勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん

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第38話 ただの冒険者だから

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「ハァハァゼィゼィ……ハァァァァーーッ!」

俺は今、レイラに稽古をつけて貰っている。

木剣に対してレイラは素手。

剣を使う俺とブラスナックルを使うレイラ。

だからこそのこの稽古。

だが、凄く自分が情けなく感じる。

傍目から見れば木剣を持って素手の相手、それも女性を打ち据えているんだからな……

「攻撃が雑になってきたよ! それじゃーーうりゃぁぁぁーー」

「ゲフッ」

レイラの蹴りが俺の腹に直撃する。

これでも充分手加減されているのが解かる。

多分、本気のレイラの蹴りを喰らえば、恐らく立てない。

いや、下手したら死ぬ。

「フェイントを使ってないんだけど!? 今日はこれまで」

「ありがとうございました……うぷっ」

「まぁ、まだまだ初心者なんだから、この位動ければ問題ないよ……ありゃ」

「うげえええーー」

俺は盛大に吐きだした。

「ほら、大丈夫?」

レイラに背中をさすって貰っているが実に情けない。

「うぷっげぇぇぇーー。大丈夫……だよ」

「今日は此処までにしようか」

「はい」

自分では少しは出来るようになった。

そう思っていたんだけど、全然だな。

◆◆◆

「少しは強くなっているのかな?」

「リヒトはまだ、本来ならルーキー。充分だって、これからだよ、これから」

「そうですね……でも」

カイト達は日に日に強くなっている。

引き篭もり状態だったのに、努力していた俺の能力にたった数日で迫るものがある。

「もしかして、カイト達と比べている? 四職は皆、超人みたいな物だから比べても意味は無いよ! 他の誰もが討伐出来ない魔王と戦う存在なんだからね」

「確かにそうだよね」

普通の冒険者はオーガが狩れれば『凄い存在』

竜なんて狩れる存在はS級レベルで世界に10人位しか居ない。

そう考えたら、オークが狩れる俺は新人としたらかなりセンスが良い。

「あははははっ、私だって英雄パーティ居たから気持ちはわかるよ? だけど、英雄とか勇者とかああいうのは理不尽な位の能力持ちだから気にしちゃ駄目だよ。あれはそう……人であって人じゃない存在だからね」

確かに勇者達は魔王を倒す存在。

人であって人でない存在。

それが勇者。

それと張り合っても意味はない。

あれだけ頑張ったのに、恐らくあと数日で俺なんて超えていくだろう。

解ってはいた。

解ってはいるけど、悔しいな。

「もしかして悔しいとか思っている!? 悔しがっても仕方ないよ! 相手は人じゃないんだからね」

「うん、その通りだね」

「まぁ、私達は普通の範疇の人間だからね、やれる事だけ考えよう」

確かにそうだ。

僕は冒険者で、勇者と違う。

世界なんて救う必要もないし。

レイラと一緒に安住の地を探して楽しく暮せば良い。

うっかり、当初の予定を忘れる所だった。

「そうだね、俺達は冒険者だから、魔王と戦うほど強くなる必要は無い! ただ、魔物を狩れて、潤った生活が送れれば充分だよね」

「そうそう、それで良いんだよ! 無理して強くなる必要は無いんだから」

「そうだね」

つい、カイト達に感化されて強さを求めてしまったが俺には関係ない。

俺は勇者でもなんでもない。

ただのリヒトなんだから。


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