授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ

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4>>子供を捨てた両親は

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 グランは不満顔のままただ馬車に揺られていた。
 街に着いてもグランには何もする事がなく。だたボーッと荷台に座っているかウィルの仕事姿を見ているしかなかった。時々心の中に黒い気持ちが溢れて、それを目を閉じてやり過ごす。ギュッと手を握って目を閉じて、頭に浮かんだ嫌な事を全部スキルにぶつけるとなんだか不思議と楽になれた。グランはその事に気付いて気持ちが不安になった時や寝る前には必ずその気持ちを心の中でスキルにぶつける様になった。
 その度に王都では謎の笑い声が響き渡っていたが、どんどん王都から離れて行っていたグランの耳には王都で起こっている事の話など入っては来なかった。
 
 ウィルは手伝いとしてグランを引き取ったはずなのにグランを無理に手伝わせる事はしなかった。
 それどころか10歳で親に捨てられた元貴族の令息に平民としての生き方を教えようと常に気にかけてくれた。
 グランは最初こそ家族への復讐を考えるほどだったが恨みをスキルにぶつけている内になんだかその気持ちも薄れて、今ではもう家族の元へ帰りたいとは思わなかった。
 しかしやはり元貴族の子供が突然平民になった事での不満は毎日感じていて、その都度グランは目を瞑って自分のスキルへと気持ちをぶつけた。

 王都では突然響き渡る笑い声に慣れる者も出てきていた。
 あぁまたか……、と思える者は良かったが笑い声が感じる者は心を病んだ。
 リファージ男爵家の夫人、グランの母ミラルダは誰よりもそれが酷かった。ミラルダには笑い声が『5歳くらいの時のグランの笑い声』に聴こえていたのだ。小さな小さなグランがに。自分の捨てた子供が泣きながら笑っている。その顔がありありと想像出来てしまったミラルダは自分が選んでしまった『子を捨てる』という行為に後悔し、押し寄せた強烈な罪悪感に苛まれて、ある日突然大声で謝りながら泣き叫んで倒れた。

 その日からただグランの名を呼びながら謝罪を口にする母に、グランの兄たち2人もショックを受けた。
 自分たちが母を呼んでも自分たちを見てくれない。それどころか自分たちをドランやディランだと認識せずに「グラン」と弟の名を呼びながら抱きしめ様としてくる。それを「違う」「俺はグランじゃない」と言っても母ミラルダは「ごめんなさい」と「母を許して」と言って泣くだけだった。
 そしてが響くと泣き叫んで手がつけられなくなる。グランが居なくなって馬鹿にしていた兄たちもグランが戻ってくれば母も元に戻るんじゃないかと言い出し、父アランは頭を抱えた。

 ただでさえ居なくなった末っ子の事で周りから苦言を言われたりするのだ。「スキルに問題があったから捨てたのか」と、父アランがどれだけ「息子本人が強く希望して家を出た」と周りに伝えても「だとしても10歳の子供を平民に落とすなど」と言われるのだ。
 みんな鳴り響く笑い声にストレスが溜まっていて普段なら言わない事でもついつい言ってしまう様になっていた。王都中の全ての人が常に苛立っていた。
 グランの父アランも全てを投げ出して暴れたいくらいに苛立っていた。執務机を叩き過ぎて手は常に腫れていた。

「何故上手くいかん!?! なぜ幸せになれん!?! あんな屑スキルを持っていた家の恥を片付けて、これから平和な生活が待っているはずだったのに何故こうなった!? なんなんだあの笑い声は!! 全部あれのせいじゃないか!!! 国は何をしているんだ!! あの笑い声を早く止めろ!!! あれのせいで妻が壊れた!! 子供たちが悲しんでいる!!! なぜ神はこんな酷い仕打ちをするんだ!! 俺たちはただ幸せを望んでいるだけじゃないか!! 何も悪い事をしていないのになぜこんな仕打ちをなさるんだ!! 神は我らを見放したのか!?! あの笑い声が!!! あの笑い声さえなければ皆で変わらず平穏でいられたのに!!! あの笑い声が!!!!」

『あははははははははは!!!!』

「っ!! やめろ!!! 笑うな!!!」

『イーヒッヒッヒッヒッヒッ!!』

「笑うなーーー!!!!」

 アランは堪らず窓の外に向かって椅子を投げた。
 ガシャンと酷い音がして窓が割れた。しかし響き渡る笑い声は止まる事はなく、むしろリファージ男爵家の周りをグルグルと回る様に響いて邸の中にいる者たちの恐怖を煽った。

「いやーーーっっ!! やめてーーっっっ!!!」

 ミラルダが堪らず叫んだ。

「グランっっ!! グラン来てっっ!! お母様を抱きしめてっ!! この笑い声からお母様を守ってっっ!!! グランーーーーっっ!!」

 窓を開けて外に叫んだ妻にアランが苛立ちを止められずに叫んだ。

「グランはもういない!!!! お前だって捨てる事に同意しただろうが!! 私の子なのにあんなスキルを持って産まれるなんて呪われているのかしらとお前が言ったんだろうが!!! あんな屑スキルを持った子供を産んだお前が悪いんだ!! お前があんな子供を産むからっっ! あれは本当に俺の子だったんだろうな!? お前が他所から貰った種じゃないのか!!! あんなゴミスキルのガキが俺の子のはずがない!!!」

「なんて事を言うの!?! グランは貴方の子よ!! 貴方が欲しいと言ったから3人も産んだんじゃない!! 私は1人で充分だったのに!! 貴方がグランを望んだ癖にっ!!」

「だから他所から種を貰ってきたのか!? この売女が!!! お前がちゃんとしたスキルの子供を産んでいれば!!!」

「グランは貴方の子よ!!!!」

『アハハハハハハハハハ!!!!』

 窓を開け放ったまま大声で続けられたリファージ男爵夫妻の夫婦喧嘩は笑い声と共に王都中に響き渡った。
 母が言った『1人で充分だった』という言葉に次男ディランはショックを受け、それを慰めようとした長男の手を振り払った。
 男爵の言った『捨てる事に同意した』という言葉に衛兵たちが動き出していた。どんな理由があろうと子供を捨てる事は犯罪だった。それは貴族平民関係なくこの国では禁止されている事だった。
 更に男爵が言った『妻の不倫を疑う言葉』は女性たちの不満を買った。自分の種を棚に上げて全ての責任を産んだ妻の所為にするなど許される事ではない。しかも妻の方は望んで産んだ訳ではないときた。責任を全て妻の所為にするなどあり得ない。
 響き渡る謎の笑い声に気落ちしていた女性たちの怒りに火をつけたその発言は、色んなところに飛び火して王都中の至る所で別の騒ぎを起こした。



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