Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

文字の大きさ
307 / 786

第307話

しおりを挟む
 その為、キマイラやエンジェルタイプのような高機動機であるなら逃げ回る程度の事は可能となる。
 ただ、足の遅いソルジャータイプが狙われるのを防ぐ為に攻撃範囲に居座り続けなければならないという制約はあるが。 

 ――こうして見てみるととんでもないな。

 シックスセンスでメガロドンを視る。 どんなジェネレーターを使っているのか出力が桁違いだ。
 あれだけの攻撃を繰り返して衰える気配がない。 だが、所詮は中身のないエネミー。
 攻撃範囲に居座る事でひたすらに目の前の機体に向けて攻撃を繰り出し続けていた。

 動きは単調で、決して勝てない相手ではない事は前回の時点で分かってはいたが、本当に勝てるのかはまた別の話だ。 ヨシナリは機体を急上昇させて上から俯瞰。
 メガロドン型の全貌を確認する。 頭の横に付いている高出力のレーザー砲は正面固定なので頭と同じ方向にしか飛んで来ない。 要は頭部を正面に捉えなければまず喰らわないとみていいだろう。

 実弾の巨大なガトリング砲も同様に基本的に正面のみだ。 多少は動くか正面に向けて円を描くような可動範囲なのでこちらも真正面に立たなければ脅威度は激減する。
 真の脅威は脇腹のミサイルだろう。 大小、様々なミサイルが次々と飛んでくる。
 
 誘導性能は高く、ロックされた場合は下手に躱すよりは撃ち落とした方が早い。
 こちらは全方位にばら撒くので上手に躱さないと下手をすれば正面まで引っ張り出されてそのままメイン火力の餌食となる可能性も充分にあるので周囲を意識しながらの回避が求められる。

 ヨシナリがこのエネミーを倒せない敵ではないと判断したのは分かり易い死角が存在する事にあった。 問題は安全地帯を確保できたとしても撃墜が難しい事だ。
 エネルギー流動を見るとメガロドンを覆っているエネルギーフィールドの密度は非常に高い。

 一応は命中した個所は脆くなっているが、かなり撃ち込まないと穴を開けるのは厳しい。
 そしてそんな悠長な事をしているとミサイルの餌食になってしまう。
 エネルギー兵器に関しては無敵の盾と言っていいが、穴がない事はなかった。

 正面だ。 派手にレーザー砲やらを撃ちまくっている関係で正面にはフィールドを展開できない。
 その為、正面からの撃ち合いならエネルギー兵器が十全に威力を発揮するが、あの化け物火力と正面から殴り合うのは自殺行為に等しい。 結局、散発的に攻撃する事でこの場に留める事しかできないのだ。

 ちらりと地上を視る。 マルメルとヴルトムは背後からひたすらに実弾をばら撒いていた。
 当たってはいたが、明らかに装甲の表面で弾かれているので碌にダメージが入っていない。
 ハンドレールキャノンを狙っているようだが、何処に当てるべきかを悩んでいるようだ。

 グロウモスは離れた位置からひたすらに狙撃を繰り返していたが、こちらも効果がない。
 気を引く事すらできないのでどう動くべきかと悩んでいるようだ。
 ふわわはどうにか取り付こうとしているが、ミサイルに阻まれて近づけない。
 
 ヨシナリもどうにか攻撃の切れ目を狙ってフィールドが展開されていない正面からの攻撃を狙っていたが、上手く近寄れない状態だ。 ツガルも似たような事を考えているのか、ヨシナリと似た挙動を取っていたが、諦めて後退を繰り返している。

 凌げてはいるが完全ではない。 
 敵のミサイル攻撃に一機、また一機と撃墜されているので状況は悪化はするが好転はしなかった。
 本音を言えば下がって立て直したいがそれをやると基地まで来るので、そうなってしまえば味方に多大な被害が出てしまう。

 ――結局、Aランクが施設の制圧を終えて戻ってくるまで待たなければならないのか……。

 本音を言えば自力で仕留めたいが、現状では難しい。 
 せめてあの障壁を剥がす手段があれば――
 
 「――来てくれたのか……」

 不意にレーダー表示があるものを捉えた。 
 フレンド登録しているプレイヤーの反応。 真っすぐにこちらに向かっている。
 やや望み薄だったが、手を貸してくれる気になったようだ。 

 ――ただ――

 「あぁ、この後の事を考えると気が重いなぁ……」

 実力に関しては申し分なく、この状況で最も必要な人材とも言えるが出してきた条件が非常に重かった。 
 
 「まぁ、なるようになるか」

 ヨシナリは後の事は後で考えようと思考を放棄した。
 その甲斐あって唐突に嵐を突っ切って現れた機体が飛び上がり、持っていたハンマーを一撃。
 圧倒的な強度を誇ったメガロドン型のエネルギーフィールドが笑ってしまうほどにあっけなく砕け散った。

 それを成したのは黒に近い血のような赤い機体。 
 全身鎧のような印象を受けるその機体は一度見たら忘れる事などできないほどに個性的だ。
 プルガトリオ。 Aランクプレイヤー『ユウヤ』の駆る愛機だった。

 「ヨシナリ。 お前の提案、受けてやる。 その代わり、俺の出した条件は吞んでもらうぞ」
 「了解です。 よろしくお願いしますよ」

 イベント開始前に話は済んでいたのでヨシナリとユウヤの間で交わされるのは確認作業だ。
 
 「――指示を出せ。 従ってやる」
 「バリアの破壊を優先。 とにかく常に攻撃が通るように状況の維持を」
 
 ユウヤは応えずに駆け出す。 軽量機ではあるので動きが速いのは理解できるが、スラスターの噴射に合わせて走るので、一歩一歩のストライドが恐ろしく広い。
 傍から見れば走っているようにしか見えないので猶更、その異様さが際立つ。

 メガロドン型がフィールドを再展開。 同時にユウヤがハンマーを叩きつけて砕き散らす。
 彼の機体プルガトリオの装備群『ジ・アビス』の一つ。 『スペルビア』これは背の大剣をハンマーに変形させたもので非常に強力な打撃力を誇るが、それ以上に恐ろしいのはそのヘッド部分に搭載されているエネルギーの無効化兵装だ。 それによりエネルギー系の防御兵装は彼の前ではほぼ効果がなくなる。 それはあのメガロドン型と言えど例外ではない。

 ヨシナリとしては多少の中和が出来れば上出来だと思っていたが、完全に破壊してしまうとは思っていなかった。 メガロドン型は大量のエネルギーを使用してフィールドの再展開。
 ヨシナリはその様子を冷静に眺めつつ、脳裏で数を数える。 再展開が完了。

 五秒。 メガロドン型のフィールド再展開までの所要時間だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【なろう490万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ

海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。  衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。  絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。  ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。  大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。 はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?  小説家になろうSF(パニック)部門にて490万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。 カクヨムのSF部門においても高評価いただき90万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。  

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

改大和型戦艦一番艦「若狭」抜錨す

みにみ
歴史・時代
史実の第二次世界大戦が起きず、各国は技術力を誇示するための 「第二次海軍休日」崩壊後の無制限建艦競争に突入した 航空機技術も発達したが、それ以上に電子射撃装置が劇的に進化。 航空攻撃を無力化する防御陣形が確立されたことで、海戦の決定打は再び「巨大な砲」へと回帰した。 そんな中⑤計画で建造された改大和型戦艦「若狭」 彼女が歩む太平洋の航跡は

異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通
ファンタジー
 ネットオークションに、異世界転移魔方陣が出品されていた。  三千円で。  二枚入り。  手製のガイドブック『異世界の歩き方』付き。  ガイドブックには、異世界会話集も収録。  出品商品の説明文には、「魔力が充分にあれば、異世界に行けます」とあった。  おもしろそうなので、買ってみた。  使ってみた。  帰れなくなった。日本に。  魔力切れのようだ。  しかたがないので、異世界で魔法の勉強をすることにした。  それなのに……  気がついたら、魔王軍と戦うことに。  はたして、日本に無事戻れるのか?  <第1章の主な内容>  王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。  魔王軍が、王都まで迫ったからだ。  同じクラスは、女生徒ばかり。  毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。  ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。  しかたがない。ぼくが戦うか。  <第2章の主な内容>  救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。  さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。  どう救出する?  <第3章の主な内容>  南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。  そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。  交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。  驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……  <第4章の主な内容>  リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。  明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。  なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。  三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら? 国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。 真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。 破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。 現在1945年夏まで執筆

処理中です...