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第170話
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男子、三日会わざれば刮目して見よとはよく言ったもので、一か月ぶりに戦ったヨシナリは完全に別人といえるレベルで強くなっていた。 狙撃の精度、ポジショニング、距離を詰められた時の立ち回り。
これまでは相手の得意レンジに入りそうになれば逃げる傾向にあったのに今ではそれを逆手に取って仕留めにかかってくる。 散々な模擬戦結果にマルメルは表向きは「流石だな」と言って笑ったが内心では非常に焦っていた。
悔しさはもちろんある。
それ以上に相棒と思っていた奴が自分よりも遥かに先に行ってしまった事が少しショックだったのだ。 成績が落ちて禁止されたので自業自得ではあるのだが、感情的な事は中々に処理できない。
さっきまではそんな事を考えて悶々としてはいたが、今は目の前の戦場に集中しなければならなかった。 特に現在地は敵の拠点内だ。 気を抜いたら死に繋がるので余計な事を考えている余裕がない。
――それにしても――
「なんだここは?」
どうにか今考えるべき事を口に出す。
ちょうどふわわが向かってくる最後のエネミーを切り刻んでいた。
静かになったのでマルメルはぐるりと見回す。 一応、敵の拠点となっているはずなのだが、どういう用途で使われているのかよく分からない。 異星人の基地なので案内板が出ている事に期待している訳ではないが、それを差し引いても良く分からないのがマルメルの抱いた感想だ。
トルーパーでも充分に通れる広い通路に進めば一定の間隔で存在する大部屋。
内部はエネミーの群れ。 室内には何もない――というよりはアスレチックのように入り組んだ障害物が並んでいる。 まるで普段使用しているトレーニングルームのようだった。
他の部屋もここ同様に良く分からない部屋で、カプセルのような物が大量に浮かんでおり中からエネミーが湧いてくる部屋、発電施設なのか良く分からないマシンが稼働している部屋も見かけた。
その部屋に関しては破壊するべきかと意見が割れたが、万が一基地の動作が完全にダウンしてしまえば動き回る事に影響が出かねないので位置を覚えて処理は保留としておいた。
目的は基地の破壊なので潰した方が目的に沿っているとは思うのだが、全ての基地の破壊が最終目的なのだ。 迂闊に潰して出られなくなって脱落なんて結果は困る。
そんな理由で保留となったのだ。 どちらにしても施設内の浅い場所に存在する装置を破壊した所で、この拠点そのものを処理できる可能性は低い。 何が起こるか分からない以上は可能な限り慎重であるべきだ。 他のゲームであったのなら何も考えずに目に入った物を全て破壊すればいいのだが、このICpwではそうもいかない。 何が原因で理不尽な目に遭うか分かったものではないからだ。
迂闊な真似は可能な限り避けたい。 マルメルはウインドウを操作してマップを呼び出す。
相変わらず一定距離の味方以外は表示されないのではぐれた面子がどうなったのかはさっぱり分からない上、内部のマップに関しては自分達が足を踏み入れた場所は表示されているがそれ以外は不明。
彼等の現在地は地下だ。 背の高い建物だったので最終的な目的地は上なのではないかと思っていたが、奥へと向かうと上と下に行く道があったので迷う事になったのだがこの集団には統率者がいないので多数決で下へ向かう事となった。 理由としては先行したハイランカー達が上に向かった事は容易に想像がつくので追いかけるよりは下を処理した方が良いと判断したからだ。
そんなこんなでワンフロア降りたのだが、とにかく敵が次々と湧いてくる。
大部屋は特にそれが顕著で数で圧殺しようと全方位から襲ってくるのだ。
ただ、それを跳ね除けた後はしばらく出てこなくなるので一息は付ける事が救いか。
現在の方針としてはこの拠点の構造を掴みつつ、制圧と施設の処理方法の模索。
ターゲットはこの惑星全域に存在し、総数で考えると結構な量があるのでそこを破壊すれば終わる急所のような何かがあるはずなのだが――
――あるよな?
考えると段々不安になってきた。
マルメルの懸念はある意味、正しかった。
このステージに存在する拠点の数は大小合わせて約五千。 それをダイブした約五百万のプレイヤーが攻略するというのがこのイベントの概要だ。 進捗に関しては施設をどの程度制圧しているかで進む。
これは個別の施設と陥落した拠点の数で決定する。
一部の上位ランカーが早々に基地を半壊させた事でイベントが進む。
――拠点ID:NEP-351、444、578、685、699、78――4988の進行度が一定を突破。
それに伴い『trooper:type sacrifice』『trooper:type slave』を限定投入。
『trooper:type sacrifice』の機能『enhancer』アンロック。 並行して戦闘データの収集開始。
戦場に変化が起ころうとしていた。
マルメルは休憩中の時間を利用して施設の壁などを調べていた。
特に何かが書かれている訳ではないのだが、ウインドウに表示されているマップを確認すると685号拠点と表示されている。 少なくともこんなヤバい施設が他に684か所もあるのかよと考えて気が滅入りそうになった。 他の味方機も消耗しているのが良く分かる。
場合によっては戻る事も視野に入れた方が良いのかもしれない。 そんな事を考えていると不意にふわわがブレードを抜いて自分達が入ってきた場所――このフロアの出入口に向けて構える。
「追加ですか? ――ったくもうちょっと休ませてくれても……」
「マルメル君、油断したらあかん。 なんかヤバいのが来る」
普段の態度とは違う彼女の態度にマルメルは内心でマジかよと武装をチェックして構える。
他の機体も二人の反応から敵襲と悟って警戒態勢をとった。
ふわわの向けたダガーの切っ先の向こうから音もなくそれが現れる。
これまでの魚介類ではなく人型だった。 ――というよりどう見てもトルーパーだ。
特徴的な白と黒のツートンカラー。 フレームはノーマルが近いが既存の物とは雰囲気が違う。
「プレイヤー? にしては見た事のないパーツだけど……」
パーツの感じからトルーパーに似てはいるが、既存の機体とは明らかに違う。
何故ならベースはソルジャータイプだが腰にはエンジェルタイプのエネルギーウイングとキマイラタイプの物と酷似したブースターとスラスター。 武装は腕に巨大な爪と一体化した盾がある。
特定方向というよりは汎用性を重視したかのようなパーツ構成だ。
謎のトルーパーが僅かに腰を落としたと同時にふわわが推進力を全開にして突撃。
相手も応じるように背のエネルギーウイングを輝かせた。
これまでは相手の得意レンジに入りそうになれば逃げる傾向にあったのに今ではそれを逆手に取って仕留めにかかってくる。 散々な模擬戦結果にマルメルは表向きは「流石だな」と言って笑ったが内心では非常に焦っていた。
悔しさはもちろんある。
それ以上に相棒と思っていた奴が自分よりも遥かに先に行ってしまった事が少しショックだったのだ。 成績が落ちて禁止されたので自業自得ではあるのだが、感情的な事は中々に処理できない。
さっきまではそんな事を考えて悶々としてはいたが、今は目の前の戦場に集中しなければならなかった。 特に現在地は敵の拠点内だ。 気を抜いたら死に繋がるので余計な事を考えている余裕がない。
――それにしても――
「なんだここは?」
どうにか今考えるべき事を口に出す。
ちょうどふわわが向かってくる最後のエネミーを切り刻んでいた。
静かになったのでマルメルはぐるりと見回す。 一応、敵の拠点となっているはずなのだが、どういう用途で使われているのかよく分からない。 異星人の基地なので案内板が出ている事に期待している訳ではないが、それを差し引いても良く分からないのがマルメルの抱いた感想だ。
トルーパーでも充分に通れる広い通路に進めば一定の間隔で存在する大部屋。
内部はエネミーの群れ。 室内には何もない――というよりはアスレチックのように入り組んだ障害物が並んでいる。 まるで普段使用しているトレーニングルームのようだった。
他の部屋もここ同様に良く分からない部屋で、カプセルのような物が大量に浮かんでおり中からエネミーが湧いてくる部屋、発電施設なのか良く分からないマシンが稼働している部屋も見かけた。
その部屋に関しては破壊するべきかと意見が割れたが、万が一基地の動作が完全にダウンしてしまえば動き回る事に影響が出かねないので位置を覚えて処理は保留としておいた。
目的は基地の破壊なので潰した方が目的に沿っているとは思うのだが、全ての基地の破壊が最終目的なのだ。 迂闊に潰して出られなくなって脱落なんて結果は困る。
そんな理由で保留となったのだ。 どちらにしても施設内の浅い場所に存在する装置を破壊した所で、この拠点そのものを処理できる可能性は低い。 何が起こるか分からない以上は可能な限り慎重であるべきだ。 他のゲームであったのなら何も考えずに目に入った物を全て破壊すればいいのだが、このICpwではそうもいかない。 何が原因で理不尽な目に遭うか分かったものではないからだ。
迂闊な真似は可能な限り避けたい。 マルメルはウインドウを操作してマップを呼び出す。
相変わらず一定距離の味方以外は表示されないのではぐれた面子がどうなったのかはさっぱり分からない上、内部のマップに関しては自分達が足を踏み入れた場所は表示されているがそれ以外は不明。
彼等の現在地は地下だ。 背の高い建物だったので最終的な目的地は上なのではないかと思っていたが、奥へと向かうと上と下に行く道があったので迷う事になったのだがこの集団には統率者がいないので多数決で下へ向かう事となった。 理由としては先行したハイランカー達が上に向かった事は容易に想像がつくので追いかけるよりは下を処理した方が良いと判断したからだ。
そんなこんなでワンフロア降りたのだが、とにかく敵が次々と湧いてくる。
大部屋は特にそれが顕著で数で圧殺しようと全方位から襲ってくるのだ。
ただ、それを跳ね除けた後はしばらく出てこなくなるので一息は付ける事が救いか。
現在の方針としてはこの拠点の構造を掴みつつ、制圧と施設の処理方法の模索。
ターゲットはこの惑星全域に存在し、総数で考えると結構な量があるのでそこを破壊すれば終わる急所のような何かがあるはずなのだが――
――あるよな?
考えると段々不安になってきた。
マルメルの懸念はある意味、正しかった。
このステージに存在する拠点の数は大小合わせて約五千。 それをダイブした約五百万のプレイヤーが攻略するというのがこのイベントの概要だ。 進捗に関しては施設をどの程度制圧しているかで進む。
これは個別の施設と陥落した拠点の数で決定する。
一部の上位ランカーが早々に基地を半壊させた事でイベントが進む。
――拠点ID:NEP-351、444、578、685、699、78――4988の進行度が一定を突破。
それに伴い『trooper:type sacrifice』『trooper:type slave』を限定投入。
『trooper:type sacrifice』の機能『enhancer』アンロック。 並行して戦闘データの収集開始。
戦場に変化が起ころうとしていた。
マルメルは休憩中の時間を利用して施設の壁などを調べていた。
特に何かが書かれている訳ではないのだが、ウインドウに表示されているマップを確認すると685号拠点と表示されている。 少なくともこんなヤバい施設が他に684か所もあるのかよと考えて気が滅入りそうになった。 他の味方機も消耗しているのが良く分かる。
場合によっては戻る事も視野に入れた方が良いのかもしれない。 そんな事を考えていると不意にふわわがブレードを抜いて自分達が入ってきた場所――このフロアの出入口に向けて構える。
「追加ですか? ――ったくもうちょっと休ませてくれても……」
「マルメル君、油断したらあかん。 なんかヤバいのが来る」
普段の態度とは違う彼女の態度にマルメルは内心でマジかよと武装をチェックして構える。
他の機体も二人の反応から敵襲と悟って警戒態勢をとった。
ふわわの向けたダガーの切っ先の向こうから音もなくそれが現れる。
これまでの魚介類ではなく人型だった。 ――というよりどう見てもトルーパーだ。
特徴的な白と黒のツートンカラー。 フレームはノーマルが近いが既存の物とは雰囲気が違う。
「プレイヤー? にしては見た事のないパーツだけど……」
パーツの感じからトルーパーに似てはいるが、既存の機体とは明らかに違う。
何故ならベースはソルジャータイプだが腰にはエンジェルタイプのエネルギーウイングとキマイラタイプの物と酷似したブースターとスラスター。 武装は腕に巨大な爪と一体化した盾がある。
特定方向というよりは汎用性を重視したかのようなパーツ構成だ。
謎のトルーパーが僅かに腰を落としたと同時にふわわが推進力を全開にして突撃。
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