【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』～ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男～

第4話 お城で過ごす最後の夜

何も神の恩恵が無いとこんな物なのか…

俺は落胆した、それと同時に女神イシュタスが如何に酷い存在なのかが凄く解った。

俺の知っている…まぁ学んだ範囲の話では、神は色々な恩恵をもたらし、たとえ嫌いな人間であっても最低限の慈悲は与えてくれている。

これは、幾ら何でも低すぎないか？

理人
LV　1
HP　17
MP　14
ジョブ：無し　日本人
スキル：翻訳.

俺のこのステータスは平城さんと違いすぎる。

他のクラスメイトの情報は知らないが…『真面に生きていけない』そういうレベルだろう。

俺は黙って横にずれた。

俺の担当の人は俺を同情するように哀れみの目で俺を見て、そして説明しはじめた。

「まさか無能だなんて…貴方は女神でも怒らせる事をしたのですか？　こんな状態の人間、召喚者処か、この世界にも居ません」

「ちなみにこのステータスだとどの位でしょうか？」

「村民や商人の子供位の力しかありません...8才位の子供でも貴方より強いと思います…あと申し訳ないですが」

「まだ何かあるのですか？」

「多分、『無能』なので、この城から追い出されると思います」

「勝手に呼びだして、必要が無いなら捨てる…そういう事ですか…」

「それは…」

この人はただ教えてくれただけの人…文句言っても仕方が無い。

寧ろ、教えてくれただけ親切なのかも知れない。

この情報は正しいのだろう。

過去を思い出せば、昔の人間の方が体が丈夫だった。そんな話を聞いた事がある。

子供の頃から畑仕事を手伝ったら、重い物を持つ生活…現代人より体力はありそうだ。

此処が中世位と同じだとすれば…現代人より体力があるのも道理だな。


約束だからな、こんなステータス見せたくはないが、平城さんには見せないといけないな。

「平城さん、俺のステータスなんだが...」

「あっ理人君も終わったんだね、それよりさっきの答えだけど、私も理人君が」

本当なら最高の瞬間だったんだろうな。

だが、俺は遮るように断るしかない。

「ごめん、多分俺は平城さんと付き合えない」

今の俺じゃ彼女を幸せに出来ないから…仕方が無い。

「何で…好きだって言ったじゃない」

ごめんな…

「俺には平城さんを守る力が無いんだよ、俺のステータスはこれだから…」

「嘘、冗談だよね…こんな人居ないよ」

平城さんの顔が青く悲しい目に変わった。

「他の人のステータスもそんなに高いの？」

「そうだね、さっき騎士の工藤君と魔法使いの法子のステータスを見せて貰ったんだけど…こんな感じだったと思う…流石にこれは間違いだよ」

工藤　祐一
LV　1
HP　200
MP　50
ジョブ　騎士　異世界人
スキル：翻訳.アイテム収納、剣術レベル1　　水魔法レベル1

坂本　典子
LV　1
HP　60
MP　190
ジョブ　魔法使い　異世界人
スキル：翻訳.アイテム収納、火魔法レベル1　水魔法レベル1　

「まさか、此処まで違いがあるなんて、だけど俺のステータスは間違いじゃないんだ…平城さん、もし俺がこの世界で生きる方法を見つけられたら、その時にもう一度告白するよ！　その時にもう一度返事を聞かせて欲しい」

俺は平城さんの返事を待たずに距離をとった。

此処まで低いなんて、流石にもう詰んでいるな。

俺は、真面に何も出来ない可能性が高いな。

『生きていく』それさえ難しいのかも知れない。


その日の夜には予定どおり宴が行われた。

お情けで俺も参加させてくれるそうだ。

まぁ、今日は泊まらせてくれるが、明日の午後には城を追い出されるのが確定した。

僅かなお金だけと身分証明はくれるそうだ。

普通に立食形式でバイキングに近い感じだった。

何人かのクラスメイトは貴族や王族としゃべっていたが俺は話す必要は無いので、ひたすら食べる方に没頭した。

俺の部屋も他の者達と同じ待遇の1人部屋だ…これは最後の情けと言う事なのだろう。

運が良い事に平城さんの近くの部屋だった。

これから先は守ってあげられない…大樹は女癖が悪く、平城さんにちょっかいを前にだした事があるから、何かしてくるかも知れない。

明日からは守れない…せめて今晩だけは守ってあげたい。

俺はそう思った。

本当に情けないな。