25 / 78
第三章 シルバー迷宮での攻防
4 彼らを探して
しおりを挟む
1・
オゼロ門前町まで、精霊の瞬間移動術を使えば一瞬で到着できた。
相変わらず活気のある町中から、鉄柵に守られるシルバー迷宮まで徒歩で移動した。
歩きながらタンジェリンが教えてくれたが、ここだけじゃなく、迷宮のある地域一帯は地上部分が荒れ地やハゲ山になる事が多く、草木が根付きにくいとのことだ。
地中の迷宮に、栄養と土地の魔力と水を吸い上げられているというのが仮説らしい。この事象について精霊王が書き記した本などはいっさい無いらしく、事実は闇の中だって。
今の俺が調べて判明させることができたら、本にまとめようねという圧力らしい。
やっぱり精霊王の仕事は何気に多いなあと苦笑いしている間に、ブロンズ迷宮の入り口と違って手練の者の気配がする冒険者しかいないシルバー迷宮の入り口に到着した。
町から一つの丘を回り込んで来たのだが、ブロンズ迷宮と違って出入り口が十メートルほどの高さがある自然にできたような洞窟状のもので、全てを覆う鉄の壁の一部だけが人力で開閉されて人間たちが行き来している。
門じゃなくて開閉が不可能そうな壁にしているのは、昔にここから大型の魔物を逃がした過去でもあるからだろうか。後で検索して調べるか聞くかしよう。
ここでも門を守護する衛兵たちのカードチェックがあり、ゴールドカード三名と、クロエを含めた俺たち三名のシルバーカードの認証は滞りなく行われた。
門に入ってすぐ、クロエにどうしてシルバーカードなのか聞いてみた。
「私はまだまだ修行中の身です。これまで二人の主の元で修行を積んでいたのですが、先の主が引退されたので一時的に大森林に戻っていたのです」
その答えを聞いたマリエルが、驚いた顔をした。
「クロエさんは大森林の精霊なのですか? 知りませんでした」
俺、そういえばマリエルには何も話していない。貴族じゃなくてペールデール国の商人の息子っぽく振る舞っているが、嘘は嘘だ。
クロエはマリエルに、大森林には知り合いがいるからと、曖昧な答えを返して笑った。
俺はすぐにマリエルに話しかけた。
「そ、それよりマリエルさん。君のお仲間たちを探す手順を考えようか」
「あ、はい。でも、どこに彼らがいるかは知らないんです」
マリエルがそう言うと、タンジェリンが提案した。
「それなら、ここにいる冒険者たちに質問してみましょう。一階部分にいる冒険者たちは、比較的穏便に会話ができます」
とか言いつつ彼は財布を取り出した。穏便か、それ?
情報を買い取る形でだが、一階にいる冒険者たちから話を聞くことができた。
マリエルのお仲間たちは、中層中部にある冒険者たちが休憩できる村で滞在しているようで、ここ数日はそこから出かけて狩りをして帰って休むを繰り返しているらしい。
目的の素材があるのか、ただのレベル上げかもしれないが、今もそこにいる可能性が高そうだ。
それに時の人だけあって、他の情報も仕入れられた。
その実力は本当に、デビューして数日の冒険者じゃないそうだ。実際に戦う姿を見た冒険者たちが言うのだから、本当に本当らしい。
そして……マリエルが抜けた後、ブロンズ迷宮のマンティコアを倒す時に、回復魔法使いを新たに仲間に入れていたことも分かった。
彼ら全員が精霊と契約しているというのも、実際に見たという冒険者から聞けた。彼らの実力に見合う高位の精霊たちだと、その人は言った。
俺はその話を聞いて、彼らはいわゆる勇者パーティーではないかと感じた。衝撃的なデビューに、初心者の筈なのに見合わない実力。しかも全員がそうだなんて。
この情報を得た時の、マリエルの顔は見られなかった。でも同じ女性として傍に付き従ってもらっているクロエが、正直にその感情についてマリエルと話して、そして最後に笑顔にさせてあげた。
仲間って心強いと、正直に思った。
2・
本当なら充当に歩いて階段を降りて地下層に向かいたいんだけれども、今日はマリエルと仲間たちを会わせるのが目的なので、保護者たちの瞬間移動術で中層中部の村に向かった。
空は晴れ渡り、青々とした草原の中に、遊牧民たちが暮らすような素朴な村がある。
家々は豪華版のテントのようなもので、実は精霊は使わないんだけど迷宮のあちこちにあるトイレの清潔かつ安全版がある。シャワー付きの風呂もついている。ここを管理している国の職員にお金を払ったら借りられるそうだ。
村の傍にある綺麗な湖には小さな生き物たちがいるが、魔物じゃない。その水は新鮮で美味しく、人が傍に暮らしているのに汚染されていない。管理が徹底されているのだろう。
あちこちで冒険者たちが装備を外して寛いでいるところから見ると、この階は魔物が湧かないようだ。
ここでは何気なく雑談をすることで、勇者パーティーの足取りを掴めた。先に聞いたのと同じように、この牧歌的な村に拠点を置いて、ここから上層に狩りに出ているという。
同じようにここを拠点にする冒険者たちは多く、国の職員が常駐していて魔物の買い取りをしてくれたり、規模が小さいながら食堂や武器防具屋があったりするから、一生でも潜っていられるらしい。とはいえ、紫外線殺菌が無いだろうから不健康そうだが。
俺たちはすぐ、彼らを追いかけて上層への階段を登って行った。
村があるのは階にすれば十五階。最深部が三十六階のこのシルバー迷宮のほぼ中間地点で、だから中層中部と簡潔に呼ばれもする。
草原の大地の階層を歩いていてすぐ気付いたブロンズ迷宮との違いは、高低差があるところだ。
ほぼ平坦なブロンズ迷宮でも魔物と戦うのが大変だったのに、五階分のビルがすっぽり入るような高さの大地の裂け目があったり、小高い丘や少し深めの水場もあったりする。
崖から落ちたり溺れて亡くなる人もいると、タンジェリンが教えてくれた。
山岳地帯とか渓谷というレベルのものはないけれど、この分だとゴールド迷宮にありそうだ。今から覚悟しておこう。
とはいえ、超健康優良児の俺や精霊たちは、体の作りが根本から違うので疲れにくい。
唯一の人間のマリエルに合わせてゆっくりと進み、動きがブロンズ迷宮より良くなっている魔物たちと時折戦い、広大なフィールドを横切って次の階段を見つけた。
こうして歩いて理解したが、変わったのは魔物たちの動きだけではない。種類も豊富になり、草原では食肉に適した牛や鹿、蛇や鳥、豚類だけではなく(虫もだけど)、肉体を持たない魔法的生命体も出現するようになった。
大森林の精霊の一部にも似た性質の四大精霊がいるものの、迷宮に出るのは闇の属性のエネルギー体、いわゆる亡霊、悪霊、ウィスプと呼ばれるようなものだ。
まだ俺は遭遇していないが、これからはアンデッドも出てくるらしい。匂いとか見た目がキツイなら、閉鎖空間では絶対に会いたくない。
しかしそいつらは、日本のファンタジー業界でも有名な魔石を落としていく。石炭より高出力で長持ちする燃料になるから、冒険者たちはどちらかというと積極的に狩りに行くらしい。冒険者って、本当は全員が勇者だと思う。
こうして俺が新しい知識を覚え込んでいく間に、ここいらじゃほぼ無敵の俺の保護者たちのおかげで、手早く十二階まで登ることができた。
実際の時間でもう夕方になる頃で、迷宮内のフィールドにも夕暮れがやって来ている。
地下十二階は大地の裂け目が点在する、岩石と礫の多い歩きにくい地形だ。
一見広々としていて遙か向こうまで見渡せ、幻ではあるが迷宮の壁の向こう
にある山脈まで見渡せる。魔物たちは主に大地の裂け目に潜んでおり、戦闘は主に閉鎖空間になり得るそこで発生している。
道を伝ってスムーズに大地の裂け目に降りていける場所もあれば、クライミング技術が必要そうな裂け目もある。
戦いに行くだけで大変そうだ。
「ここには中層上部のボスがいますよ」
俺と一緒に裂け目を見下ろしていたタンジェリンが、遠くの方を指差して言った。
「そういえば、マンティコアを倒す時に、そんなこと言ってましたっけ?」
「はい。中層には二十階にもボスがおりますが、こちらのボスは本来は、あのマンティコア位の強さです」
上手く助けられたとはいえ、あの時の戦いは良い思い出じゃない。
だからボスに出会わず目的の人たちを助けられたらなあと思っていると、遠くの方で人が喋る声が聞こえてきた。
良く覚えてないものの、あの彼らの声にも聞こえる。
念のために脳内地図で確認を取ると、ボスを示す大きな光の比較的傍に、二つの複数人数のパーティーがいる。彼らが会話をしているのだろうか。
個別に名前とか表示されれば良いのに、この地図はしてくれない。俺のレベルを上げて検索能力も上げて、早めにそういう機能をつけたいもんだ。つけることが可能かどうかは知らないが。
「もしかしたら彼らかも」
不安げなマリエルが呟いた。仲間の勘は当たるだろうから、俺たちはその二つのパーティーのいる場所まで急いだ。
迷宮は太陽も無いのに、時間が経過するとどんどん暗くなってきた。ブロンズ迷宮と違って、ここには明確な二十四時間があるらしい。
灯りを点したとしても、岩や大地の裂け目には多くの影が落ち、視覚的な優位さが失われる。
まさかこの不利な状況でこれからボス戦なんてしないよなと思っていたら、俺の脳内地図内でエンカウントされ、実際の戦闘音が響いてきた。
冒険者って何なんだろう、マジ。
戦闘が始まってすぐ、俺たちはそれが行われている広めの大地の裂け目の上に到着できた。
崖から身を乗り出して魔法の灯火がいくつも浮かぶ現場を見下ろすと、そこでコブラの巨大化したような姿で数十メートルある大蛇と、二つのパーティーの面々が共闘していた。
「レナード!」
マリエルが叫んだ。
彼女のパーティーのリーダーが盾と抜き身を手にして蛇の正面に立ち、おとりとなっている。
ようやく彼らに追いつけた。
オゼロ門前町まで、精霊の瞬間移動術を使えば一瞬で到着できた。
相変わらず活気のある町中から、鉄柵に守られるシルバー迷宮まで徒歩で移動した。
歩きながらタンジェリンが教えてくれたが、ここだけじゃなく、迷宮のある地域一帯は地上部分が荒れ地やハゲ山になる事が多く、草木が根付きにくいとのことだ。
地中の迷宮に、栄養と土地の魔力と水を吸い上げられているというのが仮説らしい。この事象について精霊王が書き記した本などはいっさい無いらしく、事実は闇の中だって。
今の俺が調べて判明させることができたら、本にまとめようねという圧力らしい。
やっぱり精霊王の仕事は何気に多いなあと苦笑いしている間に、ブロンズ迷宮の入り口と違って手練の者の気配がする冒険者しかいないシルバー迷宮の入り口に到着した。
町から一つの丘を回り込んで来たのだが、ブロンズ迷宮と違って出入り口が十メートルほどの高さがある自然にできたような洞窟状のもので、全てを覆う鉄の壁の一部だけが人力で開閉されて人間たちが行き来している。
門じゃなくて開閉が不可能そうな壁にしているのは、昔にここから大型の魔物を逃がした過去でもあるからだろうか。後で検索して調べるか聞くかしよう。
ここでも門を守護する衛兵たちのカードチェックがあり、ゴールドカード三名と、クロエを含めた俺たち三名のシルバーカードの認証は滞りなく行われた。
門に入ってすぐ、クロエにどうしてシルバーカードなのか聞いてみた。
「私はまだまだ修行中の身です。これまで二人の主の元で修行を積んでいたのですが、先の主が引退されたので一時的に大森林に戻っていたのです」
その答えを聞いたマリエルが、驚いた顔をした。
「クロエさんは大森林の精霊なのですか? 知りませんでした」
俺、そういえばマリエルには何も話していない。貴族じゃなくてペールデール国の商人の息子っぽく振る舞っているが、嘘は嘘だ。
クロエはマリエルに、大森林には知り合いがいるからと、曖昧な答えを返して笑った。
俺はすぐにマリエルに話しかけた。
「そ、それよりマリエルさん。君のお仲間たちを探す手順を考えようか」
「あ、はい。でも、どこに彼らがいるかは知らないんです」
マリエルがそう言うと、タンジェリンが提案した。
「それなら、ここにいる冒険者たちに質問してみましょう。一階部分にいる冒険者たちは、比較的穏便に会話ができます」
とか言いつつ彼は財布を取り出した。穏便か、それ?
情報を買い取る形でだが、一階にいる冒険者たちから話を聞くことができた。
マリエルのお仲間たちは、中層中部にある冒険者たちが休憩できる村で滞在しているようで、ここ数日はそこから出かけて狩りをして帰って休むを繰り返しているらしい。
目的の素材があるのか、ただのレベル上げかもしれないが、今もそこにいる可能性が高そうだ。
それに時の人だけあって、他の情報も仕入れられた。
その実力は本当に、デビューして数日の冒険者じゃないそうだ。実際に戦う姿を見た冒険者たちが言うのだから、本当に本当らしい。
そして……マリエルが抜けた後、ブロンズ迷宮のマンティコアを倒す時に、回復魔法使いを新たに仲間に入れていたことも分かった。
彼ら全員が精霊と契約しているというのも、実際に見たという冒険者から聞けた。彼らの実力に見合う高位の精霊たちだと、その人は言った。
俺はその話を聞いて、彼らはいわゆる勇者パーティーではないかと感じた。衝撃的なデビューに、初心者の筈なのに見合わない実力。しかも全員がそうだなんて。
この情報を得た時の、マリエルの顔は見られなかった。でも同じ女性として傍に付き従ってもらっているクロエが、正直にその感情についてマリエルと話して、そして最後に笑顔にさせてあげた。
仲間って心強いと、正直に思った。
2・
本当なら充当に歩いて階段を降りて地下層に向かいたいんだけれども、今日はマリエルと仲間たちを会わせるのが目的なので、保護者たちの瞬間移動術で中層中部の村に向かった。
空は晴れ渡り、青々とした草原の中に、遊牧民たちが暮らすような素朴な村がある。
家々は豪華版のテントのようなもので、実は精霊は使わないんだけど迷宮のあちこちにあるトイレの清潔かつ安全版がある。シャワー付きの風呂もついている。ここを管理している国の職員にお金を払ったら借りられるそうだ。
村の傍にある綺麗な湖には小さな生き物たちがいるが、魔物じゃない。その水は新鮮で美味しく、人が傍に暮らしているのに汚染されていない。管理が徹底されているのだろう。
あちこちで冒険者たちが装備を外して寛いでいるところから見ると、この階は魔物が湧かないようだ。
ここでは何気なく雑談をすることで、勇者パーティーの足取りを掴めた。先に聞いたのと同じように、この牧歌的な村に拠点を置いて、ここから上層に狩りに出ているという。
同じようにここを拠点にする冒険者たちは多く、国の職員が常駐していて魔物の買い取りをしてくれたり、規模が小さいながら食堂や武器防具屋があったりするから、一生でも潜っていられるらしい。とはいえ、紫外線殺菌が無いだろうから不健康そうだが。
俺たちはすぐ、彼らを追いかけて上層への階段を登って行った。
村があるのは階にすれば十五階。最深部が三十六階のこのシルバー迷宮のほぼ中間地点で、だから中層中部と簡潔に呼ばれもする。
草原の大地の階層を歩いていてすぐ気付いたブロンズ迷宮との違いは、高低差があるところだ。
ほぼ平坦なブロンズ迷宮でも魔物と戦うのが大変だったのに、五階分のビルがすっぽり入るような高さの大地の裂け目があったり、小高い丘や少し深めの水場もあったりする。
崖から落ちたり溺れて亡くなる人もいると、タンジェリンが教えてくれた。
山岳地帯とか渓谷というレベルのものはないけれど、この分だとゴールド迷宮にありそうだ。今から覚悟しておこう。
とはいえ、超健康優良児の俺や精霊たちは、体の作りが根本から違うので疲れにくい。
唯一の人間のマリエルに合わせてゆっくりと進み、動きがブロンズ迷宮より良くなっている魔物たちと時折戦い、広大なフィールドを横切って次の階段を見つけた。
こうして歩いて理解したが、変わったのは魔物たちの動きだけではない。種類も豊富になり、草原では食肉に適した牛や鹿、蛇や鳥、豚類だけではなく(虫もだけど)、肉体を持たない魔法的生命体も出現するようになった。
大森林の精霊の一部にも似た性質の四大精霊がいるものの、迷宮に出るのは闇の属性のエネルギー体、いわゆる亡霊、悪霊、ウィスプと呼ばれるようなものだ。
まだ俺は遭遇していないが、これからはアンデッドも出てくるらしい。匂いとか見た目がキツイなら、閉鎖空間では絶対に会いたくない。
しかしそいつらは、日本のファンタジー業界でも有名な魔石を落としていく。石炭より高出力で長持ちする燃料になるから、冒険者たちはどちらかというと積極的に狩りに行くらしい。冒険者って、本当は全員が勇者だと思う。
こうして俺が新しい知識を覚え込んでいく間に、ここいらじゃほぼ無敵の俺の保護者たちのおかげで、手早く十二階まで登ることができた。
実際の時間でもう夕方になる頃で、迷宮内のフィールドにも夕暮れがやって来ている。
地下十二階は大地の裂け目が点在する、岩石と礫の多い歩きにくい地形だ。
一見広々としていて遙か向こうまで見渡せ、幻ではあるが迷宮の壁の向こう
にある山脈まで見渡せる。魔物たちは主に大地の裂け目に潜んでおり、戦闘は主に閉鎖空間になり得るそこで発生している。
道を伝ってスムーズに大地の裂け目に降りていける場所もあれば、クライミング技術が必要そうな裂け目もある。
戦いに行くだけで大変そうだ。
「ここには中層上部のボスがいますよ」
俺と一緒に裂け目を見下ろしていたタンジェリンが、遠くの方を指差して言った。
「そういえば、マンティコアを倒す時に、そんなこと言ってましたっけ?」
「はい。中層には二十階にもボスがおりますが、こちらのボスは本来は、あのマンティコア位の強さです」
上手く助けられたとはいえ、あの時の戦いは良い思い出じゃない。
だからボスに出会わず目的の人たちを助けられたらなあと思っていると、遠くの方で人が喋る声が聞こえてきた。
良く覚えてないものの、あの彼らの声にも聞こえる。
念のために脳内地図で確認を取ると、ボスを示す大きな光の比較的傍に、二つの複数人数のパーティーがいる。彼らが会話をしているのだろうか。
個別に名前とか表示されれば良いのに、この地図はしてくれない。俺のレベルを上げて検索能力も上げて、早めにそういう機能をつけたいもんだ。つけることが可能かどうかは知らないが。
「もしかしたら彼らかも」
不安げなマリエルが呟いた。仲間の勘は当たるだろうから、俺たちはその二つのパーティーのいる場所まで急いだ。
迷宮は太陽も無いのに、時間が経過するとどんどん暗くなってきた。ブロンズ迷宮と違って、ここには明確な二十四時間があるらしい。
灯りを点したとしても、岩や大地の裂け目には多くの影が落ち、視覚的な優位さが失われる。
まさかこの不利な状況でこれからボス戦なんてしないよなと思っていたら、俺の脳内地図内でエンカウントされ、実際の戦闘音が響いてきた。
冒険者って何なんだろう、マジ。
戦闘が始まってすぐ、俺たちはそれが行われている広めの大地の裂け目の上に到着できた。
崖から身を乗り出して魔法の灯火がいくつも浮かぶ現場を見下ろすと、そこでコブラの巨大化したような姿で数十メートルある大蛇と、二つのパーティーの面々が共闘していた。
「レナード!」
マリエルが叫んだ。
彼女のパーティーのリーダーが盾と抜き身を手にして蛇の正面に立ち、おとりとなっている。
ようやく彼らに追いつけた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
ひ弱な竜人 ~周りより弱い身体に転生して、たまに面倒くさい事にも出会うけど家族・仲間・植物に囲まれて二度目の人生を楽しんでます~
白黒 キリン
ファンタジー
前世で重度の病人だった少年が、普人と変わらないくらい貧弱な身体に生まれた竜人族の少年ヤーウェルトとして転生する。ひたすらにマイペースに前世で諦めていたささやかな幸せを噛み締め、面倒くさい奴に絡まれたら鋼の精神力と図太い神経と植物の力を借りて圧倒し、面倒事に巻き込まれたら頼れる家族や仲間と植物の力を借りて撃破して、時に周囲を振り回しながら生きていく。
タイトルロゴは美風慶伍 様作で副題無し版です。
小説家になろうでも公開しています。
https://ncode.syosetu.com/n5715cb/
カクヨムでも公開してします。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887026500
●現状あれこれ
・2021/02/21 完結
・2020/12/16 累計1000000ポイント達成
・2020/12/15 300話達成
・2020/10/05 お気に入り700達成
・2020/09/02 累計ポイント900000達成
・2020/04/26 累計ポイント800000達成
・2019/11/16 累計ポイント700000達成
・2019/10/12 200話達成
・2019/08/25 お気に入り登録者数600達成
・2019/06/08 累計ポイント600000達成
・2019/04/20 累計ポイント550000達成
・2019/02/14 累計ポイント500000達成
・2019/02/04 ブックマーク500達成
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる