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第346話
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マルメルが地上を移動し、敵機は高度を取った。
「上を取って優位なポジショニング。 基本ですね」
「セオリー通りって感じやなぁ」
ヨシナリとふわわは画面を注視し、シニフィエは特に口を挟まずに黙っていた。
マルメルを捕捉した敵機が、即座にエネルギー式の突撃銃を連射。
「あー、重武装なのを見て距離詰めるのを嫌がったな」
「安全を確保したいのは分からなくもないねんけど、位置取りを横着したらあかんわ」
「あのー、質問いいですか?」
シニフィエは小さく手を上げるとヨシナリはどうぞと促す。
「エネルギー式って当たりさえすれば距離ってそこまで関係ないのでは?」
「あぁ、実体がないからそう思われがちだけど、飛んだ分だけ減衰するから射程は無限って訳じゃない。 実弾に比べたら有効射程が長いってだけだね」
付け加えるならエネルギー系統の武装はコーティングやシールド等の有効な防御手段があるので、下手に偏らせると相手によっては攻撃が一切通らなくなるなんて事にもなりかねない。
それにマルメルの機体にはその対策が施されていた。 無数のエネルギー弾がマルメルの機体に当たる前に霧散する。 エネルギーフィールドだ。
機体の挙動に影響が出る程の高出力ではないが、それなり以上の減衰効果は見込める。
特に今回のような有効射程ギリギリから撃ってくるタイプの敵であるなら充分だった。
マルメルはばら撒くように応射。 彼が使っているのはロングバレルの突撃銃だったのだが――
「あれ? よく見たらマルメル君が使ってるのってアノマリー?」
「そうですよ。 俺のお古です。 欲しいって言うからあげました。 腐らせとくぐらいなら使って貰った方がいいかなって思って」
ただ、ヨシナリが使っていた頃と違ってロングバレル、ロングマガジンに外付けのグレネードランチャーと、かなりカスタムされているので見た目は完全に別物のようだった。
「実弾の方の射程もかなり伸びてるのでマルメルにはかなり使い易くなってますよ」
「そう言えばヨシナリ君が使ってた頃はすっきりしとったけど何で?」
「変形する時に干渉するんで外してました」
「あ、一応は試したんだ?」
「そりゃ試しますよ。 それで事故って無理だなって判断して諦めました」
特にヨシナリは変形を多用するので、万が一にも干渉して事故でも起こそうものならその時点で負けが確定してしまう。 そんなリスクはとてもではないが冒せなかった。
会話が途切れ二人の視線はそのままウインドウへ。
マルメルは適度に応射しつつ、距離を保つ。
寄ってくれば下がり、下がれば逆に距離を詰める。 敵機はエネルギーフィールドの防御を飽和させようとしているのか執拗に撃ち込むが、一切通らない。
「マルメルさんの防御フィールドってどれだけ耐えられるんですか?」
「あぁ、あの程度だったらいくら撃ち込んでも無駄だね。 アウグスト――マルメルの機体のジェネレーターはエネルギーウイングを賄えるレベルだから防御に徹したらそうそう貫けないよ。 逆にマルメルの銃だと当たれば効くから一方的に狙おうとして状況が逆転してる」
「相手はそれに気付いていない感じですか?」
「いや、いい加減に気付いてはいるだろうけど、近寄りたくないから踏ん切りがつかないって感じだね。 突撃銃はマガジン式だから無限に撃てるわけじゃないし、そろそろ腹をくくる必要があるんだけど――」
ヨシナリの言葉通り、敵機は僅かに逡巡する気配を見せた後、大きく旋回して急降下。
「あ、行った。 判断ちょっと遅いなぁ」
「撃ち尽くす前だから、まだ早い方かと思いますよ」
「正面から行ってギリギリで旋回かな?」
「いや、飛び方あんまり上手くないし、一か八かで正面突破じゃないですか?」
シニフィエは話に付いていけずに何か言いかけて結局黙ってしまった。
画面の向こうでは敵機が機体を左右に振ってマルメルの命中率を落とそうとしているようだ。
対するマルメルは後退しつつアノマリー連射。 弾が切れたと同時にエネルギー弾に切り替えて連射の切れ目をなくす。
「あ、前にヨシナリ君のやってた奴!」
「慣れるといい感じに連射の切れ目をなくせるので便利ですよ。 結構、コツがいるんですけどマルメルの奴、この短期間で扱えるようになるとかやるなぁ!」
ヨシナリはちょっと嬉しそうに声を上げる。
敵機は単発になった事で躱し易いと判断したのか、高度を一機に落とす。
それはマルメルの狙い通りで、マガジン交換を済ませたアノマリーと肩にマウントした予備の突撃銃を手にし、腰に固定している短機関銃を展開。 四つの銃口が敵機を狙い、即座に火を噴く。
これまでとは比較にならない弾幕に敵機は躱しきれずに穴だらけになって爆散。
試合終了となった。
「どうよ? 中々、いけてたんじゃね?」
ほぼ無傷で帰って来たマルメルは上機嫌だ。
「あぁ、良い感じだったな」
ヨシナリもマルメルがいい感じに戦えていた事に満足していた。
上空から一方的に攻撃してくる敵の攻撃を防ぎつつ、射程で上回る事で選択肢を奪う。
効果がないと判断した敵機が降下して来たところで後退しながら腰の短機関銃の射界に敵を誘い込んで、ハチの巣にできる位置に来た所で集中砲火。 堅実かつ丁寧な試合運びだ。
性能を過信している訳ではないが攻防両面での性能が大きく向上した事により、精神面で余裕が出来たのか終始落ち着いていたのも好印象だった。
エネルギーウイングも上手に使っており、旋回性能は高くないが前後に動く分には何の問題もないので見ていて安心感のある挙動も素晴らしい。 あの動きなら集団戦でも上手く機能するだろう。
――肩を並べて戦える時が楽しみだ。
「グロウモスちゃんはまだ戻って来ないし今度はウチやね!」
「お、やる気ですねー」
「ウチもちょーっといい所、見せときたいしね?」
そう言ってふわわがランク戦に参加し、マッチング。
相手は直ぐに見つかったのでそのまま移動。 ウインドウの画面が切り替わり、ふわわの機体が映し出された。
「お、犠牲者がエントリーされたぞ」
「おいおい、犠牲者って……」
どうやらマルメルはトレーニングルームで酷い目に遭ったようだ。
「ちゃんと見てないんだが、ふわわさんの武器どうだった?」
ヨシナリの質問にマルメルは遠い目をする。
「まぁ、見てりゃわかるよ。 アレはヤバい」
「上を取って優位なポジショニング。 基本ですね」
「セオリー通りって感じやなぁ」
ヨシナリとふわわは画面を注視し、シニフィエは特に口を挟まずに黙っていた。
マルメルを捕捉した敵機が、即座にエネルギー式の突撃銃を連射。
「あー、重武装なのを見て距離詰めるのを嫌がったな」
「安全を確保したいのは分からなくもないねんけど、位置取りを横着したらあかんわ」
「あのー、質問いいですか?」
シニフィエは小さく手を上げるとヨシナリはどうぞと促す。
「エネルギー式って当たりさえすれば距離ってそこまで関係ないのでは?」
「あぁ、実体がないからそう思われがちだけど、飛んだ分だけ減衰するから射程は無限って訳じゃない。 実弾に比べたら有効射程が長いってだけだね」
付け加えるならエネルギー系統の武装はコーティングやシールド等の有効な防御手段があるので、下手に偏らせると相手によっては攻撃が一切通らなくなるなんて事にもなりかねない。
それにマルメルの機体にはその対策が施されていた。 無数のエネルギー弾がマルメルの機体に当たる前に霧散する。 エネルギーフィールドだ。
機体の挙動に影響が出る程の高出力ではないが、それなり以上の減衰効果は見込める。
特に今回のような有効射程ギリギリから撃ってくるタイプの敵であるなら充分だった。
マルメルはばら撒くように応射。 彼が使っているのはロングバレルの突撃銃だったのだが――
「あれ? よく見たらマルメル君が使ってるのってアノマリー?」
「そうですよ。 俺のお古です。 欲しいって言うからあげました。 腐らせとくぐらいなら使って貰った方がいいかなって思って」
ただ、ヨシナリが使っていた頃と違ってロングバレル、ロングマガジンに外付けのグレネードランチャーと、かなりカスタムされているので見た目は完全に別物のようだった。
「実弾の方の射程もかなり伸びてるのでマルメルにはかなり使い易くなってますよ」
「そう言えばヨシナリ君が使ってた頃はすっきりしとったけど何で?」
「変形する時に干渉するんで外してました」
「あ、一応は試したんだ?」
「そりゃ試しますよ。 それで事故って無理だなって判断して諦めました」
特にヨシナリは変形を多用するので、万が一にも干渉して事故でも起こそうものならその時点で負けが確定してしまう。 そんなリスクはとてもではないが冒せなかった。
会話が途切れ二人の視線はそのままウインドウへ。
マルメルは適度に応射しつつ、距離を保つ。
寄ってくれば下がり、下がれば逆に距離を詰める。 敵機はエネルギーフィールドの防御を飽和させようとしているのか執拗に撃ち込むが、一切通らない。
「マルメルさんの防御フィールドってどれだけ耐えられるんですか?」
「あぁ、あの程度だったらいくら撃ち込んでも無駄だね。 アウグスト――マルメルの機体のジェネレーターはエネルギーウイングを賄えるレベルだから防御に徹したらそうそう貫けないよ。 逆にマルメルの銃だと当たれば効くから一方的に狙おうとして状況が逆転してる」
「相手はそれに気付いていない感じですか?」
「いや、いい加減に気付いてはいるだろうけど、近寄りたくないから踏ん切りがつかないって感じだね。 突撃銃はマガジン式だから無限に撃てるわけじゃないし、そろそろ腹をくくる必要があるんだけど――」
ヨシナリの言葉通り、敵機は僅かに逡巡する気配を見せた後、大きく旋回して急降下。
「あ、行った。 判断ちょっと遅いなぁ」
「撃ち尽くす前だから、まだ早い方かと思いますよ」
「正面から行ってギリギリで旋回かな?」
「いや、飛び方あんまり上手くないし、一か八かで正面突破じゃないですか?」
シニフィエは話に付いていけずに何か言いかけて結局黙ってしまった。
画面の向こうでは敵機が機体を左右に振ってマルメルの命中率を落とそうとしているようだ。
対するマルメルは後退しつつアノマリー連射。 弾が切れたと同時にエネルギー弾に切り替えて連射の切れ目をなくす。
「あ、前にヨシナリ君のやってた奴!」
「慣れるといい感じに連射の切れ目をなくせるので便利ですよ。 結構、コツがいるんですけどマルメルの奴、この短期間で扱えるようになるとかやるなぁ!」
ヨシナリはちょっと嬉しそうに声を上げる。
敵機は単発になった事で躱し易いと判断したのか、高度を一機に落とす。
それはマルメルの狙い通りで、マガジン交換を済ませたアノマリーと肩にマウントした予備の突撃銃を手にし、腰に固定している短機関銃を展開。 四つの銃口が敵機を狙い、即座に火を噴く。
これまでとは比較にならない弾幕に敵機は躱しきれずに穴だらけになって爆散。
試合終了となった。
「どうよ? 中々、いけてたんじゃね?」
ほぼ無傷で帰って来たマルメルは上機嫌だ。
「あぁ、良い感じだったな」
ヨシナリもマルメルがいい感じに戦えていた事に満足していた。
上空から一方的に攻撃してくる敵の攻撃を防ぎつつ、射程で上回る事で選択肢を奪う。
効果がないと判断した敵機が降下して来たところで後退しながら腰の短機関銃の射界に敵を誘い込んで、ハチの巣にできる位置に来た所で集中砲火。 堅実かつ丁寧な試合運びだ。
性能を過信している訳ではないが攻防両面での性能が大きく向上した事により、精神面で余裕が出来たのか終始落ち着いていたのも好印象だった。
エネルギーウイングも上手に使っており、旋回性能は高くないが前後に動く分には何の問題もないので見ていて安心感のある挙動も素晴らしい。 あの動きなら集団戦でも上手く機能するだろう。
――肩を並べて戦える時が楽しみだ。
「グロウモスちゃんはまだ戻って来ないし今度はウチやね!」
「お、やる気ですねー」
「ウチもちょーっといい所、見せときたいしね?」
そう言ってふわわがランク戦に参加し、マッチング。
相手は直ぐに見つかったのでそのまま移動。 ウインドウの画面が切り替わり、ふわわの機体が映し出された。
「お、犠牲者がエントリーされたぞ」
「おいおい、犠牲者って……」
どうやらマルメルはトレーニングルームで酷い目に遭ったようだ。
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「まぁ、見てりゃわかるよ。 アレはヤバい」
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