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──10──[ヒロイン視点]
しおりを挟む「きゃっ!痛……い…………?」
誰かに足を引っ掛けられて私は転んだ。
咄嗟に振り返って周りを見て、私は更に驚いた。
私の周りには誰も居なかった。
「え……?」
遂に悪役令嬢リゼリーラが動き出したのかと思ったのに私は見えない何かに足を掛けられて転んだ。
突然足首に何かが当たって転んだから足を掛けられたのは確かなのに、その『足を引っ掛けた何か』が私の周りには何も無かった……。
「……大丈夫……?」
廊下に倒れている私を心配して、離れた場所に居た令嬢が声をかけてくれる。私はそれに慌てて立ち上がって軽く頭を下げた。
「だ、大丈夫です!」
言いながら早足でその場を離れる。
単純に恥ずかしいっ!!
何もない廊下で転けるなんてっ!!
……でも確実に足を引っ掛けられた感触があったのに訳が分からない……。
自演しなきゃと思い過ぎていて足がもつれてしまったのかしら……?
なんて最初は軽く考えていたのに…………
「きゃぁ!」
「っ痛い!」
「あっ!!」
「えっ?!」
「っっ!?!」
何度も何度も何度も何度もっっ!?
私は何も無い所で周りに誰も居ない時にだけ転んで倒れた。
確実に足を掛けられたり背中を押されたりしているのに、振り返っても誰も居ない!
聖女だから膝を打ったり手を捻ったりしても直ぐに治せるけど痛いものは痛いし怖い……。
誰かの側ならその人の所為に出来るのに周りに誰も居ない時に限って起こるから誰の所為にも出来ない……。
折角イジメみたいな事が起こってるのになんで!?
こんなの絶対に悪役令嬢がやってるに決まってるのに、誰の所為にも出来ないから攻略対象者たちに泣きつく事も出来ない。
何も無い所で転ぶ私をみんなが気にして心配してくれるけど、令息たちよりも先に令嬢たちが私を囲んで心配してくるから攻略対象者たちに近づけもしない!
ちゃっかりリゼリーラも心配そうな顔で見てくるから腹が立つ!!お前だろ!?!って言えたらいいのに……、私の身に何が起こっているのか説明すら出来ないから誰の所為にも出来ない……。
私は確実にイジメられてるのに実際は『一人で転んでるだけ』にしか見えないからどうやって周りに訴えかけたらいいかも分からない……。
呪いかと思って聖女の力で祈ってみたけれど変わらない。
私は学園の中だけじゃなく、どこに居てもどんな状態でも突然襲われるその謎の現象にドンドン心が沈んでいった……。
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