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国王の宣言から6日後、
フライアルド聖国に地響きが鳴り響いた。
慌てて国王やファウストを初め、王族派が音のする方へ向かうと、大多数の国民が島から海上と続く存在しなかった道を歩いている姿が目に入った。
「なっ!? なんだあれは?!?」
国王の言葉に側近が真っ青な顔をして報告する。
「わ、分かりません!!
しかし昨日までなかった土地が、地響きと共に突然現れて聖女派の者共が渡って行きます!!」
「どこへ向かっているんだ!?」
「分かりません!!
王族派の者は誰一人近付けないのです!! あそこを見てください!!」
そう言って側近が指差した先では国所属の騎士たちが泥濘みに足を取られて進めなくなっていた。
遠くからは「ヤバいっ!! 底無しだ!!」なんて声が聞こえてくる。
国王やファウストは青ざめた。
泥濘みに沈む騎士の横を台車に荷物を乗せた国民が普通に通って行く。
本当に『王族派は近付けない』のだと皆が理解できた。
「へ、陛下っ!! あれをっ!!」
誰かが叫んだ。
皆が同じ方向を向いて騒いでいる。
国王もそちらに視線を向けた。突然現れた道の先、聖女派が向かって行く先には……
昨日まで存在しなかった『島』の影が見えた。
「なっ?! なんだアレは!?!」
「分かりません! 確認の為の船も近づけない様です!!」
道の存在に気付いて、いち早くそちらへと向かった王族派の乗った船は、荒れ狂う波に翻弄されて行きたい方向へと船を進める事ができなかった。それどころか、最初に動いた船は突如出現した渦に飲まれて沈んだ。
何が起こったのか訳がわからず慌てふためく王族派の頭にポツリポツリと雨が降り始める。それは一気に激しくなって国王やファウストたちをずぶ濡れにした。
「なんだこれはっ!?!!?」
濡れ鼠になって騒ぐ王族派の目に、未知の島へとゆっくりと進んでいく聖女派の人々とその上に爽やかに広がる青空が見える。
「あ、……あ、やはり神は……」
誰かの震える声が雨音の隙間から聞こえてくる。
「な、なんて事だ……」
「わ、私は違うっ!!」
「早く行かないとっ!!」
「う、嘘だ……」
「信じられ、ない……」
王族派の中から様々な声が聞こえだし、一部の者たちは青ざめた顔で大慌ててその場から去った。
国王とファウストやその側近たちも激しくなる雨を避ける為に仕方なく城に帰った。
帰った城の中にはおかしな違和感があった。
それを訝しむ国王に青ざめた執事や侍女長などが集まってくる。
「へ、陛下……大変ですっ、一部の城仕えの者たちが寝返り、城から出て行きました……」
「な、何だと?!?」
国王が驚き叫んだと同時に城の外でありえない大きさの雷鳴が響いた。
「キャァ!!」「うわぁっ?!!」
そこら中から悲鳴が上がる。
国王は速すぎる自分の心音と無意識に上がった息に意識が遠退く気がした。
「父上っ!! ど、どうなっているのですか?!?」
ファウストが父親に詰め寄る。
生まれてからずっと尊敬してやまなかった父の初めて見る表情にファウストの不安が一気に増大する。
父が……
父上が言ったのだ。
神は存在しないと。
聖女など教会の作り上げた虚構だと。
この地上で一番力のある存在は“人間”なんだと……
ファウストはその父の言葉を信じて生きてきたのだ。
それなのに………
ガシャーンっ!!
と雷鳴が響く。外の雨は酷くなり風が何かを壊す音がする。
グラリ、と床が揺れる。
「ち、父上…………?」
ファウストは愕然として父親を見ていた。
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国王の宣言から6日後、
フライアルド聖国に地響きが鳴り響いた。
慌てて国王やファウストを初め、王族派が音のする方へ向かうと、大多数の国民が島から海上と続く存在しなかった道を歩いている姿が目に入った。
「なっ!? なんだあれは?!?」
国王の言葉に側近が真っ青な顔をして報告する。
「わ、分かりません!!
しかし昨日までなかった土地が、地響きと共に突然現れて聖女派の者共が渡って行きます!!」
「どこへ向かっているんだ!?」
「分かりません!!
王族派の者は誰一人近付けないのです!! あそこを見てください!!」
そう言って側近が指差した先では国所属の騎士たちが泥濘みに足を取られて進めなくなっていた。
遠くからは「ヤバいっ!! 底無しだ!!」なんて声が聞こえてくる。
国王やファウストは青ざめた。
泥濘みに沈む騎士の横を台車に荷物を乗せた国民が普通に通って行く。
本当に『王族派は近付けない』のだと皆が理解できた。
「へ、陛下っ!! あれをっ!!」
誰かが叫んだ。
皆が同じ方向を向いて騒いでいる。
国王もそちらに視線を向けた。突然現れた道の先、聖女派が向かって行く先には……
昨日まで存在しなかった『島』の影が見えた。
「なっ?! なんだアレは!?!」
「分かりません! 確認の為の船も近づけない様です!!」
道の存在に気付いて、いち早くそちらへと向かった王族派の乗った船は、荒れ狂う波に翻弄されて行きたい方向へと船を進める事ができなかった。それどころか、最初に動いた船は突如出現した渦に飲まれて沈んだ。
何が起こったのか訳がわからず慌てふためく王族派の頭にポツリポツリと雨が降り始める。それは一気に激しくなって国王やファウストたちをずぶ濡れにした。
「なんだこれはっ!?!!?」
濡れ鼠になって騒ぐ王族派の目に、未知の島へとゆっくりと進んでいく聖女派の人々とその上に爽やかに広がる青空が見える。
「あ、……あ、やはり神は……」
誰かの震える声が雨音の隙間から聞こえてくる。
「な、なんて事だ……」
「わ、私は違うっ!!」
「早く行かないとっ!!」
「う、嘘だ……」
「信じられ、ない……」
王族派の中から様々な声が聞こえだし、一部の者たちは青ざめた顔で大慌ててその場から去った。
国王とファウストやその側近たちも激しくなる雨を避ける為に仕方なく城に帰った。
帰った城の中にはおかしな違和感があった。
それを訝しむ国王に青ざめた執事や侍女長などが集まってくる。
「へ、陛下……大変ですっ、一部の城仕えの者たちが寝返り、城から出て行きました……」
「な、何だと?!?」
国王が驚き叫んだと同時に城の外でありえない大きさの雷鳴が響いた。
「キャァ!!」「うわぁっ?!!」
そこら中から悲鳴が上がる。
国王は速すぎる自分の心音と無意識に上がった息に意識が遠退く気がした。
「父上っ!! ど、どうなっているのですか?!?」
ファウストが父親に詰め寄る。
生まれてからずっと尊敬してやまなかった父の初めて見る表情にファウストの不安が一気に増大する。
父が……
父上が言ったのだ。
神は存在しないと。
聖女など教会の作り上げた虚構だと。
この地上で一番力のある存在は“人間”なんだと……
ファウストはその父の言葉を信じて生きてきたのだ。
それなのに………
ガシャーンっ!!
と雷鳴が響く。外の雨は酷くなり風が何かを壊す音がする。
グラリ、と床が揺れる。
「ち、父上…………?」
ファウストは愕然として父親を見ていた。
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