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第39話 アマテラスの葬儀 兎
しおりを挟む今日はアマテラスさんの葬儀だ。
本当に死んでしまったのか…そう思っていたのだが違うようだ。
裏社会のアマテラスが死んだ…そういう儀式らしい。
これから先、もしアマテラスさんに出会っても、それは別人。
話掛けもしないらしい。
ある意味ホワイトなのかも知れない。
これでアマテラスさんは光の中で生きていけるのだから…
これからも闇の中で生きていく俺からしたら羨ましい。
神9が喪服姿で参列し…俺は遥か後方に並び焼香を待った。
多分、此処で焼香をあげている人は『殺人鬼』か『裏の顔を持つ者』なのだろう…
この参列の距離が神9と俺の差だ。
あの、絶対に強いと思ったアマテラスですら死に掛ける…それが世界の壁なのか…そう思うと恐怖でしかない。
ボクシングに直せば日本チャンピオンは世界戦では通用しない。
そう言われたようで怖い。
俺はまだ、此処から先も逃げられないのだから…
その反面、死なないで引退…その道がある事に若干安堵した。
焼香をおえ、立ち去ろうとした俺に神代が話しかけて来た。
「ちょっと良いかな」
残念ながら俺には断る事が出来ない。
「良いですよ」
仕方なくついていく事にした。
◆◆◆
ツクヨミとイナダヒメが居る。
他の神9は居ない。
ただ、ツクヨミとイナダヒメもかなり窶れて見える。
今なら…いやそれでも俺じゃ勝てないだろう。
こんな空間に連れて来られて俺にどうしろと言うんだ?
「泰明、この映像を見たまえ…」
そう言うと神代は大きなスクリーンに映像を映し出した。
「これはアマテラスさんの戦いの映像ですか…」
「そうだ」
成程、これじゃ負けるわけだ。
殺人鬼でアイドル…恐らく華麗に優雅に戦わないといけないのだろう。
だから、恐らく実力の半分も出せていない。
外で戦う神9は強いが、大会で戦う神9は枷があり俺にすら勝機があるような気がした。
「どうだ泰明…これが世界の実力だ…尤も、此奴も2回戦目で負けているが…なにか意見はあるか。」
どう答えたら良い?
俺なら、殺人ロリータに勝てる。
恐らく、これはプロレスに近い様に思える。
「これは半分ショービジネスだと思う…だから的外れだと思いますが…」
「何でも良い言ってくれ」
「これ、勝てる試合を捨てていますね..」
「ほう…お前なら勝てた…そう言いたいのか?」
「神9が負けた…それにあんたは勝てる、そう言う訳? ふざけないでよ」
「根拠があるのか?」
「ええっ、相手が女性ですから、俺なら武器に硫酸を使います…容姿を気にする女性なら良いアドバンテージになると思います」
「「「…」」」
「多分ショーだからでしょうが『22歳じゃおばさんじゃない? 痛い、また転んじゃった…またパンツが見えちゃったじゃない…もう…』相手が転んでいるんですからチャンスです、此処ですよ、透明で見えにくい剣があるなら、太腿か腹を狙います。アマテラス様の技量なら確実に貫けた筈です。足の腱を斬るもよし、お腹を狙って内臓をぶちまけさせる事も出来た筈です」
「「「…」」」
「『太陽の光の如くきらびやかに戦う! アマテラス』中二病じゃないんだから、こんな名乗り上げないといけないルールなんて無いですよね!これも無駄ですよ!無駄!」
「「「…」」」
「俺はラビットファング…兎ですから虎や狼の気持ちは解らない…勝てるチャンスを見逃して…勝てそうな武器を使わない…その選択は無いです」
「血も涙もない殺人鬼…そうなれば勝てる…そう言う事か?」
「確かにそうだ…」
「だが、それじゃスポンサーがつかない」
「そうですね…実力じゃ俺は決して神9に勝てない…」
そう言いながらテーブルあった紅茶を飲み干し…三人の方へかけるそぶりをした。
「「「ううっ…」」」
「これはカラですが、紅茶が入っていたら多分被った筈です…これが酸なら俺の勝ち…な~んて…冗談ですよ、きっとその前にツクヨミさんかイナダヒメに殺されちゃいますね、それじゃ失礼します」
俺はその場から立ち去った。
◆◆◆
「ツクヨミ…あれをどう思う?」
「余裕で殺せる…但しそれは大会じゃない、外で戦ったならです。もし大会で戦ったら、恐らく勝てますが、痛手を被るか…評判を落とす戦い方しかできない」
「凄いな…弱いからこそ勝てるなら何でもする…ある意味神9は生まれながらの強者だから、そこに甘えがあるのかも知れません、私泰明とは戦いたくないな…この肌が焼かれちゃう可能性がありますから…」
「まぁ所属は同じ神代だから、戦う事はない…泰明の事は考えないで良い」
「たすかりますね」
「硫酸は嫌ですから…」
何時から泰明は化け始めた。
兎の牙は…肉食獣に届き始めた。
神代が再び世界に挑む時は…彼奴が成長した時かも知れない。
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