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第22話 勇者は死ぬ程努力しないと......
しおりを挟む「リヒト、なんだか活動費が少ない気がするんだが……どうしてだ!」
支援金の支給日。
多分、冒険者ギルドで支給金を確認したのだろう。
偶然、街でカイトにあったら文句を言われた。
そりゃ、まだゴブリンしか倒してないんだから仕方が無いじゃないか。
「いや、今現在のカイト達はいっちゃなんだが、まだ成果を出していないんだから仕方ないだろう? まだゴブリンしか倒してないんだから」
「そりゃそうだが、もう少し何とかならないのか?」
「あのなぁ、報告書に嘘は書けない。相手は国や教会だから、嘘はすぐにバレる。実際に今回の報告書だと『カイト達勇者パーティはゴブリンに敗北して、冒険者に助けられ。引き篭もり中』と書くのが正しい。だが、それじゃあんまりだから、少しだけ作文して『勇者パーティはゴブリンと交戦、思った程の成果をあげられなかった為訓練中』そう報告書を書いたんだ。これが俺の出来る精一杯だった」
「そう……なのか?」
「あのな、ハァ~カイト、お前勇者だろう? 最強のジョブでちょっと努力するだけで、他の人間じゃ追いつけない力が手に入る。半分、成功への切符を手に入れているんだ。なんで努力しないの?」
「それが、リタは割と訓練や討伐に乗り気なんだが、マリアやリアが消極的で余り乗り気にならないんだ」
アホか。
「それなら、それで仕方ないが、なぜカイトだけでも訓練したり討伐しないんだ? 多分勇者のお前なら、凄いスピードで強くなるはずだぞ」
「そうだよな、それは分かっているんだけど……つい明日からで良いやって、先延ばししてしまうんだ」
「気持ちは分かるが、勇者パーティというのは世界が注目しているんだぞ! どこから報告が入るかわからない。もしヤル気がないなんて弱音を吐いたら、王や貴族、司教から怒られるんだ。言っておくが見限られたらもうおしまいだ。戦闘、私生活、少しは考えた方が良いぞ」
「ああっ、分かっているさ」
「それだけじゃない。早く強くならないと、皆から嫌われて何処にも住めなくなる」
「どういう事だ?」
「よいか? 勇者の旅は救世の旅。人々を救う旅でもあるんだ。その旅の中でオークやオーガ等に襲われている村や町を救う。助けてあげれば『勇者様ありがとう』となる。その反面、今みたいにサボっていると、村や町が滅んで『なんで勇者様来てくれなかったの』と生き残った人に一生恨まれる。そのうち、歩くだけで石をぶつけられるようになる事すらある。身内を魔物に殺された生き残りの人の恨みは深いからな」
「そんなの逆恨みじゃないか」
「違うな、努力しない勇者が悪い。誰もが羨む地位や特別扱いは、世界を平和にするから貰える特権。出来なかったら、責任を取らされる。当たり前だ」
「そんな、俺はどうしたら良いんだ!」
「知らないな。俺はただの冒険者。勇者パーティじゃない。それでももし、自分が勇者だったら……」
「勇者だったら……」
「死ぬ程努力する。それだけだ」
「それしか、ないのか」
「ないな……四職でもない俺は力になれないし、話は聞いてあげれるけど、所詮は一般人の俺に聞いてどうする! もし自分の人生を輝かせたいなら、頑張れ、それしか言えない」
「わかった」
勇者を羨む人は多いが、怠け者の俺は、そんな者にならなくて良かった。
本当にそう思うよ。
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