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第102話 変わり始めた異世界
しおりを挟むこれで大国である、王国、帝国、聖教国は抑えた。
この三国が落ちた時点で、後の国は放って置いても変らず負えないから、後は時間の問題だ。
今日はマリン王女が帝国に来る予定だ。
「良く来ましたね」
「はい、もう私もお父さまも王族の権利は返上します。これがその誓約書です」
「確かに受け取りました」
王印を押した状態の書状を受取った。
此処に来るまで王家の馬車で来たが、これからはそう言った事は無い。
最も、この帝都は治安が良いから問題もまず起きない。
「それじゃこれが上級国民の証です。王家みたいに義務はありません、逆にかなりの権利があります。少なくとも貴方と王は生涯遊んで暮らせると思います。王国の歴史的財産などもマリン王女達が必要な物以外は販売して全部渡します。」
「それは義務も無い状態で遊んでいて良いというお話に聞こえるのですが」
「その通りです。貴方の子供の代までは遊んで暮らせる生活を保証しますよ」
「随分と待遇が良いと思いますが宜しいのでしょうか? 私はその…」
まぁ俺を殺そうとした事を気にしてそうだな。
「それはもう終わった事だから気にはしてません。それに勇者達には逆らえない状況を考えれば待遇は良かった。それに国があそこ迄疲弊していれば恨むのも当たり前です」
「そう言って頂けると助かります。ですがこの国を見て改めて思いました、私も父も為政者としては不向きだったようですね」
「そうでも無いと思います。この国、いやこの世界は今が一番幸せな世界なのです。多分これから暫くは下がる一方だと思います」
「そう、なのですか?」
「はい、その下がり方を抑えるのが私のこれからの仕事ですね」
「大変なお仕事が待っているのですね」
「そうですね。ただ自分が始めた事ですから、それで前王は?」
「はい、引き籠りからは立ち直ったのですが、その重圧から解き放されたせいか遊んでばかりです」
今思えば、あの国を苦労して回していたのはマリン王女だったような気がする。
マリン王女はかなり苦労をしていたんだな。
「これからは自由ですので、好きな様に生きて下さい」
「そうですね、私は、多分遊び歩くのは性格的に無理ですね、暫くはフルールを手伝いながら、理人様でも口説こうと思います」
「今、何ていいましたか」
「うふふっ冗談ですよ? ですが三人は埋まっていますが、王を飛び越え神になったのです。もう一人位増やすのも手ですよ? その気になったらお待ちしていますよ」
そう言いながらマリン元王女は立ち去っていった。
これで、最早この世界で俺がやる事はほぼない。
神として人々を助けていくだけで良い。
それで…この後釜は…
◆◆◆
「私は理人様の傍から離れるのは嫌ですわ。それに花嫁になるのですから、王にはなりたくありませんわ」
塔子と綾子には恐らく、そこ迄の事は出来ないな。
マリン王女ならギリギリで来そうだが、ようやく重圧から離れた彼女には頼みたくない。
そうとなれば。
「フルール、こんなのはどうかな?」
「成程、直ぐには無理ですが、少しお時間を頂ければ大丈夫そうですわね」
「頼んだよ」
「心得ましたわ」
◆◆◆
新婚旅行から木崎君が帰ってきた。
「どうだい、楽しかったかい」
「ああっ、まさか異世界に来てネズミ―ランドに行けるとは思わなかったよ」
「「理人様、凄く楽しかったよ」」
「楽しんで貰って何よりだよ。それじゃ話そうか」
「そうだね…」
俺は今迄にあった事を全部木崎君に話した。
「まぁこんな感じだ」
「随分と色々な事があったんだね。しかし神になったのか、想像以上に驚いたよ」
「まぁね、それで木崎君にお願いがあるんだ」
「お願い?僕に出来る事なら何でも言ってくれ」
「なぁに、簡単な事だよ。木崎君にこの世界の統括責任者、まぁ前の世界でいう大統領もしくは総理大臣になって欲しいんだ」
「流石に僕じゃ無理だよ」
「大丈夫だよ、俺は出来ない人間には頼まないよ、ユウナとユウと共に頑張れば必ず出来るさ、勿論いきなりじゃないよ、俺もフルールも塔子も綾子もちゃんと木崎君のサポートを暫くは続けるから安心して」
「そう言われたら断れないな、解った、引き受けよう。ユウナとユウも良いか?」
「「うん大丈夫だよ」」
三人の関係が変わった気がする。
神とは困ったものだ、考えただけで答えが解ってしまう。
木崎君、とうとうやったな…まぁ良いや。
「それじゃ、頼むよ…暫くしたらようやく片付いたから合同で式もあげよう」
「何だか、本当にすまないな」
「良いって」
これで一安心だな。
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