【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん

文字の大きさ
3 / 104

第3話 無能

しおりを挟む


話が終わって、すぐに水晶による能力測定の儀式が始まった。

これは異世界から召喚した者たちのスキルやジョブが解り、各種能力を数値化して見る事が出来るらしい。

クラスの皆は我先に並んでいたが、俺は全く期待が持てないから急ぐ必要は無い。

俺はゆっくりと、一番後ろに並んだ。

どうせ何も貰えていないのだから、碌なもんじゃない筈だ。

能力が何も変わって無い事はもう既に解っている。

測定を終えた皆は、はしゃいでいたが、俺は憂鬱で仕方が無い。

「僕は白魔法使いだったよ、白魔法のジョブがあったんだけど?これアタリなのかな?」

「普通じゃないの?私は魔導士だったよ!最初から土魔法と火魔法が使えるみたい」

「いいなぁ、私は魔法使いだって、どう見ても魔導士より格下よね、魔法も火魔法しか無いんだもの」

そうか、てっきり俺は『皆が自分のジョブやスキルは解っている』と思っていたんだけど、何を貰ったのかここに来るまで解らなかったんだな...測定して初めて自分の能力が解るのか。

「気にする事はありませんよ! この世界では魔法使いになるにしても沢山の修行をして初めてなれるのです。最初から魔法のスキルが1つでもあり、魔法使いのジョブでも充分に凄い事ですよ」

「本当ですか? 良かった!」

会話を聞く限り、魔法使いや騎士等が多いみたいだが、それでもハズレではなくこの世界で充分に凄いジョブらしい。

それより良いジョブが恐らく、魔導士とかなのだろう、そう考えると勇者、聖女辺りのジョブが本当の意味で大当たりなのかも知れない。

聞き耳を立てて俺が聞いている限りでは、凄いと思えるようなジョブは今の所『魔導士』位しかでて無さそうだった。

「やった、私、大魔道だってさ、魔法も最初から4つもあるよ..当たりかなこれは」

『大魔道』名前からして凄いジョブの様な気がする。

どうやら魔法を使う、最高のジョブは大魔道なのかも知れない。そう考えると魔導士は少し良いジョブ位だな、本当に凄いジョブはやはり、 勇者、聖女、大魔道、賢者辺りだろう。大魔道のジョブを引いた平城さんを見た時に担当の人が驚いた表情を見せていた。

あくまで、そこからの想像に過ぎないが。

俺は色々考え平城さんに声を掛けた。

「平城さん『大魔道』なんて凄いね。俺は能力測定は、これからなんだけど、どれだけ凄いのか、気になるから参考までに、教えてくれないかな?」

「理人くん良いよ、その代わり理人君の能力測定が終わったら私にも教えてね」


何時見ても平城さんは可愛いな。

背は低いけど、お姫様カットの黒髪が艶々していてカラス髪っていうのかな、凄く綺麗だ。胸は小さいが、着物が凄く似合いそうな古風な美少女だ。

実は俺は平城さんに少し気がある。

だが、こう言う気持ちを持っていても今となっては意味が無い。

スキルもジョブも無い俺は皆と一緒の待遇になるとは思えない。

こんな事なら、もっと前にさっさと、告白位して置くべきだった。

古くから神社に伝わる剣技を爺ちゃんから教わってはいるが、異世界で通用するとは到底思えないな。

「解ったよ」

相手のスキルやジョブを教えて貰うんだ、教えない訳にはいかないな。

「それじゃあ、はい」

平城 綾子
LV 1
HP 180
MP 1800
ジョブ 大魔道 異世界人
スキル:翻訳 アイテム収納 闇魔法レベル1 火魔法レベル1 風魔法レベル1 水魔法レベル1

「比べる人がいないから解らないけど…何だか凄いね」

「うん、何でも五大ジョブらしいよ!だけど、まだ他のジョブ 勇者も聖女も大賢者、聖騎士も出ていないから理人君にもチャンスはあると思うの。理人君は神社の跡取りだったから聖女の男版聖人とかになるんじゃないかな?そうしたら、ううん、これは後で言うね」

賢者じゃなくて大賢者がアタリジョブなのか?

「そうだね」

残念だけど、俺はジョブもスキルも貰っていない。

多分、俺は『無能』みたいな存在の可能性が高い。

役立たずな俺は下手したら城から追い出されるかも知れない。

気がつくと俺は平城さんを見つめていた。

「うん? 私の顔を見てどうしたのかな? もしかして『愛の告白』かな?」

気持ち位は伝えておいた方が良いかもな。

「平城さん…大好きだ。」

それだけ伝えて俺は平城さんに背を向けた。

「ちょっと待ってよ…今の告白だよね…なんで返事待たないで行っちゃうの?冗談とかじゃないよね?『言質とったからね』」

この様子じゃ、平城さんも満更じゃないのかも知れない。

だけど、返事を聞いても恐らくは意味が無い。

ジョブやスキルも無い俺じゃ、きっと俺は君を幸せに出来ないから。


◆◆◆

「これは凄い、勇者のジョブがでたぞ」

検査の担当者の驚いた声が聞こえた。

なんで勇者のジョブが大樹なんだ…

あの女神は無能なのか?

彼奴は正義感なんてなくて、まるで半グレの様な奴だぞ。

聖騎士が大河

大賢者が聖人

聖女が塔子。

あの女神は本当に頭がお花畑なのか?

幾らでも真面な奴がいるのに『最悪の4人』を何故重要な五職に選ぶんだよ。

そしてとうとう俺の番になった。

「なんだ、これはまさか『無能』がいるなんてな」

別の意味で検査の担当者が驚いている。

俺のジョブやスキル、数値は…

理人
LV 1
HP 17
MP 14
ジョブ:無し 日本人
スキル:翻訳

これは余りに酷すぎる。

あの、女神…俺が本当に嫌いなんだな。

少し剣術が出来る位じゃどうにもならない様な気がする

良くライトノベルで『冒険者になる』なんて話もあるが、此処迄酷い状態じゃ…どう考えても、これじゃ無理だろう。

しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

処理中です...