、地獄の様な生活が目に映るわ、無様に惨めに、皆から馬鹿にされて死んでいきなさい」

此奴は敵だ…もう女神なんて敬う必要は無い。

道理で、何か違和感がある筈だ。

女神イシュタス…恐らくこの女神は俺が知っている『神』と何も接点が無い。

いや、寧ろ『神臭い』なんて言っている位だ、嫌っている可能性すらある。

「どうせ、慈悲を乞うても無駄なんだろうな…」

「そうね、貴方には一切の慈悲を与える気は無いわ…神臭くてキモイ…お前が悪いのよ」

「そうか…ならばお前は神じゃない…俺はどうせ死ぬのだろうが…死ぬまでお前という神を否定してやる…女神イシュタス、お前は俺の神敵だ!」

「そう? 勝手にすれば、私の世界でなんの加護も無しに死んでいくが良いわ…そうね『翻訳』それだけは慈悲であげる、惨めさを味わわせる為に…自分が如何に惨めな存在か解るようにね…」

こうして俺は何も貰えずに異世界に送られた。

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