欲しがり病の妹を「わたくしが一度持った物じゃないと欲しくない“かわいそう”な妹」と言って憐れむ(おちょくる)姉の話 [完]

ラララキヲ

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10>>マリリンの婚約者

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 カリンナの婚約者に近付こうとすると、姉から

「発情してるの? 貴女には性欲を抑える理性というものが無いのかしら?」

と言われるのでロッシュに近付けなくなったマリリンは、仕方がなく自分の婚約者との仲をまず深める事にした。

 マリリンの婚約者になったデミスン子爵家の三男末っ子、ビリー。

 兄二人に守られて育った所為か甘えたで自分が愛されていて当然だと思っている。
 マリリンも末っ子だが、早い段階で我が侭を姉に潰されだした上に姉から『甘やかしている様に見せて馬鹿にする』扱いを受けてきたので若干“愛され不足”になっていた。

 『愛されて当然』だと思っているビリーと
 『愛されたくて仕方がない自分が1番で居たい』マリリン

 実のところ、相性は最悪だった。


 ビリーは女性へのエスコートの仕方を兄たちに教わっていただけで、本心からの行動ではない。
 しかも、婚約者になる前は『伯爵家の令嬢と婚約して将来安泰にしたい』という思いがあったので下手に出ていたが、婚約者の座に座ってしまえばビリーはむしろ『選ばれたんだから、選んだ方が愛を捧げて当然だろう』と思っていた。

 そんなビリーとのお茶会は、マリリンにとっては不満しかなかった。

 ビリーの「お迎えご苦労」から始まり、ビリーの自慢話を聞かされ、その話の感想とビリーを褒める言葉を強請られ、次のお茶会でのお菓子の注文を受け、「俺に会えて嬉しかっただろ」などと言われて馬車の見送りまでさせられる。

 マリリンは早々にビリーとの婚約を解消した。

 ……かったが出来なかった。

「あんな人嫌よ!!」

「だがお前が選んだんだよ? そう簡単に婚約を解消なんて出来る訳がないだろう」

 困りきって溜め息を吐く父にマリリンは嫌だ嫌だと泣いて騒いだ。
 母がマリリンに寄り添いその頭を撫でる。

「あなた……マリリンがかわいそうよ……
 マリリンを立てられない婿なんて要らないわ」

「そうは言ってもなぁ……」

 やはりもっと相性を見て選ぶんだったと父は後悔した。

 姉であるカリンナの婚約者を奪っては困ると思ってマリリンにも婚約者を付けたが、本人に選ばせた結果がこれとは思わなかった。
 婚約解消したところでまた同じ事を繰り返しそうだから、簡単に婚約解消させられない。

 どうにか出来ないものか……

 考えた父はカリンナに相談した。

「お父様。
 人生経験の少ない娘にそれを聞いて、答えが出ると思いましたの?」

 カリンナに聞いたのが間違いだった。



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