Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

文字の大きさ
203 / 786

第203話

しおりを挟む
 鈍重な機体が回避を選択した。 つまりは追い込めている。

 ――このまま押し切る!
 
 フィールドの再展開までは攻撃が通るはずだと判断したヨシナリはブースターを全開に噴かして突撃。
 距離を一気に詰める。 この間合いならエネルギーキャノンも使えない。
 まんまるはただでやられるつもりはないらしく。 突撃銃を器用に連射しながら高度を上げる。

 下げずに上げたのは自分の機体が鈍重かつ大型なので障害物を利用するといった真似ができないからだろう。 ヨシナリは実弾を連射しながら弾切れと同時にエネルギー弾に切り替えて射撃。
 放った一撃はまんまるの機体の肩を撃ち抜く。 

 ――通った。 

 このまま畳みかけると更に肉薄。 まんまるは近づけまいとマガジン交換しながら突撃銃を連射するが、鈍重な機体が仇となり、上手くホロスコープを捉えられない。
 砲戦をメインとしているだけあって旋回が遅いので、機体の周囲を回るように接近すれば比較的、安全に距離を詰められる。

 ――そろそろか。

 距離を詰め切らずにブレードが届く距離に入る前に急上昇。 
 同時にまんまるのフィールドが再展開される。 砲は使う気配はない。
 完全に息切れしているようで、エネルギーに余裕がなさそうだ。 今の所は自分のペースに持ち込めているが、相手は格上である以上は何をしてくるか分からない。

 絶対に油断はしない。 ヨシナリは眼を閉じて思い返す。
 以前に行ったふわわとの一戦を。 あの時、勝利を確信して押し切ろうとした。
 その結果、ドローという拾えた勝ちを取りこぼすといった結果に終わったのだ。

 今、思い出しても自分の浅はかさに対して怒り狂いそうになる。
 だから、相手が完全にくたばるまで油断はしない。 ヨシナリは全ての意識を敵機に向ける。
 フィールドは再展開しているが、可能になって慌てて広げたのならそこまで回復はしていないはずだ。 実弾を連射、弾切れ、予備のマガジンなし。

 エネルギー弾に切り替えて再度射撃。 フィールドを破壊、攻めずに急降下。
 相手の突撃銃がヨシナリのさっきまでいた空間を薙ぎ払う。
 タイミングが合ってきた。 集中、集中。 相手の一挙手一投足に気を配り、意識の焦点を絞れ。
 どんな些細な挙動も見逃すな。 エネルギー弾のチャージが必要になったと同時にアノマリーを投げ捨ててブレードを抜く。 狙いはコックピット部分、いくら重装甲でも継ぎ目を狙えばどうにでもなる。

 まんまるも突撃銃では捉えきれないと判断したのか腕に内蔵したブレードを展開。
 振らずに突きを放つ。 闇雲に振っても当たらないと判断した結果だろう。
 ギリギリまで引き付けてからの一撃はまだ勝負を捨てていない証だ。

 だが、機動性ではホロスコープの方が上。 ヨシナリは刺突を躱して懐へ。
 この距離なら防御も何もない。 必殺の距離と言えるが――
 仕掛ける直前に横方向に噴かしてまんまるの機体の背後へ旋回。 一瞬、遅れてまんまるの機体から何かが飛び出した。 恐らくは使い捨ての散弾砲か何かだろう。

 重装甲の巨体であるという事は武装を積める余地があるという事だ。
 
 「な、なんで――」
 
 躱されると思っていなかったのかまんまるが驚きの声を上げる。
 これがあるから上位のプレイヤーは怖い。 以前に高い授業料を払った甲斐があったとヨシナリはまんまるの機体の背後――うなじの辺りにブレードを突き立ててその首を落とした。

 ここまでされると流石に万策が尽きたのか滅茶苦茶に両腕を振り回し、どうにかヨシナリを振り払おうとしたがもう遅い。 拳銃を抜くと頭があった場所――内部構造が剥き出しになった場所に向けて連射。 弾が切れるまで銃弾を叩きこんだ。

 いかに重装甲のプリンシパリティでも内部へのダメージには脆く、致命的な損傷を及ぼした。
 機体のあちこちで小規模な爆発が起こり、やがて機体の中心が僅かに膨らんだと同時に爆散。
 残骸が辺りに撒き散らされたのを見てヨシナリは大きく息を吐いて少しだけ肩の力を抜いた。

 「結構、きついなこれ」

 一対一だからこそできた戦い方だが、意識の焦点を絞ると完全に周囲への警戒が出来なくなるので個人戦以外では使えない。 やはり意識と視野は広く深くだ。
 ふわわはどうなったかなと視線を向けると変わらずに膠着状態だった。

 ポンポンはふわわと付かず離れすぎずの距離を保ち、ふわわはどうにか武器の間合いに捉えようと追いかける。 

 ――まぁ、それももう終わりだが。

 ヨシナリは投げ捨てたアノマリーを拾い、動作する事を確認するとおもむろに構える。
 無理に当てなくていいので楽なものだ。 そんな事を考えながら狙いを付けて発射した。

 
 「――ふぁ!?」

 ポンポンは唐突に飛んできたエネルギー弾を回避。
 どこから飛んできたと確認するとヨシナリがいつの間にかフリーになっていた。
 なんでだよとまんまるの位置を確認しようとしたが、ステータスがロスト――つまり撃墜扱いになっていたのだ。 逃げ回る事に集中していて全く見ていなかった。

 「何やられてんだよバカぁぁ! 減点んんんん!!」
 「お友達は残念やったねぇ?」

 思わず叫ぶと、ふわわが下から斬りかかって来るのを急旋回で躱す。 回避と同時に下降、高度を上げられなくなった。
 下手に上げるとヨシナリの狙撃が飛んでくる。 地上を避けていたのはふわわから逃げる為だというのに……。 本来、エンジェルタイプはソルジャータイプの完全上位互換だ。

 機動力、旋回性、全てにおいて上回っていると断言できるが、相手がふわわで地形が入り組んでいた場合はその限りではない。 何故なら――
 ふわわの機体はビルを蹴ってピンボールのようにあちこちを跳ね回りながら向かってくるのだ。

 お陰で照準が碌に合わせられず、動きが読み辛い。
 その上、速いと地上に留まっているといい事が一つもなかった。
 だからこそ地上での戦闘を避けて空中に逃げる形で距離を取っていたのだが、それもできない。

 ――負ける? あたしらが?

 確かに格下と見ていた面はあったが、それ以上に負けるとどれだけ不味いのかも理解していたので本気で潰しに行ったのだ。
 ――にもかかわらずニャーコが瞬殺され、まんまるは正面から負けた。

 Fランクのソルジャータイプ使いに。 信じられない。 信じたくなかった。
 ポンポンは焦りと驚愕が混ざり、濁った思考でどうすればいいと自問するがそれが良くなかったようだ。 不意に飛んできた狙撃でエネルギーウイングを撃ち抜かれたからだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【なろう490万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて490万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき90万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通
ファンタジー
 ネットオークションに、異世界転移魔方陣が出品されていた。  三千円で。  二枚入り。  手製のガイドブック『異世界の歩き方』付き。  ガイドブックには、異世界会話集も収録。  出品商品の説明文には、「魔力が充分にあれば、異世界に行けます」とあった。  おもしろそうなので、買ってみた。  使ってみた。  帰れなくなった。日本に。  魔力切れのようだ。  しかたがないので、異世界で魔法の勉強をすることにした。  それなのに……  気がついたら、魔王軍と戦うことに。  はたして、日本に無事戻れるのか?  <第1章の主な内容>  王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。  魔王軍が、王都まで迫ったからだ。  同じクラスは、女生徒ばかり。  毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。  ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。  しかたがない。ぼくが戦うか。  <第2章の主な内容>  救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。  さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。  どう救出する?  <第3章の主な内容>  南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。  そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。  交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。  驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……  <第4章の主な内容>  リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。  明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。  なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。  三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら? 国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。 真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。 破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。 現在1945年夏まで執筆

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...