欲しがり病の妹を「わたくしが一度持った物じゃないと欲しくない“かわいそう”な妹」と言って憐れむ(おちょくる)姉の話 [完]

ラララキヲ

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29>>怒る妹

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「ティオレイド様はわたくしの婚約者よ! お姉様の婚約者はロッシュじゃない!! ティオレイド様に近付かないで! 触らないで!! 何がわたくしの考えに賛同するよ! 嫌がらせじゃない!! 分かってる癖にっ!! お姉様は全部分かってる癖に!! わたくしの考えが間違ってるって思うならそう言えば良いじゃない!! こんな酷い事しないでよ!!
 わたくしのティオレイド様に近付かないで!!!」

 マリリンは泣き叫びながらカリンナからティオレイドを引き離した。
 ティオレイドの腕を引いて立たせ、自分の方へ引っ張ってカリンナから距離を取る。
 そして涙をいっぱいに流したままでカリンナを睨んだ。

 そんなマリリンに驚いた顔を向けながらカリンナが口を開く。

「酷い事って……
 マリリンが最初にした事じゃない……
 貴女、自分が酷い事をしてるって分かっていてそんな事をしたの?」

「そうなのかい、マリリン?」

「っ! ……あ、わたくし…………っ」

 この場に居るのがカリンナだけなら『そうよバカねお姉様!』とでも言えただろうに、自分の真横から困惑した顔で見下ろしてくるティオレイドにマリリンは顔を青くした。

 カリンナの言葉に反論する事全部が自分に返ってくる。
 今、マリリンが嫌だと思う事全てが、最初に姉にした事だった。

「わたくし……そんな……
 違うの……っ、ティおレィド様…………」

 泣きじゃくりながら悲しい目をしてマリリンはティオレイドを見詰めた。

 助けて欲しい。
 守って欲しい。
 ティオレイド方から姉をたしなめて欲しい。
 ティオレイド口からこんな話は今更だと姉に言って欲しい。
 ティオレイド言葉で姉を追い払って欲しい。

 マリリンは色んな思いを乗せてティオレイドを見詰めた。
 そんなマリリンにティオレイドは優しい眼差しを返してくれる。

「ティオレイド様……」

 マリリンは涙が未だに止まらぬ顔を少しだけ赤く染めてティオレイドの瞳を見詰める。

 ティオレイド様なら分かってくれる
 カリンナの言葉よりわたくしを優先してくれる

 マリリンはティオレイドの目を見てそう思った。

 そんなマリリンにティオレイドは優しく微笑む。
 釣られてマリリンが微笑もうとした時

「マリリンはどう考えているんだい?」

「え?」

 ティオレイドが何を言い出したのかマリリンには分からなかった。



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