悲報、転生したらギャルゲーの主人公だったのに、悪友も一緒に転生してきたせいで開幕即終了のお知らせ

椿谷あずる

文字の大きさ
1 / 16

1 可愛い妹が男だったので、俺のギャルゲー終了のお知らせ

しおりを挟む
 
「じゃ、また明日な。ナナセ」
「ああ」

 夕焼け色に染まる帰り道。
 変わり映えのない、ありふれた日常。
 何も変わらない退屈な毎日が続く中で、俺の人生は、その日を境に派手にぶっ壊れた。

 異世界転生。

 学生なら誰でも一度は夢見る、あのシチュエーションだ。
 しかも転生先は、美少女溢れるギャルゲーの世界。もう、笑うしかないだろ。
 両親には申し訳ないけど、こればっかりは仕方ない。
 ――この世界、全力で楽しませていただきます。目指せハーレムライフ!


===


「……にいちゃ……、お兄ちゃん……」

 耳元で誰かの声がする。
 目を開けると、どこにでもありそうな殺風景な男子の一人部屋。
 立っていたのはツインテールが似合う女の子。

 彼女の名前は麻布ナル。
 『恋とトモダチは両立スル? シナい!』という名のギャルゲー、通称『恋トモ』の世界に登場する、主人公の妹キャラだ。そして俺はその兄、麻布タツミ。

 俺は、ギャルゲー世界の主人公として転生していた。

「もうっ! お兄ちゃんったら! 私の話、ちゃんと聞いてるの?」

 ぷくっと膨れたナルが、ぐいっと顔を近づけてくる。
 ……かわいい。
 これが、このゲームの人気ヒロインの力か。

「……んー、何? なんだっけ?」
「何じゃないでしょ! 朝だよ、朝! 学校に遅れちゃう! お兄ちゃんなんだから、しっかりしてよね!」

 ばんばんと布団を叩きながら、ナルは怒る。
 それすらも可愛いとか、さすがギャルゲー世界。

 いやまあ、妹がヒロインってどうなのって思うところもあるだろう。でも大丈夫、この子とは血が繋がっていない設定だ。
 だからほら、こんなことを言っても許される。

「ああ、ごめんごめん。ナルの顔が可愛くて、ついぼーっとしちゃったよ」
「もー、意味わかんない!」

 現実の世界ならドン引き不可避なセリフも、ここじゃテンプレ通過案件。
 だってここは『恋トモ』の世界。
 
 しかもこのやり取りで、好感度ゲージも微増しているはずだ。
 攻略本持ってた俺に死角はない。
 ……完璧な対応だ。さすが俺。

「ほんっと意味わかんないんだから……」
「そっか。でも、ありがとな。いつも起こしてくれて」

 そう言いながら、俺はふわりとナルの頭に手を伸ばす。
 そして撫でる。そう、これも正解ルート。

「……どういたしまして」

 フワッとした髪の毛の感触。ナルの甘く低い声が耳に届いた。
 …………ん? 甘く、低い声?

「……ん?」

 視線を上げた瞬間、血の気が引いた。殴らなかったのは偉い。

「遅刻しちゃうゾ、お兄ちゃん」
「ぶっ!?」

 そこにいたのは、明らかに男子高校生。ナルじゃない。誰だお前。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

魔王の下僕は今日も悩みが尽きない

SEKISUI
BL
魔王の世話係のはずが何故か逆に世話されてる下級悪魔 どうして?何故?と心で呟く毎日を過ごしている

【16話完結】スパダリになりたいので、幼馴染に弟子入りしました!

キノア9g
BL
モテたくて完璧な幼馴染に弟子入りしたら、なぜか俺が溺愛されてる!? あらすじ 「俺は将来、可愛い奥さんをもらって温かい家庭を築くんだ!」 前世、ブラック企業で過労死した社畜の俺(リアン)。 今世こそは定時退社と幸せな結婚を手に入れるため、理想の男「スパダリ」になることを決意する。 お手本は、幼馴染で公爵家嫡男のシリル。 顔よし、家柄よし、能力よしの完璧超人な彼に「弟子入り」し、その技術を盗もうとするけれど……? 「リアン、君の淹れたお茶以外は飲みたくないな」 「君は無防備すぎる。私の側を離れてはいけないよ」 スパダリ修行のつもりが、いつの間にか身の回りのお世話係(兼・精神安定剤)として依存されていた!? しかも、俺が婚活をしようとすると、なぜか全力で阻止されて――。 【無自覚ポジティブな元社畜】×【隠れ激重執着な氷の貴公子】 「君の就職先は私(公爵家)に決まっているだろう?」

処理中です...