19 / 36
19>>ティオレイド
しおりを挟む
-
ティオレイドはカリンナが昔から羨ましかった。
『姉に依存する妹』
ティオレイドのマリリンの印象はそれだった。
勝手に姉を目の敵にして張り合う妹。配られたケーキが姉より自分の方がちょっと大きいからというだけで勝ち誇った顔で喜ぶその単純さがティオレイドの興味を唆った。
自分にもあんなのが欲しいなぁ……とティオレイドに思わせたのはマリリンだった。
小さい子供の一時の感情だと思われたマリリンの感情は年を重ねても変わらず、未だに『姉より上に居たい!』と思っている様だと耳にして、ティオレイドは、なら上にしてあげよう、と思った。
マリリンはカリンナより家格が上となり、ティオレイドは可愛いマリリンが手に入る。
とても合理性に適っている様に思われた。
──早く依存先を私に変えてもらいたいなぁ……──
マリリンを優しく見つめながらティオレイドは思った。
「お姉様ったら酷いのですよ!
わたくしには侯爵家の夫人は務まらないって言うのです! わたくしだって、やれば出来るのに!」
淑女の笑みはどこへやら。
ぷっくりと頬を膨らませて姉に不満を漏らすマリリンにティオレイドも表情に気持ちを乗せて頷いて見せる。
「そんな事を言われたのかい?
やる前から否定しなくてもいいのにね。
でも、無理はしなくてもいいんだよ。
侯爵家には優秀な者がたくさん居る。マリリンはただ妻として私に寄り添ってくれているだけでもいいんだ」
優しくそんな事を言うティオレイドにマリリンは一瞬顔を綻ばせる。
でも直ぐに姉の言葉が頭に浮かんできてマリリンを馬鹿にした。
『勉強してないじゃない!
侯爵家の夫人なんて無理よっ!!』
──無理なんかじゃないわ!!──
ティオレイドからの甘い誘惑に直ぐに飛びつきそうになっていたマリリンが頭を振って思い留まると意を決したかの様に口を開いた。
「っ……わ、わたくしには出来ますわ! 侯爵夫人!!
ティオレイド様の為に頑張ります!!」
そんな事を言うマリリンに、
姉から引き離すのは大変そうだな……
と、ティオレイドは内心ワクワクするのだった。
-
ティオレイドはカリンナが昔から羨ましかった。
『姉に依存する妹』
ティオレイドのマリリンの印象はそれだった。
勝手に姉を目の敵にして張り合う妹。配られたケーキが姉より自分の方がちょっと大きいからというだけで勝ち誇った顔で喜ぶその単純さがティオレイドの興味を唆った。
自分にもあんなのが欲しいなぁ……とティオレイドに思わせたのはマリリンだった。
小さい子供の一時の感情だと思われたマリリンの感情は年を重ねても変わらず、未だに『姉より上に居たい!』と思っている様だと耳にして、ティオレイドは、なら上にしてあげよう、と思った。
マリリンはカリンナより家格が上となり、ティオレイドは可愛いマリリンが手に入る。
とても合理性に適っている様に思われた。
──早く依存先を私に変えてもらいたいなぁ……──
マリリンを優しく見つめながらティオレイドは思った。
「お姉様ったら酷いのですよ!
わたくしには侯爵家の夫人は務まらないって言うのです! わたくしだって、やれば出来るのに!」
淑女の笑みはどこへやら。
ぷっくりと頬を膨らませて姉に不満を漏らすマリリンにティオレイドも表情に気持ちを乗せて頷いて見せる。
「そんな事を言われたのかい?
やる前から否定しなくてもいいのにね。
でも、無理はしなくてもいいんだよ。
侯爵家には優秀な者がたくさん居る。マリリンはただ妻として私に寄り添ってくれているだけでもいいんだ」
優しくそんな事を言うティオレイドにマリリンは一瞬顔を綻ばせる。
でも直ぐに姉の言葉が頭に浮かんできてマリリンを馬鹿にした。
『勉強してないじゃない!
侯爵家の夫人なんて無理よっ!!』
──無理なんかじゃないわ!!──
ティオレイドからの甘い誘惑に直ぐに飛びつきそうになっていたマリリンが頭を振って思い留まると意を決したかの様に口を開いた。
「っ……わ、わたくしには出来ますわ! 侯爵夫人!!
ティオレイド様の為に頑張ります!!」
そんな事を言うマリリンに、
姉から引き離すのは大変そうだな……
と、ティオレイドは内心ワクワクするのだった。
-
188
あなたにおすすめの小説
(完)お姉様、婚約者を取り替えて?ーあんなガリガリの幽霊みたいな男は嫌です(全10話)
青空一夏
恋愛
妹は人のものが常に羨ましく盗りたいタイプ。今回は婚約者で理由は、
「私の婚約者は幽霊みたいに青ざめた顔のガリガリのゾンビみたい! あんな人は嫌よ! いくら領地経営の手腕があって大金持ちでも絶対にいや!」
だそうだ。
一方、私の婚約者は大金持ちではないが、なかなかの美男子だった。
「あのガリガリゾンビよりお姉様の婚約者のほうが私にぴったりよ! 美男美女は大昔から皆に祝福されるのよ?」と言う妹。
両親は妹に甘く私に、
「お姉ちゃんなのだから、交換してあげなさい」と言った。
私の婚約者は「可愛い妹のほうが嬉しい」と言った。妹は私より綺麗で可愛い。
私は言われるまま妹の婚約者に嫁いだ。彼には秘密があって……
魔法ありの世界で魔女様が最初だけ出演します。
⸜🌻⸝姉の夫を羨ましがり、悪巧みをしかけようとする妹の自業自得を描いた物語。とことん、性格の悪い妹に胸くそ注意です。ざまぁ要素ありですが、残酷ではありません。
タグはあとから追加するかもしれません。
笑わない妻を娶りました
mios
恋愛
伯爵家嫡男であるスタン・タイロンは、伯爵家を継ぐ際に妻を娶ることにした。
同じ伯爵位で、友人であるオリバー・クレンズの従姉妹で笑わないことから氷の女神とも呼ばれているミスティア・ドゥーラ嬢。
彼女は美しく、スタンは一目惚れをし、トントン拍子に婚約・結婚することになったのだが。
お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?
柚木ゆず
恋愛
「すでに気付いているんですのよ。わたくしやお父様やお母様に隠れて、交際を行っていることに」
「ダーファルズ伯爵家のエドモン様は、雄々しく素敵な御方。お顔も財力も最上級な方で、興味を持ちましたの。好きに、なってしまいましたの」
私のものを何でも欲しがる、妹のニネット。今度は物ではなく人を欲しがり始め、エドモン様をもらうと言い出しました。
確かに私は、家族に隠れて交際を行っているのですが――。その方は、私にしつこく言い寄ってきていた人。恋人はエドモン様ではなく、エズラル侯爵家のフレデリク様なのです。
どうやらニネットは大きな勘違いをしているらしく、自身を溺愛するお父様とお母様の力を借りて、そんなエドモン様にアプローチをしてゆくみたいです。
私は『選んだ』
ルーシャオ
恋愛
フィオレ侯爵家次女セラフィーヌは、いつも姉マルグレーテに『選ばさせられていた』。好きなお菓子も、ペットの犬も、ドレスもアクセサリも先に選ぶよう仕向けられ、そして当然のように姉に取られる。姉はそれを「先にいいものを選んで私に持ってきてくれている」と理解し、フィオレ侯爵も咎めることはない。
『選ばされて』姉に譲るセラフィーヌは、結婚相手までも同じように取られてしまう。姉はバルフォリア公爵家へ嫁ぐのに、セラフィーヌは貴族ですらない資産家のクレイトン卿の元へ嫁がされることに。
セラフィーヌはすっかり諦め、クレイトン卿が継承するという子爵領へ先に向かうよう家を追い出されるが、辿り着いた子爵領はすっかり自由で豊かな土地で——?
男爵令息と王子なら、どちらを選ぶ?
mios
恋愛
王家主催の夜会での王太子殿下の婚約破棄は、貴族だけでなく、平民からも注目を集めるものだった。
次期王妃と人気のあった公爵令嬢を差し置き、男爵令嬢がその地位に就くかもしれない。
周りは王太子殿下に次の相手と宣言された男爵令嬢が、本来の婚約者を選ぶか、王太子殿下の愛を受け入れるかに、興味津々だ。
残念ながら、定員オーバーです!お望みなら、次期王妃の座を明け渡しますので、お好きにしてください
mios
恋愛
ここのところ、婚約者の第一王子に付き纏われている。
「ベアトリス、頼む!このとーりだ!」
大袈裟に頭を下げて、どうにか我儘を通そうとなさいますが、何度も言いますが、無理です!
男爵令嬢を側妃にすることはできません。愛妾もすでに埋まってますのよ。
どこに、捻じ込めると言うのですか!
※番外編少し長くなりそうなので、また別作品としてあげることにしました。読んでいただきありがとうございました。
[完結]だってあなたが望んだことでしょう?
青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。
アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。
やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる