欲しがり病の妹を「わたくしが一度持った物じゃないと欲しくない“かわいそう”な妹」と言って憐れむ(おちょくる)姉の話 [完]

ラララキヲ

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12>>姉はお茶会へ

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 マリリンが拗ねて部屋に閉じもっている間にカリンナは知り合いの侯爵家からお茶会に誘われてそこに参加していた。
 マリリンも呼ばれていたのだが、婚約解消の事を言われるから嫌だと参加を嫌がったのでカリンナ一人での参加となった。

 幼少期からの顔見知りの高位貴族の令嬢令息たちを集めたお茶会は、傍目から見れば既に大人の社交場と変わらなかったが、どこか垢抜けない部分もあって、少しだけ緩さを感じられてカリンナは肩の力が抜けた。

 主催者の侯爵令嬢に挨拶をした後に、他の人たちにも滞りなく挨拶をして周っていく。全員への挨拶を終えたカリンナは、他の人の邪魔にならない席に一人で座ってゆっくりとお茶とお菓子を楽しんでいた。

『わたくしがお菓子を楽しんで来たと知ったらまたマリリンが癇癪を起こすかもしれないわね。このお菓子と似た物を帰りに買って帰って上げなきゃね』

 ポリポリと口の中でお菓子の味を堪能しながらそんな事を考えていたカリンナの前の席に人が座った。

「やあ、楽しんでる?」

「はい。とっても」

 ニコニコ顔でカリンナに話しかけたのはアーゼン侯爵の嫡男ティオレイドだった。
 人当たりの良いティオレイドは誰に対しても優しい微笑みで分け隔てなく話しかける。そしてカリンナも誰とでも気軽な話が出来るので二人は昔から親しい方だった。
 ティオレイドの親などは、カリンナが長子で無ければ嫁に欲しかったと言った程だったが、カリンナとティオレイドは口を揃えて「絶対にお断りです」と言った。

 何故なら、カリンナとティオレイドはだったからだ。

 二人は互いに、最初に話した時から『あ、こいつ自分と同じタイプだな?』と思った。そして瞬時に理解した。

 ──敵に回すと人が死ぬ──

 と。死ぬのは勿論カリンナやティオレイドではない。勿論第三者だ。
 家族か友人か、使用人か更なる第三者か…………兎も角カリンナもティオレイドも誰かを殺したい訳ではないので平和に穏便に、ここは親しくなるに越した事はないと、言葉を交わす事なく二人だけの暗黙のルールを作って、それからは親しい友人として会えばこうして話をした。

「聞いたよ、妹君の事。
 残念だったね」

「えぇ、本当に。
 でも婚姻前に相性が分かって良かったですわ。あの子も今は落ち込んで居ますが直ぐにこれで良かったのだと気付くでしょう」

「そうだね。
 彼女にはもっと頼り甲斐のある男が似合うと思うんだよね。
 私の様な、さ」

「寝言は寝てから言って下さる?」

 ニッコリと微笑むカリンナにティオレイドもニッコリと微笑み返した。



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