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順位表
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アレンシカは一心不乱に廊下を走っていた。
今まさに手に握りしめているものが信じられなかったからだ。悪い予感は朝からずっとあった。
目的の場所に近づくにつれ人は多くなっていく。それでも何とかぶつかることなくたどり着いた。たどり着いてしまった。足の運びは行きたくないと遅くなっていたのに。
「そんな……やっぱり……。」
大きく貼られた紙を目の前にして、身体の震えが止まらない。アレンシカは崩れ落ちそうになるのを何とか耐えて目の前に貼られた紙を見た。
テスト点数上位トップ十人の掲示。
そこにはアレンシカの名前は無かった。
先程教室で渡された順位表で分かっている。分かっていた。しっかり書かれていたのだから。でも本当に信じられなかったのだ。この目で掲示表を見るまでは。
いつもは何とかトップ十人には入れていたのだ。でも今回渡された紙には十五番だと書かれていた。もちろん名前が掲示されているはずがない。
「どうして……。」
理由なんて分かっている。自分の時間の使い方が下手だったからだ。要領が悪く、上手く時間を捻出できなかった。忙しさにかまけて自己を顧みなかった。あんなに遊び歩いていたら当たり前だ。疲れたと言い訳して闇雲に勉強するだけになっていた。
公爵家の人間ならこれからもっと忙しくなる。王族の婚約者ならその上で更にだ。たとえ破棄されてしまっても忙しく責任ある立場であることは変わらない。なのにただ少し環境が変わっただけでこんなに駄目になるなんて。
アレンシカは顔が青くなり震えが止まらなかった。
(どうしよう、……駄目だった。駄目だった。これじゃあ。)
周りの喧騒も何も聞こえない。
お互いの健闘を讃えあう声も。
名前が書かれた人物を褒める声も。
遠くから友達が自分を探し呼ぶ声も。
目の前がグラグラと揺れて暗くなっていく。
認めたくない結果ではあるけれど、それでも取り乱してはいけないと思う。何とか重心をしっかり保ち、再び順位表を見る。
ウィンノルの名前は一位の場所で煌煌と輝いている。
(ああ……やっぱり殿下は一位にいる。……流石だ。それに比べて僕は…。)
同じ順位表に名前がないだけで自分が酷い生き物のように感じる。仮にも王族の婚約者なのに隣りにすら立てない惨めな生き物。
そしてそのすぐ隣には。
(ああ……エイリはまた二位だ……。本当にすごい。いつも努力しているから……。)
アレンシカの目に見えるところでも合間の時間があればこまめに勉強していた。きっと誰もいないところでも勉強しているのだろう。自分とは比べるのも失礼になるほどの努力。
エイリークの名前は堂々と、それでいて寄り添っているように見える。
今のアレンシカは「相応しいのは自分だ」と言われているように感じてしまい尚更惨めに感じしまう。
(ああ、駄目だ……。友達がすごく努力して相応しい場所を手に入れたのに、心の中で少しでもそう思うなんて、最低だ……。)
アレンシカは目をそらして下を向いた。
(ただ自分が駄目だっただけなのに……。)
そうして自分が下を向いているから気づかなかった。
周りにいた人たちが一斉にその場から下がったことを。
最も位の高い人のあまりの冷えきった目に、周りが静かになったことを。
「アレンシカ・リリーベル!」
今まさに手に握りしめているものが信じられなかったからだ。悪い予感は朝からずっとあった。
目的の場所に近づくにつれ人は多くなっていく。それでも何とかぶつかることなくたどり着いた。たどり着いてしまった。足の運びは行きたくないと遅くなっていたのに。
「そんな……やっぱり……。」
大きく貼られた紙を目の前にして、身体の震えが止まらない。アレンシカは崩れ落ちそうになるのを何とか耐えて目の前に貼られた紙を見た。
テスト点数上位トップ十人の掲示。
そこにはアレンシカの名前は無かった。
先程教室で渡された順位表で分かっている。分かっていた。しっかり書かれていたのだから。でも本当に信じられなかったのだ。この目で掲示表を見るまでは。
いつもは何とかトップ十人には入れていたのだ。でも今回渡された紙には十五番だと書かれていた。もちろん名前が掲示されているはずがない。
「どうして……。」
理由なんて分かっている。自分の時間の使い方が下手だったからだ。要領が悪く、上手く時間を捻出できなかった。忙しさにかまけて自己を顧みなかった。あんなに遊び歩いていたら当たり前だ。疲れたと言い訳して闇雲に勉強するだけになっていた。
公爵家の人間ならこれからもっと忙しくなる。王族の婚約者ならその上で更にだ。たとえ破棄されてしまっても忙しく責任ある立場であることは変わらない。なのにただ少し環境が変わっただけでこんなに駄目になるなんて。
アレンシカは顔が青くなり震えが止まらなかった。
(どうしよう、……駄目だった。駄目だった。これじゃあ。)
周りの喧騒も何も聞こえない。
お互いの健闘を讃えあう声も。
名前が書かれた人物を褒める声も。
遠くから友達が自分を探し呼ぶ声も。
目の前がグラグラと揺れて暗くなっていく。
認めたくない結果ではあるけれど、それでも取り乱してはいけないと思う。何とか重心をしっかり保ち、再び順位表を見る。
ウィンノルの名前は一位の場所で煌煌と輝いている。
(ああ……やっぱり殿下は一位にいる。……流石だ。それに比べて僕は…。)
同じ順位表に名前がないだけで自分が酷い生き物のように感じる。仮にも王族の婚約者なのに隣りにすら立てない惨めな生き物。
そしてそのすぐ隣には。
(ああ……エイリはまた二位だ……。本当にすごい。いつも努力しているから……。)
アレンシカの目に見えるところでも合間の時間があればこまめに勉強していた。きっと誰もいないところでも勉強しているのだろう。自分とは比べるのも失礼になるほどの努力。
エイリークの名前は堂々と、それでいて寄り添っているように見える。
今のアレンシカは「相応しいのは自分だ」と言われているように感じてしまい尚更惨めに感じしまう。
(ああ、駄目だ……。友達がすごく努力して相応しい場所を手に入れたのに、心の中で少しでもそう思うなんて、最低だ……。)
アレンシカは目をそらして下を向いた。
(ただ自分が駄目だっただけなのに……。)
そうして自分が下を向いているから気づかなかった。
周りにいた人たちが一斉にその場から下がったことを。
最も位の高い人のあまりの冷えきった目に、周りが静かになったことを。
「アレンシカ・リリーベル!」
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