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愚か
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突然大きな声が響き渡る。
生徒たちの輪の中心に立ってこちらを睨みつけているのはまさに順位表に書いてある名前と同じく堂々としたウィンノルその人だ。
「この愚かな結果はどういうことだ。」
ツカツカと靴を鳴らせアレンシカの前に立ち塞がる。
あまりの冷たくこちらを蔑むような目つきにアレンシカはただ顔を青くさせ見上げるしかない。
「なんだこの体たらくは。俺に追いつくどころか十人以内にすら入れないとはな。」
「も……申し訳ありません……。」
「お前がここ数日遊び呆けていることはこちらにも報告が来ている。まさか努力することを怠り勉強すらやめていたとはな。」
「そ、そんなことは……。」
「だったらこの結果はなんだ。まさに怠けていた証拠じゃないか。」
「それは……。」
確かにその通りだ、とアレンシカは思った。王族の婚約者として努力せず、誘われるがまま遊んでしまった。
本当に努力するなら毅然と断り、何もかも勉強を優先させるべきだったのだ。今更に後悔が襲う。
いつもなら王族の婚約者としてふさわしくある為に十位以内を目指している。もちろんウィンノルと横並びになりたかった。そうして婚約者としても公爵家としても有用で優れた人物だと示し模範になるように務めなければならない。
だというのに今回、結果を出せなかった。出せない努力は努力ではない。ウィンノルからしてみれば、アレンシカは怠け者の愚かな人間なのだ。
「……申し訳ありません。」
アレンシカは頭を下げた。ウィンノルに対して本当に申し訳なく思う。何よりすべて自分が起こしてしまった失態だと思った。
だが頭を下げたいアレンシカに対してウィンノルは何も反応せず冷たく見下ろすことしかしない。
「謝れば済むとでも思っているのか。」
「そんなことはけして、」
「お前のその馬鹿で怠けた行動のせいで、リリーベル公爵家のみならず俺にも恥をかかせたんだ。」
思わず涙が出そうになる。それを堪えてウィンノルの言葉を聞く。悪いことをしてしまった自分には反論するだけのことは出来ない。ウィンノルの言ったことはアレンシカにとって正論だった。反論なんて悪いことの重ねがけは出来ない。正しいことを正面から言ってくれているのだから反省して正面からしっかり受け止めなければならない。
「こんなやつが婚約者なんてどうかしている。俺も嘆かわしいよ。政略の為とはいえこんなだらしない人間が将来配偶者になるなんてな。」
ウィンノルの言っていることは正しい、はずだ。自分がすべて悪い。悪いことをした。
それなのにどうしてこんなに悲しいんだろう。
自分が悪いのに悲しいとすら思ってはいけないのに。
本当に自分は最低だとアレンシカは思った。今すぐ身を隠してしまいたいほどの愚かさを露呈させた。
「……申し訳ありませんでした。」
再び謝る。それしかもう出来ないアレンシカに対してウィンノルはひとつだけため息を零し一瞥した後一歩進めた。近づいてきた相手に思わず怖くなり身体が強張った。
「婚約者としての努力もせず立場に甘んじるだけのお前を心底軽蔑する。」
ウィンノルは一言そう言って通り過ぎる。
アレンシカの肩にぶつかったが、振り返ることもなくそのまま歩いていった。肩がぶつかったアレンシカは震える足を今まで何とか耐えて立っていたが肩がぶつかった衝撃でペタリと座り込んでしまう。
周りには叱責されたアレンシカに興味津々の者やクスクスと笑う者、心配する者もいたが取り繕うことも出来ずただただ呆然とする。
申し訳なく、怖くて、酷く悲しい。
何が起こったのか分かるのに分からない。どうしていいか分からない。
ただ分かることは。
再びアレンシカは大衆の面前で辱められたということだ。
生徒たちの輪の中心に立ってこちらを睨みつけているのはまさに順位表に書いてある名前と同じく堂々としたウィンノルその人だ。
「この愚かな結果はどういうことだ。」
ツカツカと靴を鳴らせアレンシカの前に立ち塞がる。
あまりの冷たくこちらを蔑むような目つきにアレンシカはただ顔を青くさせ見上げるしかない。
「なんだこの体たらくは。俺に追いつくどころか十人以内にすら入れないとはな。」
「も……申し訳ありません……。」
「お前がここ数日遊び呆けていることはこちらにも報告が来ている。まさか努力することを怠り勉強すらやめていたとはな。」
「そ、そんなことは……。」
「だったらこの結果はなんだ。まさに怠けていた証拠じゃないか。」
「それは……。」
確かにその通りだ、とアレンシカは思った。王族の婚約者として努力せず、誘われるがまま遊んでしまった。
本当に努力するなら毅然と断り、何もかも勉強を優先させるべきだったのだ。今更に後悔が襲う。
いつもなら王族の婚約者としてふさわしくある為に十位以内を目指している。もちろんウィンノルと横並びになりたかった。そうして婚約者としても公爵家としても有用で優れた人物だと示し模範になるように務めなければならない。
だというのに今回、結果を出せなかった。出せない努力は努力ではない。ウィンノルからしてみれば、アレンシカは怠け者の愚かな人間なのだ。
「……申し訳ありません。」
アレンシカは頭を下げた。ウィンノルに対して本当に申し訳なく思う。何よりすべて自分が起こしてしまった失態だと思った。
だが頭を下げたいアレンシカに対してウィンノルは何も反応せず冷たく見下ろすことしかしない。
「謝れば済むとでも思っているのか。」
「そんなことはけして、」
「お前のその馬鹿で怠けた行動のせいで、リリーベル公爵家のみならず俺にも恥をかかせたんだ。」
思わず涙が出そうになる。それを堪えてウィンノルの言葉を聞く。悪いことをしてしまった自分には反論するだけのことは出来ない。ウィンノルの言ったことはアレンシカにとって正論だった。反論なんて悪いことの重ねがけは出来ない。正しいことを正面から言ってくれているのだから反省して正面からしっかり受け止めなければならない。
「こんなやつが婚約者なんてどうかしている。俺も嘆かわしいよ。政略の為とはいえこんなだらしない人間が将来配偶者になるなんてな。」
ウィンノルの言っていることは正しい、はずだ。自分がすべて悪い。悪いことをした。
それなのにどうしてこんなに悲しいんだろう。
自分が悪いのに悲しいとすら思ってはいけないのに。
本当に自分は最低だとアレンシカは思った。今すぐ身を隠してしまいたいほどの愚かさを露呈させた。
「……申し訳ありませんでした。」
再び謝る。それしかもう出来ないアレンシカに対してウィンノルはひとつだけため息を零し一瞥した後一歩進めた。近づいてきた相手に思わず怖くなり身体が強張った。
「婚約者としての努力もせず立場に甘んじるだけのお前を心底軽蔑する。」
ウィンノルは一言そう言って通り過ぎる。
アレンシカの肩にぶつかったが、振り返ることもなくそのまま歩いていった。肩がぶつかったアレンシカは震える足を今まで何とか耐えて立っていたが肩がぶつかった衝撃でペタリと座り込んでしまう。
周りには叱責されたアレンシカに興味津々の者やクスクスと笑う者、心配する者もいたが取り繕うことも出来ずただただ呆然とする。
申し訳なく、怖くて、酷く悲しい。
何が起こったのか分かるのに分からない。どうしていいか分からない。
ただ分かることは。
再びアレンシカは大衆の面前で辱められたということだ。
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