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第8話 ツバサ無理やり旅立たされる
しおりを挟む「すいません、何時もの定食下さい」
「あいよ! だけど、少しは稼げるようになったんだろう、偶には違う物を食べるなり、一品追加位したらどうだい? お酒も飲まないし少しはお金を落としておくれ」
「元から僕は粗食なんですよ!ですが、そういう事なら、ホロホロ鳥のから揚げ1人前、持ちお帰りでお願いします」
「そうかい? それじゃ食べ終わるまでには作って置くよ」
から揚げを貰い、何時もの様に討伐に向かった。
◆◆◆
あれは本当に運が悪かったのかも知れない。
あれから、近くの森でオーガやオークに会う事はなく、普通にゴブリンやスライムを狩っていた。
そして、今の俺は気がつくとレベルが5迄上がっていた。
名前:クロキ ツバサ
状態:正常
レベル:5
HP:50/50
MP:30/30
守護神:黒闇天(雪乃)
スキル:翻訳、収納、無病息災(常時発動)、恋愛成就(常時発動)、心願成就(常時発動)、貧乏小(常時発動)、器用貧乏
魔法:
アイテム:金貨入りの小袋(金貨4枚)ゴブリンの魔石×50
スライムの魔石×32 ポーション×2
相変わらず魔法は覚えて無いし、あまり強くなった気はしない。
スキルが変わる事も特には無いみたいだ。
一応、ギルダーさんに相談したところ『まぁ、普通だな』と笑われてしまった。
ギルダーさんの言う普通は、この世界の人間として普通。
異世界人としては、まぁかなり、パッとしない成長みたいだ。
◆◆◆
ゴブリンとスライムを討伐し村に戻ると冒険者ギルドの前でギルダーさんが待っていた。
「ツバサ、それでこれからどうしたい?」
「どうしたい? どういう事でしょうか?」
「いや、確かに能力的には心許ないが、もう既に冒険者の基礎は身についている! ゴブリンやスライムを狩る事が出来、薬草の採取も出来るから『初心者卒業』って所だ、そろそろ他に行った方が良い時期だぜ」
「確か、3か月位…」
「ああっ、普通は初心者卒業まで3か月は掛かるもんだ!異世界人って奴は兎も角、慢心して人の言う事を聞かねー奴が多い!根拠もねーのに『俺は特別なんだ』と思い込み無茶して命を落とす!確かに神や女神から祝福を受けて特別なスキルを貰った奴はその通りだが、こんな場所に転移してくる奴は違う…だが、それでも『自分は違う』そう思い込んで死んでいくんだ」
「そうなのですか…」
「ああっ、少なくとも過去に此処に来た奴はそうだった! だがツバサは、行動が凄く慎重だ! 異世界人どころか、この世界の人間より慎重に行動していた!もう充分、初心者冒険者と言える…お前なら無茶して死ぬ事も無さそうだ」
「ですが、僕は此処に来てまだ7日間も経っていない…」
「大丈夫だ! 俺が太鼓判を押してやる! 此処ではもうやる事も覚える事も無い…仲間が欲しいんだろう?旅立ちの時だ」
「僕は何処へ行けば…」
「この村を出て街道沿いに進めば、ダンジョン都市ギルメドがある。そこへ行くと良い」
「解りました」
う~ん、なんでだろうか?
追い出された様な気がする。
だけど、確かに此処に居ても覚える事も無いから、そうなのかも知れないな。
◆◆◆
「良い奴なんだがな…」
「確かにいい子だよ…だけど、あそこ迄ケチじゃね…無料の定食以外じゃ、今日買った、から揚げだけだよ!」
「まぁな、ギルドで買ったのもポーション2本、売ってくれたのもゴブリンの魔石2個だけだぜ」
俺達が右も左も解らない異世界人に手を刺しのばしているのも事実。
その反面、異世界人がお金を落としてくれるからという考えがあるのも事実だ。
無料で武器や装備も渡すが、普通はそれを使っている間にお金を稼ぎ、新しい武器や防具を買うだろう。
飯だってそうだ。
金が入ってくれば、良い物を食いたい…そうなる筈だ。
だが、なんなんだよ。
彼奴『全く欲が無いのか』村にほぼお金を落とさない。
恐らく、3か月置いておいても同じだ。
異世界人にしては物腰が柔らかく良い奴だが…これじゃぁな。
『悪いが損切りさせて貰う』
しかし、あそこ迄金を使わない奴…俺は見た事が無い。
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