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1 可愛い妹が男だったので、俺のギャルゲー終了のお知らせ
しおりを挟む「じゃ、また明日な。ナナセ」
「ああ」
夕焼け色に染まる帰り道。
変わり映えのない、ありふれた日常。
何も変わらない退屈な毎日が続く中で、俺の人生は、その日を境に派手にぶっ壊れた。
異世界転生。
学生なら誰でも一度は夢見る、あのシチュエーションだ。
しかも転生先は、美少女溢れるギャルゲーの世界。もう、笑うしかないだろ。
両親には申し訳ないけど、こればっかりは仕方ない。
――この世界、全力で楽しませていただきます。目指せハーレムライフ!
===
「……にいちゃ……、お兄ちゃん……」
耳元で誰かの声がする。
目を開けると、どこにでもありそうな殺風景な男子の一人部屋。
立っていたのはツインテールが似合う女の子。
彼女の名前は麻布ナル。
『恋とトモダチは両立スル? シナい!』という名のギャルゲー、通称『恋トモ』の世界に登場する、主人公の妹キャラだ。そして俺はその兄、麻布タツミ。
俺は、ギャルゲー世界の主人公として転生していた。
「もうっ! お兄ちゃんったら! 私の話、ちゃんと聞いてるの?」
ぷくっと膨れたナルが、ぐいっと顔を近づけてくる。
……かわいい。
これが、このゲームの人気ヒロインの力か。
「……んー、何? なんだっけ?」
「何じゃないでしょ! 朝だよ、朝! 学校に遅れちゃう! お兄ちゃんなんだから、しっかりしてよね!」
ばんばんと布団を叩きながら、ナルは怒る。
それすらも可愛いとか、さすがギャルゲー世界。
いやまあ、妹がヒロインってどうなのって思うところもあるだろう。でも大丈夫、この子とは血が繋がっていない設定だ。
だからほら、こんなことを言っても許される。
「ああ、ごめんごめん。ナルの顔が可愛くて、ついぼーっとしちゃったよ」
「もー、意味わかんない!」
現実の世界ならドン引き不可避なセリフも、ここじゃテンプレ通過案件。
だってここは『恋トモ』の世界。
しかもこのやり取りで、好感度ゲージも微増しているはずだ。
攻略本持ってた俺に死角はない。
……完璧な対応だ。さすが俺。
「ほんっと意味わかんないんだから……」
「そっか。でも、ありがとな。いつも起こしてくれて」
そう言いながら、俺はふわりとナルの頭に手を伸ばす。
そして撫でる。そう、これも正解ルート。
「……どういたしまして」
フワッとした髪の毛の感触。ナルの甘く低い声が耳に届いた。
…………ん? 甘く、低い声?
「……ん?」
視線を上げた瞬間、血の気が引いた。殴らなかったのは偉い。
「遅刻しちゃうゾ、お兄ちゃん」
「ぶっ!?」
そこにいたのは、明らかに男子高校生。ナルじゃない。誰だお前。
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